一度、決めたことを納得いく理由もなく覆されることは、誰しも実に腹立たしいものである。
今回の前政権の補正予算に対する民主党の対応は、まさに「はしごはずし」の極みである。
景気対策として出された補正予算に対して、民間企業としては、その要請に応えるべく、いろいろと知恵と汗をかき、案件獲得に努力してきた。やってその事業への申請をして、事業執行を期待していたら、今回の政権交代である。
補正予算から無駄を発掘して、その執行を停止する。
その基本思想はよしとしよう。ただし、その宣言によって、ほとんどの無駄ではなく、有効な事業までがすべてストップしていることを新政権はどう考えているのか。
10%の無駄をカットするために、残りの90%の有効な事業に遅延を余儀なくする。これが政権交代なのか?一生懸命、やってきた民間企業の努力は、一体どう評価されているのか?
何十年と続いたダム事業を止めるのと、短期的な補正予算の執行を止めるのとは、まったく次元が違うのではないか。
前政権がいったん決めた補正予算などは、基本的には滞りなく執行すべきではないか。新政権がその真価を発揮すべきは、今後の本予算であるべきである。
こんな新政権の対応では、景気もますます落ち込むのではないかと心配になる。
今後のこともあり、ぜひとも主張しておきたいのは、政権交代時にあっては、少なくとも前政権の予算措置に対しては、ある程度の節度を持って守られるという法規制が必要なのではないか。
そうしないと、国を信じることができなくなり、ひいては日本国の産業界において、大きなマイナス要因となると思う。
民主党よ!産業があっての国力であり、産業政策を誤ると政権維持は難しいと思う。この政権には、新産業を育成できるだけの知見はないのではないかと、憤りさえ覚える今日この頃である。