作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv50703/
ご存知、世界的大ヒットミュージカル「レ・ミゼラブル」の映画版。原作は、もちろんユーゴーの同名長編小説。ジャン・バルジャンをヒュー・ジャックマン、ジャベールをラッセル・クロウがそれぞれ演じる。
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先日までNHKで放映していたイギリスのドラマ版がなかなか見応えがあって良かったので、何となく他のレミゼも見てみたくなったというわけで、ミュージカルは苦手だけれど、とりあえずは一番メジャーであろう本作から見てみることに。
◆嗚呼、ミュージカル。
最初から最後までセリフも全部歌っているらしい、とは聞いていたが、本当だった。ヒュー・ジャックマン演ずるジャン・バルジャンが、自分の囚人番号まで“トゥーフォーシックスオーワン~~~♫”とか歌っているのを見ているのは、かなりキツい、、、。後でwikiを見たら、これ、日本版でもあるらしく、しかも、最後が「イチ」で、ものすごくカッコ悪い響きだからだろうが、番号が変えられているんだとか。「にーよんろくごーさん~~♫」って歌ってんだろうなぁ、、、。
ミュージカルが苦手な理由は、やっぱり、こういうところかなぁ。それ、歌う必要あるの??みたいな感じになってしまう。オペラもそうだけど、だからあんまし好きじゃないのよね。オペラは高いしねぇ。
……とはいえ、ミュージカルでも、昨年の午前十時の映画祭で見た『サウンド・オブ・ミュージック』はとても感動したし、『マイ・フェア・レディ』もまあまあ楽しい。『オズの魔法使い』『メリー・ポピンズ』とかも嫌いじゃない。
ミュージカルのキモは何と言っても音楽だろうが、正直なところ、本作には、『サウンド・オブ・ミュージック』に匹敵する“胸に迫る音楽”があるとは思えなかった。まあ、テレビ画面で見るのとスクリーンで見るのじゃ大違いだから、そこを割り引いたとしても、このミュージカルを愛している方々には申し訳ないのだけれど、私の心にはあんまし響かなかった。特に有名な「夢やぶれて」とか「オン・マイ・オウン」とか、良い曲だとは思うのだけど、、、。
……と書いてきて思ったのだが、哀しい歌があんまり好きじゃないのかも。本作の場合、基本、みんな眉間に皺を寄せたような顔で哀しい歌を歌っている場面が多い。「夢やぶれて」なんか聴いてるだけでウツになりそうな歌詞だしね……。実際、それを歌うときのファンテーヌの置かれた状況は悲惨そのものだし。
これは飽くまで私の感覚だけど、絶望しているときとか、哀し過ぎて涙も出ないときとか、歌うエネルギーってないと思うのよね。歌うってものすごいエネルギーを消耗する行動なわけで、、、。だから、怒りの歌は、まだ分かる。怒りもある意味ポジティブな感情だもんね。なんか、絶望とか哀しみを渾身の力を込めて歌われても、その違和感が、私には受け容れ難いのだと思う、、、多分。いやだから、これ、ミュージカルなんだってば、、、ってことはもちろん分かってるんですが。
◆イギリス人はレミゼ好き♪
で、ストーリーは、割と原作に沿っているっぽいし、長編を2時間半にうまく収めていると思う。基が長編小説だから、これくらいの長さは仕方ないでしょう。歌ってるしね。ただまあ、TV版を見た後だから、どうしたって浅い感じは否めないけれど。
それにしても、このミュージカルといい、NHKのドラマといい、制作はイギリス。過去の映像化作品の制作国を見ても、本国フランスに負けず劣らずイギリスが多い。どんだけレミゼが好きなん、イギリス人。
日本人から見ると、なんか不思議。日本が、韓国や中国が原作の、しかもその国の歴史を舞台にしたドラマや実写映画を日本資本で日本人キャストをメインに制作するって、、、(例えば「三国志」とか、、、?)かなりあり得ないことだと思うのだが。共同制作ならアリだろうけど。フランス人には、イギリスが作ったフランスを代表する小説が原作の映画って、どういう風に見えるのかな~、と。
ただ、アニメだったら、いっぱいそういうのはあるもんなぁ。ハイジなんて、ヨーロッパで放映された際、それが日本のアニメだと知らなかった人も多かったとか。「キャンディ・キャンディ」でも似たようなエピソードは聞いたことあるし。キャンディなんて原作者も日本人だしね。
イギリスは、ソ連ものやナチスものも自国資本&制作で映画にしているし、やっぱりその辺は、英語という世界市場に通用する言語を母語にしているお国だからかしらん??プロパガンダ映画でなく、娯楽映画として作っちゃうところは、アメリカもそうだけど、何か凄いなぁ、、、といつも思う。
◆その他もろもろ
俳優さんたちもみんな頑張って歌っていた。ただ、ラッセル・クロウの歌唱力は、どーなの? 彼は上手いのだろうか? 正直、あまり上手いと思えなかったんだが。だいたい、ジャン・バルジャンとジャベールの配役、逆じゃないか?と感じたのは私だけ?? まあ別に目くじらを立てるほど違和感があったわけじゃないんだけど。
アン・ハサウェイは、これでオスカーを獲っているんだね。確かに重要な役どころで、体当たり演技だったと思うが、、、ううむ。死にそうになってベッドに横たわりながら、やっぱりそこでも歌うんかい! と突っ込みを入れてしまった。
愛するヘレナは、マダム・テナルディエを楽しそうに演じていた。サシャ・バロン・コーエンと、なかなか良いコンビだった。
ただ、本作全般に感じたんだけれど、歌っているときの俳優の顔アップが多くて、それが結構ストレスだった。ずーーーっと歌っている俳優の顔だけ見せられるのって、ちょっと困る。もっと引きの映像も入れて欲しいところ。せっかく映像化するんだったら、もう少し工夫の余地があったのでは? マリウスとコゼットの逢瀬のシーンも、交互にアップの画像が切り替わるだけで、2人が門を挟んで気持ちを確かめ合うという肝心の雰囲気ぶち壊しだった。あれじゃぁ、いくら俳優陣が熱演・熱唱したところで、台無しでしょ。
本作は、俳優がライブで歌ったことがウリになっているが、メイキングの映像を見て、それがホントに大変だったことがよく分かる。せっかく、そんな大変なことをクリアして制作したのだから、もう少し、カメラワークは工夫して欲しかったなぁ。
まあ、ミュージカルだからあまり期待はしていなかったけれど、思っていたよりは楽しめたかな。他のレミゼ映画もこれから見ていく予定です。
ラッセル・クロウのジャベールは最後まで違和感バリバリだった。