普天間問題は、新政権になって10カ月間の迷走の結果、「元に鞘」に戻るというなんとも悲惨な結果となった。もちろん、まだこれで終わりではないが。
それにしても、この10ヶ月間は、一体なんだったのだろうか。
政治的に極めて未熟なリーダー一人の責任だと、第三者的な評論をしても、まったく意味がない。むしろ、この間で最も残念なことは、普天間問題の本質的な議論や主張がまったくなされなかったことだ。
この点には、政治家だけではなく、マスコミにも大いに責任があると共に、それを傍観者として認めているわれわれ一般国民もそれ以上の責任がある。
そもそもなぜ日本に米軍の基地が必要なのか?
もし、沖縄から少なくとも普天間分の米軍基地能力と機能がなくなると、何が問題なのか?
仮に米軍の抑止力が極東地域の平和と安全に必要なのだとしたら、それは沖縄でなければならないのか?
国外移設を主張して、大臣を辞め政権離脱する社民党も結構だが、ではいかなる解決策があるのか?
与党の立場で反対するならば、その代替案と共に、国および地域の安全保障上、問題がないことを説明して欲しい。
そのような本質的な議論がまったく聞こえてこないままに、単にワイドショー的な映像やコメントだけが氾濫している。
このような国民全体がていたらくな状態でいいのか。この怒りと焦りをどこにぶつけたらいいのだろうか。
今の現状と現実は、単に普天間問題のみならず、郵政、地球温暖化、高齢化・少子化問題などなど、すべての国家的な重要案件について、同じように本質的な議論に迫ることのない低レベルにないだろうか。
一体この国はどうなってしまったのか、どうなっていくのか。不安感と焦燥感がつのる毎日である。
この混迷が夏の参議院議員選挙で解決できるとも思えないし、おそらくさらなる混乱と混沌に向かうのではないか。そうならないことを祈りたい。