映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

2024年に見た映画あれこれ ~良くも悪くも印象に残った映画セレクション~

2025-01-03 | 映画雑感

 昨年初めて挑戦した年間ベスト的な1年のまとめを書いてみました。メンドクサイものの、自身の振り返りには良いのかな、、、と思いまして、今年もチャレンジすることにしました。

 2024年は元日早々、「ファーストカウ」を見ていたときに揺れを感じ、劇場を出てから初めて能登での地震を知ったという年明けでした。個人的には、仕事でウンザリすること続きだったり、それが影響したのか、夏以降に体調がイマイチだったりもしたものの、、、まあ押し並べて平穏に過ごせたと言えましょう。

 というわけで、2024年中に劇場で見た映画(リバイバル上映含む)のうちから、ベストとワーストを1作品ずつにして、あとはイロイロ理由を付けてちょっと良かったな(orイマイチだったな)、、、というのを(備忘録的に)挙げてみることにしました。あくまで個人的な独断と偏見に基づく勝手な選出ですので、深い意味はありません。

 なお、1年間の鑑賞リストは記事末にあります(リンクがあるものは感想アップ済み)。
 

☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


 まずは、新作(2024年に本邦公開されていたもの)の中から。いずれも順不同です。

◆BEST
 人間の境界

◆グッときたde賞
 枯れ葉
 異人たち
 時々、私は考える
 ボレロ 永遠の旋律
 チャイコフスキーの妻

◆面白かったde賞
 RHEINGOLD ラインゴールド
 落下の解剖学
 農民

◆身につまされたde賞
 12日の殺人
 ありふれた教室
 どうすればよかったか?

◆ゾッとしたde賞
 関心領域

◆ぶっ飛んだde賞
 №10
 うんこと死体の復権

◆腹が立ったde賞
 エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命

◆勝手に期待して裏切られたde賞
 ファースト・カウ
 フィリップ
 哀れなるものたち
 越境者たち
 Shirley シャーリイ

◆見に行ったことを後悔したde賞
 チャーリー


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


 旧作も。初めて見たもののうちから一応セレクト、、、。こちらも順不同です。

◆見て良かったde賞
 ゴーストワールド
 男女残酷物語 サソリ決戦
 窓ぎわのトットちゃん

◆イマイチだったde賞
 君たちはどう生きるか
 バービー 
 兄弟はロベルトという名でバカ野郎
 プリンセス・シシー


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


 おまけ。劇場で見ていない(DVD鑑賞)けど、2024年公開の映画としては、

 ◆グッときたde賞ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ
 ◆腹が立ったde賞オッペンハイマー

ですね。「ホールドオーバーズ~」は、早稲田松竹でリバイバルされるのを期待しております。

 


 

◆2024年に劇場で見た映画(タイトル後の*は旧作)

《1月》
 枯れ葉
 ファースト・カウ
 エイジ・オブ・イノセンス
《2月》
 落下の解剖学
《3月》
 ノスタルジア 4K修復版*
 ヴェルグマイスター・ハーモニー*
 FEAST-狂宴-
 12日の殺人
《4月》
 ゴーストワールド
 ゴッドランド/GODLAND
 No.10
 RHEINGOLD ラインゴールド
 異人たち
《5月》
 エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命
 異人たち(2回目)
 人間の境界
 ありふれた教室
 関心領域
 レザボア・ドッグス デジタルリマスター版
《6月》
 ベルリン・天使の詩*
 男女残酷物語 サソリ決戦
 フィリップ
 窓ぎわのトットちゃん
 君たちはどう生きるか
 スモーク
《7月》
 チャーリー
 バービー
 哀れなるものたち
《8月》
 時々、私は考える
 越境者たち
 ある一生
 うんこと死体の復権
 Shirley シャーリイ
 ボレロ 永遠の旋律
 時々、私は考える(2回目)
 美と殺戮のすべて*
《9月》
 エフィ・ブリースト*
 盲獣
 チャイコフスキーの妻(1回目・2回目)
《10月》
 兄弟はロベルトという名でバカ野郎
 リトル・ダンサー デジタルリマスター版
《11月》
 プリンセス・シシー
 リトル・ダンサー デジタルリマスター版(2回目)*
 動物界
 ベルナデット 最強のファーストレディ
 農民(ポーランド映画祭)
《12月》
 山逢いのホテルで
 どうすればよかったか?
 ラブ・アクチュアリー 4Kデジタルリマスター

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画鑑賞後のトークショーあれこれ

2024-12-07 | 映画雑感

 今年も残すところあと20日余り。今年はあんまし劇場に行か(け)なかったような気がするのですが、トークショーがあるので敢えてその回目指して見に行ったってのがいくつかありました。

 トークショーは舞台挨拶と違って、出演者がお出ましになるわけじゃない場合が多いので、それほど混まないし、その作品に関連する背景などを知ることが出来るので、割と好きなんですよねぇ。で、印象深かったトークショーレポートを3本ほど。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆翻訳家・柴田元幸氏によるP・オースターについてのトーク&朗読 ~「スモーク」(1995年)上映後~@新文芸坐 '24.Jun.29

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv10827/

 

 「スモーク」は大昔に一度見ただけで、ハーヴェイ・カイテルが三脚を使って写真を撮っているシーンが印象に残っているものの内容はあんまし(というかほとんど)覚えていなかった。

 ちょうどこのちょっと前にオースターが亡くなってニュースになっていて、おそらくその兼ね合いでこのトークイベントも企画されたのかと思うが、私は柴田元幸氏の翻訳が好きで、柴田氏のトークを聴きたくて見に行ったのだった。……といっても、オースターは本作の原作である『オーギー・レンのクリスマス・ストーリー』を映画を見た後に読みかけただけなんだけど。

 映画は、、、良かったけど、まあ、あんまし感想をあれこれ書きたくなるような感じではなかったな、やっぱり(だから書いてない)。

 終映後の柴田氏のトークの内容は、主にオースターについて。柴田氏はオースターと個人的にも親しかったとのことで、本作のシナリオもオースターは手掛けているのだが、シナリオを書いたのは本作が初めてで、非常に楽しかったと言っていたとか。

 例の、写真を撮るシーンについては、確か、アウグスト・サンダーというドイツの写真家の撮影した労働者の写真にインスパイアされて描いたものだということだった。このサンダーの写真は、ラシードの偽名を名乗ったトーマスが最初に読んでいた本の表紙なんだとか。

 あと、ウィリアム・ハート演ずる作家ポール・ベンジャミンの部屋が妙にリアルだと思ったのだけど、あれは、オースターが拘って監督に進言したものだというような話もあった(違っていたらすみません。メモが殴り書きなもので、、、)。

 やはりトークは聴いて良かった。特に、最後に原作の一部を朗読されたのだが、それがすごく沁みたのだった。

 読みかけて放ってある原作を読んでみよう!と、帰宅途上では感動していたのに、いまだに果たせておらず。原作本を探してもいない、、、嗚呼。

 
☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆緑魔子氏による映画「盲獣」と増村保造監督についてのトーク ~「盲獣」(1969年)上映後~@国立映画アーカイブ '24.Sep.7

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv22431/

 ご存じ変態映画「盲獣」が、“ぴあフィルムフェスティバル2024”にて増村保造監督特集が組まれて上映されると知り、これは是非見ねば!と。この映画、好きなのだけど、スクリーンで見たことはなかったので。

 しかも、よく見たら、主演の緑魔子のトークショーもあるという。もう行くしかない!! 映画友(彼女は本作をかつてスクリーンで見ているという)も行きたいというので、一緒に魔子様のご尊顔を拝しに馳せ参じた次第。

 まあ、映画はあの凄まじい舞台装置がスクリーンいっぱいに広がり圧巻。今回、ウン十年ぶりに見たのだけど、船越英二ってすごいなぁ、、、とビックリ。千石規子も凄かったし、とにかく、この映画は主要登場人物が3人しかいないのだが、この3人が3人とも狂っていてスゴい。

 で、終映後、魔子様のご登場。今年、80歳とのことだが、お美しい。

 あの女体オブジェについて、スタジオに入ってセットを見た瞬間、「監督はナニ考えてるんだろう?」と思ったと。今にして思うと「監督はあの女体オブジェに押し潰されたかったんじゃないか?」とも言っていて笑ってしまった。すごく弾力のあるオブジェで、走りにくかったと。へぇー。

 監督がシャイだとかという話も面白かったが、一番印象に残ったのは、魔子さんが、口調はおっとり柔らかに「この映画は男の目線で女を撮った男の映画だ」とぶった切っていたことだった。いやもう、、、ホントそれね。自身が演じたアキという女性について、「すごくかわいそう。私は監督みたいに頭も良くなくて普通の感性だから、SMとかフェチとか理解が出来なかった」みたいなことも言っていて、やはり女優が身体を張って演じることの大変さを垣間見た気がした。

 このトークショーは対談形式で、聞き手が増村作品の大ファンだとかいう映画監督だったんだが、ハッキリ言って聞き手としては最悪だった。魔子さんが、本作のオファーを受けたときに「テレンス・スタンプが好きだったので『コレクター』みたいな作品だったらイイなと思って……」みたいな話をされたときも、どうもテレンス・スタンプを知らなかったみたいで受け答えがトンチンカンもいいとこ。魔子さんもちょっと??な感じだったし、聴いている方も白けてしまった。ああいうインタビューはかなりの技術を要するので、人選はもう少し考えた方が良い。ただ映画が好きだとか、同業者だとか、それで務まるもんじゃない。

 トーク終了後は撮影タイムが設けられ、私も頑張って撮影したけど、、、うぅむ。

 
☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆フィリップ・グレーニング監督自身による作品解説 ~「兄弟はロベルトという名でバカ野郎」(2018年)上映後~@アテネ・フランセ文化センター '24.Oct.12

作品情報⇒http://www.athenee.net/culturalcenter/program/gu/groning.html

 

 本作の監督による「大いなる沈黙へ」(2005年)が岩波ホールで公開されていた時に、ちょっと興味があったものの、あまりに長い(160分)し、ほぼセリフのない映像だけの作品だと聞いていたので、躊躇して結局見に行かずに終わったのだけど、その監督のオンライントークがあると知り、聴いてみようかな、、、という軽い気持ちで行ってしまった。

 ……で、正直なところ、かなり退屈だった。映画自体も、ハッキリ言ってめちゃくちゃ観念的な映画で、頭の中で捏ね繰り回しただけのモノという感じだった。後半の胸糞悪い展開などから、ちょっとラース・フォン・トリアーに通じる感じもあり、ハッキリ言って嫌悪感さえ抱いた。

 おまけに、オンラインインタビューは、さらに輪を掛けて観念論に終始していて、なんというか、途中からどーでもええわ、、、という感じにさえなってしまった。

 のだけど、1つだけ印象に残った話があり、それは、本作の前半、草原で兄と妹が寝転ぶようにして話をしているシーンについて、アンドリュー・ワイエスの「クリスティーナの世界」にインスパイアされた、という話。別にこの絵が好きなわけではないが、割と有名な絵だし、このモデルになった女性の話とかを何となくは知っていたので、それが、本作の妹のキャラ設定と若干被り、なるほどね、、、と思ったのだった。

アンドリュー・ワイエス「クリスティーナの世界」(画像お借りしました)

 

 とはいえ、このトークで通訳を務めていたのは日大のドイツ映画専門家(?)の渋谷哲也氏というお方だったのだが(この方は、「戦場のピアニスト」のトークショーでも話を聴いたことがある)、ワイエスのことを知らなかったみたいで、ココでも話が噛み合っていなくて、何となくガッカリだった。

 いずれにしても、いかにして、観念映画を作ったか、、、という観念論を延々聞かされて、めっちゃ疲れたのだった。何が何のメタファーだとかいろいろ話していたけど、ここまで来ると、ただの自己満じゃないの?という感じ。人に見せるということを考えていないわけじゃないみたいなのが、逆に不思議でさえあったわ。

 本作は恐らく劇場公開されないだろうけど、されても見に行かないね、間違いなく。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近見た映画あれこれ⑦

2024-09-14 | 映画雑感

 9月も中盤というのに、この残暑、、、。こうも暑いと、映画館にもあんまし行く気にならないのだけれど、それでもちょこちょこは行っております。せっかく見ても、感想書くのに時間が掛かるのが情けない。

 時間が掛かる理由は、「怠慢」が一番大きいんですが、この2本は、面白くなくはないけどあんましピンと来なかった、、、という感じです。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆Shirley シャーリイ(2019年)

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv85714/

 《あらすじ》 1948年、短編小説「くじ」で一大センセーションを巻き起こしたシャーリイは、女子大生行方不明事件を題材にした新作長編に取り組むもスランプに陥っていた。大学教授の夫スタンリーは引きこもって寝てばかりいるシャーリイを執筆へ向かわせようとするが上手くいかず、移住を計画している若い夫妻フレッドとローズを自宅に居候させて彼女の世話や家事を任せることに。当初は他人との共同生活を嫌がるシャーリイだったが、懲りずに自分の世話を焼くローズの姿から執筆のインスピレーションを得るようになる。一方、ローズはシャーリイの魔女的なカリスマ性にひかれ、2人の間には奇妙な絆が芽生え始める。

映画.comよりコピペ~

 Twitterに「面白かった」みたいな感想がいくつか流れて来たので、見に行ってみた。

 シャーリイ・ジャクスンは、その小説が映画化された「たたり」(1963)は見たけど、ゴシックホラーのはずだが、主人公の女性が病んでいる“メンヘラ”映画で、怖いというよりヤバい映画だった。みんシネにも、随分酷いこと書いてしまっている、、、。原作は面白いのかしらん??

