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退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界

2015-02-09 06:45:59 | 韓で遊ぶ


ほうせん花の鉢

日の光が柔らかくなった春の日でした。
花屋に一人の少女が来ました。道端に出して置いてある花の鉢の前で、しばらくしゃがみこんでいた少女は、花の鉢を一つ指差してたずねました。
「おじさん、この花はいくらですか。」
「パンジーのことかい。」
「いいえ、その後ろにある小さいのです。」
少女が指差したものは、小さくてみすぼらしく、茎が曲がって花も咲いていないほうせん花の鉢でした。
「それは売り物じゃないんだ。どうせ枯れたら捨てようと思っていたから、持って行くかい?」
「本当?わああ、、、」
少女は、何回かありがとうと挨拶をした後、その見栄えの悪い花の鉢を受け取って喜んで帰って行きました。
それから3年たったある日、花屋に小さな小包が配達されました。
「小包です。ここにおいて行きます。」
配達員が置いていったものは、小さな箱と手紙が入った小包でした。
「覚えていないかもしれませんが、いつか私にほうせん花の鉢をくれたでしょ。その日はお母さんが病気で入院した日でした。」
きちんきちんと書かれた手紙の内容は次のようなものでした。
病気の母のために何かプレゼントを買いたかったけれど、お金がなかった少女は、そのほうせん花の鉢をお母さんの病室の日の良く当たる窓際において、毎日真心を込めて水をあげました。
そうすると、みすぼらしい鉢からとうとう花が咲き、花を眺めていた母の頬にも、次第にほうせん花の花のような生気が戻ってきました。
少女はその種を取って病院の前の庭に蒔きました。
花が満開になった夏のある日、お母さんはとうとうベッドから起き上がり退院することになったのです。
少女はお母さんが治ったのは、ほうせん花の鉢のおかげだと信じていました。
少女が送った箱の中には真っ黒で丸々としたほうせん花の種が一杯入っていました。
世の中全部をほうせん花の花で染めても余るくらいにです。
コメント
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