退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界

2015-02-25 06:09:42 | 韓で遊ぶ


母の教え

彼は、限りなくほほえましくて素直な子供たちが好きでした。
彼が田舎の小さな学校の先生として赴任して1年が過ぎたある日のことでした。ソウルに住んでいる母親が食べるものや服などをたくさん持って息子に会いに来ました。
「母さん、私が少し遅れてしまいました。大変だったでしょう。」
息子は授業が終わった後、母親を迎えに来ました。母親はいつの間にか先生らしくなった息子にとても満足でした。久しぶりに母の寝息を子守唄にして穏やかに寝た次の日の朝、彼は遅刻しないように急いで家を出ました。
「行ってらっしゃい。私の心配はいらないから、ちゃんと教えてきなさい。」
母親は満足げな目で息子に手を振りました。
小さなアパートから学校までは5里、そんなに長い距離ではないのですが、途中に小川があって渡って行かなければなりませんでした。ですが、川を渡る飛び石の一つが不安定で小川に落ちてしまいました。
彼は服を取り替えようとアパートに戻りました。全身水浸しで水をぽたぽた落としている息子を見て、母親は飛び出して来ました。
「おや、一体どうしたの。」
「大したことではありません。飛び石が不安定で渡りそこなったのです。」
母親を安心させ服を着替えようとしたその時、母の厳しい声が聞こえました。
「それで、その石をちゃんと直してきたのかい。」
母の問いに彼はどうしていいかわからず顔を赤くしました。
「そんなことでどうして先生だと言うことができるのだ。早く行って石をちゃんと置いてきてから服を着替えなさい。」
仕方なく彼は小川に走って行って、ぐらぐらしている飛び石をぐらつかないように置きました。
月日が流れ、初めて教壇にたった時の気持ちを忘れそうな時、彼は母のその手厳しい叱責を思い浮かべました。
「石をちゃんと直してきたのかい。」
コメント
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