日本が2020年までに温室効果ガスを何%削減するかを検討している中期目標検討委員会(座長:福井前日銀総裁)で、削減目標毎に経済に影響を与えるであろう試算結果が明らかにされた。
この試算は、政府系の研究機関がおこなったそうであるが、GDPを押し下げる効果が「最大で現時点から2020年までの累計で6%、年平均0.5%」ということのようである。さらにご丁寧にも、世帯当たりの可処分所得の減少まで示されていた。
25%の削減目標だと、22万から77万円の減収だそうである。
そして上記の検討委員会では、この試算結果を基にして、日本の中期目標を決めると報じられている。
そもそもこの政府系研究機関の試算の前提は何かと思い、報道資料を詳細に見ると、「現在の産業構造を前提とした」とあった。
これは一体どういうことなのか?ある種の怒りと失望を感じるのは、私だけでしょうか?
地球温暖化対策としてCO2等を削減する努力をしていくと、経済成長を圧迫する。つまり、環境と経済は両立しないと宣言しているのである。その前提は、現在の産業構造のままだという。
こうした試算し公表する意図はなにか?うがった見方をすれば、「だから削減目標はなるべく低くすべきでしょう」と国民を納得させるものでしょうか?
それとも、だからこそ産業構造を大胆に変更して、高い削減目標を掲げつつ、経済を成長させる必要があると主張したいのでしょうか?
後者であることを切に願うものの、報道だけからの印象では、どうも前者のようである。私もこの記事を最初に読んだ時、決して前向きな気分にはなれず、ある種の怒りすら感じたくらいです。
最近は政治家や官僚などの中にも、「環境と経済の両立」を謳う人が出てきつつあり、ある種の同志としての親近感を持っていた者として、こうした人たちは、このようなプロセスをどう感じているのかお聞きしたいものである。
今まさに「環境と経済の両立」をするためには、今後どうしていくべきなのか?
グリーンニューディール政策とは、そもそもそのためのビジョンではないのか。
この国には、今こそこの分野での真のリーダーシップが必要だと痛感している次第です。このままでは、本当に世界の大きな潮流から取り残されてしまうでしょう。そんな危機感と失望感にあふれた発表でした。
小さな自分に何ができるか?その無力感にだけは、勝たなければと思う。
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