総括論(2):理想のリーダーとは?
昨年の11月から本連載を開始したが、今回で一応の区切りとしたい。
自分の実体験をベースにした起業というテーマで雑感を書いてきたが、なかなか満足いくものにはならなかったと今振り返って思う。やはり経営者としての挫折経験による自責の念が、自らの主張を委縮させているのであろうか。なかなか過去の失敗経験を乗り越えるのは難しいものである。
このトラウマを真に克服するためにも、さらなる高みへの挑戦が今の自分には必要なのかもしれない。そんなことを思いつつ、現時点での自らの理想のリーダー像を記すことで、本連載の締めくくりとしたい。
私は、リーダーには、いくつかの覚悟がいると思っている。
第一には、自分が率いる組織は、リーダーの器以上には成長しないという事実を認める覚悟。会社を成長させたければ、まず自分自身が最初に成長すべきである。
第二に、経営には、実にさまざまなことが起こるが、そのすべてのことが最終的には「良きこと」であると腹に収める覚悟。起こるべきこと、すべて良きこと。特に、辛いことの場合でも、そう思えるかどうか。それがリーダーの人間力・包容力である。
第三に、自分の力だけではどうしようもない見えない力があることに畏敬の念を持つ覚悟。その覚悟から来る精神が、「一期一会」の心境につながる。リーダーは、「今を全力で生きる」というオーラを出し続けるべきである。
そして、最後に、運命は切り開くものであり、決して定まっていないと心から信じる覚悟。最後まで絶対にあきらめないという姿勢を周りに対して貫き続けること。
これらの覚悟を持って、どっしりと組織の先頭に慄然と立ち続ける人。そういう人が私の理想のリーダー像である。
起業には、まさにこうしたリーダーが求められ、こうしたリーダーに率いられないと起業は絶対にうまくいかない。
逆に考えれば、起業という難行を通じて、人は理想のリーダーに近づくことができる。ただ、それは決して容易なことではない。
人生は一度。挑戦できる限り、挑戦し続ける。
私は人生の残された時間をそのように歩みたい。
(了)
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