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映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

エイジ・オブ・イノセンス 汚れなき情事(1993年)

2024-02-03 | ダニエル・デイ=ルイス(D・D・L)

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv10602/


以下、早稲田松竹のHPよりあらすじのコピペです(青字は筆者加筆)。

=====ここから。
 
 1870年代初頭のある一月の夕べ、ニューヨークの高等音楽院の舞台を見るために社交界の人々が集まっている。弁護士のニューランド(ダニエル・デイ=ルイス)には婚約者のメイ(ウィノナ・ライダー)がおり、率直そうな額、まじめな目、明るく無邪気な口を持ち、これ以上にない結婚相手だった。

 しかし、社交界に突然、夫から逃れてヨーロッパから帰国したという噂のエレン(ミシェル・ファイファー)が現れる。

 幼なじみのエレンの突然の出現に心を揺さぶられ、彼女の率直な態度や考え方に、自分の住む社交界にはない新しさを感じる。メイがいながらもニューランドはエレンに惹かれ、新たな恋の苦悩に身を焦がすことに…。

=====ここまで。


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 私がDDLの信者になった直接のきっかけは、この映画。それまでにも彼の出演作(『眺めのいい部屋』とか)は見ていたが、まあキレイだなとは思ったもののスルー、、、であった。

 本作の何にそんなにグッと来たのか、、、と不思議に感じる方もいるだろうけど、何しろ、苦悩するDDLにビビビ、、、と来てしまった……んだと思われる(記憶が薄れているので)。を8コもつけているのは、DDL映画は無条件で2コ献上するマイルールがあるから(つまり、実質、並みの6コってことね)。

 しかも、本作を初めて見たのは恐らくVHS、つまりレンタルビデオ!だったはず。ブラウン管を通して見るDDLが、当時の私の目には、それはそれはもう、、、神々しいほど美しく官能的に見えたのでありますよ。若かったしね、私も。

 その後、DDLについて色々調べてみて(昔はさ、、、今みたいに何でもググればそこそこ情報が仕入れられるなんて時代じゃなかったんだぜ)、その変人振りもステキ!となり、ファンから、かなり最短速度で信者になったのでありました。

 そんな、私にとっては記念すべき本作を、ようやくスクリーンで見ることが出来ました~!!わーーいパチパチ

 早稲田松竹がマーティン・スコセッシ特集を組んでくれたので、3時間半もある『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』を尻目に、本作をいそいそと見に行ったのでありました。

 スクリーンに映るニューランド・アーチャーは、やっぱしめっちゃ美しかった、、、。『眺めのいい部屋』のセシルの方が大分若いのに(いや、セシルも美しかったんだケド)、なぜか私の美男センサーにはニューランドが引っ掛かるのだよ。なぜかしらん??

 ……というわけで、本作の感想、というか、思うことについては、以前の記事「『キャンディ・キャンディ』に思う」「絶望を生きる男 ~テリィとニューランド~」と題して駄文を書いておりますので、今回は割愛いたしまする。

 今回は、いかに私が本作のDDLを好きか、ってことを書きたかったのでした。失礼いたしました。私の好きなシーンの画像があったのでお借りして貼っちゃいます。

 

 

 こちらの美しいDDLもどうぞ。

 

 

 

まだ鼻筋真っ直ぐなDDL、、、

 

 

 

 

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マイ・ビューティフル・ランドレット (1985年)

2019-09-28 | ダニエル・デイ=ルイス(D・D・L)

作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv11118/

 

 パキスタン移民オマール(ゴードン・ウォーネック)は、アル中で元敏腕記者だった父とロンドンのボロアパートで貧しい暮らしをしていたが、父の弟である叔父ナセル(サイード・ジャフリー)は事業に成功し、街外れの薄汚いコイン・ランドリーの経営を任される。

