ご存じ、あの「ドラキュラ」を、あのダリオ・アルジェントが撮った作品。ドラキュラ公を演じるのは、あの、トーマス・クレッチマン。
ある意味、期待にたがわぬ作品。
ヴァンパイアものも4本目となりました。本作は、一昨年だったと思いますが、確かレイトショー限定で公開されていました。かなり見に行きたいとウズウズしていたんだけれど、なにせレイトショー、、、終了時刻が日が変わる直前、ってんで見に行く根性がありませんでした。DVDになってようやく鑑賞できることに!
いや~、正直、参りました。これで、私のヴァンパイアものに対する認識(というほどのものでもないけど)は決定的となりました。はい、それはつまりこーゆーことです。
ヴァンパイア映画≒バカっぽい
お好きな方、ごめんなさい。4本だけで決め付けるな、とお叱りを受けそうですが、、、。そしてこれだけは言っておきたいのですが、バカっぽいからダメとか、唾棄すべきものとか、そういうことではもちろんありません。
でも、もうこれは拭い難いものとなってしまいそうです。1本目『美しき獣』しかり、2本目『吸血鬼』しかり、3本目『ドラキュラ』しかり、そして本作。全てに感じたこととして共通するキーワード、それは「バカっぽい」なのです。
本作は、もちろん、アルジェントがそれをある程度狙って作ったものだと思います。でなきゃ、あんなわざとらしいペンキみたいな血とか、不必要にエグい殺し方とか、女性の無駄脱ぎとか、稚拙すぎるCGとか、グダグダなストーリーとか、あり得ないと思うんで。だから、きっと、彼もバカっぽさを承知でこういう作品にしたのでしょう。
ということは、本作は、もしかしてコメディとして見るべきなのか・・・? という疑問も持ちました。少なくともホラーとは言い難い。だって、怖くないもの。私、グロいの基本的には苦手なんですけど、本作はもう“作り物感満載”なんで、ほとんど抵抗なく見れちゃいました。そう、わざとらしいのですよ、全てが。そして、このわざとらしさも、4作全てに共通するものでした。
ホラーのキャラとして代表的なモノだと、ゾンビでしょうか。ゾンビだって作り物なのに、ドラキュラほどバカっぽさを感じないし、いやそれどころかリアリティさえ感じる。おまけにかなり怖い。同じ“あり得ない”ものなのに、どうしてこうも違うのか。そもそも、映画史上においてはドラキュラなんてゾンビの祖先みたいなもんなわけで。なのに、どうして、、子孫は怖いのに、ご先祖様はバカっぽいのかしらん・・・?
まあ、でも、ポランスキーもアルジェントも、初めから“三の線”狙いだったんだと思うので、この2作品はバカっぽいのは計算されたものなのだと思えば、それは納得です。でも、『美しき獣』のカサヴェテス娘や、コッポラは、恐らくはマジメに作ったという感じがするのです。それもかなりの気合の入れようで。それでも、バカっぽくなるのは、やはり、このドラキュラの持つ性質にあるのかも。
ゾンビはもう、人格なんかなくて、会話もないし、ただ、わ~~っって襲ってくるだけ。ゾンビは十把一絡げで個々の性格付けなんてされないので、まあ、例えが悪いかもだけど、ホオジロザメのジョーズとあんまし変わらない。でも、ヴァンパイアには人格があって、キャラが形成される時点で、どうしてもファンタジー要素が入ってしまって、、、。ホラーとファンタジーは相性悪いんですかねぇ。
化け物でキャラがあると言って思いつくのは、あのフランケンシュタインの化け物ですが、フランケンシュタインも何度か映像化されています(ちゃんと見たのはデ・ニーロのだけですが)が、やっぱりどこかこう、、、ドラキュラほどじゃないけど、滑稽さってあるのですよね。
思えば、ドラキュラも、フランケンシュタインも、古典文学です。やはり、こういう、妄想上の存在は、映像化するとチープになるのを避けられない、ということかも知れません。文字で読んで、読者の想像の中で物語が展開する分には恐怖も感動も味わえるのですが、それを視覚でバッチリ見せられると、、、。邦画でも妖怪ものとか、笑っちゃうのがほとんどですもんね。
そうはいっても、やはり、映画としてのドラキュラの金字塔作品が是非出現してもらいたいものです。怖くなくてもいいから、ゾッとさせられたい、いろんな意味で。
ドラキュラ公を演じたトーマス・クレッチマンは、でも、すごい頑張っていました。ゲイリー・オールドマンより美しいしカッコ良くて、ビジュアルは本作の方がかなり良いかも。ヴァン・ヘルシングもアンソニー・ホプキンスより、本作のルトガー・ハウアーの方が合っている気がします。ちょっとオシム監督に似ている? なかなか素敵です。出番が少なくて、あっさりドラキュラ退治しちゃったのが残念でしたが。
ミナを演じたマルタ・ガスティーニは美しくてなかなか。ルーシーは、アルジェントの娘さんアーシア・アルジェントが演じておられます。ちょっとお父さんに似ているかな・・・。必然性のない全裸シーンあり。
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