会社の中で社員間の価値観が共有できているかどうかのバロメータは、この種の働く意味への問いに対する社員それぞれの答えから分かるものではないだろうか。
3人のレンガ職人の有名で、かつ私が最も好きな寓話がある。
旅人が町の一画で働いている3人の職人に話しかけました。
「あなたはなにをしているのですか」
すると、1人目の職人は、こう答えました。
「見ればわかるだろう。レンガを積んでるんだよ」
そして、2人目の職人は、
「家族を養うために働いているのだよ」
最後に3人目の職人にも同じ質問をしました。
するとその職人は、キラキラと目を輝かせながら、こう答えたそうです。
「町の人々が祈りを捧げることができる教会を建てているんだよ」と。
物理的にはまったく同じ仕事・作業であっても、その先に何を求めて、何を見つめて働くか。その時の心の構え次第で、働く意味はまったく違ってくるということを簡潔に表現したとても深い話ではないでしょうか。
ここで3人の職人の誰の答えが正しくて、誰が間違っているかという次元の問題ではない。
われわれビジネスパーソンが働く意味をふと立ち止まって考えるとき、とても参考になる話だと思う。
そして、日常業務に疲れた時や、顧客や上司に叱られて落ち込んだ時、仕事が思うように進まずいらついている時などなど、そんな時こそ、自分自身の働く意味を考えてみるとよい。
私はベンチャー企業の創業社長として、価値観を社員全員が共有できる会社を創りたいと常々思っている。
理想的ではあるが、社員全員のそれぞれの働く意味への答えの中に、共通するものがあることが望ましいと思っている。
ただそれは、なにか人為的かつ強制的に一つの答えを求めるのではなく、自然体でそれぞれ自分の言葉の中に、会社が社会や顧客から求められている価値につながっているという証左が含まれている。
それが私の理想の組織であり、実現したい会社そのものなのである。