再び原点回帰なり!

未熟なビジネスマンの心のつぶやき

FESCO十年の歩みを振返って(24)

2007-11-03 09:31:00 | 連載・FESCO十年

バイオマス発電を活用した電力小売事業への展開

岩国ウッドパワーの経験と知見を基に、さらに2基のウッドパワー事業を手掛けた。岩国に遅れること半年から一年で、白河ウッドパワー(福島県白河市・http://www.fesco.co.jp/swp/index.html)、日田ウッドパワー(大分県日田市・http://www.fesco.co.jp/hwp/index.html)の事業化に着手した。そして、岩国が20061月、白河が200610月、日田が200611月と営業運転を開始した。

ウッドパワーからの電気は、CO2フリーの環境付加価値を持った貴重なものである。このような電気をどう販売していくか。独立系発電事業者(IPPとして、電力会社に卸売するだけでは、おもしろくないだろう。電力自由化の中で、FESCOとしても総合エネルギーサービス会社となるためには、電力の小売能力もぜひ持ちたい。

 そうした発想の下に、電力小売事業への進出を検討し始めたのは、2004年の春ごろ、創業から8年目あたりであり、結論として自前で特定規模電気事業者(PPSになろうということになった。

 当時は、原油価格も比較的安定しており、電力小売をやる場合にどうしても必要となる化石燃料系の発電所(調整電源と呼ぶもの)をFESCOとしても自前で持つべきだと判断した。

 その後、数年間で原油価格が高騰する状況があり、結果としてこの経営判断は正しくなかったことになるが、それはあくまで結果論である。

 一方、CO2削減が世界中の要請として高まるなか、原子力発電が見直され、電力自由化論議も一時の勢いを失っている。

 こうした予想外の状況の変化の中で、FESCOとして今後PPS事業をどうしていくのかは、今後の大きな経営課題となるであろう。

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FESCO十年の歩みを振返って(23)

2007-10-28 09:13:54 | 連載・FESCO十年

バイオマス発電事業への進出(3)

FESCO自前のバイオマス発電事業の第一号は、岩国ウッドパワー(山口県岩国市、http://www.fesco.co.jp/iwp/index.htm)である。

このプロジェクトは、前回で述べた東北地方での失敗経験に基づき、敷地の選定には十二分に注意を払った。技術的な面での発電所適地であるかどうかは当然のこととして、やはり、当該地の管轄自治体サイドが発電所の進出を歓迎してくれるのかどうかが最大のポイントである。

その上で、敷地周辺の地域住民の方々からの建設同意を得る必要がある。

岩国の場合、2003年秋口から2004年初頭までの間で、都合5回ほどの住民説明会を開催した。

私もその主要な会合には、必ず出席し、住民の方にも歓迎されるような事業を目指そうと努力した。

しかし、最初の数回は、「バイオマス」という語感から来る得体の知れなさが災いしてか、説明会では「肉骨紛でも燃やすのか?とんでもない!」という否定論・不信論に終始した。

また、今回も駄目かと最初は落ち込んだが、まずは住民の皆さんにわれわれのやろうとしていることを正しく理解していただこうと、プロジェクトメンバー総動員で努力した。

その甲斐もあってか、徐々に、バイオマス発電が環境にやさしく、CO2フリーの電気を作る国策にも適ったものだという認識が進んでいった。

2004年の年始に行った説明会には、岩国市長が多忙な公務の中にもかかわらず出席をいただき、事業の正当性とFESCOの信頼性を直接語っていただけたのは、大変大きな効果があった。要は、自治体として、この事業を認めることで、行政も責任を背負う覚悟であることを示していただいたのである。結果として、その会が最後となり、住民のご理解をいただけたのである。

このことは、プロジェクトメンバーのみならず、FESCO全体としても、大変ありがたいことでもあると同時に、市長をはじめ自治体関係者の方々や地域住民の方々の信頼に応えるべく、重い責任を背負ったことになる。

「本発電事業は、十数年に亘る長いお付き合いを地域の皆様としていく性格のものであり、FESCOとして責任を持って完遂することを誓います!」

2004322日の岩国市とFESCOとの進出協定締結の場で述べた社長としての言葉は、今も忘れることなく心の奥に響いている。

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FESCO十年の歩みを振返って(22)

2007-10-20 10:48:34 | 連載・FESCO十年

バイオマス発電事業への進出(2)

バイオマスをテーマにしたFESCOとしての新規ビジネスを進めるための、新たな構想が「GEIGreen Energy Initiative)構想」である。

この構想は、端的に言えば、バイオマスを燃料とした発電ビジネスをどういう仕組みで進めるかというモデル集である。

民間工場オンサイトでの共同事業モデル、地方自治体との連携による公共モデル、FESCO自らが事業主体となるモデルなどなど、知恵を絞って考えうるビジネスモデルを構想し、具体的に事業の可能性調査を開始した。

そんな時、最初に某バイオマスコンサルから話が持ち込まれたのが、東北地方での果樹の剪定材を活用するバイオマス発電ビジネスであった。その地方では、剪定材の野焼きが禁止され、処理に困っているので、それらを有効活用した地域共生型の事業となりうると聞き、FESCOが取り組むのに相応しい事業ではないかと直感した。

しかしながら、そのコンサルの段取りで、事業の住民説明会に参加した寒い夜の日のことは、今でも忘れられない思い出となった。

「地域の問題解決と両立した環境に優しいビジネスです」と力説するも、地域住民にとっては、単なる発電所建設であり、迷惑施設の進出には反対という極めて険悪なムードに終始した。

