ズアオヤイロチョウ(Pitta baudii) Blue-headed Pitta
2013年、元日。例年の私ならば実家へ戻り伊豆沼にでも行こうかと考えているところだが、今年はジワジワと暑い原始の森のど真ん中で新年を迎えた。
ここはマレーシア、ボルネオ島の中央部東の熱帯雨林。今朝は、ここ数日には珍しく雨が降っていない。
キビタイヒヨドリの声をBGMに暗い森へと踏み入ると、タチの悪い吸血昆虫ヌカカが腕じゅうにまとわりついてきた。しかし長袖を着込むと暑くて頭がくらくらしてくるため、仕方なくヌカカに献血してやりながら歩いた。
トレイルを歩いてしばらくすると、十数メートル先から美しく、それでいて少し哀しげにも聞こえる特徴的な声がした。もちろん聞いた途端すぐにビビッときた。ズアオヤイロチョウの声だ。
こいつの声なら私でも真似できる。私が口笛で声を返してやること数秒後....「フィユゥ~」とリアクションがあった!
距離を測りながら、足音を立てずにそっと歩く。相手の声が相当近くに感じる場所まで踏み込み、姿勢を低くして待つ。
「フィユゥ~」.....「フィユゥ~」.....
私とこの鳥の会話が何度か続いた後、真っ暗な林内で何か動いたと思った次の瞬間、鮮烈な空色と高級絨毯のような赤色を併せ持つ、ズアオヤイロチョウのオスが姿を現した。
【Danum Valley, Borneo, Malaysia(ボルネオ,マレーシア)/1st Jan, 2013】