 余談だけど、「サウンド・オブ・ミュージック」って、ロバート・ワイズ監督は「たたり」の次作で2年後に撮っているのだね、、、。あんなヘンな(すみません)映画撮った後に、ジュリー・アンドリュース!ってすごい切り替え早っ!!

 で。本作は、そのシャーリイ・ジャクスンが小説を書くために若い夫婦を同居させて生態観察しつつ、、、という話。

 これ、後で気付いたんだけど、内容的にはポランスキー監督の「告白小説、その結末」(2017)とネタ的に同じなんだよね。……というか、私はそうだと解釈した、ということだけど。

 つまり、このフレッドとローズ夫妻はシャーリィの脳内キャラ、若しくは“妄想”とも言うが。「告白小説~」はその辺りを後半で徐々に解禁していくのだが、本作は、割と終盤までリアル感がある。

 シャーリィのキャラがなかなか強烈でその夫はかなりヤなヤツ。ローズが徐々に感化されて変わっていくのが見どころではあるのだけど、、、んー、なんかあんまし印象に残らないというか。

 こういう映画、ときどきあるんだよな。別に悪口言うこともないけど、ココが良かったなーってのもなくて、感想書きようがない気分になるの。

 でも、ネットの評価は割と良いのが多いみたいだし、もう一回見たら印象変わるかな。一応ちゃんと集中して見ていたつもりだけど。配信かDVDがレンタルされれば、もう一度見るかも。

 
☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆越境者たち(2022年)

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv86537/

 《あらすじ》 妻を事故で亡くし、失意の淵にあったフランス人サミュエルは、娘を友人に預けてイタリアの国境を越えたアルプスにある別荘の山小屋で週末を静かに過ごそうと考えていた。しかし、その山小屋には亡命のためフランス側にある難民施設へ向かうアフガニスタン人女性チェレーが避難していた。翌朝、山を越えてフランスへ向かうというチェレーを放っておけずに道案内を引き受けたサミュエルだったが彼らを襲うのは雪山の脅威だけではなかった……。

公式HPよりコピペ~

 最近よく見るなー、ドゥニ・メノーシェ。しかも、女性の方の主役は、「聖地には蜘蛛が巣を張る」のザーラ・アミール・エブラヒミで、HPには、サスペンススリラーと書いてあるので、ひょっとして面白いかも? と劇場まで行った次第。

 んー、、、まぁ、見ている間は、“ほんでこの後どーなるん?”という好奇心で見られたんだけど、終わってみれば、なんかよく分からんなぁ、、、と。

 よく分からんというのは、「あれはどういう意味だったんだろう?」とかいうことではなく、そもそも論として、何でサミュエルはあそこまでして通りすがりの女性チェレーを助けたのか?ということ。

 助ける端緒となったのは、サミュエルの山小屋にチェレーが不法侵入して避難していたからだけど、チェレーが小屋から逃げ出した後を追ったサミュエルは、ものすごい軽装で、最初は「関わりたくない」などとチェレーに道案内を請われても断っていたのに、なぜだか途中から助けるモードになって、軽装のまま雪山をズンズン進んでいく辺りは、さすがに“ちょっとちょっと、おじさん、それいくら何でも無謀すぎやない??”と言いたくなるほど。

 その後も、密入国者を取り締まる国境監視員(?)3人組に追い回されるんだけど、いくら乗り掛かった船とはいえ、彼らと死闘を演じるサミュエルは、もしかして妻亡き後で、自分も死んでもええわ!と思っているとか?

 でも、終盤、娘と電話で話して号泣して、、、みたいなシーンもあり、うぅむ、、、という感じだった。

 まあ、フランスに限らずEUが抱える移民問題が背景にあるのは分かるけれども、いろいろ説得力に欠ける(フランス人が見れば分かることなのかも知れないけどね)構成な気がした。

 劇場を出た後、背景など知りたいと思ってパンフの見本を見ようとしたら、パンフ作ってないんだよね、この映画。あまり当たらないと最初から踏んでたということ? 実際、あまり話題にもなっていなかったような、、、。

 「ジュリアン」では怖ろしいDV男を演じていて悪人そのものだったドゥニ・メノーシェなのに、本作では、ちょっと人生に疲れた、根は優しい強面のイイ人に見えるんだから、役者って演じる役によってガラッとイメージが変わるスゴい職人だよなぁ、、、と感心。

 本作は、配信されてもまた見ようとは思わないかな、、、。

 

 

★★ランキング参加中★★

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近見た映画あれこれ⑥ ~催眠映画特集vol.2~

2024-08-07 | 映画雑感

 映画館には一応行っているのだが、暑いからなのか何なのか、見るペースに書くペースが追い付かぬ、、、。別に書く必要もない(仕事じゃないし頼まれたわけでもない)んだが、見たことさえ忘れてしまうので、書くことを自分に課しているのだけれど、、、嗚呼。

 あんまし感想文を書く気にならなかった映画2本(かなり派手に寝てしまったし)の印象を備忘録的に書いておきます。いずれも、悪口多めなので、お好きな方はお読みにならない方が良いです(お読みになるなら自己責任でお願いします)。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆君たちはどう生きるか(2023年)

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv79904/

 《あらすじ》 母を火事で失った11歳の少年・眞人(マヒト)は父・勝一とともに東京を離れ、和洋折衷の庭園家屋「青鷺屋敷」へと引っ越してきた。軍事工場を営む豪放な父と、新たな母親となった、亡き母の妹・夏子に複雑な感情を抱く眞人。新しい学校では初日から喧嘩をしかけられ、自ら石で頭を打ちつけて血を流す。そんな孤立して家にひきこもる眞人の前に、青サギと人間の姿を行き来するサギ男が現れる。敷地の奥の森にある謎の石づくりの塔、本を読みすぎて姿を消してしまったという青鷺屋敷の主・大伯父、眞人を見守る7人の老婆たち……。時間と空間がゆがみ、夢と現実が入り混じりながら、眞人はサギ男に導かれて、生と死が混然一体となった世界へと足を踏み入れる。

~上記リンクよりコピペ~

 早稲田松竹で、「窓ぎわのトットちゃん」と2本立てで上映していたので見た次第。

 私は、ジブリ映画……というか宮崎駿の映画は、ナウシカ、トトロ、もののけ姫、千と千尋、ハウル、、、くらいしか見ていない。その中でも、私が着いて行けていたのは、トトロまでで、もののけ姫以降は、なんかどーでもよい感じしか受けなかった。着いて行けていたと思っている2本も、正直好きではない(理由はみんシネに書いた)。

 本作も、公開時から話題になっていたけど、原作も読んでいないし、興味はなかったのだが、2本立てなら、、、と流れで見た。そして、やっぱり、私にとってはどーでもいい映画だな、という感想だった。

 実際、途中で30分くらいは寝たと思う。私はキムタクの吹替えが好きじゃない。キムタクの責任では全くないが、どうしたってキムタクの顔が浮かんでしまい白ける。吹替えも上手いのか下手なのかよく分からんが、私の耳にはあんまし上手くは聞こえない。

 それよりなにより、やっぱし支離滅裂で自己満な内容が一番イヤだ。自己満と書いたけど、聞いたところでは、本作の内容について、宮崎駿自身「分からない」と言っているとか。ふーん、、、自分で何描いているか分からんもんを人に見せて、しかもそれで金取ってるわけね。ふーん、ふーん、、、。

 別にイイけどさ。あなた、何度引退宣言してんのよ。辞める!→辞めるの止める!!→やっぱ辞める!!!→やっぱ辞めるの止める!!!! の繰り返しで、世間をバカにしてんのか、って話。引退撤回!!とかってメディアは持て囃して、どんなスゴい作品だよって出て来たのがコレ。

 海外で評価されてる? あーそーですか。だから何? オオカミ少年、、じゃなかったオオカミ爺さんには付き合い切れん。

 ふと目が覚めたら、めっちゃ可愛くない稚拙な絵のインコ?が大量にスクリーンを占拠していたのだが、ああいう絵でも素晴らしいんですか? 私はアニメを語れるほど見ていないのでアレですが、そんな私の目にも、あのインコはねぇだろうという感じだったんですが。

 悪口ばっかでスミマセン。でも他に書きようがない。

 
☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆チャーリー(2022年)

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv85994/

 《あらすじ》 職場でも自宅の近所でも偏屈者として知られ、楽しみといえば酒と煙草とチャップリンの映画だけという孤独な日々を送るダルマ。そんな彼の家に、悪徳ブリーダーのもとから逃げ出してきた一匹のラブラドールの子犬が住み着くようになる。犬嫌いのダルマは何度も追い払おうとするが、やがて少しずつ心を通わせ、チャーリーと名付け自分の家に迎え入れる。やんちゃでイタズラ好きのチャーリーに振り回されながらも楽しい日々を送っていた矢先、チャーリーが血管肉腫で余命わずかだと判明する。ダルマは、雪が好きなチャーリーに本物の雪景色を見せようと、サイドカーにチャーリーを乗せ、南インド・マイスールからヒマラヤを目指し、インド縦断の旅に出る――。

公式HPよりコピペ~

 映画友が「彼が愛したケーキ職人」という映画を見たら、“黒い森のケーキ”を食べたくなったのだとか。で、都心で食べられるところを探し出し“新宿高島屋のサロン・ド・テ・ミュゼ イマダミナコで食べられるらしい!付き合って!!”とメールが。

 私も、黒い森のケーキは前々から食べたいと思っていた。2019年~20年にかけてEテレでオンエアしていた「旅するドイツ語」で、女優の佐藤めぐみさんが南ドイツ一帯を巡っていたのだけれど、そこで黒い森のケーキが出て来て、“めっちゃ美味そう、、、絶対食べたい!絶対もっかいドイツ行くべ!!”と思ったのだけれど、2020年はそれどころではなくなった、、、。

 でも、映画友の凄いのは、食べたいと思ったら、都内で食べられるところを探すところだ。私はそういう発想がそもそもなかった。東京は世界中の食べ物が食べられる場所で、ドイツというと、パン屋さんは結構あるが、ドイツ菓子の店って見たことないもんな、、、。でも、探し出した彼女はエラい!

 というわけで、もちろんお供しましたヨ。まあ、、、普通に美味しかったですが、TVに映っていた本場のそれとは見た目が違い過ぎましたね。それは期待していなかったから良いのだが、やっぱし南ドイツ、もっかい行かねば!と意を新たにしたのでありました。……実現するかは全く分かりませんが。

 で、ケーキだけ食べに行くのもナンだから、ついでに映画でも見るか、、、となり、本作を見ることに。映画友はインド映画が好きなのである。もちろん、私も興味があったから見ることになったのだが。

 前置きが長くなってしまったが、本作は、かなり見ているのがしんどかった。感動の押し売りという、私の一番苦手な演出でグイグイ来る。もう、容赦ない。これでもか、これでもかーーーって。勘弁してくれぇぇ、、、、。

 逃げ場がない精神状態の防衛機能が作動したのか、途中、(多分)15分くらい爆睡!! 気が付いたら、犬のチャーリーが弱ってた、、、。

 あんまし映画としてあれこれ語りたくなる代物ではなく、好きな人には刺さるのだろうけど、ホントに私にはダメダメだった。本作をお好きな方、ごめんなさい。

 チャーリーは可愛かったです。映画のことより、ケーキの話がほとんどになってしまった、、、。

 

 

★★ランキング参加中★★

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近見た映画あれこれ⑤

2024-07-10 | 映画雑感

 梅雨明け前だというのに、最高気温37度。この夏は、マジで死人が続出する予感。まさに灼熱地獄。

 おまけに、東京はこの先また(何事もなければ)4年もユリコ王国が継続するという地獄、、、。まあそれは予想できたことなので驚かないけど、あの2番目に多い得票をした石丸某とかいうお方は何なんでしょうか? 若い人たちの得票が多かったらしいですが、他の年代からもそこそこの支持を集めたんだとか、、、、。でも、広島のどっかの市長時代の動画を見ると、ヤバそう。いや、ヤバいでしょ。

