再び原点回帰なり!

未熟なビジネスマンの心のつぶやき

FESCO十年の歩みを振返って(19)

2007-09-29 09:26:38 | 連載・FESCO十年

FESCO成長の軌跡(4)

オンサイト事業においても、その事業内容が時と共に徐々に進化していった。

最初は、重油を燃料としたディーゼルエンジン・コージェネレーションシステムが中心であったが、CO2削減意識が高まると同時に、ガスエンジンのような天然ガスを燃料としたコージェネにシフトしていった。

さらに、原動機にエンジンやタービンを使うのではなく、燃料電池を用いたオンサイト事業も手がけることとなった。

その最初の事例が、エプソン伊那工場(現、エプソントヨコム)における溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC250KWを2基導入したものがある。この燃料電池の供給は、商社の丸紅経由で調達したものであり、米国のフューエルセルエナジー社(FC社)が製造したものである。

いろいろと初期設定やその後のメンテナンスでは、かなり苦労したが、顧客の寛大なるご理解とご協力も得ながら、なんとか事業として今も継続している。

「グリーンオンサイト」

こう命名した燃料電池を用いたオンサイト事業を一気に拡大しようと努力したが、当該の燃料電池がまだまだ高価であり、安定性に欠ける面も若干あることなどから、なかなか思うように普及しなかった。時期尚早だったのであろう。

それから早4年以上経過しており、そろそろ再チャレンジの時かもしれないと思っている。

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FESCO十年の歩みを振返って(18)

2007-09-24 09:42:17 | 連載・FESCO十年

FESCO成長の軌跡(3)

「苦境を抜け出す答えは必ず現場にある」

その信念の基に出てきた解決策が「コージェネレーションシステム(熱電併給分散型電源)」であった。

このシステムは、「環境と経済を両立」させるエネルギー効率化の「エースで4番バッター」である。ただし、それまでの省エネ方策と比較すると、初期投資額が一桁大きくなる。つまり、大きくても数千万円であったそれまでの省エネ投資額が、一挙に数億円、時には数十億円となった。

こうなると顧客もなかなか導入に踏み切れない。そこで「初期投資ゼロで」というESCOシェアード・セイビングス契約に注目が集まり始めた。これが顧客に初期投資負担をさせることなく、ESCO事業者がコージェネ設備を所有し、電気と熱を工場に供給するという「オンサイト事業(自家発電代行業)」が生まれた背景である。

さらに、このビジネスモデルが急速に拡大したのには、国の理解と支援があった。

当時は、経済産業省資源エネルギー庁がESCO事業の育成を謳い始めた時でもあった。そこで、それまであった省エネ補助金制度をESCO事業、特にシェアードスキームに使えないのかとなった。

従前の補助金制度というのは、省エネ機器やシステムを購入して使う最終の需要家が受領するべきものだとなっていた。

ESCOシェアードの場合、機器やシステムを所有するのは、ESCO事業者となる。また、ESCO事業者もリース会社等から資金提供を受ける場合には、通常この機器等を担保に入れることを要求される。

補助金を得た機器を担保に入れることは、補助金制度上で禁止されており、シェアードスキームでは、補助金が使えないというのが悩みの種であった。

そこで、「ESCO事業としての位置づけが明確であり、ESCO事業者が資産を保有し、担保の用にも供しないのであれば、ESCO事業者に補助金が交付されてもよい」という補助金制度の運用上の見直しがあった。

この読み替えは、ESCO事業者にとっては、大変ありがたいものとなったが、同時に、オンサイト事業のような数億円規模以上という資金をどうやって調達するのかというESCO事業者にとって大きな壁(課題)も見えてきた。

そこでFESCOが考案したのが、「セール&割賦バック方式(担保なし+ノンリコース)」という全く新しいファイナンス概念であった。この方式は、某リース会社の開発責任者との間で、侃々諤々の議論の末に生まれたものである。

顧客与信の活用によって、ESCO事業者の与信力にも因らず、つまりノンリコースにて数十億円を調達する。

このようなアイデアが生まれたことは、ESCO事業がまさに技術だけの業態ではなく、ファイナンスと契約の知恵の勝負でもあるという好例であろう。

私がESCO事業にビジネスマン人生を賭けた理由もこのあたりの事業の持つ深みにあるのである。

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FESCO十年の歩みを振返って(17)

2007-09-15 07:07:26 | 連載・FESCO十年

FESCO成長の軌跡(2)

1997年の創業から4年間は、経常赤字から脱却できなかった。当初の事業計画では、単年度黒字化は、遅くとも4期目であったので、正直言ってショックだった。

「省エネ(顧客指向型)ESCOだけでは、会社は継続できないのではないか」

そんな不安と焦りも感じ始めたころであった。

ただ、今振返って結果として言えることは、「苦境の抜け出す答えは必ず現場にある」という格言の正しさである。

それまで一生懸命に行ってきた工場の省エネ総合診断によると、それも工場の規模が大きければ大きいほど、ある一つのことが分かってきた。

その工場において大幅な省エネやCO2の削減と経済的にバランスできる方策は、木目の細かい「需要側の手法」ではなく、大胆な「供給側の手法」しかないという事実である。

つまり、エネルギー消費量を削減させるという本来の省エネ方策のみにこだわっていると、なかなか顧客の要求に応えられないし、かつビジネスとしても魅力に乏しい。工場を稼動させるためのエネルギーの調達の仕方が適正なのかどうか。そのような工場全体のエネルギーバランスを見るという視点の重要性が分かってきた。

