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ミズダコの子ども。死んだ魚にとりついで食べている。約1cmの大きさ。
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サケの孵化した子ども
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ミズダコの雌は、餌を取らずに半年間守り抜いてきた卵が孵化し始めると同時に、崩れ落ちて死ぬ。
これは体内にあらかじめセットされていたプログラムが、眼腺(optic gland)によって起動するためである。
眼腺を切断し、死のプログラムを起動させなければ、餌も食べ、死なないという。(別の死のプログラムでやがては死ぬ。)
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サケが生まれた川に戻ってきて産卵後死ぬことは、よく知られている。
疲れ果てて死ぬのではなく、ミズダコと同じように、産卵によって死のプログラムが起動するのだろう。
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特殊な例と考えるかもしれないが、人間の遺伝子にも、老化と死のプログラムが書き込まれている。
DNAにはテロメアと呼ばれる部分があり、細胞が分裂するたびに短くなっていき、ある回数で細胞分裂は終了する。そして、死を迎えることになる。
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老化と死のプログラムを含まない遺伝子だと、なにか不都合があったのだろうか。
死のプログラムが組み込まれていなかったとすれば、短い時間のあとに、生物数が増えすぎて共倒れになるし、また、分裂を繰り返す回数が多くなれば、DNAの誤複製が蓄積されてくる。
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しかし、その心配をしたのは誰だろう。神か、それともDNAか。
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