本日の日経新聞「経済教室」で立命館大学の佐和隆光先生が、来週の独サミットに向け、「新しい温暖化防止の国際的な枠組み」について、大変有意義かつ示唆的な論文を発表されました。
京都議定書の二大欠陥とも言われてきた「米国の離脱」と「途上国の削減義務がないこと」に関して、ポスト京都では、必ず世界全体が排出削減行動へ参加できるようにすべきである。特に、途上国でも巨大排出国である中国やインドを枠組みに参加させることが、両国の排出削減事業に対する経済的なインセンティブを高めることになるという指摘は、ビジネス戦略上も注目に値する。
なぜなら、国際的な枠組みに入ることで、認可の難しいCDM(クリーン開発メカニズム)から、JI(共同実施)とできることによって、二国間の交渉にゆだねられるからである。つまり、中国やインドなどは、CO2排出権の売り手国として、経済的に外貨を稼ぐ絶好のチャンスであり、一方、わが国は省エネ先進技術と知見を活用して、両国のような排出余地の大きなフィールドで、より大きなビジネス展開が期待できるというもの。
まさに、日本と途上国のWin-Winの関係が成り立つ。環境と経済の両立実現には、欠かせない戦略思考ではないだとうか。