 きっと、彼に投票した人の多くは、あのサイコな一面を知らずに「爽やかそう!」「何かハキハキしてて頭良さそう!」とか期待しちゃったのだろうなぁ。とりあえずユリコ王国は嫌だ!けど、蓮舫はもっと嫌だ!って人たちでしょうか。

 今回、あのサイコ元市長がここまで善戦したってのは、ハッキリ言ってフェミへの反動も大きかったと感じています。女が目立ってモノ言っているのが気に入らん、、、ってやつです。そこへ突然現れた、得体の知れない若者(と言っても41歳だが)にミソジニーの多くがなびいた、、、のでは。もちろん、要因はもっと複合的でしょうから、飽くまで一要素ということですが(実はかなりヤバいのが背後で蠢いていそうなんですが)。

 あの都庁のパチンコ屋みたいなプロジェクションマッピング、続くんですよ、、、何の罰ゲームでしょうか。都民、そこまで悪いことしたんでしょうか?? 誰か教えてくれ。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆男女残酷物語 サソリ決戦(1969年)

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv85794/

 《あらすじ》 精巧な拷問技術の達人という裏の顔を持つ慈善団体の大幹部セイヤーは、ジャーナリストのメアリーを拉致監禁、ハイテク装備満載の秘密アジトで、想像を絶する肉体的、精神的凌辱の限りを尽くす。だが、言葉にできない恥辱を受けても微笑むメアリーはセイヤーの想像を遥かに超えていた。弱音を吐き始めるセイヤー。今、洗練と野蛮が表裏一体の、性の対決が始まる。

公式HPよりコピペ~

 仕事が佳境だったのだけどイロイロあって、アホらしくなったのでサボって丸一日休むことに。お、そーいえば、ちょっと興味ある映画あったんだ!と思い出し、見に行った次第。平日昼間の映画館は空いていて良き~。

 で、感想はというと、そこそこ面白かったのだが、上記あらすじで分かる通り、オチが読めてしまって、、、いや、読めても別に良いのだけど、なんというか、あまりにもあまりにも、、、な感じで、終盤はかなりドン引きして見ていました。

 つまり、バカな男にアホな振りした女が最後に鉄鎚を下す、というオハナシ。「想像を絶する肉体的、精神的凌辱の限りを尽くす」って、大げさな、、、。そんな壮絶なシーンは一つもなかったっす。

 それを言うなら、邦画『盲獣』の方がよっぽど「想像を絶する肉体的、精神的凌辱」だったと思うわ~。実は、本作と『盲獣』はちょっと共通項がある。監禁&凌辱モノであり、女体の巨大オブジェが出て来る、、、というね。しかも、制作年も同じ。私が日本人だからか、あるいは、乱歩好きだからか分からんが、圧倒的に『盲獣』の方が面白いです、ハイ。監督はあの増村保造。監禁される女役を緑魔子が演じていて、実に素晴らしいのよ、これが。あんな変態映画なのに下品じゃないのは、緑魔子に負うところ大だと思うわ~。

 本作は、“製作から55年を経て日本に初上陸”だそうで、つまりは日本では未公開だったわけだが、もしかすると日本には『盲獣』の存在があったからでは? などと邪推してしまう。とにかく、パワーが違う。『盲獣』のパワフルさは、さすが増村保造。

 本作で出て来る巨大オブジェは、あのニキ・ド・サンファルによるものだそう。すごいインパクト。セイヤーを演じているのはフィリップ・ルロワ。メアリーはダグマー・ラッサンダーというドイツ人女優でグラマーな美人。

 タイトルがアレだけど、男の人が見ると、物足りない&いたたまれない&ムカつく、、、映画かも知れませぬ。それくらい、徹底的に男が虚仮にされているので。まあ、あれが程度の差はあれ世の男の偽らざる姿だと感じる女性も少なくないと思うけど。私もその一人。

 エロでもグロでもありません。
 

☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆M(1931年)

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv14949/

 《あらすじ》 1930年代のベルリンで、幼い少女ばかりを狙った連続殺人事件が発生した。警察の必死の努力にもかかわらず犯人逮捕の目処は立たず、市民や暗黒街の犯罪者たちは彼ら自身の手で犯人を捕まえることを思い立つ。手がかりはないかのように思えたが、被害者の一人エルジーが誘拐されたときに口笛が聞こえたことに気付いた盲目の売り子により、一人の男に焦点が絞られた。チョークで「M」(ドイツ語で殺人者を意味する「Mörder」の頭文字)のマークを付けられた男は、徐々に追い詰められていく。

wikiよりコピペ~

 フリッツ・ラング監督作品。戦前のドイツ映画。アマプラで視聴したのだけど、ラング作品を見るのは初めて、、、かな。

 いやー、、、何とも嫌な後味の作品。wikiによれば、本作は“「デュッセルドルフの吸血鬼」と呼ばれたペーター・キュルテンをモデルにしたと言われている”のだそうだが、ラング自身は否定しているとか。……まあ、真偽はともかく、この時代のドイツでは複数の連続殺人鬼が跋扈していた様で、これは巷には不安が渦巻いたであろう。本作でも、社会が動揺している様が描かれる。で、それが本作の鍵になる。

 ドイツの極道(?)者たちが、こんなシリアル・キラーが我が物顔でのさばっていては自分たちの商売あがったり、、、ってな感じで、自ら犯人探しに乗り出すんだが、これがなかなかのチームワークで、警察組織より早く犯人を追い詰めるのは皮肉というか権力への当てこすりでしょうな。

 問題は、犯人を捕まえた後、極道たちが私刑、、、というか、自分たちの手で裁判の真似事をするのだ。何なら弁護士まで犯人にはつけている。もちろん、結末は、そんな私刑が罷り通るわけもないのだが、その疑似裁判の成り行きは集団ヒステリーのようで、怖い。こういうの、今でも普通にあるもんね、SNSとか見ていると。

 犯人役のピーター・ローレがめちゃくちゃ不気味。あの目ん玉が飛び出そうな表情とか、捕まりそうになってパニクってる顔とか、、、、とにかく顔が怖い。あんな怖い顔では幼児を連続して誘拐できるだろうか、、、とか、余計なことを考えてしまった。背中に「M」とデカデカと文字が書かれているのに気づいたときの顔が(しかもカラーで)アマプラの作品メニュー画像になっているのだが、下手するとブラックコメディと誤解されそうな気もしないでもない。それくらい、ローレの顔がインパクトあり過ぎなのだ。

 なかなか面白く見たのではあるが、ネタとしては極めて映画的、展開としても集団ヒステリーに持って行くのは定番、、、というわけで、あんましグッとは来なかった。犯人に辿り着くまでは比較的アッサリで、そこも見どころというには若干弱い。演出面では、当時は斬新だったのだろう。まあ、、、映画史上における名作と言われるのも分かる。

 当時のドイツの連続殺人鬼たち、おぞまし過ぎる、、、。ご興味おありの方はwikiのリンクからどうぞ。

 

 

★★ランキング参加中★★

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2023年に見た映画あれこれ ~良くも悪くも印象に残った映画セレクション~

2024-01-03 | 映画雑感

 このブログを開始して以来、年間ベストなるものを書いたことがないのですが、ちょっと気が向いたので今回チャレンジしてみることに、、、。今まで書いてこなかった理由は特になく、何となくハードルが高かったというか、、、、いやまあ、単に面倒だったんですな。

 でも、2023年は振り返ると結構印象に残る作品も多く、ちょっと自身の記録という意味でも書いておこうかな、という気分になったのでした。といっても、ベスト10(とか5とか)を挙げるのは難しい。ベストって言っても、良いと思うポイントはそれぞれ違うし、総合的にと言ったってそこはそんなに割り切れるもんじゃない。私は潔くないので、ベストとワーストを1作品ずつにして、あとはイロイロ理由を付けてちょっと良かったな(orイマイチだったな)、、、というのを(備忘録的に)挙げてみることにしました。

 というわけで、2023年中に劇場で見た映画(リバイバル上映含む)のうちから、あくまで個人的な独断と偏見に基づく勝手な選出ですので、深い意味はありません。

 なお、1年間の鑑賞リストは記事末にあります(リンクがあるものは感想アップ済み)。
 

☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


 まずは、新作(2023年中に本邦公開のもの)の中から。いずれも順不同です。記事にしていないものについては、一応コメント付き。

◆BEST
 ナチスに仕掛けたチェスゲーム

◆グッときたde賞
 ペルシャン・レッスン 戦場の教室 
 コンパートメントNo.6(シンプルなストーリーだけど、エンディングがグッとくる。感想はもう1回見てから書きたい)
 帰れない山
 青いカフタンの仕立て屋

◆面白かったde賞
 イニシェリン島の精霊
 波紋
 苦い涙

◆身につまされたde賞
 すべてうまくいきますように
 The Son/息子
 私、オルガ・ヘプナロヴァー
 アシスタント
 シック・オブ・マイセルフ

◆ゾッとしたde賞
 聖地には蜘蛛が巣を張る

◆勝手に期待して裏切られたde賞
 ヒトラーのための虐殺会議(セリフ劇で退屈だった。もう1度見たら印象変わるかも、、、)
 逆転のトライアングル
 TAR/ター
 古の王子と3つの花
 マエストロ:その音楽と愛と

◆見に行ったことを後悔したde賞
 エリザベート 1878

◆その他
 ♭面白かったけど、もう1度見てから感想を書こうと思っている作品
  ベネデッタ
  幻滅
  遺灰は語る
  aftersun/アフターサン
 ♭想像していたのとゼンゼン内容が違って戸惑った作品
  私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


 旧作も。初めて見たもののうちから一応セレクト、、、。こちらも順不同です。

◆見て良かったde賞
 ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地
 ルナ・パパ
 マリア・ブラウンの結婚 
 不安は魂を食いつくす
 レースを編む女
 マルケータ・ラザロヴァー

◆イマイチだったde賞
 スペンサー ダイアナの決意(ひたすら退屈だった、、、)
 宋家の三姉妹(期待が大きかったのか、つまらなかった、、、)


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


 というわけで、セレクトしてみて、やっぱし難しい、、、と実感。今回限りの企画となりそうだわ、こりゃ。リストアップしてみると、ちゃんと感想を書いていないのが結構あるなぁ、、、。まあ、もう1回見てから……、と敢えて書いていないのもあるけど、何となく書きそびれたり、書く気にならずにそのままになってしまったり、、、という感じですかね。

 これからも気の向くまま、細く長く続けていけたらと思っております。

 


 

◆2023年に劇場で見た映画(タイトルの後に*のないものは新作(2023年中に公開))

《1月》
  ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地
  ペルシャン・レッスン 戦場の教室
  SHE SAID/シー・セッド その名を暴け
《2月》
  ヒトラーのための虐殺会議
  イニシェリン島の精霊
  すべてうまくいきますように
  対峙
  秘密の森の、その向こう
  スペンサー ダイアナの決意*
  逆転のトライアングル
《3月》
  コンパートメントNo.6
  ベネデッタ
  The Son/息子
《5月》
  私、オルガ・ヘプナロヴァー
  ザ・ホエール
  幻滅
  聖地には蜘蛛が巣を張る
  生きる LIVING
  TAR/ター
  帰れない山
《6月》
  アダプション/ある母と娘の記録
  波紋
  ふたりの女、ひとつの宿命
  苦い涙
  ウーマン・トーキング 私たちの選択
  ペトラ・フォン・カントの苦い涙
  アシスタント
  青いカフタンの仕立て屋
  ルナ・パパ
《7月》
  To Leslie トゥ・レスリー
  宋家の三姉妹*
  さらば、わが愛 覇王別姫
《8月》
  古の王子と3つの花
  ナチスに仕掛けたチェスゲーム
  天使の影
  マリア・ブラウンの結婚
  エドワード・ヤンの恋愛時代
  不安は魂を食いつくす
  オオカミの家
  マリとユリ*
  エリザベート 1878
《9月》
  くすぶりの年代の記録*
《10月》
  ファルコン・レイク
  オオカミの家(2回目)
  ダーティ・ハリー*
  レースを編む女
  ヴィオレット・ノジエール
  盗むひと
  シック・オブ・マイセルフ
  EO
  遺灰は語る
《11月》
  マルケータ・ラザロヴァー
  私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?
  ドリー・ベルを覚えているかい?*
  戦場のピアニスト 4Kデジタルリマスター版(ポーランド映画祭)*
  バリエラ(ポーランド映画祭)*
《12月》
  戦場のピアニスト 4Kデジタルリマスター版(2回目・3回目)*
  CLOSE/クロース
  aftersun/アフターサン
  マエストロ:その音楽と愛と

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フランス映画と女たち @アテネ・フランセ文化センター

2023-11-05 | 映画雑感

 

 

 松たけ子さんに以前教えていただいた「フランス映画と女たち」という企画。ソフト化どころか、そもそも国内上映自体が初めて、というレアもの3本が1日限りで上映されるとのことで、しかも、あのイザベル・ユペールとロミー・シュナイダー主演となれば、馳せ参じるしかないでしょう、、、。

