kmitoh 春夏秋冬

水生生物雑記帳・男鹿半島幻想・接写と拡大写真

漂流瓶(ひょうりゅうびん)(5)

2020-03-11 11:16:32 | 霞んだ光景


 「さすらい者」とか「流れ者」などは、漂流瓶そのものだろう。
映画などから、具体的になにを運んでいるかは、前回(4)から想像がつくはずだ。

 「生物は遺伝子の乗り物」と述べたドーキンスは、「ミーム」という言葉ももちいている。
「ミーム」は遺伝子と似ていて、人から人へと伝達し、増殖していく文化情報のことである。

 「流れ者」たちは、生物情報とともに、文化情報も運んでいるのだ。


 次の歌を聴きながら絵を作った。
 
夕日は落ちて
 歌    緑咲香澄(一番好き)
 作詞  久保田宵二
 作曲  江口夜詩

 荒野(あれの)の涯てに 日は落ちて
 遥かまたたく 一つ星
 故郷(ふるさと)捨てた 旅ゆえに
 愛しの黒馬(あお)よ 淋しかろ

 七つの丘も 越えたれど
 湖(うみ)のほとりも さまよえど
 朝霧夜霧 暮れの鐘
 優しきものは 風ばかり

 夕日は落ちて 黄昏(たそがれ)を
 今日もとぼとぼ 旅烏(たびがらす)
 恋しき君よ 思い出よ
 いつの日幸福(さち)は めぐるやら

 名もなき花も 青春(はる)を知り
 山の小鳥も 歌を知る
 何故(なにゆえ)悲し 人の子は
 荒野(あれの)の涯の 雲を見る

 休めよ黒馬(あお)よ 今しばし
 月が出たとて 匂うとて
 恋しの人が 待つじゃなし
 頼むはせめて そち一人

 どんな背景を歌っているのかわからないが、
私には、「なぜか」万葉歌人大伴家持(おおとものやかもち)が
秋田城に向かうときの「気持ち」に思えた。


使用3Dフリーソフト
 Blender 2.82
 makeHuman 1.1.1
 trueSpace


コメント (2)

漂流瓶(ひょうりゅうびん)(4)

2020-03-06 13:55:47 | 霞んだ光景


 生物学者、リチャード・ドーキンスは、著書「遺伝子の川」で、
生物の個体は遺伝子が次の世代に旅するための乗り物にすぎない、と述べている。

 だとすれば、漂流瓶は人間の体であり、届ける情報は遺伝子といえる。
そう、遺伝子は自分の複製を増すために利己的なのだ。


使用3Dフリーソフト
Blender 2.82
makeHuman 1.1.1


コメント (2)

漂流瓶(ひょうりゅうびん)(3)

2020-03-05 15:31:36 | 霞んだ光景


 見知らぬ人への手紙の代わりに、人が入っていくこともあった。
 それを補陀落渡海(ふだらくとかい)とよんだ。

 インド南端の海岸にある観音が住むという八角形の補陀落山(ぶだらくせん)に
つくことを願って、ごく小さな舟で漂流を始める。
 舟には小さな帆があったが、飾りでしかなかったろうし、渡海僧が
入った箱は外から釘づけにされたりもした。

 小さな帆で北風を受け南へ漂流するのは、
北上する強い黒潮の流れにはばまれ不可能だったはずだし、
渡海僧もわかっていたに違いない。


備考
 主な漂流元は熊野地方に多かった。
 渡海は868年に始まり、1722年まで続いた。
 写真で見る補陀落舟には、鳥居(とりい)が描かれているのはなぜかな。
 
参照
 補陀落-海の果て 東野光生
 補陀落渡海記 井上靖

使用フリー3Dソフト
  Blender 2.82
  makeHuman 1.1.1


コメント (2)

漂流瓶(ひょうりゅうびん)(2)

2020-03-03 21:08:40 | 霞んだ光景


 まだ見ぬ世界の人に、メッセージを届けるのが漂流瓶とすれば、
宇宙船ボイジャーもそうである。

 ボイジャー1号と2号は、1977年に打ち上げられ、異星人に向けたメッセージを積んでいる。
いまも1号・2号とも地球から遠ざかり続け、
1号はこのブログを書いている時点で地球から148.6天文単位離れている。
つまり、太陽と地球の間の距離の148.6倍離れたところを、秒速17kmで飛んでいる。
2号は少し遅れている。

 メッセージの中には、男女のシルエットが収められているが、
宇宙人に届いたころには、人間の姿も進化または退化して変わっているにちがいない。
あるいは、いなくなっているかもしれない。


備考
 ボイジャー(Voyager)の意味
   航海者。とくに世界の知られていないところに航海する人。

 現在のボイジャーの情報

 ボイジャーの3DモデルはNASA提供

 3Dフリーソフト  Blender 2.82 使用
コメント

漂流瓶(ひょうりゅうびん)(1)

2020-03-02 10:34:07 | 境界


 別名、海流瓶(かいりゅうびん)
 海に流し、拾った人に、中に入れたハガキにその場所・日時を書いて送り返してもらい、海流調査をする。

 それとは別に、見知らぬ人と友達になりたいと流したりもする。
 そのとき、入れた手紙に、「私はXX歳の男性です」と書いてはいけない。
拾ってもらえるのが何十年あとになるかもしれないのだから。

 いまは、インターネットが漂流瓶の役割をしているし、
金さえあれば実際に行くこともできる。
 
備考
 内容がわかるような透明な瓶でないと拾ってもらえないが、
絵のような一升徳利(いっしょうとっくり)でも、漂着物を集めている「磯乞食(いそこじき)」と
呼ばれる人は拾うかもしれない。
 私は一度だけ、朝鮮半島から流れてきた漂流瓶を拾い、手紙を出したことがある。


使用フリーソフト
 3Dソフト Blender 2.82


コメント (2)