再び原点回帰なり!

未熟なビジネスマンの心のつぶやき

FESCO十年の歩みを振返って(23)

2007-10-28 09:13:54 | 連載・FESCO十年

バイオマス発電事業への進出(3)

FESCO自前のバイオマス発電事業の第一号は、岩国ウッドパワー(山口県岩国市、http://www.fesco.co.jp/iwp/index.htm)である。

このプロジェクトは、前回で述べた東北地方での失敗経験に基づき、敷地の選定には十二分に注意を払った。技術的な面での発電所適地であるかどうかは当然のこととして、やはり、当該地の管轄自治体サイドが発電所の進出を歓迎してくれるのかどうかが最大のポイントである。

その上で、敷地周辺の地域住民の方々からの建設同意を得る必要がある。

岩国の場合、2003年秋口から2004年初頭までの間で、都合5回ほどの住民説明会を開催した。

私もその主要な会合には、必ず出席し、住民の方にも歓迎されるような事業を目指そうと努力した。

しかし、最初の数回は、「バイオマス」という語感から来る得体の知れなさが災いしてか、説明会では「肉骨紛でも燃やすのか?とんでもない!」という否定論・不信論に終始した。

また、今回も駄目かと最初は落ち込んだが、まずは住民の皆さんにわれわれのやろうとしていることを正しく理解していただこうと、プロジェクトメンバー総動員で努力した。

その甲斐もあってか、徐々に、バイオマス発電が環境にやさしく、CO2フリーの電気を作る国策にも適ったものだという認識が進んでいった。

2004年の年始に行った説明会には、岩国市長が多忙な公務の中にもかかわらず出席をいただき、事業の正当性とFESCOの信頼性を直接語っていただけたのは、大変大きな効果があった。要は、自治体として、この事業を認めることで、行政も責任を背負う覚悟であることを示していただいたのである。結果として、その会が最後となり、住民のご理解をいただけたのである。

このことは、プロジェクトメンバーのみならず、FESCO全体としても、大変ありがたいことでもあると同時に、市長をはじめ自治体関係者の方々や地域住民の方々の信頼に応えるべく、重い責任を背負ったことになる。

「本発電事業は、十数年に亘る長いお付き合いを地域の皆様としていく性格のものであり、FESCOとして責任を持って完遂することを誓います!」

2004322日の岩国市とFESCOとの進出協定締結の場で述べた社長としての言葉は、今も忘れることなく心の奥に響いている。

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元気のエネルギーの素

2007-10-25 10:26:59 | チャット

先週と今週に、ベンチャー企業の経営者の方々から、お話を聞く機会がありました。

先週は、私も交えた3名の創業者社長のパネルディスカッションで、コーディネータの方も、同じく創業社長というものでした。

それぞれに大変な苦労をされて、会社を立ち上げられたというユニークなエピソードをお持ちであり、決して苦労しているのは、自分だけでなないのだという安堵感というか、連帯感のようなものを感じました。

これこそが、創業社長をやった者だけが理解できる感覚かもしれません。

一方今週は、11月から客員教授を務めることになった光産業創成大学院大学の学生であり、創業社長3名からのプレゼンを聞かせてもらいました。特に、これらの会社は、まだ創業数年目ばかりであり、まさに「ベンチャーの死の谷」を潜っている真っ最中です。

それでも、前向きにひたむきに、自らの夢と志を信じて、頑張っている姿は、本当に勇気づけられると同時に、熱いエネルギーをもらうことができました。

私も回りの人々に勇気とエネルギーを与えられるような社長にならねばと、あらためて思った次第です。

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FESCO十年の歩みを振返って(22)

2007-10-20 10:48:34 | 連載・FESCO十年

バイオマス発電事業への進出(2)

バイオマスをテーマにしたFESCOとしての新規ビジネスを進めるための、新たな構想が「GEIGreen Energy Initiative)構想」である。

この構想は、端的に言えば、バイオマスを燃料とした発電ビジネスをどういう仕組みで進めるかというモデル集である。

民間工場オンサイトでの共同事業モデル、地方自治体との連携による公共モデル、FESCO自らが事業主体となるモデルなどなど、知恵を絞って考えうるビジネスモデルを構想し、具体的に事業の可能性調査を開始した。

そんな時、最初に某バイオマスコンサルから話が持ち込まれたのが、東北地方での果樹の剪定材を活用するバイオマス発電ビジネスであった。その地方では、剪定材の野焼きが禁止され、処理に困っているので、それらを有効活用した地域共生型の事業となりうると聞き、FESCOが取り組むのに相応しい事業ではないかと直感した。

しかしながら、そのコンサルの段取りで、事業の住民説明会に参加した寒い夜の日のことは、今でも忘れられない思い出となった。

「地域の問題解決と両立した環境に優しいビジネスです」と力説するも、地域住民にとっては、単なる発電所建設であり、迷惑施設の進出には反対という極めて険悪なムードに終始した。