 というわけで、両日3本とも見に行ってまいりました。アテネ・フランセ行ったのなんて、一体何年振りやら。前はよく通っているのですが、、、。130名ほど入れる会場は、どの作品もほぼ満席。そらそうですね、こんな機会、そうそうありません。

 なお、3本とも作品情報は、仏版or英版wikiです。

 

☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆レースを編む女(1977年)

作品情報⇒https://fr.wikipedia.org/wiki/La_Dentelli%C3%A8re_(film,_1977)


 《あらすじ》 美容師見習のベアトリス、愛称“ポム”(イザベル・ユペール)は、失恋の憂さ晴らしをしたい美容師の先輩マリレーヌに付き合って、リゾート地ノルマンディのビーチにやってくる。が、奔放なマリレーヌは、ポムをほったらかして早速男遊びに夢中、、、。一人、リゾート地をさまようポムは、大学生の青年フランソワ(イヴ・ベネイトン)と知り合い、親しくなる。

 パリに戻った2人は一緒に暮らし始める。ラブラブだったポムとフランソワ、寝食を共にし、フランソワの友人たちと交流するうち、次第にフランソワはポムの尊厳を微妙に、ポムさえ気づかないほどにごく薄く、しかし確実に削る発言が増えていく。

 そしてついに、2人は破局し、ポムは実家に帰って行くのだが、、、。

~~~~~

 ユペール24歳の頃の作品。24歳よりも、もっと少女っぽく見えるユペールは、おぼこ娘ポム役にハマっていた。

 どうも、このフランソワという男がいけ好かない。こういう男(ヒョロっとした頭でっかちの勘違い野郎)は、学生時代に結構身近にチラホラいた気がするが、私の知る範囲では、例外なく“モテない君”だった。そらそーでしょ。イヤミだもんね。

 でも、ポムにとってはそういうところが魅力的に見えたんだろうなぁ、最初は。で、若くて無垢なポムにマウントをとるという器の小ささ全開になる辺りが、嗚呼、、、やっぱり、、、、、な展開であった。ポムが言い返さないキャラだと分かってやっているところが、いかにもである。明らかに自分よりも未熟な人間を相手に優越感に浸るって、どんだけちっちぇんだよ、フランソワ君。

 2人が道路を渡るシーンが印象的だった。さっさと車の間を縫って渡ってしまうフランソワ、車に阻まれなかなか渡れないポム、そんなポムを見るフランソワ、、、。もうこのシーンだけで、2人の先行きが分かっちゃう。

 破局後、フランソワは、病んだポムを見舞いに行くのも、一人じゃいけないという情けなさ。若い男には荷が重いってか。あのポムに対する偉そうな物言いは何だったのさ。

 病んだ後のポムが、どうにも痛々しい。パッと見は割と普通に見えるが、一つ一つの挙動は明らかに病んでいる。その目線や話し方、動き、、、何かオカシイのだ。そして、フランソワが帰った後のラストシーン。ポムのいる部屋の壁には……。衝撃的なラストシーンである。

 ポムに言ってあげたい。世の中にはもっとイイ男はいっぱいいるんだよ! フランソワなんてクソ野郎だよ! ……とね。
 
 そんなポムを演じた若きユペール。本作が彼女の女優人生を決定づけたというのも納得。

 

☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆ヴィオレット・ノジエール(1978年)

作品情報⇒https://fr.wikipedia.org/wiki/Violette_Nozi%C3%A8re_(film)


 《あらすじ》 18歳のヴィオレット(ユペール)は、監視の厳しい両親との生活に息苦しさを感じ、街に出ると派手な格好で売春したり、カツアゲみたいなことをしたりして、帰宅する際には着替えて化粧も落とし従順な娘を演じていた。

 そんなヴィオレットに彼氏ができると、いよいよヴィオレットは両親の存在が邪魔になる。お金にも困っていたことから、両親を殺して遺産を持ち出そうと考えるのだが、、、。

~~~~~

 本作のヒロイン・ヴィオレットは、上記の「レースを編む女」で演じたポムの裏キャラとでも言おうか、本作と「レースを編む女」はコインの裏表かも知れぬ。

 あんな狭いアパートで、あんな過干渉な母親がいて、おまけにキモい継父までいれば、そら若い娘にしてみればウザくてしょーがないでしょうよ。実話ベースらしいが、親殺しって、実は珍しくないからなぁ。私も親(母親)に殺意湧いたことあるもんね。実行しなかっただけで、、、。

 その、実行に移しちゃうところが、まあマズいのだが、ケースによっては同情したくなるものもあるわけで。ヴィオレットはどうなのか、、、、というと、これは正直なところ同情できないケースかな。別に殺さなくても何とか逃げられたんじゃないか、と思うので。あまりにも短絡的。……というか、ヴィオレットはちょっとお頭が弱すぎるので、あらあら、、、、という感じでしかない。

 一方の両親側はもっと同情できないわね。娘の寝室と極薄な壁一枚しか隔てていないのに大声上げてセックスするとか、親として、というより、人としてオカシイ。

 おまけに、殺したはずの両親、母親だけ生き残るってのが、不謹慎だけど苦笑してしまった。あの母親は殺しても死なないタイプだろ、、、と思って見ていたら案の定過ぎて。きっと、私も実行していても、あの母親は死ななかったと思うわ。そういう種類の人っている気がする。

 男で人生狂っちゃう女の話って、見ていてストレス溜まるんだよね。「レースを編む女」のポムは自分の内面が壊れて行き、ヴィオレットは外へと向かう。ポムはまだフランソワのことが好きだったんだろうな~、可哀相だな、、、と思うけれど、ヴィオレットは相手の男のことを好きなのかどうかも怪しい。現状から抜け出すため掴んだ藁が、藁以下のババだった、、、って感じだよね。

 クロード・シャブロル監督による殺人映画では「沈黙の女 ロウフィールド館の惨劇」の方が好きかな。ユペールのヤバさも、「沈黙の~」の方がぶっ飛んでて面白かった。本作のヴィオレットは、家庭環境や親の質の悪さには同情するけど、いかんせん、彼女自身の性質が悪過ぎるので、ユペールのぶっ飛び振りも面白さは半減といったところ。

 

☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆盗むひと(1966年)

作品情報⇒https://en.wikipedia.org/wiki/La_Voleuse


 《あらすじ》 ベルリンに暮らすジュリア(ロミー・シュナイダー)は、夫ヴェルナー(ミシェル・ピコリ)に、自分には19歳のときに産んで生き別れた6歳になる息子がいることを告白する。2人の間に子はなく、今後も子を持てる望みがないことから、ジュリアは、6歳になるその息子を引き取って育てたいと言う。

 息子の養父母を探し当てて、子どもを引き取りたいと申し出るが、当然養父母に拒絶される。ジュリアはストーカーまがいのことをして、ある日、その男児を半ば誘拐同然で連れてきてしまう。ポーランド移民である養父母は正式な手続きを経て男児を養子としておらず、ジュリアは自分に男児を育てる法的な権利があると確信しているのである。

