どこまでも続く熱帯雨林の道

2013-06-02 13:16:30 | 鳥(Birds)


ミナミカンムリワシ(Spilornis cheela pallidus) Crested Serpent-eagle


ラハダトゥからダナンへの道。運転手のお兄さんは特にガイドではないのだが、聞けば鳥好きだそうで話が合った。送迎の最中にもよく鳥を探すらしい。
ボルネオゾウに遭遇した後は車内がより賑やかになり、車から見える鳥を私と運転手のお兄さんが次々に言い当てた。車の前を横切る数羽のコゲチャキンパラ、路肩で遊ぶシキチョウ、低木の梢で鳴くオオバンケン。

10時をまわったあたりから猛禽の出現も増えてきた。
車の上を通過して左手に飛び去ったチャイロカッコウハヤブサ、小高い丘の頂上に数羽飛んでいたカザノワシ、そして路肩の木にとまっていたのはミナミカンムリワシだった。
現在の日本の分類では八重山のカンムリワシS. c. perplexus)とこのミナミカンムリワシは別亜種の関係だが、別種扱いする考えもある。日本のカンムリワシよりミナミカンムリワシの方がより暗色味が強い。




アジアヘビウ(Anhinga melanogaster) Oriental Darter


車が池を通過した時、池に横たわる倒木の上に何かいたのが見えた。
「ちょっと待って、少しバックして!」と私。ソロソロとバックする車からやがて全身が見えたのはアジアヘビウだった。




ルリノドハチクイ(Merops viridis viridis) Blue-throated Bee-eater


やがて車はダナンバレーのレインフォレストロッジへと着いた。ラハダトゥからは3時間かかったことになる。私が車から降りると、なにやら丸々と太ったヒルが私の座っていた座席を歩いているではないか。
もしや...と自分のズボンをまくってみると、靴下がほとんど染まるほどの大流血。ヒルの出すヒルジンは血液の凝固を阻害するのだと中学理科で習った記憶がある。
「あちゃー。さてはゾウを撮るために下車した時にとりついたな。」しかし流血量に対して痛みは全く感じられなかったので、不思議と精神的ダメージはあまり無かった。そんなことより鳥が見たい。
私は自分の部屋に荷物を投げ出し、すぐさま外へ飛び出した。
このロッジは熱帯雨林のまさにど真ん中にあり、まさにそこら中がフィールドなのだ。

到着直後、宿の説明を受けている最中にもチラチラと横目で見ていたのはこのルリノドハチクイ。
ハチクイ類の華麗でシャープな飛び方は何度見ても良いもの。
電線にとまって辺りを見回し。時折フライングキャッチをしていた。




リュウキュウツバメ(Hirundo tahitica javanica) House Swallow


川原に歩いて行くと、ブッシュの中からトリルがして、覗き込むと衝撃的なほど真っ赤なキゴシタイヨウチョウが鳴いていた。
他にもズアカサイホウチョウやコゲチャギンパラがロッジ周りのブッシュや植え込みの中を動く。




キミミクモカリドリ(Arachnothera chrysogenys) Yellow-eared Spiderhunter


キミミクモカリドリとオオキミミクモカリドリは、図鑑で見ると酷似していて識別が難しいように思えるかもしれないけれど、実際に見ると一目瞭然。
キミミクモカリドリはオオキミミよりも一回り小さくて、アイリングが狭く、頬の黄色いパッチは広がって見える。また、良くみると個体によっては胸にうっすらと縦斑が見える点がポイント。
オーストラリアで見たコキミミミツスイとキミミミツスイみたいな関係だ。




ヒメカッコウ(Cacomantis merulinus threnodes) Plaintive Cuckoo


突然、近くから「ピィ、ピュ、ピュ、フィ、フィッフィフィフィ.....」というあまりにも特徴的なsongが聞こえた。
こいつは声の予習をして来たからすぐにわかる、日本では2012年に非公式な記録が1例あるのみのヒメカッコウだ!
辺りを見回すと、やがてその声の主は見つかった。声の大きさとは対照的に小さな鳥だ。



【Danum Valley, Borneo, Malaysia(ボルネオ,マレーシア)/30th Dec, 2012】