 オマールは、偶然夜の街で出会った幼馴染みのパンク青年ジョニー(ダニエル・デイ=ルイス)を誘って、コイン・ランドリー経営に乗り出す。オマールとジョニーは共に過ごすうちに肉体関係を持つようになるが……。

 DDL28歳の時のTV映画。日本での公開は87年。このほど、デジタル・リマスターでリバイバル公開。

 

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 DDLの信者としては、この作品は、大事に大事に抱きしめたくなるような映画であります。公開当時、劇場で見ていない者としては、スクリーンで見る機会が来るとは思ってもいなかったので、リバイバル上映される機会は逃せない! ……というわけで、見に行って参りました。

 

◆30年後も同じ問題で苦しんでいる社会

 制作は85年で、今から30年以上前の映画だけれど、本作で描かれているのは、現在の社会情勢とまんま被るのがビックリであった。移民、貧困、同性愛。30年前からずっと抱えてきた問題だったのだ。ブレクジットで大騒ぎになっているからといって、最近降って湧いた社会問題ではないのだ。

 オマールの置かれた環境も複雑だ。父親は今でこそアル中オヤジだが、元新聞記者というだけあって、息子には教養を身に付けさせたいと願っている。しかし、先立つモノがないから、事業で成功している弟ナセルにオマールのアルバイトを頼んで、金銭面で世話にならざるを得ない。そのナセルは、移民でもその辺のイギリス人よりもよっぽど稼いでおり、愛人にはれっきとした白人イギリス女をゲットし、優越感に浸っている。そんな即物的な男には教養なんぞ眼中になく、甥のオマールに不採算なコイン・ランドリーを押し付けて、少しでも稼ごうとする。

 若いオマールが、そんな父と叔父の姿を見ていれば、必然的に現時点で羽振りの良い叔父の生き方に傾倒するのもムリはない。でも、いくら叔父が金持ちとはいえ、イギリスではマイノリティであることに違いはない。父親が教養を望むのも分かる。自分はこの先どうすれば良いのか、、、。

 おまけに、コイン・ランドリーには、オマールと相思相愛の、麗しきパンク青年ジョニーがいるんだもんね。そら悩むわね。

 ジョニーは、チンピラ仲間と一緒にいるところは描かれるが、彼の家族関係の描写はほぼないので分からない。が、彼の家はどうやら寂れたボロアパートのようで、経済的には厳しい状況にあるのは確かだ。また、以前には移民排斥のデモに参加したことがある、ということがセリフで語られる。オマールとは幼馴染みで親しかったのに、そんなデモには参加していたのだ。おまけに、彼の属するチンピラ仲間たちも白人至上主義者みたいな言動だ。

 オマールとジョニーは、一人の人間同士としては愛し合っていたけれど、彼らの属性が絡むと、純粋に愛情だけでは語れない何かを問題として引きずってくるのである。

 こういうことって、実際身近にもあるよなぁ、、、。個人的には何ら問題なく良い関係を築けていても、属性が絡むことで、急に面倒な問題が生じるってこと。人種、宗教、職業、出自、、、etc。人間は社会的動物だから、こういう属性から完全にフリーになるのは難しい。

 オマールは、父や叔父の意向で、従妹のタニアと結婚させられそうになる。といっても、父と叔父の思惑は異なるのだが、いずれにせよ、この結婚話は、タニアがきっぱり拒絶する。自立心の強いタニアは、愛人の存在に苦しみながらも夫に従わざるを得ない実母の姿を見ていて、そんな男尊女卑的社会のシステムに組み込まれることを嫌ったのだ。

 一方のジョニーは、移民でありながら自分よりも裕福な生活をしているオマールやナセルたちを見て、思うところはあるのだろうが、かと言って自分が今の状況から飛躍できるはずもなく、チンピラ仲間たちが、オマールの従兄をボコボコにリンチしているのを始めは傍観している。思い直して止めに入れば、今度は自分が、仲間たちにボコボコにされてしまう。……もうこんなのイヤだ!!! となるのも当然と言えば当然だ。

