今日のうた

思いつくままに書いています

上野千鶴子のサバイバル語録 (1)

2016-09-12 11:09:20 | ③好きな歌と句と詩とことばと
2016年1月に出版された『上野千鶴子のサバイバル語録』を読む。                ↓
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163902548

私は上野さんとほぼ同じ時代を生きてきて、これまでずっと思ってきたこと、
そして今、思っていることを、代弁してくださっている箇所がいくつもありました。
新たに気づかされたところもあります。
その中の一部を引用させて頂き、自分なりの言葉を付けさせて頂きます。

(1)サヨナラを言うために書く
書くという行為は、いつでも、思想にかたちを与え、それにケリをつけるためにある。
人はいわばサヨナラを言うために、それについて書くのである。

(この言葉を見た時に震えがきました。まさに私の気持ちを言い当てていると
 思ったからです。  昨年から今年の初めにかけて、私はある時期の自分について、
 取り憑かれたように書きました。 それは、あの時の自分にケリを
 つけたかったのだと気づきました。  すっかり書いてしまったので、
 もう何も思い遺すことはありません。清々しい気分です)

(2)あたしのメシも心配してほしい
風邪をひいて寝ている妻の枕元で、「メシの心配はしなくていい。オレは外で
食ってくるから」と言った夫の話である。
「あたしのメシはどうなるのよ!」と寝ている妻は言いたいところだろう。    
こんな夫でも、妻から離婚されずにきたのが、これまでの日本の男だった。

(あの時のあなたへ。 お腹をすかした子供たちもいたのですよ)

(3)夫を人間として尊敬できるか
男として尊敬できなくてもOK、でも人間として尊敬できなければ、
それが関係の終わりです。ひとを見る目がなかったと己を呪い、すっぱり捨てましょう。

(4)不幸な母であることをやめる
不幸な母親は子供を不幸にします。どんなやり方であれ、まずあなたご自身が、    
不幸であることをやめること。

(5)愛よりも理解がほしかった
母親は娘に「おまえを愛してる」と言うが、それは娘には「不条理」と聞こえるーー    
お母さん、わたしはあなたから愛よりも理解がほしかったのよ。

(6)母娘対決のタイミングを逃すな
私は、18歳で家を出て、できるだけ親元に寄りつかなかったの。
私が43歳のときに 母は乳がんで亡くなった。介護もしたけど、
すでに母は弱者になっていたから 追い詰められない。対決の機会を逃しました。    
だから若い娘たちに言いたいのは、親とちゃんとした大人の関係を作るためには、    
母が強者のうちに対決しなさいということね。

(私が39歳になってすぐに、母が亡くなった。それまでもずっと病気だったので、  
 対決するなど思いも及ばなかった。だが、娘たちとは……まだ間に合う)

(7)追いつめられたとき、夫は助けてくれたか
人生でいちばんと言っていいほど大変な子育てのとき、相手が何の手助けもしてくれない
なんて、許せないじゃない。自分がいちばん追い詰められたときに関わってくれない    
男なんかとセックスできるかって話よ(笑)。

(8)時間を一緒につぶしてくれるのが家族
時間を一緒につぶしてくれるのに、いちばん安直な相手は家族である。    
子どもたちは、自分の人生の時間を、20年間ばかりわくわくどきどきさせてつぶしてくれた 相手だと思って、それ以上の期待をせずに感謝して送り出そう。

(遠く過ぎてしまってから、このことに気づきます。あんなにわくわくどきどき
 させてくれたことが、最高の親孝行です)

(9)親業の最終目標    
親業のゴールは、子どもからある日、「もうあなたは要らない」と言ってもらうこと。

(子どもから言われて、初めて自立できた気がします。ありがとう)


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上野千鶴子のサバイバル語録 (2)

2016-09-12 11:08:20 | ③好きな歌と句と詩とことばと
(10)親から子への最後の教え
親が子へ最後に教えられることは、自ら老いていく姿を見せてあげることです。

(それと、死んでゆく姿を見せてあげることだと、私は思っています)

(11)記憶はふたりのあいだにある
わたしを構成しているあなたとの記憶の部分が、あなたとの死とともにもぎとられていく。
わたしの一部分が、あなたの死とともに死ぬ。あなたはわたしの一部分をあなたの死と
ともに あちらがわに持っていってしまう。あなたが覚えているわたしが、
あなたとともに死んでしまう。

(12)要介護になって、過去から復讐される
第三者の目に入らない、こういう密室状況の介護のもとでは、介護虐待も起きる。    
とりわけ夫婦のあいだでは、「あのとき、あなたは……」と、過去のうらみつらみが    
フラッシュバックすることを覚悟しておいたほうがよい。    
トラウマの原因は主としてふたつ。ひとつは不倫だが、もうひとつは子育ての際の非協力。
本人は覚えていない、かっとしてふるった暴力などもトラウマになる。    
「そんな昔のことを……」と抗弁してもムダ。
そのとき、うらみや不満をのみこんだぶんだけ、受けたキズは癒されずに
生々しく何度でも 再生されるのがトラウマだと、知っておいたほうがよい。

(13)からは、逃げ出してもよい
若いひとたちに向けて話す機会を与えられたとき、わたしは最近、「明日の日本を担って  
いくのはあなたたちです」と言うのをやめました。    
日本が泥舟なら、さとい小動物がまっさきに舟から逃げ出すように、あなたたちも    
逃げたらよい。泥舟といっしょに沈没するのは船長だけでたくさん、
あなたたちに責任はない。    
国なんてその程度のもの。それより、世界中どこでもいいから、生き延びていってほしい。
どんなやりかたでもいいから、世界中のどこかで、元気でいてほしい……    
わたしに実の娘や息子がいたら、この地に踏みとどまってがんばれと言う代わりに、    
きっとそう言うことでしょう。

(私が考えていることを、そっくりそのまま書いてくださって、嬉しくて涙が出ました。  
 私には、日本がどんどん悪くなっていく気がします。このままいくと、どんなことでも  
 起こり得る気がします。それは自然災害だけでなく、国全体が危うい方に向かって
 いるのでは ないか、と思えるからです。
 危険を察したら、国を捨てて、親のことなど考えずに、まっさきに脱出して
 生きのびて欲しい。それまでに、どこに行っても生きられる知恵を養ってください)

(14)領土問題をおもちゃにするな
またまた、竹島や尖閣問題をめぐってキナ臭い動きがありますが、領土問題を”男の子”    
たちの危険なおもちゃにしないでほしいですね。

(全く同感です。危機を煽って煽って煽って、その先にあるものは……)

(15)抑圧され続けたら、慣れてしまう
マルクスの絶対的窮乏(きゅうぼう)化論がなぜ誤りかというと、被支配階級というのは、
抑圧し、抑圧し、抑圧し抜くと、反発して立ち上がるのではなく、抑圧に慣れるからです。

(永い時間をかけて、「物言わぬ日本人」がつくり上げられてきたように思います)


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