 絶望した養父は、勤務先の工場の煙突に登り、男児を返さないなら、明日の午前6時にここから飛び降りると言って、メディアに訴える。国中の騒ぎとなり、ジュリアが攻撃の的となる。男が飛び降りるという時刻が迫る中、男児を返すようにジュリアを説得するヴェルナーだが、、、。

~~~~~

 3本の中で、一番精神的に来る映画。これはキツい。

 オープニング、BGMが流れる中、何やらロミーが一人で喋っている(音声はない)。そのロミーの表情から、何か切羽詰まった感じ、良くない感じ、追い詰められている感じが伝わって来る。もう、いきなり不穏である。このシーンは、ジュリアが、実は息子がいるということをヴェルナーに話していることがオープニングの後に分かる。

 ロミー演ずるジュリアが男児を取り返そうとする一連の行動は、ほとんどストーカーで、犯罪に近く、狂気の沙汰である。ハッキリ言って怖い。ロミーがまた、何というか、素でヤバそうな感じが伝わってくるのが、さらに怖い。養父母の家に押し掛けて、何度も何度も息子を渡せと声を張り上げたりドア(窓だったかな)を叩いたりする姿は、もう狂っているとしか言いようがない。

 余談だが、ロミーの年表を見ると、本作を撮影していた頃が、実生活でも息子さんの出産前後だったのではないか。作中の彼女は、狂気だが美しく、品があり、それだけに怖かった。

 男児を誘拐してきてからのジュリアは、一生懸命世話をするのだが、男児も決してジュリアに拒絶的ではないけれど、どうも打ち解けない(アタリマエだ)。でもジュリアは、息子を養父母に返す気など全くない。その一途さというか、周りの見えなさ、、、もう見ていてツラい。

 養父が煙突に登ってしまってからは、一斉に、子を捨てた母親として世間のバッシングを浴びるジュリア。しかし、彼女はめげない所がスゴい。私だったら耐えられない、、、というか、あんな風に男児をさらってくることがそもそも出来ないが、、、。ここでも、世間は母親に厳しかった。子を育てられなかった事実について母親にだけ責めを負わせる。父親は存在自体が問われない、透明人間みたいなもんである。子は男がいないと出来ないんですけど?

 ロミーの迫真の演技がグサグサと胸に刺さる。徹頭徹尾利己的に見えるジュリアだが、あれほど強固だった彼女の意志も、命がけの養父の脅迫の前に折れる。説得したヴェルナーとジュリア夫婦の今後は、、、、というエンディングで、不穏に始まり不穏に終わる。

 脚本をデュラスが手掛けており、デュラスらしいのかどうか、私はデュラス作品をほとんど読んでいないので分からないが、とにかく終始ヒリヒリする作品であった。今回が本邦初上映とのことだが、ロミー特集とかで上映してほしいと思った次第。もう一度見たいわ。

 

 

 

★★ランキング参加中★★

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近見た映画あれこれ④ ~催眠映画特集~

2023-10-06 | 映画雑感

 また、見てから時間が経った映画が溜まってしまった、、、ごーん。これらは、見た後に感想を書くだけの何かが湧いてこなかった映画たちなんだけれど、ハッキリ言っちゃうと“つまんなかった”、、、んですよね。おまけに、共通するのは、どれも「途中で寝た」んです(どれくらい寝たかは作品ごとに書きます)。あんまし劇場では寝ない方なんだけど、この3作は途中ホントに眠かった。

 思うに、やはり、ちょっと時間が空いたからという理由で、さほど見たい!というわけでもない映画を見ると、睡魔に隙を与えるのですね、、、今さらながら。

 ……というわけで、一応、自身の備忘録という意味合いで書くだけですので、お目汚しで悪しからず。見た順です。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆古の王子と3つの花(2022年)

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv80989/

 《あらすじ》 ◆第1話『ファラオ』クシュ王国の王子はナサルサとの結婚を認めてもらうため、エジプト遠征の旅に出て、神々に祈り祝福されながら戦わずして国々を降伏させ、上下エジプトを統一、最初の黒人ファラオとなり、無事ナサルサと結ばれる。◆第2話『美しき野生児』中世フランスの酷薄な城主に追いやられた王子は、地下牢の囚人を逃がした罪で森に追放されるが、数年後美しき野生児として城主に立ち向かい、お金持ちから富を盗み貧しい人々に分け与え囚人の娘と結ばれる。◆第3話『バラの王女と揚げ菓子の王子』モロッコ王宮を追われた王子はバラの王女の国へと逃げ込み、雇われたお店の揚げ菓子を通じて国から出た事がない王女と出合い、2人は秘密の部屋で密会し、宮殿を抜け出し自分たちで生きていくことを決意する。 

公式HPよりコピペ~

 これ、実は8月1日に見たのだが、ずーっと放置してしまっていたのは、あんまし面白くなかったから。3話目で多分10分近く意識が飛んでいたと思われる。1話目、2話目はちゃんと見た。

 同じミッシェル・オスロ監督の『ディリリとパリの時間旅行』(2018)がまあまあ良かったので、他に見たい映画もあったから見に行ったのだが、、、。

 期待通り、絵は非常に美しいし、音楽も良いのだけど、いかんせん、ストーリーがどれも似たり寄ったりというか、ラストで王子様とお姫様のハッピーエンディングであり、そこへ至るまでの過程は違えど、何だかなぁ、、、という感じだった。オムニバスなんだから、それぞれ異なるテイストの物語を見せてもらいたかったな~と。

 見た目キレイだけど激甘過ぎて味が分からん菓子3連続で食べさせられた感じで、途中から食傷気味でダルかったです、ハイ。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆エドワード・ヤンの恋愛時代(1994年)

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv16757/

 《あらすじ》 急速な西洋化と経済発展を遂げる1990年代前半の台北。モーリーが経営する会社の状況は良くなく、彼女と婚約者アキンとの仲もうまくいっていない。親友チチは、モーリーの会社で働いているが、モーリーの仕事ぶりに振り回され、恋人ミンとの関係も雲行きが怪しい。彼女たち二人を主軸としつつ、同級生・恋人・姉妹・同僚など10人の男女の人間関係を二日半という凝縮された時間のなかで描いた本作は、急速な成長を遂げている大都市で生きることで、目的を見失っていた登場人物たちが、自らの求めるものを探してもがき、そして見つけ出していく様を描いている。彼らの姿は、情報の海の中で自らの求めるものを見失いがちな、現代に生きる人々の姿と見事に重なり、初公開当時に正当な評価を受けたとは言い難い『エドワード・ヤンの恋愛時代』が、いかに時代を先取りしていたのかが今こそ明らかになる。

公式HPよりコピペ~

 タイトルだけは知っていた本作。6年前に見た『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』(1991年)がなかなか良かったので、ちょっと用事の間に時間ができたので見てみたのだが、、、。

 もうね、ハッキリ言ってめっちゃ退屈だった。登場人物が多い上にいけ好かない感じの人ばっかで、早々に気持ち的にリタイア、、、、。2時間強のうち、序盤から多分30分以上は寝ていたんじゃないかなぁ。だって、終盤なんか話もよく分かんなかったし、、、ごーん。

 というわけで、感想を書く資格がそもそもないのだけれども、クーリンチェなんか4時間あったのに、ゼンゼン眠くならなかったし、睡魔に隙を与えない緊迫感があった。本作もテイストは似ているのに、なぜにこうも退屈だったのだろうか。睡眠不足ってほどでもなかったしなぁ。チチは可愛かったけどね。

 やっぱし、尺の長い作品は、かなりの引力がないと集中力が続かないわ。まあ、機会があればもう一度見てみるかも、、、?


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆エリザベート 1878(2022年)

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv81741/ 

 《あらすじ》 ヨーロッパ宮廷一の美貌と謳われたオーストリア皇妃エリザベート。1877年のクリスマス・イヴに40歳の誕生日を迎えた彼女は、コルセットをきつく締め、世間のイメージを維持するために奮闘するも、厳格で形式的な公務にますます窮屈さを覚えていく。人生に対する情熱や知識への渇望、若き日々のような刺激を求めて、イングランドやバイエルンを旅し、かつての恋人や古い友人を訪ねる中、誇張された自身のイメージに反抗し、プライドを取り戻すために思いついたある計画とは——。

公式HPよりコピペ~

 2時間弱のうち、おそらく1時間は寝ていたでしょうな。もう、こんなに劇場で寝たの、ウン十年ぶりや。

 ちなみに、そのウン十年前に爆睡した映画は『春の惑い』(2002)。もう、最初の10分くらいでドロップアウトし、エンドマークまで爆睡しました~。面白くなかったとか、そういうのではなく、もうそれ以前に寝てしまったのだった。その後、DVDでも見直す気にならず。

 ……それはともかく。本作の場合は、最初の30分くらいは一応ちゃんと見ていたんだが、もう、断然「つまんない」のだった。容色の衰えにビクビクし、女の地位の低さにイライラしているシシーをひたすら見せ続けられる。あとは寝てたのでよく分からん。

 が。

 終盤、何だか話が??で覚醒。なんと、シシー、自殺しちゃう。しかも、ヘロイン中毒、、、。実際のシシーがヘロイン中毒だったのかどうかは知らんが、自殺って。ん~、いくら映画とは言え、あまりにも有名な亡くなり方をしている人の最期を変えちゃうってのは、割と違和感あるわな。

 というか、もうそんなんどーでもええわ、という感じで劇場を後にしたのだが、本作は別に駄作というわけではないと思う。真面目に作られた映画だが、何しろ、人に見せるという視点があまりにもなさ過ぎる。つまり、独善的。商業映画でしょ、これ? だったら、もう少し、人に見せることを考えて作ってもらいたいわ。

 あと、前も何かの感想で書いたけど、シシーのwikiを読むと、これ書いた人、シシーのこと多分嫌いなんだろうな、、、と感じるのだが、本作のシナリオを書いた人も、多分まあまあ嫌いなんじゃないかね。少なくとも好きではないだろう。……という印象を受けた。

 ま、半分寝てたのでゼンゼン違うかもですが。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー傑作選 @Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下

2023-09-10 | 映画雑感

 「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」を見て、映画自体にはさほどグッと来なかったんだけど、こんな風に女性を描く監督に興味を抱いて、タイミングよくこの特集企画があると知り、見に行くことに。

 とはいえ、あまりにも連日暑くて外出したくない、、、。けどどうにか、仕事帰りとかに何とか勢いで3本コンプリートしました。見た順に感想書きます。あらすじは、いずれも特集HPからのコピペです。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆天使の影(1976年)

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv81958/

 《あらすじ》 とある都会の片隅に立つ娼婦リリーは、その繊細な性格から仲間内では浮いた存在。家に帰ればヒモ男ラウールに金をせびられる日々。そんなある日リリーは闇社会の大物であるユダヤ人に見初められるが、次第に破滅願望が強くなっていく。反ユダヤ的とされ非難を浴びながらも、今なお世界中で繰り返し上演されるファスビンダーの戯曲「ゴミ、都市そして死」を、親友でもある『ラ・パロマ』(74)、『ヘカテ』(82)のシュミット監督が映画化。主演はファスビンダーと一時期結婚していたイングリット・カーフェン。露骨な台詞が散りばめられ、絶望に満ちた物語ながら、名キャメラマン、レナート・ベルタが描き出す退廃美に溢れた映像は限りなく素晴らしく、全編に夢のような心地がたゆたう。

~ここまで~

 本作は、ファスビンダー監督作品ではない。3作の中で一番“ヘン”な映画だった。

 で、このダニエル・シュミット監督が、『ヘカテ』の監督と見た後に知って、何となく納得。確かにちょっと雰囲気似ているかも。

 ファスビンダーが上記あらすじにある“ヒモ男”を演じているのだが、これがタダのヒモではなく、もう筋金入りのヒモである。ヒモもここまで開き直れば立派なもんだ。女に売春しろってどやしつけて、稼いで帰って来たらその金を即巻き上げて散財。元ネタの戯曲タイトルの「ゴミ」ってこの男のことかもね。

 冒頭から不快なシーン。娼婦たちが橋の下で客待ちをしているのだが、最後の1人になったリリーは、なんとその場にいた猫を川に捨てるのである。客が付かないからか、八つ当たりされた猫はたまったもんじゃない。そんな気分で家に帰れば、ヒモ男がラジコンで無気力に車を床に走らせている。……なんかもう、この出だしだけで、ウンザリしてしまった。

 その後の展開は、終始、絶望感が漂い、どうにもこうにも救いがない。これって、やはりまだドイツも“戦後”だったから、ってことなんですかね? リリーを見初めたのが地上げ屋みたいなユダヤ人だからか、反ユダヤ的と批判されたそうだけど、どっちかというと、むしろ、反ユダヤを揶揄している描写だったのではないか、、、と感じたのだが。

 いずれにしても??なところが多く、セリフも戯曲ベースだから当然と言えば当然だが芝居じみていて、正直、退屈だった。

 本作を見終わった直後の率直な感覚としては、“あとの2本はもういいかなぁ、、、”であった。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆マリア・ブラウンの結婚(1978年)

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv11157/

 《あらすじ》 ファスビンダーの名を世界に轟かせた大ブレイク作にして究極の<女性映画>。第二次世界大戦の真っ只中、マリアは恋人のヘルマンと結婚式を挙げるが、ヘルマンはすぐに戦線に戻り行方不明になってしまう。新たなパートナーとともに戦後の混乱を乗り越えていこうとするマリアだったが……。鳴り響く銃声や爆撃音とウエディング・ドレスのコントラストが衝撃的なオープニングに始まり、鮮烈なイメージが怒涛のごとく押し寄せる究極のメロドラマ。戦争末期からドイツがめざましい復興を遂げる1950年代半ばまでの約10年間にわたるヒロインの生き様が活き活きと描かれる。波乱万丈な運命を辿るマリアを艶やかに演じたのはファスビンダー映画常連のハンナ・シグラ。本作で第29回ベルリン映画祭銀熊賞を受賞した。

~ここまで~

 2本目。

 期待していなかったけど、ファスビンダーの出世作とのことなので、一応見ておこうと思って渋々行った。ら、これが意外に良かったのだった。