 結果的に、オマールは、コイン・ランドリーの経営を続けることになりそうなところで本作は終わる。ジョニーは、もうイヤだ!といってオマールの下を去ろうとするが、オマールにすがられ思いとどまる。ラストは、二人がじゃれ合う微笑ましいシーンで終わり、ちょっとホッとなるものの、彼らの今後を思うと複雑だ。

 

◆80年代イギリス

 本作は、サッチャー政権時代の話で、私の大好きな映画『リトル・ダンサー』と同じ。思えば、『リトル・ダンサー』も、格差と同性愛を描いていた。何となく、80年代の空気感は(当たり前だが)両作品共に似ている。音楽は、『リトル・ダンサー』では、実際の80年代のイギリス・ロックが使われていたが、本作の音楽はオリジナルなのか(?)コイン・ランドリーが舞台ということもあってか水をイメージするような音が使われていて、でも80年代ぽさが漂う面白い音楽だった。

 DDLは、本作で初めてパンク青年を演じたようだけど、パンクだろうがチンピラだろうが、DDLはやっぱりどこを切ってもDDLで、美しいし、やっぱり佇まいが違う。こういうのを、“育ち”っていうんでしょーなぁ、、、。今回のリバイバル上映に当たってのキャッチコピーも“美しきはぐれ者”だもんなぁ。やっぱり誰が見ても、“美しい”んだろうな。

 顔にペンキが付いていても、つなぎを着ていても、髪がモヒカンでも、ボコボコにされて血まみれでも、美しいDDL。あんなチンピラ、いたら友達になりたい。

 彼のちょっとした仕草、ふと延ばした指先とか、ふと振り返った眼差しとか、はにかむような笑顔とか、店の洗濯機をふわっと飛び越えるのとか、、、、そういう演技と言えないような演技が、とても繊細で素晴らしい。ああいうのって、もう天性のものなのかも知れぬ。

  『リトル・ダンサー』のビリーは、階級の壁をぶち破って、見事に白鳥へと羽ばたいたが、本作のジョニーは、到底階級の壁を壊せるようには思えない。恐らく、実際にはほとんどの青年がジョニーのように固定化された階級で生きるしかなかったのであり、ビリーはごく一握りの突破者だったのだろう。だからこそ、『リトル・ダンサー』は見終わった後に爽快感があったが、本作ではそれを感じることはできないってことなんだろうね。現実とはそういうものだ、と。

 

◆どーでもよい話(まったくの蛇足)

 本作は、95年にも一度リバイバル上映されているらしいけれど、ゼンゼン知らなかった。今回上映されたのは、恵比寿ガーデンシネマ。単館系にしてはスクリーンもでっかく、客席もゆったりしていて多めで、とっても好きな映画館の一つ。私が見に行ったのは公開翌週だったけど、公開初日プレゼントをまだ配っていて、しかも、私が見た回はガラガラで、200席近くあるのに多分20人も入っていなかったと思われる、、、。ちょっと哀しい。こんなステキな映画なのに。

 先日のゴーモン特集では満席続きだったのに、この差は何だろう、、、。この映画だって、十分レアだし、作品の完成度は高いし、注目度としては同じくらいのはずなのになぁ、、、。

 でもまぁ、信者にとって大切にしたい映画って、あんまりにもメジャーになって無数の人々の手垢にまみれて欲しくない、、、という勝手な思いもあったりして、そういう意味ではあんまり連日大入り満員でない方が良いのか……。

 

 

 

 

 

本作のDVDジャケットのDDLがちょこっとシュワに似ている気がするのは私だけ、、、?

