シェアード契約はいかに市民権を獲得したか?
FESCOの「外的アウトソーシング戦略」は、まさにESCO事業の基本契約スキームである「シェアード・セイビングス」そのものである。
以前、ファイナンスサービスの項でも言及したが、現在では、「ESCO方式で提案して欲しい」と顧客が言う場合、ファイナンス提案と抱き合わせの「シェアード方式」を希望していることと同義語となった。10年の歳月を経て、「シェアード・スキーム」が市民権を得たと言える。
そうした市民権を得る大きなきっかけとなったのが、実は国のESCO事業への支援策(補助事業)であった。
FESCOを創業して3から4年目のミレニアム(2000年)を迎えた頃であったか、国が省エネの普及・促進のためにESCO事業を活用することを本格的に検討しはじめた。
経済産業省資源エネルギー庁では、省エネ法などの規制を強化しつつ、同時に、省エネインセンティブを高めるために、補助金制度を整備し始めた。しかし、補助金というのは、その補助金で購入する機器やシステムを実際に使う事業者が申請し、認められれば補助金を受領できるというのが通常の考え方であった。
ということは、シェアード契約のように、ESCO事業者が顧客に代わって省エネ機器を導入し、資産保有するというスキームには、そもそも補助金事業に馴染まないことになる。
「シェアード・スキームには補助金が使えない」
当時は、このことがESCO事業普及のネックの一要因となっていた。
ところが、国の英断によって、2001年度事業から、顧客とESCO事業者が共同申請すれば、省エネ資産保有がESCO事業者側であった場合でも、ESCO事業者が補助金を受領できるというように制度改正がなされた。あくまで、共同事業ということであるが、これこそまさにESCO事業の本分のはずではないか。
FESCOは、この制度改正をいち早く取り入れることができ、2001年度にはシェアード方式による補助金活用型ESCO事業を一気に5件も成約することができたのである。
また、その場合の省エネ方策は、主に「コージェネレーション」と呼ばれる自家発電システムであった。それらは投資額がかなり大きく、顧客としてもオフバランスできるシェアード型のメリットを十分に活用できつつ、その上事業費の1/3が補助してもらえるという大変魅力的なものになった。
その後、数年間に亘り、FESCOとしては、25件近く補助金活用型のオンサイトコージェネESCO事業を獲得し、業容拡大の大きな契機となったのである。
同時に、他のESCO事業者も、このスキームの恩恵を受け、こうして「シェアード・セイビングス契約」が市民権を得ることとなったのである。