その地域の自治体からも、当日のドタキャンで行政担当者の出席者はゼロであった。

この苦い経験は、私にとってもFESCOにとっても、大変良い教訓となった。

まず地域に受け入れられなければ、どんなにこちらが良いと思っているプロジェクトでも前に進まない。地域住民の理解とその地域の行政の姿勢が最重要であることを実感した。

その後、この東北のプロジェクトは、かなり推進に努力するも、FESCOとしては残念ながら断念することになった。ただし、この貴重な経験が、次なる岩国、白河、日田と続くウッドパワー事業の実現に大きな力となったことだけは間違いない。

「失敗は成功のもと」

そんな古くからの格言を再確認した出来事であった。

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FESCO十年の歩みを振返って(21)

2007-10-13 16:16:40 | 連載・FESCO十年

バイオマス発電事業への進出(1)

2003年の初頭から、徐々にそれまでの省エネESCOから、会社を一層発展させるため、新しい動きを開始した。FESCOの企業理念である「環境と経済の両立する社会づくりへの貢献」を前提として、その理念実現のためには、FESCO「総合エネルギーサービス会社」を目指すという新しい「企業ビジョン」を打ち出した。

このビジョンは、以下の3つの柱から構成している。デマンドサイドESCOサプライサイドESCOトレーディングESCOの3つである。①は、創業来進めてきた省エネESCOであり、これは顧客(需要家)を対象としたビジネスモデルであり、デマンドサイドESCOである。

ここで新しく②のサプライサイドESCOとしたのは、エネルギー供給側に立ったビジネスモデルということであり、端的に言えば、発電事業である。

ただし、単に発電事業と言っても、信用力や資金力に乏しいベンチャー企業に何ができるか。そこで出された発想が、「グリーンエナジー」である。

さっそく、グリーンという付加価値を伴った事業分野で何ができるか検討するために、「グリーンエナジー事業部」を創設し、そこから出された新たな構想がGEIGreen Energy Initiative)構想」というもの。

この構想によって、FESCOにおける第二の事業の柱を創りたい。そして、総合エネルギーサービス企業への第一歩を踏み出したいと願ったのであった。その時代背景には、国がRPS法というグリーン電力へのプレミアムを認める法律を制定したことも、背中を押してくれた。

この構想を発表した時、FESCO社内での反応を今でもはっきりと記憶している。特に、既存の省エネESCO事業を担当していた人間は、極めて懐疑的かつ冷やかなものであった。

そこで私は社長として、ベンチャー企業とは何たるかという趣旨の次のようなメッセージを全社に発信し、全社員を鼓舞したのである。

ベンチャースピリットとは何でしょうか?「道無き道を進むこと」「暗闇にも臆せず、手探りでもとにかく前に進むこと」「困難なことや大きな壁にひるまず果敢に乗り越えようと挑戦すること」などなど、いろいろな表現ができますが、一言で言えば「変革への意志」である。私はFESCOが存続する限り、「ベンチャー企業」で在り続けたいと願っているので、理解と協力をして欲しいと。

私は今でもこの時の社長としての決断は、間違っていなかったと信じている。しかし、今だからそこ言えることでもあるが、企業がそれまでの事業領域を拡大する時には、単にベンチャースピリットという威勢の良い掛け声だけでは駄目であり、そこには向かおうとしている新領域におけるビジネスリスクというものをもっと真剣に検討すべきであったと反省している。

顧客の存在するビジネスモデルと、自らが供給者となるビジネスモデルでは、まったく事業のリスク要因が異なっており、それら両方を進めるということが、将来会社にとってどういう意味を持つのかという想像力が欠如していたのかもしれない。

このようなビジネス判断の瞬間というのは、経営者として大いに勉強になった点であり、後進にもぜひとも伝えたいところであるが、なかなか言葉で語るのが難しい暗黙知なのである。

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FESCO十年の歩みを振返って(20)

2007-10-06 12:13:25 | 連載・FESCO十年

FESCO成長の軌跡(5):グリーン(バイオマス)オンサイト事業

創業6年目(2003年度)から7年目(2004年度)にかけて実施した、もう一つのグリーンオンサイト事業の事例を紹介する。

前回紹介したグリーンオンサイトの主機は、天然ガスを燃料として使った燃料電池であった。今回紹介する事例は、燃料自体に特徴がある。

非化石燃料であるバイオマス燃料を使ったグリーンオンサイトである。このバイオマス燃料は、「松から抽出された粗トール油を精留した後の排出油」であり、それをボイラ燃料として活用し蒸気タービンによって発電するというシステム。

つまり、当該工場の製品原料として使った後の排出油は、今までは産業廃棄物として処理していたものを発電燃料として有効活用しようという発想である。

このようなバイオマス燃料で発電した電気は、地球規模のCO2排出削減に寄与するグリーン電力としての価値を持つことが、法律で担保されることになったことも追い風となった(「RPS」)。

まさにゼロエミッション(廃棄物の有効活用)とバイオマス発電によるグリーン電力の確保という一石二鳥の妙策である。

こうした現場に密着した中で新しいアイデアを出し、それをビジネスとして成立させ、実行していく事業体こそ、私が目指していた「総合エネルギーサービス業」なのである。

また、ここでのバイオマスとの出会いが、その後のFESCOの大きな発展の基となった「バイオマス発電事業」への導きともなったのである。

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