コシラヒゲカンムリアマツバメ(Hemiprocne comata comata) Whiskered Treeswift
午後3時をまわり、いよいよジャングルへ繰り出そうとした時。
先ほどからどんよりとした空だったけれど、やはりというか大粒のスコールが降り始めた。
せっかくこれから鳥が活発に動きはじめる時間帯だというのに、これでは多くの鳥達はブッシュに潜って雨をしのぐことを優先させてしまう。先ほどまでちらほら聞こえた鳴き声も、雨が降り出すと同時にピタっと止んだ。
鳥を見る気満々だった私は気を落とし軒下に座り込み、暗い空を見上げながらただ呆けていた。
20分ぐらい降り続いただろうか。ふいに空の一部がぽっかりと明るくなったかと思うと、眩しいほどの一筋の光が暗雲から差し込んだ。
するとどうだろう、私の真上はまだスコールの真っ只中であったため、正面から差した光は無数の雨粒に反射して暗いスコールは一転、光のシャワーへと姿を変えた。
その瞬間、ライトアップされたかのように目の前の木に鳥の影がフワッと浮かび上がったのだ。なんということだろう、その鳥こそ恋焦がれてこの熱帯雨林の奥地まで来た目的の1つであった鳥、コシラヒゲカンムリアマツバメだった!良く見ると頬に赤いパッチがあるため雄である。
気付けば私は雨に濡れることも気にせず軒下から這い出してこの鳥に見蕩れ、立ち尽くしていた。
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【Danum Valley, Borneo, Malaysia(ボルネオ,マレーシア)/30th Dec, 2012】