サイチョウ(Buceros rhinoceros borneoensis) Rhinoceros Hornbill
昼頃。止まない雨に少し憂鬱になりながら見晴らしの良いレストランの軒下から川を眺めていると、コウオクイワシやコウハシショウビンが何度か通過するのが見えた。
良く見ると川の上を腰のべったり白いチビハリオアマツバメも数羽、飛び回っている。
雨だからといって活動しないのはもったいないと思い始めた私は、カメラと自分にレインコートを着せて外へと繰り出した。
ロッジを出て歩き始めて間もなくのこと。バサバサと音がして見上げると、5-6羽のムジサイチョウの群れがすぐ近くの木の樹冠から飛び立った。ムジサイチョウは他のサイチョウと違い3羽以上の小群になることが多い。
次によく茂ったブッシュから聞こえてきたのは「チチチチチ!!」とけたたましい声。これはカンムリカケスの声だ。しばらく2羽で鳴き交わした後、ブッシュから出てきたかと思うと私の上空を飛び去って行った。頭にアイスのスプーンを突っ立てたようなとんでもない形態だ。
小雨がいよいよ本降りになろうかという頃には分厚い雨雲が押し寄せて、まだ昼間だというのに辺りはにわかに夕方かと思うほどに薄暗くなってしまった。
そんな時、「グゥォッ.....グゥォッ!」と良く通る太い鳴き声が辺りに響き渡った。
段々近付いてくるその声に、「来る、来る、来る!」とはやし立てる私。
そして間もなく、大きな嘴に立派な角を持つ、2羽のサイチョウが道沿いの木の上に姿を現した!
実はライノセラスはサイチョウ類の中でも一番見たかった種類で、私が今回ダナンのような深い森に来たのはこの鳥を見るためでもあった。
【Danum Valley, Borneo, Malaysia(ボルネオ,マレーシア)/1st Jan, 2013】