 

 

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ファントム・スレッド(2017年)

2018-06-09 | ダニエル・デイ=ルイス(D・D・L)



 以下、公式HPよりストーリーのコピペです。

=====ここから。

 1950年代、ロンドン。英国ファッションの中心に君臨し、社交界から脚光を浴びる天才的な仕立て屋のレイノルズ。ある日、レイノルズはウェイトレスのアルマと出会い、彼女を新たなミューズに迎え入れる。

 彼はアルマの“完璧な身体”を愛し、彼女をモデルに昼夜問わず取り憑かれたようにドレスを作り続けた。しかし、アルマの気持ちを無視して無神経な態度を繰り返すレイノルズに不満を募らせたアルマは、ある日朝食に微量の毒を混ぜ込む…。

 やがてふたりは、後戻りできない禁断の愛の扉を開き、誰もが想像し得ない境地へと向かう。この愛のかたちは、歪んでいるのか?それとも純愛なのか?

 華やかなオートクチュール(高級仕立服)の裏側で、映画史上もっとも甘美で狂おしい愛の心理戦がはじまる!

=====ここまで。

 DDLの引退作、、、と言われている作品。でもきっと、これは撤回されると見た。だって、これ、DDLが主役じゃないもん。


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 まあ、私はDDLのファンというのは通り越して、とっくの昔から信者なので、彼の出ている映画は基本的にそれだけで無条件に“良い映画”なんです。ましてや、本作は彼の引退宣言付き。有終の美であってほしい。……ほしいからこそ、引退撤回を予想してしまう、、、というか、願望。


◆DDL教信者のつぶやき、、、。

 DDLの出演作は、『ガンジー』『存在の耐えられない軽さ』以外は多分全部見ているのだけど、本作は、一番、DDLが光っていない作品だった、、、。残念。『NINE』も、なんだかなぁ、、、って感じだったけれど。……まあ、ものすごくいけ好かないキャラの上に、見下していた女に、文字通り“骨抜き”にされちまう情けない男の役なんで、仕方がないとはいえ、いけ好かないセシルを演じていた『眺めのいい部屋』では、彼の魅力が存分に発揮されていたのよね、、、。

 やはり、さしものDDLも歳をとったか。60歳だもんなぁ、、、。中盤、毒盛られて寝込んだときのアップなんて、あの美しかったDDLのご尊顔とは思えぬ汚顔(まあ苦しんでいるシーンなんで仕方ないんだけど)になっていて、哀しいやら切ないやら、、、。信者としては、どんな教祖様の御姿も有り難く拝見するべきなんだろうけど、いい加減な信者にとってはなかなか辛いとこ。

 しかも、本作ではDDLは実質的には主役ではないのよね。パンフではもちろんDDLを主役扱いしているけれど、実質的な主役はアルマを演じたヴィッキー・クリープス。まあ、美人の範疇には入ると思うけど、あんまり華がないというか。DDL演ずるレイノルズの仕立てる超一流のドレスを身に纏って麗しく変身するかと思いきや、イマイチ垢抜けないまま。……ううむ、これがDDLの花道を彩る主役なのか。なんか、寂しいぞ。

 おまけに、本作を撮影している最中に、どうしても引退したくなったとか言っているDDL。自分でも何故か分からないがもう俳優やっているのがイヤだ、と思ったらしい、、、。何故か分からないが辞めたくなったんだったら、何故か分からないがまたやりたくなるかも知れないじゃん。しかも本作は、完成後に見る気がしないと言って見ていないらしいけど、アカデミー賞の授賞式にはスキンヘッドで参加していた(やっぱカッコえかった)し、表情もフツーだった、、、ことなどから考えて、彼が心変わりする可能性もゼロではなかろう、と思いたい。これが最後なんて、なんだかなぁ、、、である。

 信者は、教祖様の言っていることがコロコロ変わっても、屁とも思いませんから、安心して引退宣言なぞ撤回していただいて結構です。
 

◆マッチョ男の自業自得。

 ……と、不満をタラタラ書いておきながら、を8コも付けているのは何故か、、、というと、単純に、まあまあ面白かったから(あとは、DDL出演作だから、無条件に2コ献上)。