 上記のリンクとは別に、eiga.comでの本作の紹介文には「運命に翻弄されるヒロインの悲劇を描いた」とあるのだけれど、ちょっと違うだろう。それよりは、公式HPの惹句「運命に翻弄されながらも逞しく生き抜く女性」の方が、まだマシだ。どちらも「運命に翻弄され」とあるけど、私にはあまりそうは見えなかった。

 本作で、確かに、マリアの身の上にはいろんなことが起きるのだが、それはマリアに限らず、この世に生きている人間に例外のない話である。ましてや本作の舞台は戦争下でもあるし、そら色々トンデモなことが起きて当たり前だろう。この時期に生きていた人々の中で、マリアが特別「運命に翻弄され」ていたわけじゃないのだ。

 マリアは、いろんなことが起きる度に、自らの意志に忠実に生きることを選択していくのであり、翻弄などされていない。混乱する社会にあって、むしろ主体的に生きている。しかも、ブレないところがスゴい。つまり「愛する男は夫だけ」という一点でブレないのである。潔いくらいで、ある意味、こんな風に生きることができる人を尊敬する。私はブレブレ人間なので。

 本作を見て、ファスビンダーという人は一体どんな人なんだ??と不思議になった。あんまし男だ女だと言うのもどうかと思うが、女性をこういう風に描く男性監督ってのは、今でも少数派ではないか? これは、彼のセクシャリティにも起因するのかしらね?

 ……という風に、私は本作を見たのだが、鑑賞後にネットの感想を拾い読みしていたら、ゼンゼン違う受け止めをしている方がいて、目から鱗であった。それはラストの展開(詳細は書きませんが、マリアは亡くなったと思われます)からの読み解きになるのだが、その方は、あのようなラストを描いているということは、マリアは確かに夫一途に生きているように見えるが、実は、自身が生き延びるために男に身を任せることも厭わない浮草みたいな女だ、というもの。だから、夫が戻って来てある事実が判明したことで衝撃を受け、失望してしまったのだというのである。ブレずに主体的に生きる芯の強い女性なら、あんなラストにはならんだろう、、、ということらしい。

 んまぁ、、、確かにそれは言えるのかも知れん。けれど、私はあのラストは、飽くまで“事故”だと見ていたので、それはどうかと感じるのだが、元々ファスビンダーは、ラストはマリアが自殺するというシナリオを書いていたのをハンナ・シグラの抗議により書き換えた、とその方が書いており、ますます目から鱗どころか、仰天してしまった。

 うぅむ、そのエピソードが本当ならば、私はハンナ・シグラが抗議した気持ちが分かる。分かるし、そりゃそーだろ、と思う。ファスビンダーも、やっぱしミソジニー入ってるマッチョおじさんだったんかなぁ。

 マリアを演じたハンナ・シグラが七変化で、実に美しい。魅了されてしまった。

 そんなわけで、これは3本目も見たいかも、、、と思ったのであった。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆不安は魂を食いつくす(1974年)

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv81957/

 《あらすじ》 ある雨の夜、未亡人の掃除婦エミは近所の酒場で年下の移民労働者の男、アリに出会う。愛し合い、あっという間に結婚を決める彼らだったが、エミの子供たちや仕事仲間からは冷ややかな視線を向けられる。年齢や文化、肌の色、何もかもが異なる二人の愛の行方は。ダグラス・サーク監督作『天はすべて許し給う』(55)の物語を下敷きに、愛に起因する苦悩や残酷さを鮮やかに描き出した不朽の傑作。ベテラン女優、ブリギッテ・ミラとファスビンダーの愛人であったエル・ヘディ・ベン・サレム(本作の公開直前に事件を起こし服役、後に獄中で死亡。ファスビンダーの遺作『ケレル』は彼に捧げられている)による名演が圧倒的で、アキ・カウリスマキ監督らに影響を与えたとされる。第27回カンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞。

~ここまで~

 3本目。これが一番キツかった。

 本作は、劇場初公開らしいが、既に何年か前にアテネ・フランセで特集上映はあったらしい。

 上記あらすじ以外は何も予備知識なく見に行って、恋に落ちる未亡人のエミという女性が、ホントにどこにでもいる感じの“ザ・おばさん”で、へぇーと思ったけど、それが良かった。大雨でふらりと入った店が、移民が集うカフェだった、、、という幕開け。

 そこに、アリがいるのだが、このアリ、いきなり冒頭シーンでカウンターのセリフ炸裂。お仲間女性に「今夜どう?」みたいに誘われて返した言葉が「チ〇コ故障」、、、。字幕で「チ〇コ」(もちろん、伏字ではありませんでしたヨ)なんて語を見ようとは思いもしていなかったのでオドロキ。しかも「故障」って、、、。まあ、それは大した問題ではないのだが。

 エミは、子どもたちも独立し、寂しいと自覚していて、独りを楽しむ、、、という感じではない。アリに「仕事は何しているの?」と聞かれて「答えたくない」って答えるのが、また何とも、、、。エミとアリは互いに被差別者同士で惹かれ合った、、、みたいな解説をしているのをネット上で見たが、まあ、そういう側面もあったかもだが、私には、エミの寂しさがアリに吸い寄せられた原因かな、という風に見えた。それくらい、カフェに迷い込んできたように入って来たエミの表情は暗かった。

 でも、アリと出会って恋仲になるのはあっという間で、そこから結婚までもかなりあっという間である。結婚に至ったのには、明らかにアリが被差別者であることが理由なんだが、エミ自身はいたって本気であり、その辺のいきさつは、時間経過とは裏腹にかなりリアルだと感じた次第。

 当然、周囲には白い目で見られるのだが、それに耐えられなくなったエミは、アリの故郷モロッコに行くことを提案し、二人は旅に出る。で、2週間くらいして戻ってくると、周囲がびっくりするぐらいに2人に寛容になっている。これがまた、何ともリアルというか、人間の勝手さ、自分の都合や利益が差別意識を上回ると急に相手に寛容になるという、実に厭らしいけれど人間的な描写で苦笑してしまう。

 しかし、皮肉なことに、周囲が2人を受け入れると、2人の関係が反対にぎくしゃくし出すというのもまた、あるあるだなぁ、と思って見ていた。反対されると盛り上がるカップル、、、みたいな感じ。急にその枷が外れたら、2人は互いの関係の本質に向き合うことを余儀なくされて、あっという間に破綻するというね。

 まあ、話としては実に普遍的であり、元ネタ映画『天はすべて許し給う』が1955年に制作され、本作以降もリメイクが繰り返されているようだが、現代に翻案しても十分通用する。差別は残念ながらなくならないだろうしね。ただまあ、なかなかにシビアな内容で、見ていて辛いシーンも多かった。

 が。見終わった後に、アリを演じたエル・ヘディ・ベン・サレムについてのネット情報を見て、映画よりもさらに衝撃だった。

 「マリア~」同様、女性の描き方にファスビンダーの個性を見た気がしていたのだけれども、どうやらそれはちょっと違うかもしれない、、、と、イロイロ考えさせられる事後情報である。このブログでも何度か書いていることだけど、作品と監督の人間性は切り離して考えるべきだと思うけれども、切り離せない部分があるとも思うわけで、、、まあ、結論は出ない。

 ファスビンダーという人、まだまだようわからん、、、というのが3作を見たところでの率直な感想かな。好き嫌いで言えば、まあ、嫌いじゃない、、、、といったところか。好きと手放しで言えないのは確か。

 

 

 

★★ランキング参加中★★

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

メーサーロシュ・マールタ監督特集 @シネマカリテ

2023-06-25 | 映画雑感

 映画友が教えてくれた特集。日本ではほとんど名前を知られていない監督とのことで、私も今回初めて知りました。監督の経歴は、特集公式HPをご覧いただきたいのですが、ハンガリーに生まれて孤児となり、ソ連で養父母に育てられるという、、、それだけでのけぞりそうな生い立ちなのですが、今回見た2本の映画は、その生い立ちとは切っても切り離せない作品となっていたと感じます。

 ほかにも見たい作品があったのだけど、時間切れ、、、。また特集企画してくれないかしら。そうしたら、今回見そびれた3作見に行きたいです。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆アダプション/ある母と娘の記録(1975年)

作品情報⇒https://meszarosmarta-feature.com/#program

 《あらすじ》 43歳のカタは工場勤務の未亡人。彼女は既婚者と不倫関係にある。カタは子どもが欲しいのだが、愛人は一向に聞き入れない。とある日カタは、寄宿学校で生活するアンナと出会い、彼女の面倒を見ることにした。次第にふたりは奇妙な友情を育んでいく。

~上記リンクよりコピペ~

 何とも不思議な人間関係にフォーカスした作品。子供を欲しがっている中年女性が、偶然知り合ったアンナという近所の女子学生と親しくなっていくのだが、アンナはその両親に愛されていないという設定。お互い、家族愛に飢えている者同士。

 が、このアンナ、そもそもカタと知り合ったのは、アンナが彼氏との逢瀬を楽しむ場所として、カタの部屋を貸してくれ、と言って来たのがきっかけで、カタの家の一部屋で彼氏とセックスしているのである。で、コトが終わると、2人でカタに挨拶して帰って行くという、何とも珍妙な関係性である。終盤でアンナはその彼氏と結婚するけど、その結婚式はやや不穏で、彼らの将来に暗雲が垂れ込めていることを暗示している。

 ……という具合に、全編、やや暗いし、ラストシーンはカタの念願かなって養子を引き受けて自宅へ帰る場面なのだが、それもあまりハッピーな感じではないのである。

 家族愛を渇望しているのは、当の監督本人であろうと思うが、決して、家族を美化しておらず、むしろ突き放したような描写は、やはり家族の持つ欺瞞性にも切り込んでいるとも見える。

 アンナも一見トンデモ女子学生なんだが、性根の悪い子ではなく、カタの不倫相手も身勝手ではあるけれど、悪人とも言い切れない。本作に出てくる人たちは、基本、みんな特に悪人ではない、普通の人々である。それでも、人と人との関りはままならぬ、、、ということが描かれているのだと感じた次第。 

 技術的なことは分からないが、75年にこのテーマか、、、と、少し驚きはある。当時の東欧の人々はこれをどう見たのだろうか。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆ふたりの女、ひとつの宿命(1980年)

作品情報⇒https://meszarosmarta-feature.com/#program

 《あらすじ》 1936年。ユダヤ人のイレーンは、裕福な友人・スィルヴィアからある相談を持ち掛けられる。スィルヴィアは不妊に悩んでおり、イレーンに自身の夫との間で子どもをつくってほしいと言う。そうして生まれた子どもに莫大な財産の相続が約束されたのだが、彼らの関係は悪化の一途をたどる。その頃世界ではファシズムが台頭し……。

~上記リンクよりコピペ~

 若きユペール様の出演作、ということで見た次第。

 不妊、代理出産、、、という単語、80年当時の、少なくとも日本ではほとんど表で口にされることはなかったと思う。私はまだガキんちょだったから知らなかっただけかもだけど。今でもそうなのだから、当時はなおさら、子を産まない女に対する世間の風当たりは強かったのだろうが、それにしても、夫に他の女とセックスさせてまで子を持つって、ほとんど強迫観念だよな、、、と思って見ていた。

 自分のエゴで赤の他人に夫の子どもを産ませておいて、その女性に夫が心を許したからといって激しく嫉妬し、果ては恨むという、、、仕方ないような気もするが、ユペール演ずるイレーンにしてみれば理不尽極まりない。

 イレーンは、最終的に、ユダヤ人であることを密告されて拘束され、連行されるシーンで終わる。なんか、終盤で一気に別の映画になった感じもある。

 ユペールが若くて可愛らしかったけど、全般にちょっと退屈だった。ストーリー的にも、ユペールが出ていなければ見ようと思わなかっただろうから仕方ないのか、、、。

 まだまだ、知らないけれど良作を撮っている監督っていっぱいいるんだろうなぁ。こういう特集、どんどん企画してほしいものです。

 

 

 

★★ランキング参加中★★

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近見た映画あれこれ③

2023-03-26 | 映画雑感

 最近流行り(?)の“推し”ですが。

 実は、私も昨年から“推し”ができまして、、、うふふ。あ、イケメンとかではありません。私の推しは女性です。……で、本日(いや昨日か)も“推し活”して来ました! 私の推しは、期待を決して裏切らないのです。もう、素晴らしい。近々、記事に書くかも知れません(書く気マンマンなのだが、行動が伴わない)。

 それにしても、推しがいると、日々の生活に楽しみが出来て良いですね。私の場合は、実にささやかな推し活ですが。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語(2019年)

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv70243/

 《あらすじ》 19世紀のアメリカ。母になる夢を持つ長女メグ、音楽が好きな三女ベス、画家に憧れる四女エイミーら個性豊かな姉妹とともに育った次女ジョーは、小説家として自立すべく執筆に励んでいた。近所に住む資産家の一人息子で幼なじみのローリーと互いに惹かれ合い、ある日ジョーは彼からプロポーズされる。だが、結婚したら小説家になる夢が消えると思ったジョーは、彼のプロポーズを断ってしまう。 

~上記リンクよりコピペ~

 公開時に話題になっていたけど、あまりそそられなかったので、劇場までは行く気にはならなかった。そそられなかった理由は、主演がシアーシャ・ローナンであることや、グレタ・ガーウィグ監督作であることなどもあるけど、フェミ界隈からもかなり絶賛するコメントがTwitterで流れて来ていて、ちょっと引いてしまった、、、ってのがある。でも、話題になったから一応見ておこうかな、というミーハー好奇心により、DVD借りて見ました。

 なるほど、ラストにひねりがあるわけね、、、と。あとは、ローリーをティモシー・シャラメが演じているのも、本作が話題になった大きな要素の一つかもね。

 まあでも、、、申し訳ないけど、(本作が好きな方々、ごめんなさい)ふ~ん、、、でしかなかったのだった。

 本作内でのジョーのあの結婚の拒否り方はちょっと異様に見えた。確かに、女性の自立、、、は、21世紀になった今でもまだまだ課題なわけだが、自分の考えに固執し過ぎて、柔軟性を欠く生き様は、あんまり見ていて感心しない。ま、ローリーもあんなに熱心に(一生ものの愛だとかなんだとか言ってなかった?)ジョーにプロポーズしたのに、数年後、あっさりその妹と結婚しちゃうのを見ると、頑として拒否したのは正解だったのだと思うけどさ。

