今年2023年、わが国はG7の議長国を務めている。ウクライナ問題が主要な議題となることはやむを得ないものの、気候変動問題についても極めて重要な方針決定があった。このことがあまり国内のマスコミは取り扱っておらず、その重要性と緊急性が国民全体に伝わってないのは心配なところである。
「2035年GHG排出削減を2019年比60%削減とする」
本年4月の札幌で開かれた気候・エネルギー・環境大臣会合で決まったことである。
これまでは、わが国は2030年46%削減(2013年比)であったものが、その5年後にさらなる大幅な積み上げが必要になった。
このG7共同声明が意味する緊急性と危機感が国内的にはあまり感じられないのは、私だけでしょうか?
政府は原子力への期待を表明し政策転換を試みておりますが、この実現可能性は極めて低いのではないか。
そうなると、このG7議長国として取りまとめた国際的な約束を守るためには、これまで以上に2つのことに注力するしかない。
一つはもう一段のエネルギー効率化、徹底した省エネであり、もう一つは再エネを主力電源としてあらゆる手段を使って増強していくこと。
政府としては、そのための政策をこれまでの延長的な発想ではなく、抜本的に転換する必要がある。そうでないと、この大幅削減は実現不可能であろう。
まずは、今の第6次エネルギー基本計画は、この目標にはまったく不十分であり、今年から始まるであろう第7次計画に向けた見直しが極めて重要になる。日本がこの気候危機問題で、G7議長国としての責任を果たしつつ、確実な経済成長を成し遂げるためには、これからの数年が極めて重要な時期であろう。
また企業サイドとしても、このような国際的な大きな潮流を正しく見据えて、今こそ積極的な投資行動に出る時である。
最近、多少なりとも失われた30年の出口が見えかけてきたと感じているが、この機会にこそ、大胆で具体的な行動に打って出る時ではないか。
私個人としても、今何ができるのか、何をすべきなのかじっくり考えて、今一度積極的かつ具体的な行動に出たい。
G7議長国としての責任は、単に政府だけの問題ではなく、企業や自治体、そしてその構成員である私達ひとりひとりが担うべきものであると思っている。