 大昔に、誰かのエッセーで、「好きな男にはちょっと弱っていて欲しい、と思う女性は多いはずだ」みたいなことが書かれていて、「死にそうな病気とかではなく、ちょっとした病気になっていて、私が独り占めして看病したい」というような内容だったと思う。それを読んだときは、はぁ? って感じで、いまだに私はそんなことを思ったことは一度もないけど、本作は、まさにそういうことを描いているわけよ。

 このアルマの行動に共感する女性は、一体どれくらいいるのかしらねぇ? 私は、共感ってほどでもないけど、本作を見て、何となくアルマの心理も分かる気がするなぁ、と感じた次第。前述の誰かのエッセーを読んだときには分からなかったけど、男がちょっと尋常なキャラじゃない場合、つまり、女の手に余る場合、男を大人しくさせるためには病気にでもなってもらわないと仕方がない、と。そうすれば、自分のコントロール下に置けると。ものすごい自分勝手な発想だけど、男もそれを上回る自分勝手な人間なので、イイ勝負かな、、、と。

 ただ、それを突き詰めて考えると、これって、相手を監禁or軟禁するのとあんまし変わんないじゃ、、、と思うに至り、非常に怖ろしくもなったけれど。

 レイノルズは、私の大嫌いなマッチョ男で、マザコンのエゴイスト。ホント、デザイナーとしての才能がなければ、ただのバカでイヤな男なだけ。しかし、あのルックスと才能のせいで、女は寄ってくるし不自由しないし、今の女に飽きたらさっさと捨てて次に取っ替えれば良いのである。レイノルズにとって女はマネキンでしかないわけだ。彼が心を許す女性は、実姉のシリルだけ。

 アルマも、レイノルズにとってはそれまでの女と同じでしかなかった。が、アルマはそれまでの女とは違っていたのよね。そう、女をバカにして見くびり続けて生きてきたツケが回ってきたわけよ。いい気味だ。

 しかし、このアルマ、同じ女の目から見て、かなりヘンな女なのよ。初デートで、ヤル気満々(下品で失礼)だし、レイノルズがマザコン全開(母親の髪の毛を「いつも身近に感じられるように服に縫い付けているんだ!」とか嬉しそうに話す)にしても笑って聞き流すし(フツー、ここで退散するだろう、と思う)、レイノルズのVIP客に向かって「私、あの人と一緒に暮らしています」などと彼女宣言をしたり、、、ちょっとオツム弱い??的な感じ。おまけに、食事の作法とかもよろしくなくて、まあ、言ってみれば“ガサツな女”なわけ。

 こういう女は、これまでのレイノルズからすれば、最も苦手なタイプなはずなのだけれども、レイノルズにとってアルマが特別な存在になったのには、もちろん理由があった。……それはまあ、見てのお楽しみってことで。そのエピソードで出てくる太った醜いオバサン・バーバラを演じていたのは、『デスパレートな妻たち』で強烈な存在感を出していたハリエット・サンソム・ハリス。このエピで、レイノルズにとって、アルマはこれまでの女とはゼンゼン違う存在になった、、、んだと思う。


◆自己愛の強すぎる2人の命がけの闘い。

 まあ、とにかく、レイノルズもアルマも変人同士で、勝手にやってれば、、、? と最終的には言いたくなる。「この愛のかたちは、歪んでいるのか?それとも純愛なのか?」って、純愛なわけねーだろ、と言いたい。

 この2人の愛は、自己愛であって、互いを思い合う愛じゃない。自己愛の強すぎる2人だから、より強い方が相手を力ずくで屈服させたってこと。レイノルズがもう少し若かったら、こんなアルマの手に落ちることはなかったんじゃないかなぁ、、、という気もする。多分、有無を言わさずあのハウス・オブ・ウッドコックから叩き出しただろうな、と思う。