 で、監督のグレタ・ガーウィグは、現代性を持たせるためにラストをパラレルワールドに描いたわけだが、そのアイデアは面白いと思うが、そもそも何で今さら「若草物語」なんだ、という気もするしね。そういう意味では、先日見た「めぐりあう時間たち」の方が私は好きだなぁ、、、と感じた次第。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆若草物語(1994年)

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv10931/

 《あらすじ》 名作「若草物語」の4度目の映画化。戦地に赴いた父が不在のマーチ家で、母のもとで暮らす四人の姉妹。物語は彼女達のときめき、戸惑い、夢に生きる毎日、そしてやがてそれぞれの人生に翻弄されてゆく姿を、叙情的に、かつ新鮮に描いてゆく。

TUTAYAの作品紹介よりコピペ~

 上記の「ストーリー~」を見た後、原作に忠実と言われている本作を見て、見比べてみようと思ったのでDVDを借りて見た。

 「ストーリー~」でシアーシャ・ローナンが演じていたジョーを、こちらはウィノナ・ライダーが演じている。私は、ウィノナがまあまあ好きなので、こっちのジョーの方が好きかな。演技の良し悪しではなく。

 本作は極めてオーソドックスな作りで、「ストーリー~」のような時系列の行き来はない(もちろん、「ストーリー~」には意図があってそうしていたわけだが)。だから、見ていて分かりやすいけれど、まあ、こちらも見終わっての感想は、ふ~ん、、、だったなぁ。

 4姉妹モノでは「高慢と偏見」があるけど、私はBBCドラマ版の「高慢と偏見」の方が、今回見た「若草物語」2作より断然好きだなあ。

 なぜか。

 まあ、主人公のキャラの違いかな。「高慢~」のエリザベスは、ジョーみたいに女の自立など考えていなさそうだが、自己主張はちゃんとできるし、芯は強い。私は、恋愛を描いているドラマでは、好きな人のことを好きだとちゃんと認識して正直に行動できる人が好きなんだと思う。ジョーみたいに、自身のポリシーに固執して、好きな気持ちを封印しようとするのは嫌いなんだな、多分。

 恋愛に限らず、人との出会いは貴重だ。ましてや、恋愛で、自分が好きだと思っている相手も、自分を好きでいてくれることなど、まあ言ってみれば奇跡に近い話である。そんな、人生で一度あるかないかの事態に直面し、自分の気持ちに正直に行動しない人間の心理が、私には理解できないのだ。

 これは正解のない話だから、別に、ジョー式の生き方でも良いけど、私はゼンゼン共感できないわ、ってこと。なので、そもそも『若草物語』を好きになれないのだと思う。ローリーもローリーだしね。若い頃の恋愛なんてそんなもん、、、と言えばそれまでだが、言葉が軽すぎて信用できん男だ。

 話戻って、本作ではベアをガブリエル・バーンが演じていて、ウィノナといかにも釣り合わない気がしたのだが、、、。親子と言っても良いくらいの年齢差では?? 「ストーリー~」のルイ・ガレルの方が良かった。ガブリエル・バーンは好きな俳優だけど。

 まあ、見比べてはみたものの、あまり大した感想はなかった、、、ということでした。すみません。

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近見た映画あれこれ②

2023-03-20 | 映画雑感

 先月、5年半(!)使用したスマホを遂に変えました。バッテリーがもうどうしようもなくなりまして。あと、docomoのユーザーを25年続けて来たんですが、ヘヴィユーザーに何の恩恵もない殿様商売っぷりに、正直愛想を尽かしたってのもあり、格安スマホに乗り換えました。

 すると、、、何ということでしょう!! 月額、約5,000円(!!)もお安くなりました。ちなみに機種はiPhoneのまま(6s→SE第三世代)です。さらば、ボッタクリdocomoよ~~、サヨウナラ!

 んで、iPhoneはだいぶ前の機種からイヤフォンジャックがなくなって、仕方がないのでワイヤレスイヤフォンをクレカのポイントで交換しました。Bose Sport Earbuds。いや~~(ダジャレではありません)、マジで、素晴らしいです。高音から低音までクリアで、特に低音の響きがgoo。私が聴くのはほぼクラシック(たまに、明菜とかみゆきも、、、あゝ昭和)なので、低音がダメだとホントにガックシなんですが、これはアタリです。しかも、ポイントで交換したので、ちょっと得した気分ですね。きっと、もっと高性能なイヤフォンはあるんでしょうけど、値も張るだろうし、私にはこれで十二分でございます。

 というわけで、最近見た映画のまとめ感想第2弾。邦画2本でございます(ネタバレしていますので、よろしくお願いします)


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆流浪の月(2022年)

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv74413/

 《あらすじ》 雨の夕方の公園で出会った、19歳大学生の佐伯文と10歳の家内更紗。引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗の意向を汲んで、文は自分の家で更紗を2か月間かくまうことに。しかし、文は更紗を誘拐した罪で逮捕されてしまう。秘密を誰にも打ち明けられず、“被害女児”とその“加害者”という烙印を押されて15年の月日を過ごした2人は再会を果たす。 

~上記リンクよりコピペ~

 昨年公開時に話題になっていたときに、ほんのちょっぴり劇場まで行こうか、、、という気になったものの、結局行かなかった。行かなかった理由は、原作があんまり好きな話だと思えなかったから。何だかんだと読ませる小説ではあったのだけど。好みの問題ですね。で、DVD化されたので借りて見た次第。

 まあ、邦画にしては完成度は高い方だと感じたけど、やっぱし、ストーリーがどうもね、、、という感じで、1本の記事として感想を書くには至らなかった。

 もう、原作を読んで大分経っているので、小説の内容はほとんど記憶から抜け落ちているんだが、私が原作に対してイマイチだと感じたのは更紗に好感を持てなかったから。ハッキリしない、フニャフニャした感じがちょっと気持ち悪いな、と。特異な環境で育ったことが、彼女の人格形成に大きく影響したのは分かるが、一方でヘンにしたたかでもあり、ああいう風にナヨナヨと柳のように生きなければ生きて来られなかったんだろう、、、というのを差し引いても、やっぱりちょっと気味が悪い。

 一番違和感を抱いたのは、自分が文の人生を大きく変えてしまった原因であると知っていて、世間が事件を忘れた後になって、自分からまた文に近づいて行ったこと。そんなことをすれば、文がどうなるか、少し考えれば分かるだろ、って。文に対して贖罪の気持ちがあるのなら、あんな軽率なことはできないよなぁ、、、と。頭が相当悪いか、自分のことしか考えていないか、、、何か知らんが、とにかく、更紗という女性が、私には気持ち悪い存在にしか感じられなかった。

 それは、映画でもやっぱり同じで、広瀬すずちゃんは可愛いけど、更紗は嫌いだ。ああいう女性がヘンな男ばっかり吸い寄せてしまうの、全然気の毒と思えない。ルイトモでしょ。

 とはいえ、更紗と文は、この世で、お互いが“この人でなければならない”という関係になるのであり、まあ、究極のイタいカップルである。2人は今後は外国で暮らせばいいんじゃない?と思ったんですが。小児性愛者の烙印を押された文は、どの国でも入国お断りかしらね。まあ、フィクションだからマジメに気にする必要もないけどさ。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆花束みたいな恋をした(2021年)

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv70752/

 《あらすじ》 大学生の山音麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)は、東京・京王線の明大前駅で終電を逃したことから偶然出会う。音楽や映画の趣味がほぼ一緒で、二人は瞬く間に恋に落ち、大学卒業後フリーターをしながら同棲を始める。お気に入りのベーカリーを見つけ、猫を拾い二人で名前をつけ、渋谷のパルコが閉店し、長年続いた番組が最終回を迎えても、二人は日々の現状維持を目標に就職活動を続けるが……。

~上記リンクよりコピペ~

 雑誌だったか新聞だったかの評が褒めていたのと、やたらTSUTAYAがオススメしてくるので、ウザいからポチッてしまって見た次第。

 いやもう、、、「流浪の月」を見た後にコレを見ると、どんだけノー天気なんだよ、コイツら、、、とちょっと頭引っ叩きたくなるね。勝手にやってろよ、って。

 本作の脚本は、ドラマ「カルテット」の脚本を書いた坂元裕二なんだが、私、「東京ラブストーリー」は好きだけど「カルテット」はまるでダメだったので、本作も、どうかなぁ、、、と心配していた。……ら、思いっきり予感的中。

 2人の関係性を描くのに、本やら映画やら音楽やらを多用し、そこに共通性があることで2人が一気に盛り上がるという筋書きなんだが、それ、人物を描いたことになってないからね、言っとくけど。確かに、どんな本を読んでいるか、どんな映画や音楽が好きかは、その人の人となりを知る一助にはなるが、それ以上でもそれ以下でもない。だから何だ?って話。

 こういうので、2人があっという間に惹かれ合うのも分かる~、、、とか、まあ、若い子たちが共感するのはアリだと思うが、プロの評論家までがそうでは、ちょっと大丈夫か?と思うわ。

 ……という感じで、感想文を書くには至らなかった次第であります。あとはお察しください。悪口しか書けないんですよ、要するに。

 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近見た映画あれこれ①

2023-03-18 | 映画雑感

 このブログでは、原則として1本の映画について1本の記事、としているのですが、映画によっては1本の記事にするまでもないと感じるものがあったり、1本書けそうだけどメンドクサイと思っちゃったり、、、。まあ、要するに、最近結構見ている割には書くペースが追い付かないのには、時間的な問題もあるけど、気持ち的にどうもね、、、ってのが大きいんですよね。

 でもせっかく見たので、自分用に、見たときに何を感じたのかくらいはメモっておきたいというのもあり、今回から3回に分けて記録しておきます。今回は3本。あとの2回は、邦画2本、外国映画2本の予定。ネタバレしているので、よろしくお願いします。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆蛇の穴(1948年)

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv8053/

 《あらすじ》 精神病院に入院し、担当医の努力で快方に向かったある女性ヴァージニア(オリヴィア・デ・ハヴィランド)。しかし、嫉妬した看護師によって凶暴な患者ばかりを収容する雑居房に入られてしまい……。 

~TSUTAYA紹介ページよりコピペ(青字は筆者加筆)~

 これは、映画友がオススメしてくれたので昨年末に見たのだが、何かあんましピンと来なかったので、結局記事にできなかった。

 精神疾患を抱えるヴァージニアを演ずるオリヴィア・デ・ハヴィランドは熱演で、なかなか挑戦的な内容の作品だとは思うが、デ・ハヴィランドが熱演過ぎて、ちょっと私にはついていけなかった。まあ、怖い、、、というのとは違うが、あんまし“映画を鑑賞する”という気分になれないというか。

 精神病院が舞台の映画は「カッコーの巣の上で」があるが、「カッコー~」も私は苦手で、、、。「まぼろしの市街戦」は、唯一、精神病院が重要な舞台装置になっている映画で好きな作品かも知れない。精神病院のシビアな現実をリアルに描かれても、私には受けとめ切れないのだと思う。

 ラストは救いがあるし、「カッコー~」よりは毒のない作品だとは思うが、あまり人にオススメしたくなる映画でないことは確か。デ・ハヴィランドのファンにとっても、ちょっと微妙かも知れない。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆秘密の森の、その向こう(2021年)

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv77852/

 《あらすじ》 8歳のネリー(ジョセフィーヌ・サンス)は両親と共に、森の中にぽつんと佇む祖母の家を訪れる。祖母が亡くなり、母(ニナ・ミュリス)が少女時代を過ごしたこの家を整理することになったのだ。だが、何を見ても思い出に胸をしめつけられる母は、突然ひとり家から出て行ってしまう。残されたネリーは、かつて母が遊んだ森を探索するうちに、自分と同じ年の少女(ガブリエル・サンス)と出会う。母と同じ名“マリオン”と名乗るその少女の家に招かれるネリーだったが、そこは、祖母の家であった……。

~上記リンクよりコピペ~

 「燃ゆる女の肖像」のセリーヌ・シアマ監督作品。早稲田松竹で、「スペンサー ダイアナの決意」と2本立てで、「スペンサー~」は半分くらい寝てしてしまった(でも大体の内容は分かっちゃう映画だった)んだが、本作はなかなか興味深く見た。

 上記あらすじからも分かる様に、ネリーが森で会った少女は、幼い頃の自分の母親だった、、、というお話。2人の少女はリアルでは姉妹だそうだが、双子かと思うくらいにソックリで、とっても愛らしい。

 自身の親の若い頃に出会うという話は、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」とかでもあるし、さほど珍しい設定ではないけれども、女三代の微妙な関係性がファンタジーな設定によって見事に投影されていて、巧みなシナリオに感心した。

 とはいえ、ネリーの母マリオンの心象風景を、ネリーの目を通して描いているだけに終始しているので、まあ、ヤマなしオチなしではある。そういう映画も嫌いじゃないから良いのだが、何というか、感想をグダグダ書きたくなる“何か”がなかったんだよなぁ。マリオンが、急に出て行っちゃうのもイマイチ??だし。少女マリオンと会わなくなったら、母マリオンが帰って来て、母と娘のハグ、、、みたいな感じで終わり、正直、ふ~ん、、、という感じしか抱けなかった。

 まあでも、もう一度、時間が経ったらDVDとかで見てみても良いかな、とは思う。そうすると、また感じ方も違うような気がする、そんな映画だった。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


◆対峙(2021年)

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv79520/ 

