退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界

2015-02-01 08:35:31 | 韓で遊ぶ


花を植える郵便配達員

小さな地方都市に中年の郵便配達員がいました。
彼はちょうど二十歳の時から往復50里の道を毎日行ったり来たりして、しょっぱかったり、苦かったり、甘かったり、辛かったりする手紙を配達して来ました。
そうやって20年の歳月が流れ、本当に多くのものが変わりましたが、郵便局から村に至る道には、昔も今も木一本、草一株なく砂と埃だけが白っぽくぼやけて立ち起こっているのでした。
「一体いつまでこの荒れた道を行ったり来たりしなければならないのだろうか。」
こんな埃まみれの道を自転車で行ったり来たりしている間に人生がそのまま終わってしまうかも知れないという思いで、彼はいつも胸苦しく感じていました。
そんなある日、彼が配達を終えて憂いに沈んで帰ってくる途中、花屋の前を通り過ぎました。
「そうだ、これだ。」
彼は膝をぽんと叩いて花屋に入って行き、野花の種を一握り買いました。
そして次の日から、その種を持って行き、その道に蒔きました。
1日、2日、一ヶ月、二ヶ月、、花の種を蒔くことを続けました。
いくらか経って、彼が20年間行ったり来たりした荒れた道に黄色や赤い花が先を競うように咲き出しました。
夏には夏の花が、秋には秋の花が、、休みなく咲きました。
花の種と花の香りは、村の人々に彼が生涯の中で配達したどの手紙よりもうれしい贈り物であり、砂と埃に代わってに花びらが舞う道で、口笛を吹きながらペダルを踏む彼は、もはや悲しい郵便配達員でも不幸な郵便配達員でもなかったのでした。
コメント
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