 そもそも、アルマはレイノルズのことをあまり分かっていないように見える。彼女がレイノルズにこだわるのは、彼が一流のデザイナーで、成功者だから。彼女が普通にあのまま田舎のレストランで働いていたら、一生手の届かない世界の人間だから、、、という風に見えた。もちろん、前述の“ある出来事”があったから、そうとも言い切れない、という反論もあろうかと思うが、しかし、人間、育ってきた環境というのはいかんともしがたいものがあるわけで、生まれも育ちもまるで違いすぎるアルマが、レイノルズのことをデザイナーとしても一人の人間としても、理解できるとは到底思えない。

 レイノルズは、アルマに毒を盛られたと分かって、二度目の毒を口にする。このレイノルズの心理が、分かるような、分からないような。序盤で、アルマに「私はゲームでは負けないわ」と宣戦布告されるシーンがあるんだけど、この二度目の毒を口にするシーンは、その伏線だったということかも。何となく、喜んで口にした、というよりは、そうせざるを得なかった、という描き方だったような。

 アルマはオツムは弱いかも知れないが、最強自己チュー女で、育ちの悪さのせいでサバイバルが身についているせいか、悪知恵だけは長けているのである。こういう女は一番タチが悪い。

 でも、マッチョを画に描いたようなキャラのレイノルズが、そういう低レベルな女にまんまとやられる図、というのは、正直、痛快でもあり、これが面白いと感じた所以でもある。

 そんな曰く付き女アルマを演じたヴィッキー・クリープスは、見た目は地味だけど、演技は確かで、素晴らしい。なんと彼女、後日見た『マルクス・エンゲルス』でもマルクスの妻を演じていて、こちらはとても賢くて魅力的な女性で、別人のようだったのが印象的(ちなみに、『マルクス・エンゲルス』の字幕を担当した寺尾次郎さんの訃報には驚きました、、、哀しい)。










弱ったマッチョ男を飼うより、カワイイ柴犬を飼う方がよっぽど幸せ。




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リンカーン(2012年)

2014-08-11 | ダニエル・デイ=ルイス(D・D・L)

★★★★★★★★☆☆

 本当は劇場に見に行くつもりだったのに、不覚にも行けなかった。ダニエル・デイ=ルイスの作品だというのに、なんてこった、、、。

 で、DVDを気合い入れて見始めて、これまた不覚にも爆睡、、、。修正13条の票集めが緊迫度を増してくる後半になってようやく覚醒したけれども、正直言って、イマイチよく分からず。がーん、、、。

 でも、こんなことで挫折したら、ダニエル・デイ=ルイス信者の名がすたる。そもそも、こんなセリフの洪水みたいな映画を字幕で見たのが失敗だったに違いない、と思い直し、吹替えで再見。・・・おっ、なんと、面白いじゃんか!!

 まあ、見終わってからだから分かるけれども、ヘンに、有名な演説のシーンとかが満載の伝記映画にしてくれなくて良かったです。スピルバーグさん、ありがとう。リンカーンが大統領としてどれだけ立派だったかとかそーゆー伝記本にいっぱい書いてあることは一切省き、実質、戦争が終結するまでの約1か月間のお話に絞って、奴隷解放と戦争終結をいかに同時に実現するか、ここのみにフォーカスしてくれたことで、彼が結構、イヤな奴でもあり、面倒なオッサンでもあり、妻を持て余すタダの男でもあることを浮き彫りにすることに成功しているかと思います。

 票を集めるのにかなり意地汚いことをし、周囲をイラつかせるくどくどしいお喋りをし、時にキレる。うー、少年少女の頃に伝記を読んだ元少年少女たちの持つリンカーンのイメージ、崩れるよねぇ。でもまあ、逆にいえば、彼がこれに懸ける執念の裏返し。閣議で彼が机をぶっ叩いて怒鳴り散らすシーンがありますが、最後、「私は絶大な権力を持つ合衆国大統領だぞ」というあのセリフ、怖ぇー、と思っちゃいました。ともすれば、おめーらの命だって奪えるんだ、とさえ言われているような。これで、閣僚たちは本気にならざるを得なくなります。そらそーでしょ。

