伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

田舎暮らしの日々とガーデニング 時々ニャンコと

小説を発信中

  
  
  
  

  

ジャコシカ138

2020-04-12 14:48:31 | ジャコシカ・・・小説

 

 「高志さんも一緒に行かない。同行してくれると何かと安心かな」

 

 姉妹が賑やかに現れた時、あやが高志に言った。

 

 「安心って、変なのとでも出くわす心配でもあるのかい」

 

「ええ、時々うさんくさいのに会ったりするらしいから」

 

「他にも山菜採りに入っているのがいるのかな」

 

「らしいの。ただ向こうの方がどちらかと言うと占有権があると思うけれど」

 

高志の眼に戸惑いの色が浮かんだ。

 

「そうよ、高志さんは背が高いから遠くまで見透しが効くし、それに向かい合って背比べなんか

 

始まったら、負けないと思うし」

 

 千恵が斜め下から高志を見上げて、真剣な声で言った。

 

 「でしょう、頼りになるわ」

 

 あやは余り頼りにしている風もなく言う。

 

 「絶対だね。それに仮にお食事にされるとしたら、高志さんなら時間かかると思うから、その間

 

に私達逃げられるし」

 

 千恵は相変わらず真面目な顔だ。

 

 さすがに高志は気付いて、二人を交互に睨んだ。

 

 「悪いわよ。土地の人でないから知らないと思ってからかうんだから。大丈夫この辺りは今頃は

 

出ないから」

 

 清子はおかしさを堪えて言った。

 

 「これであやさんや千恵さんがどんなに薄情な人か良く判ったよ。人を羆(ひぐま)よけに使おうなんて

 

かなりなものだよ」

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする