★★★★★★☆☆☆☆
ヒッチコック作品、あんまり見たことないんですけれども、BSでオンエアしていたので録画して見てみることにしました(ちなみにリンク先のあらすじには、作品の前半が全く書かれておりません)。
なるほど、、、これは不気味な映画ですねぇ。怖いというより、気味が悪い。確かに、鳥って、あまりにも数が多く集まると脅威を感じますもんね。メラニーが校庭をバックにたばこを吸う間に、ジャングルジムにカラスが1羽、また1羽と増えていく様の気味の悪さと言ったらありません。
しかし、本作は、もの凄く前振りの長い作品で、しかも、その前振りがなんというか、かなり違和感があります。メラニーがあんまし賢い女に描かれていない(もっと言っちゃえばおバカ女に描かれている)ように感じたのは私だけ? だって、よく知りもしない男にラブバード2羽を鳥かごに入れて届けに行くんですよ? しかも、ボートにまで乗って・・・。おまけに父上は新聞社を経営するお嬢で、仕事もしているんだかいないんだかよく分からない、もの凄い美人だけとパープリン女にしか見えないわけです。ところが、鳥の襲撃第一弾があって後、メラニーは急に賢い・・・、というか勇敢な女(少なくともパープリンには見えない)に描かれていきます。
ほかにも気になったのは、ミッチの母親リディアの描写。彼女のメラニーに向けるまなざしは非常に陰険で悪意がこもっているのだけれども、メラニーが鳥の襲撃を受け意識を失うというかなりのダメージを受けた後、急に優しくなるのです。そもそも、ミッチに対し子離れできていない様子がアリアリのこの母親は、ミッチの妹である自分の娘キャシーでさえ守る気概がなく、メラニーがキャシーを守り抜くという展開なのも異様。このメラニーとリディアの関係性の描き方は、もの凄く意地が悪い・・・。だって、ズタボロになって命の危機にさらされてようやく、リディアはメラニーを息子の愛する女性として受け入れるんですよ。ズタボロにならなきゃダメだったわけです、この母親にとって、息子の彼女は。ぎょえ~、こわ。
これらの要素だけでも、ヒッチコックってのは、恐ろしく女性にモテなかった、絶望的にコンプレックスを抱いたオッサンだったことが推測できてしまいます。映画監督としての才能は、確かに並はずれたものがあったに違いないけれど、人間としてはヒジョーにイヤらしい人だったに違いない、と、思っちゃいますねぇ。クリエイターってのは、その作品に、モロ性格出ますから・・・。モノを書くってことは恥をかくことだ、とはよく言われますけれど、ものを書くことに限らず、ですよ。図らずも、いや、開き直ってかも知れないけれど、ヒッチコックは自分の捻くれまくったオヤジ根性を世に晒した訳ですね、惜しげもなく。
本作における「鳥」は、ヒッチコック自身だと思いましたね。彼が大の鳥嫌いだった、というのだから余計そう思います。・・・つまり、世間(特に美女)に復讐してやりたい、みたいな潜在意識。まあ、コンプレックスは創造力の源ですから、一概に悪いとは言いませんけど、、、。ぞぞっ(鳥肌)。