 だいたい、内容を云々言えるほど、私はアメリカ史に詳しくないし、本作を見て初めて知ったこともいっぱいあるので、どこまでが史実だかとか、そーゆーことは斟酌しようがないのですよね。でも、あの採決のシーンは手に汗握ります。あと何票?! 民主党議員たちの(というか役者たちの)揃いも揃った悪人面といったら、、、。トミー・リー・ジョーンズ のズラより可笑しいです。

 しかし、、、何度も書くけど、とにかくセリフが多い。しかも、複数の人が同時にいっぱい喋っているから、字幕で見るのはかなりキビシイ。吹替えは、やはり分かりやすい。俳優たちが英語で喋っていることを日本語として分かるようにちゃんと喋ってくれているから。それでも100%じゃないだろうけど、字幕の情報量とは比較になりません。これは、劇場で字幕で見なくて正解だったかもと思います。劇場で見ていたら、恐らく、爆睡してしまったに違いないので・・・。そんなことになったら、ショックが大きすぎる、、、。

 電信員2人とリンカーンが3人で語らうシーンが好きです。何がって、リンカーンのバックに掛かっている地図、あれ、ケンタッキー州の地図ですね。嬉しかったな。私が、人生で初の海外体験は、ほかでもない、あのケンタッキーだったのだ。そう、彼の生まれた地。憎い演出ではないか! 

 そして、そんなリンカーンを、愛するダニエル・デイ=ルイスが演じているのだ!! 私にとって、こんな素晴らしいめぐり合わせってあるだろうか。そんな映画を企画し、彼をリンカーン役に配してくれたスピルバーグさん、くどいけど、本当にありがとーー! 感謝します。
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イングリッシュマンinニューヨーク(1988)

2014-03-04 | ダニエル・デイ=ルイス(D・D・L)

★★☆☆☆☆☆☆☆☆

 う~、記念すべきブログ第1号作品がこれって、どーなんでしょうか。当然、DVD化なんぞされていないので、いささかお高めながらビデオ買いました・・・。なんつったって、ダニエル・デイ=ルイス主演ですから。見られるのに見ないわけにはいかないのです。

 作品の感想なんて、、、ありませんよ、これは。それより、なんというか、見ていて「あ゛ーーー、、、」という気持ちになりました。内容と裏腹に、ダニエル・デイ=ルイスはもの凄い熱演です。素っ裸のシーンもあります(当然モザイクかかってますが)。ひゃー。なんでしょう、コレ。

 もちろん、一応ストーリーはあるし、おそらく、ナンセンスギャグ映画を狙ったんだろうと思うけど、なんだかとっ散らかっているし、そもそもギャグが全く面白くない。つーか、笑えるシーンがまるでない・・・。悲しい。

 どうしてこういう作品に彼は出演することになったんだろうか。この頃、確かにまだ俳優としての足元は固まりつつある途上だったとは思うけれども、既に「眺めのいい部屋」である程度評価を得ていたので、そんな切羽詰ってたわけじゃないでしょうに。まあ、イロイロあるんだろうけど、あそこまで身体張ってやる仕事だったんだろうか。

 いや、だからこそ、彼なのだ、とも思う。どんなに一見くだらない仕事でも、絶対手を抜かない、というか。…知りませんよ、実際の彼がどんなだかなんて。ただ、今まで見てきた彼の出演作から判断して、そう思わざるを得ないのです。、、、しかし、彼の中ではこの作品はどういう風に記憶されているのかな。きっと、彼のことだから、決して「汚点」だなんて思っていない気がしますけれども。

 ・・・というようなことを思い巡らせながら見た次第でした、ハイ。
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