「コージェネレーションシステム」

そのように呼ばれる熱電併給型分散電源によって、工場の敷地内で自家発電を行い、その発電によって派生的に生じる熱を蒸気やお湯に変えて、生産プロセスや工場空調に有効活用する。

これによって、大幅な省エネとCO2削減は可能になり、かつ経済的にも買電と比較してトータルで安価になる。案件によっても差はあるが、少なくとも10%から大きければ30%というような削減率となる。

まさに「環境と経済を両立」させるエネルギー効率化の「エースで4番バッター」ということになる。

この手法をESCO方式、つまりシェアード・セイビングス契約によって、顧客に初期投資負担をさせることなく、ESCO事業者がコージェネ設備を所有し、電気と熱を工場に供給する。

この方式が「供給側ESCO」と位置づける顧客事業所における「自家発電代行事業」または「オンサイト事業」と呼ばれるビジネスモデルである。

創業4年目頃から、この種の顧客ニーズに対応すべく、省エネESCO事業の営業体制を徐々に転換させていった。その効果が収益面に出てきたのが、5期目以降であり、創業5年目にしてやっと単年度黒字化に成功したのである。

実は、このビジネスモデルが急速に拡大したのには、もう一つ大きな理由があったが、その点については、次回に詳述したい。


FESCO十年の歩みを振返って(16)

2007-09-09 09:55:53 | 連載・FESCO十年

FESCO成長の軌跡(1)

1997年の創業から10年。FESCO成長の軌跡を追ってみたい。

10年経過した現在のFESCOは、「3つのESCO」の融合体となっている。

第一を「顧客指向型ESCO」と呼び、所謂、省エネ支援サービス型のESCO事業である。第二が「環境再生型ESCO」で、バイオマス発電を中心としたグリーンエナジー事業。第三が「市場取引型ESCO」で、電力小売事業である。

2007年6月期の決算は、まさにこの3つのESCO事業の全貌が現れ、売上高も100億円を超えるまでになった。

ここに至るまでの歴史を振返ってみると、創業から4年目までは、第一のESCOである省エネ支援サービス事業を行ってきた。対象顧客としては、大手工場における省エネ診断や省エネ方策の導入工事、また自治体施設における省エネ改修事業などが中心であった。ここでの事業は、あくまで顧客のエネルギー消費を減らす方策の提案に終始していた。

このような事業は「需要側ESCO」と位置づけることができ、省エネ指南会社としてのある意味基礎体力づくりを行ってきたことになる。

売上も一年目の8千万円から、二年目の2億7千万円、三年目の4億2千万円、四年目の8億円と拡大してきた。

しかしながら、売上は順調に伸びてきたものの、利益的には省エネ診断や小型の改修工事だけでは、なかなか収支が合わず、事業の黒字化が見えない苦しい状況でもあった。

「なんとか現状を打開する妙案はないのか?」

そんな苦悩から生まれたのが、「供給側ESCO」と位置づける顧客事業所における「自家発電代行事業」または「オンサイト事業」であった。


FESCO十年の歩みを振返って(15)

2007-09-01 09:30:13 | 連載・FESCO十年

FESCO成長戦略の基本コンセプト(2)

私は、企業の成長には、その企業のファンをいかに増やせるかにかかっていると思っている。そのような本当の「FESCOファン」を求めるためには、以下の二点の基本姿勢が重要だと考える。

第一には、自分自身も含めたFESCO側の問題。つまり、ESCO事業に取組む情熱と信念は本物なのか。常に厳しく自問自答を続ける必要がある。FESCOと共に命を賭ける覚悟があるかどうか。この覚悟がなければ、他人にファンになってくれなどと軽々しく言うべきではない。

第二は、FESCOファンになって欲しいのは、企業という集団ではなく、あくまで「個」としての人であるという姿勢である。バックの組織や権力を頼むのではなく、個としての相手と裸の自分と対峙すべきであるというのが、私のビジネス展開の基本的な発想である。

相手がどんな優良大企業でも、所詮は一人一人のビジネスパーソンから成り立っている。一対一の真剣勝負からしか、本当の信頼関係は生み出せない。これも、私の拙いビジネス経験上で得た鉄則である。

「一緒に世の中の役に立つビジネスをやりましょう!」

私の組織を成長させる基本戦略は、この呼び掛けに応えていただける同志の方々と、どれほど多く出会えるか。私自身のビジネスマンとしての「覚悟」人間としての「器」が、真に問われるところでもある。

「社長の器以上に企業は成長しない!」

この言葉は、特に今の私には重い響きとして、胸に染み入ってくる。