FESCOの資本政策は成功したか?(3)
第4回と5回目の増資は、第5期目の業績において単年度黒字化を達成できたこともあり、比較的円滑に進めることができた。前者は約7億円弱、後者は最終的に16億円という巨額の資本を集めることができた。
特に、第5回目は上場を1年後に目指すという明確なメッセージによっておこなった増資であったので、日本のベンチャーキャピタル市場の特徴をよく表わした状況を実体験できた。
つまり、第5回目は、ほとんどがベンチャーキャピタル(VC)の引受であり、ゆきなだれ式にVCからの投資のオファーを受けた。当初は、8億円ほどを予定していたが、結果として2倍の16億円になった。
VCの在り方が、本当にこれでいいのかと、単純な疑念も心には浮かんだが、まだ先の見えない第3回目増資が30万円/株であり、先のかなり見えた第4回目が36万円/株、第5回目が50万円/株という設定から考えると、VCが投資リスクとの兼ね合いからアーリー・ステージ投資よりレイター投資に集中するのも、ある種やむを得ないのかもしれないとも思う。
これらの増資資金は、バイオマス発電所や電力小売用の発電所建設へ充当することを目論んだものであり、発電ビジネスの宿命でもある大きな資金重要が前倒し的に発生し始めたころでもあった。
こうした明確な資金需要に対して、上場を前提としたVC資金で調達したことが本当に良かったのかどうか、議論の分かれるところであろう。いずれにしても、VCは上場後1年以内には株を手放すことが前提であり、発電事業のような比較的長いスパンの投資回収を目指す事業モデルとは、そもそもマッチしないのである。
これも結果論ではあるが、「事業の性格」と金に色はないというものの「資金の性格」とを十分に吟味した資本政策が重要であるということを実感することとなった。
上場までのFESCOの資本政策は成功したのかという問いについては、その各時点の局面ではやむを得ない選択をしてきたと思うものの、同時にさまざまな反省点と課題を残したものであった。
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