先日の伊豆旅行の目的の一つは見ごろになっていた桜の花を見ることでした。
今は、賢パパ地方でも珍しくなくなったこの桜ですが
伊豆半島に足を踏み入れると至る所で咲いていました。
町の外れの広場のような所にはこんな木が一本だけあって
これが「河津桜」の原木とのことでした。
元々はこの町の住人である飯田さんと言う方が1955年頃に河津川沿いでこのさくらの苗を偶然見つけて庭先に植えたのが河津桜原木だそうで初めて花を咲かせたのが約10年後の昭和41年1月だったとのことでした。
当初は気が付きませんでしたが、その後の調査で新種と判明し河津町に原木があることから1974年に「カワヅザクラ(河津桜)」と命名されて翌年には河津町の木に指定されました。
当初は気が付きませんでしたが、その後の調査で新種と判明し河津町に原木があることから1974年に「カワヅザクラ(河津桜)」と命名されて翌年には河津町の木に指定されました。
河津桜はオオシマザクラとカンヒザクラの自然交配種と推定されています。
この片方の親となる「カンヒザクラ」ですが漢字で書くと「寒緋桜」です。
昔は「緋寒桜」と呼ばれていた時代がありましたが「彼岸桜」と混同しやすいということで今は「寒緋桜」に統一されたようですね。
どんな花なんだろうと疑問を持たれたあなた・・・テレビのニュースなんかで沖縄で桜が開花したという映像をご覧になったことはありませんか?
そうです、我々になじみの深い「ソメイヨシノ」よりもかなり濃いピンクの色をしたこの花です。
沖縄で「桜」と言えばこの花のことで、こちらで一番ポピュラーな花となっている「ソメイヨシノ」はありません。
いや、植えられてはいるのかも知れませんが・・・花が咲くのを見ることはありません。
その理由は沖縄は冬でも暖かいから・・・。
ソメイヨシノの開花のメカニズムとして・・・花の時期が終わった後で夏までぐらいに翌年の花芽を形成し終えたら秋から冬の間は「休眠」と言って活動を休止します。
それが、再び活動を始めるきっかけとなるのが「冬場の低温」で・・・ある温度以下の期間が何日かあって必要な条件を満たすと花芽が「休眠」から覚めて活動を再開。
沖縄のように暖かい所ではその条件を満たすことが出来ないため「休眠」から覚めることが出来ないというわけであります。
賢パパがこのことを初めて知ったのは今からもう30年以上も昔のことで・・・当時は植物に関わる仕事をしていました。
その時に「顧問」という形で指導をしていただいた植物学者の先生がいらっしゃいました。
戦時中にサイパンに赴任されていたことがあるその先生はその当時も現地の方たちと交流を持っていて何年かに一度はサイパンの地を訪れていた。
賢パパも一度だけお供をさせていただいたことがありましたが・・・人格者だった先生はどの訪問地でも現地の方から大歓迎を受けた。
そんな先生がライフワークとして取り組んでいたのが「ソメイヨシノに近い花の桜をサイパンで咲かせる」ことでした。
戦争の犠牲となって遺骨が帰国できずにそのままサイパンの地に眠っている旧日本兵たちに「もう一度日本の桜を見せてあげたい」という先生らしいお気持ちだったのです。
それで、長年にわたって「休眠しなくてソメイヨシノのような色合いの花を咲かせる桜」を作り出そうと研究を続けておられた。
その夢はかないませんでしたが優しいお気持ちはサイパンやその近くの島々に眠る英霊たちに届いたと思います。
「ソメイヨシノ」と言えばもうひとつ気になることがあった。
ここに来て急速にその勢いを増している「温暖化」のことです。
前に述べたようにソメイヨシノが花を咲かせるためには一定期間の低温期を経ることが必要条件となります。
このまま温暖化が進んで行って東京でも今の那覇ぐらいの気候になってしまったらそれが出来なくなってしまう。
遠い将来には上野公園でお花見が出来なくなってしまうかも知れませんよ。
そうならないためにも「温暖化」対策として一人一人が出来ることをやって行くしかありませんね。