その地域の自治体からも、当日のドタキャンで行政担当者の出席者はゼロであった。

この苦い経験は、私にとってもFESCOにとっても、大変良い教訓となった。

まず地域に受け入れられなければ、どんなにこちらが良いと思っているプロジェクトでも前に進まない。地域住民の理解とその地域の行政の姿勢が最重要であることを実感した。

その後、この東北のプロジェクトは、かなり推進に努力するも、FESCOとしては残念ながら断念することになった。ただし、この貴重な経験が、次なる岩国、白河、日田と続くウッドパワー事業の実現に大きな力となったことだけは間違いない。

「失敗は成功のもと」

そんな古くからの格言を再確認した出来事であった。

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FESCO十年の歩みを振返って(21)

2007-10-13 16:16:40 | 連載・FESCO十年

バイオマス発電事業への進出(1)

2003年の初頭から、徐々にそれまでの省エネESCOから、会社を一層発展させるため、新しい動きを開始した。FESCOの企業理念である「環境と経済の両立する社会づくりへの貢献」を前提として、その理念実現のためには、FESCO「総合エネルギーサービス会社」を目指すという新しい「企業ビジョン」を打ち出した。

このビジョンは、以下の3つの柱から構成している。デマンドサイドESCOサプライサイドESCOトレーディングESCOの3つである。①は、創業来進めてきた省エネESCOであり、これは顧客(需要家)を対象としたビジネスモデルであり、デマンドサイドESCOである。

ここで新しく②のサプライサイドESCOとしたのは、エネルギー供給側に立ったビジネスモデルということであり、端的に言えば、発電事業である。

ただし、単に発電事業と言っても、信用力や資金力に乏しいベンチャー企業に何ができるか。そこで出された発想が、「グリーンエナジー」である。

さっそく、グリーンという付加価値を伴った事業分野で何ができるか検討するために、「グリーンエナジー事業部」を創設し、そこから出された新たな構想がGEIGreen Energy Initiative)構想」というもの。

この構想によって、FESCOにおける第二の事業の柱を創りたい。そして、総合エネルギーサービス企業への第一歩を踏み出したいと願ったのであった。その時代背景には、国がRPS法というグリーン電力へのプレミアムを認める法律を制定したことも、背中を押してくれた。

この構想を発表した時、FESCO社内での反応を今でもはっきりと記憶している。特に、既存の省エネESCO事業を担当していた人間は、極めて懐疑的かつ冷やかなものであった。

そこで私は社長として、ベンチャー企業とは何たるかという趣旨の次のようなメッセージを全社に発信し、全社員を鼓舞したのである。

ベンチャースピリットとは何でしょうか?「道無き道を進むこと」「暗闇にも臆せず、手探りでもとにかく前に進むこと」「困難なことや大きな壁にひるまず果敢に乗り越えようと挑戦すること」などなど、いろいろな表現ができますが、一言で言えば「変革への意志」である。私はFESCOが存続する限り、「ベンチャー企業」で在り続けたいと願っているので、理解と協力をして欲しいと。

私は今でもこの時の社長としての決断は、間違っていなかったと信じている。しかし、今だからそこ言えることでもあるが、企業がそれまでの事業領域を拡大する時には、単にベンチャースピリットという威勢の良い掛け声だけでは駄目であり、そこには向かおうとしている新領域におけるビジネスリスクというものをもっと真剣に検討すべきであったと反省している。

顧客の存在するビジネスモデルと、自らが供給者となるビジネスモデルでは、まったく事業のリスク要因が異なっており、それら両方を進めるということが、将来会社にとってどういう意味を持つのかという想像力が欠如していたのかもしれない。

このようなビジネス判断の瞬間というのは、経営者として大いに勉強になった点であり、後進にもぜひとも伝えたいところであるが、なかなか言葉で語るのが難しい暗黙知なのである。

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光産業創成大学院大学の客員教授になりました!

2007-10-12 12:21:06 | ニュース

静岡県浜松市に「光産業創成大学院大学」という大変ユニークな大学があります。理事長は、かの有名な浜松フォトニクスの会長兼社長の晝馬(ひるま)輝夫さんで、まだ創立して3年という若い大学です(http://www.gpi.ac.jp/)。

この大学の最大の特徴は、大学院博士課程の後期3年のみで、「起業」を前提とした実践的な教育システムを採用している点です。学生は入学後に実際の起業(会社設立)をして、その成果を博士論文につなげて学位を取得することになります。ビジネススクールのような学校は多数あるものの、このような明確な意志と目的を持った大学院は、本学が本邦初でしょう。

また、主要な技術シーズとしては、校名にもあるように、「光技術」です。光技術の領域を中心にニーズとシーズを融合させ新しい産業創成を目指しているという点も、大変ユニークで興味深い大学だと思います。

ふとしたきっかけで本学を知ることなり、私の第一感は「これはおもしろそうだ」と魂を揺すぶらされました。また、その後のひょんなご縁から、今回、「客員教授」という大変名誉な立場を与えていただくことにもなりました。

私がFESCOの起業を通じて経験した10年間を総括するのにも、大いに活用させていただけるのではないかと、今から期待に胸を膨らませております。

正式には、111日からなので、今後、どんな新しい出会いと経験をするのか、逐次、このブログでも紹介していきたいと思っております。

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