伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

田舎暮らしの日々とガーデニング 時々ニャンコと

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S君のこと・・・・

2012-09-06 19:00:18 | 教え子・学校
 昨日札幌で

 中学1年の男子生徒が

 自殺したという痛ましい事件が

 あった・・・・。



 中学生の自殺・・・・と聞くたびに

 私の中でずーっと重く圧し掛かっている

 事件を思い出す・・・・。


 書くべきか書かざるべきか迷ったが

 思いきって書くことにした・・・・。



 数えてみるともう30年近くなる。
 札幌のS中学校での事件である。

 下の娘がまだ乳児の頃
 私は自転車に娘を乗せ、保育園と
 学校の往復で大忙しの日々だった。

 私は3年生の担任をしていた・・・その頃
 S君が1年生に入学して来たのである。

 生徒指導の研修会の時
 1年生の生徒指導係りからS君のことが
 説明された・・・・。

 小学校まで田舎で祖母のもとで育てられたが
 中学から父に引きとられたとのこと・・・・。
 家庭の愛情が薄い子なので、他学年の先生達も

 声かけをよろしく・・・・と言うことだった。



 数日後保育園で娘を乗せて帰る途中、新聞配達中
 の彼にバッタリ・・・・・

 「あら、S君頑張っているね・・・気をつけてね・・・」
 そんな私を横目で見て

 まだ小学生ほどの背丈の彼は生意気そうな顔を
 して「フン・・・・」

 と横を向いてしまった・・・。

 これは手ごわい・・・迂闊に声をかけられない。

 その時から私は彼を遠くから見つめているばかりで
 声をかけることも無かった・・・。

 学年も違うので学校で会うことも無かった。




 S君3年生の修学旅行のレクレーシヨンでは
 学級の出し物で彼が主役を演じ喝采をあびた・・・

 との報告があり私は安心していた。


 その報告を聞いた2、3日後

 娘を自転車に乗せ帰宅・・・・・・
 





 家の近くで

 「せんせいー」という声・・・顔も体も中学生
 並みに成長したS君だった。

 「あーらS君こんな遠くまで新聞配達しているのね
 ・・・・・修学旅行楽しかった?・・・・」

 「はい、楽しかったです・・・・」

 口数は少なかったが、そこには心身ともに立派に
 成長した彼の姿があった・・・。

 目も昔のように挑みかかるような目ではなく
 穏やかで安定していた・・・・・・。





 彼に声をかけられたことで私は
 嬉しくて嬉しくて・・・・早速翌日担任に報告
 したものである・・・・・・。

 ああ・・・それなのに




 その数日後

 彼はマンションの屋上から

 飛び降り自殺したのである・・・・。

 彼に何があったのか・・・・・

 2年半で大きく変わった彼の心の中に

 何が起こっていたのか・・・・。

 あの時娘の頭を優しくなでてくれた

 彼の優しい眼差しが忘れられない

 そして

 何故

 あの時もっともっと話しかけてあげなかったのか・・・

 という思いで一杯である・・・・。

 続く・・・
コメント (1)
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