 《あらすじ》 アメリカの高校で、生徒による銃乱射事件が発生する。多くの生徒が殺され、犯人の少年も校内で自ら命を絶った。6年後、ジェイ(ジェイソン・アイザックス)とゲイル(マーサ・プリンプトン)の夫妻はいまだに息子の死を受け入れられず、事件の背景にどういう真実があったのか、何か予兆はなかったのかという思いを募らせていた。夫妻はセラピストの勧めで、加害者の両親であるリチャード(リード・バーニー)とリンダ(アン・ダウド)に会って話をする機会を得る。教会の奥の小さな個室で、立会人もなく顔を合わせた4人はぎこちなく挨拶を交わす。そして、ゲイルの「息子さんについて何もかも話してください」という言葉から、誰も結末が予測できない対話が始まる……。

~上記リンクよりコピペ~

 本作は、チラシを見て気になったのと、新聞の評を読んで、まあ見ておこうかな、、、くらいの気持ちで劇場まで見に行った。

 上記のあらすじにあるとおり、被害者と加害者の双方の親同士の対話、ということで、当然、終始深刻である。意外に、加害者の親が普通な感じで接していて、、、つまり、過剰に謝罪や反省の言葉を口にすることなく、「息子は思いやりのある良い子だった」という感じのことを普通に言っていた。

 本作について記事にしなかったというより、できなかったと言った方が正しい。劇場で見ている間も、安易に感想なんか書けないな、、、と思いながら見ていた。というのも、正直なところ、どちらの側の言っていることにも、あんまり気持ちが寄り添えなかったというか、ハッキリ言っちゃえば「分からない」のだった。

 あんまし「経験してないから分からないよ」とか安易に言うのは嫌いなんだが、こればっかりは、どうもリアルに想像するのが難しい。憤りや後悔や哀しさは、想像はできるが、それは通り一遍の想像でしかなく、リアルには感じられない気がする。そんなんで、感想なんか1本の記事として書きようがないよなぁ、、、と。

 また、信仰を持っているか否かも大きく影響すると感じた。この“対峙”が設定された場所は教会なんだが、その場所にそもそも意味付けがされている。これも、前述と同じで、想像はできるけど、信仰を持たない者にしてみればリアルには「分からない」のである、神の存在を信じてすがる、という感覚が。

 あと、これは会話劇なので、字幕を追うのがなかなかキツい。これは、DVDが出たら吹き替えでもう一度見た方が分かる部分も多いかな、、、という気がしている。もう一度見る気になれば、の話だけど。

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『キャンディ・キャンディ』に思う[6]

2022-03-20 | 映画雑感

絶望を生きる男 ~テリィとニューランド~ ②

関連映画:『エイジ・オブ・イノセンス』(1993)

 

 この記事では、マンガ『キャンディ・キャンディ』についての勝手な思いを書いています。『小説キャンディ・キャンディFINAL STORY』の“あのひと”が誰かを考察する趣旨では全くありません。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


>>>>[5]からの続き


 そもそも、あんな重量のある照明が落ちてくるのをかばうなど、身の危険どころか、下手すりゃ即死。テリィをゲットするための策だとしても、自分が死んでしまったら意味がない。あの瞬間、スザナに、打算や下心などがあったと考えるのは悪意に過ぎる。

 死の危険など頭になく、とっさに身体が反応するほど、テリィはスザナにとって大切な人だったということ。そりゃ、テリィじゃなきゃスザナはあんなことしませんよ、当然です。愛していたからこその脊髄反射だったということ。

 自殺未遂騒動にしたって、もう精神状態が普通じゃなかったんだと思うのだが。あの時、キャンディがスザナを見つけなければ、多分、本当に彼女は飛び降りて死んでいたに違いない。自殺を行動に移してしまうときの精神状態は、やはりちょっと尋常ではないと思う。

 しかし、それでもアンチ・スザナ派の理屈はシビア極まる。本当にテリィを愛しているのなら、たとえ脚を切断しようが、テリィを解放してあげる(そしてキャンディと幸せになるよう送り出す)のが筋であると。それが本当の愛だと。てめぇが勝手にかばっただけで、それを切り札に狂言自殺までしてテリィを縛り付けるとは、トンデモ女だと。

 そういうことを言っている人たちに聞いてみたい。自分が片脚を失い、女優の仕事を失い、その上、テリィを笑顔でキャンディの下へと送り出せるのか、と。

 私がスザナだったら、やっぱりノーではないかと思う。そこまで過酷な現実は、少なくともあの時点(テリィとキャンディが別離を選択した時)ではムリだ、私には。

 あの時のスザナにとっては、現実にテリィの身体が自分の目に見えるところ、手の届くところに居てくれることが何よりも大事だったのでは。現実の生活では、実体は観念に勝るということ、、、、だろう。身体的な喪失をしていることで、より、身体的な実在を求めたんだと思う。そらそうでしょう、舞台女優になるのが夢だった人が、脚を失って舞台に立てなくなったのだから。テリィの身体がそこにあれば、心ここにあらずでも良い、と思っても不思議ではない。それくらい、テリィの実体・実在は自身の存在に不可欠だったのだ。

 でも、テリィは、スザナの病室の窓から、去っていくキャンディの後姿をひたすら見送っていて、それを傍らでスザナは目の当たりにしている。いくらテリィの存在が不可欠とはいえ、私がスザナだったら、その状況はかなりツラい。だって、目の前で最愛の人は、別の最愛の人の後姿を胸が張り裂けそうになるのを隠して涙をこらえて、ただただ見送っているのだ。スザナはテリィに「いまからでもまだまにあってよ。おってらしても……いいのよ」と言うが、そう言わざるを得ないほどにテリィの姿は悲壮感に包まれていたのでしょ。

 アンチ・スザナ派の神経を逆撫でするのは、さらに続くスザナのセリフ「あたし……あたしのわがままであなたをくるしめたくない」ってやつかもね。これが、あざといと。そんな気ないくせに、物分かり良さそうなことポーズで言いやがって、、、と。まあでも、これくらい言うでしょ。そんな悲壮感漂わせているテリィの姿をまざまざと見せつけられたら。私だって言うよ、たとえポーズだと自覚していてもね。

 そうして、テリィに「おれはえらんだんだ……きみを」と言わせているのがさらに彼らには気に入らないのだ。言質取ったと。小賢しいと。こうテリィに言わせた後のスザナは、涙を流しながら微笑みを浮かべているし。その笑みは何だよ、と。

 許してあげてよ、それくらい。スザナの失ったものの大きさを考えてあげてほしい。


◆現実を生きる。

 それに引き換えると、メイは、具体的には何も失っていないのだ。それどころか、確実に欲しいものを手に入れていく。

 メイは、ありとあらゆる策を巡らせてニューランドの動きを封じたけど、もし、メイがスザナの立場に置かれたら、スザナがテリィをかばったようには、メイはニューランドを捨て身で助けることはしなかっただろうと思う。メイの場合、ニューランドのことを確かに愛していただろうが、むしろ、恋敵であるエレンに対する意地とプライドがかなり作用していた印象を受ける。メイとエレンの関係(従姉妹同士)は、スザナとキャンディよりよほど近いし親密だ。

 スザナに比べれば、メイの方がよほど人間としては怖いと思う。ニューランドがメイから逃げようとしても逃げられなかったのは、やっぱり道理だ。

 考えてみれば、“物理的に一緒に暮らす”ってのは最強なんである。相手によっては、それで自分に愛情を抱いてくれることだってあり得るのだ。離れている方が思いが募る、、、というのも一理あるが、去る者日々に疎しともいい、こっちの方が現実的には多いんじゃないかしらん。

 いや、別に自分に愛情を抱いてくれなくたって良いのよね、メイは。

 現実を生きることの重み、これだよね、メイがこだわったのは。どんなに熱烈に思ったって、離れ離れでいるのなら、それって空想や妄想とどう違うの? 会えない相手は死んでいるのも同じこと、、、と。たとえ、相手の気持ちが自分になくても、自分との日々の生活の積み重ねは確実に存在し、それが、現実の相手の人生を形成し、自分は相手の人生の一部に確実になる、ということ。

 これって、究極的には「そんなに愛って大事?」と問われているような気がするのよね。大体、愛って何? 近くにいることで湧く情だって、愛じゃないのか? ってね。

 実際、メイとニューランドの間には子供もできて、家族愛はあったわけだし。これぞまさに、現実を生きた証ではないか。


◆愛する、ということ。

 それにしても、体は自分の隣にはいるけれど、心は別の女性のところに完全に行っちゃっている状態の人と一緒にいる精神状態って、どーなのかねぇ? 

 スザナはともかく、メイは、ちょっと私には理解できん。私がメイなら、その状況はしんど過ぎる。いくら、側にいてくれさえすれば良い、と思ったって、時には空しくなることもあるだろう。

 メイの場合、ニューランドとの間に子供が2人いたから、子供の世話で紛れる、、、というものかしら。NYの社交界のお付き合いも忙しそうだしねぇ。四六時中、100%ニューランドに目も心も向いていたわけではないのだろうが。

 テリィもニューランドも、本当に愛する女性と一緒になっていたら幸せな人生が続いていた、、、という保証はどこにもないし、そうならない可能性だって十分ある。

 以前の記事で書いた『小説キャンディ・キャンディFINAL STORY』の影響で、『キャンディ・キャンディ』の二次創作がネットには溢れているけれど、私はテリィ派のものしか目にしていないが、大抵は、テリィがいつまでも“キャンディ一筋”という展開になっているのよね。まあ、テリィのキャラから言って、器用に浮気とかできるタイプではないとは思うが、浮気しなくたって、夫婦で一緒に何年も過ごしていたら、互いの感情に波があるのはアタリマエなわけで、、、。

 ニューランドの場合は、エレンの事情が複雑すぎるので、かなり難しい状況かも知れぬ。

 愛していても、一緒に暮らすには合わない2人、、、ってのもあるだろうし。そういう意味では、メイとニューランドは、どうにかこうにか一緒に暮らし続けたわけで、メイはきっと色々ニューランドに気を使っていたに違いない。テリィとスザナは、、、、全く合わなさそうではあるな、確かに。だからと言って、キャンディと合うかというと、それもちょっとビミョーな気もするが。テリィは誰とであれ、一緒に暮らすのはかなり難しい性格だと思うわ。

 テリィやニューランドの身になってみると、自分の人生を、自分が愛せない人間に絡め取られるなんて、絶望でしかない。2人の美しい男たちは、そうして絶望を生きていたのだなぁ、、、としみじみと思うのでありました。

 愛する、って何なのかねぇ、、、。エーリッヒ・フロムでも久々に読んでみるか。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

エミール・クストリッツァ監督のこと

2022-03-15 | 映画雑感

 ロシアが(というか、プーチンが)ウクライナ侵攻に踏み切った。今日までの状況を見ると、これは長引くのかも、、、という嫌な予感がしている。

 西側があれこれ制裁をしていて、それはもちろん、当然の策だと思うが、芸術の分野も煽りを喰らっており、ゲルギエフはあちこちからポストを解任されてロシアに凱旋(半ば英雄扱いされているらしい)、ソヒエフも複数ポストを辞任した。バレエにも影響が及んでいるというし、、、、というか、影響を受けていないジャンルはないだろう。

 そんな中で、私が個人的に結構ショックだったのが、映画監督のクストリッツァがあちら側に行ってしまったことだった。

 村山章氏という映画ライターの方(私は今回のニュースを見るまで存じ上げなかったが)のツイートが流れてきて知ったのだが、映画監督のエミール・クストリッツァがロシア陸軍劇場のディレクターに就任したという。

 ドイツ語の記事なので、翻訳機能で読んだからイマイチ把握しにくいが、どうやらガセネタではないようだ。

 私にとっては、彼が95年に発表した映画『アンダーグラウンド』マイ・ベスト5である。初めて劇場で見たときの衝撃と感動は、今でも到底忘れられない。その後、DVDも買って何度も見たし、リバイバル上映にも2度行った。そして、何度見ても、やはり感動するし、心を揺さぶられる。こんな映画を撮る人、というだけで“凄い人”認定をしていた。

 実際、彼のほかの映画も(好みが分かれるとは思うが)秀作が多く、何より、その全てに貫かれているのは「人生賛歌」である。どんなに悲惨な現実であれ、生きること、その時間の積み重ねである人生は素晴らしい! という、その作風が私は好きだった。

 彼の作品は好きだったが、彼自身の追っ掛けはしていなかったのだが、私の映画友は彼の熱心なファンで、彼女が言うには、クストリッツァは、数年前から露骨に「プーチン大好き」と公言するようになっていたらしく、彼女は「でも、プーチンの強烈なキャラに惹かれているだけだと思っていた」のだそうだ。

 そうとはつゆ知らず、私は今回のこの記事にかなりの衝撃を受けた。映画友もショックを受けていた。クリミア併合でもロシアを支持していたとこの記事で知り、これはただのプーチンファンではないのだと、今さらながら思い知った。

 私が見た彼の映画は、いずれも“反戦映画”だった。けれど、それは私の誤解だったのかも知れない。

 思えば、『アンダーグラウンド』のラストシーンも、決して平和を願っている象徴的なシーンとは言えないのではないか。今までそうだと思い込んで見ていたから反戦映画に見えたけれど、あれは、彼の歪んだ祖国愛の表れだったのかも知れない。クロの最後のセリフ「許す、でも忘れない」に、それは象徴されているということか、、、。

 前述の村山氏のTwitter(リンクは貼りませんので、ご興味ある方は検索してください)で、関連のスレッドを拝読すると、「クストリッツァにはセルビア人としてコソボ紛争で空爆を行ったNATOへの怒りがあり、実際NATOの出した条件はユーゴのNATO軍の駐留と治外法権という主権国家を蹂躙するもので、NATOとロシアがウクライナにやってることのどこが違うのかという考え方」だそうで、「セルビアと協調するのはロシアしかないという過去の経緯があった」というのが、クストリッツァの立ち位置らしい。

 『アンダーグラウンド』などの映画を撮っているからといって、クストリッツァ=反戦論者=ヒューマニスト=非暴力主義、などという公式は、日本人の勝手な連想ゲームに過ぎなかったということなのだろう。村山氏も「そもそも武力行使を否定してる国や民族は少ない」と書いているとおり、この辺はやはり日本人だからこその誤解だったのかも知れないと思うに至っている。

 私の部屋には、『アンダーグラウンド』のポスターが目立つところに飾ってある。そのポスターにはクストリッツァの名前もデカデカと書いてある。正直なところ、今はこのポスターを外す気にはならないが、今後のウクライナ情勢やロシア(というかプーチン)の出方、もちろん、クストリッツァ自身の動向次第では、私の中では封印する映画になるのかも知れない、、、という気もしないではない。

 それとこれは別。そうも思う。『アンダーグラウンド』から30年近く経っており、人ひとりの思考が丸ごと変わってしまうのには十分な年月であることを思えば、映画は映画として愛し続けても良いと思いたい。

 今は、自分でもまだ結論が出ないが、少なくとも、今までと同じ気持ちで彼の映画に向き合えなくなることだけは確かである。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする