ケイコサンと、横浜駅で待ち合わせ。
久し振りの繁華街。平素は横浜の田舎暮らしだから、いっつもオノボリサン。
「レイコサン」の声で、ハッと我に帰るありさま。
行過ぎる人々を、ポケーッと見てたのよ。
「フ~~ン」。
季節が交錯する時の、人々の恰好は面白い。
まだ袖なしの洋服と、今年はやった、やたら爪先がとがったサンダルの人もいれば、
モコモコダウンに縁取られたフード付きジャケット、足元は、ブーツ、なんて子もいる。
けれど、全体的には相変わらず、押さえた色。クロが基調の、シックな色合いが、行き交う。
ケイコサンのお洋服も、クロ、足元もクロ。
色白ケイコサンには、映える。長い指先は、オレンジがかった色のマニキュア。
いつもどこかで工事の横浜駅を、彼女にくっついて、地下から地上に。
「キンコハシ」のレリーフがかかった、橋を渡るとき、
「この川って、例のタマちゃんがいたそれ?」
「あちらに流れる川にはいたらしいですけど、ここはどうなんでしょう」
「そういえば、久しぶりにこの前、タマちゃんの話をTVでしてたわね」
歩いている所は、私は初めての道(どこへ行っても殆ど初めてなんだけど)。
2人が向かう先は、若者達がいっぱいいる所。
「もう、ここへはかなりなお金を納めたわね、息子達の希望で」とある予備校。
「30分経過したら、退出してもかまいません」
そうして、最初にそこから出た人は私。きっちり30分で退出よ。
「ウ~~、終った~~!」
一応、メリハリをつけるため、先生からのお勧めがあった事と、何よりも、
知的刺激を求めてのなりゆき。
居直っていたはずの、こういう状態に、すくむことなんてない私が、
大事なものを忘れた事に、電車に乗って気付いた体たらく。
引き返えす時間はない。すぐ諦めて、次の展開に身を置くしかない、に到達。
ジタバタは、しないけれど、今日の出来事が、プレッシャーになっていたら
しいのが気に入らなかったのよ。
「こんなことが、プレッシャーだったの?情けない」ってね。
「カンパ~イ!終ったわねぇ。第一弾が」私。
「エ~~!もういいわ」ケイコサン。
ビールにつく枕言葉「とりあえず」で、ジョッキをカチッ!
「なあに、質問は丁寧だけど、答えるほうは、かなりザツだったわよねぇ?」
「ええ、消去法ですよ、もう」
いろ~んなお料理を並べて、今日の出来事についてのアレコレ。
そのうち、お嬢さんが戴いてきた「ミドリガメ」の話になって、やっぱり
つがいにしたいけど、雌雄は素人じゃわからない。それから、昔のボーイフレ
ンドが「パナマ人」だった。今にして思えば、彼の言葉はスペイン語だった。
「惜しかったわね」
「12月に、スペイン旅行が決まっちゃったのですよ」
「あら、良かったじゃない。今年のお正月に行けなくて、パリになったのです
もの。それはそれで良かったみたいだけど。ところでモロッコは?」
「一緒に行こうって言ってた友人が、さあ、行くわよ、だったのですが、そん
なに仕事も休めないし、待ってて~、ってお願いしちゃいました」
「そう、レイコサン聞いて!会社に67,8才っていう女性がいるんですけど、
社長の奥さんとの話で、会社のまわりにマンションが建つっていうので、ぐるり、
更地になってるんですよ。その風景を見て、2人で『東京大空襲の時みたいねぇ。
見通しが良くて』ですよ。そして、その女の人が、『踏み切りで事故があって』
って。いつの話だと思います?そのあとが『女学生の頃』って、続くのですよ。
もう、その2人が話してる所へは、近づかないようにしてます。だって、いつの
時代にいるのう?で、変になりそうなんですもの」
「今日のためにお勉強しなきゃ、って頭ではわかるんだけど、手にするのは
あなたからお借りした『心の砕ける音』や、司馬遼の本よ」
「あれは面白いですよ。最後がいいんですよ。私も、レイコサンからお借り
した本を手にしたら、まずいって。今日が済んだら、にしてるんですけど、
ほかの本に手が伸びちゃうんですよねぇ。でも、結果が悪かったら、その理由
になるじゃありませんか」
「だって、しっかりお勉強した訳じゃないから、って?フフフ大丈夫よ、あなたなら」
「とりあえず」から、チューハイへ移行して、またまた、日本の大人の女性に、
色香がないのはなぜなのかしら?って、いつもの重要テーマよ。
「触れなば落ちん」か、「女?さあどこかへ行っちゃいました」かですものねぇ。
そして、話応えのない殿方達。相変わらず、仕事の話か、自分だけわかる趣味話。
ケイコサンは、間口の広い方なのよ。だから、私は退屈しない、近頃じゃ稀有なお人。
今日は2人で、ある試験を受けに行ったの。忘れたものは受験票。免許証の提示で、
事なきを得たけれど。こんなことは初めてよ。プレッシャー(緊張)なんかじゃなく、
ただの老化現象? ン・・・ほっといてよ!
立ち会ってた試験官は、白髪交じりのナイスミドル。 muy guapo だったわ。
少しセクシーで。ああじゃなきゃねえ、男も女も。日本人じゃないわよ。
ヒヒオヤジはいても、セクシーミドルなんていないものねえ。
頑張れ、日本人の男達!よ。
久し振りの繁華街。平素は横浜の田舎暮らしだから、いっつもオノボリサン。
「レイコサン」の声で、ハッと我に帰るありさま。
行過ぎる人々を、ポケーッと見てたのよ。
「フ~~ン」。
季節が交錯する時の、人々の恰好は面白い。
まだ袖なしの洋服と、今年はやった、やたら爪先がとがったサンダルの人もいれば、
モコモコダウンに縁取られたフード付きジャケット、足元は、ブーツ、なんて子もいる。
けれど、全体的には相変わらず、押さえた色。クロが基調の、シックな色合いが、行き交う。
ケイコサンのお洋服も、クロ、足元もクロ。
色白ケイコサンには、映える。長い指先は、オレンジがかった色のマニキュア。
いつもどこかで工事の横浜駅を、彼女にくっついて、地下から地上に。
「キンコハシ」のレリーフがかかった、橋を渡るとき、
「この川って、例のタマちゃんがいたそれ?」
「あちらに流れる川にはいたらしいですけど、ここはどうなんでしょう」
「そういえば、久しぶりにこの前、タマちゃんの話をTVでしてたわね」
歩いている所は、私は初めての道(どこへ行っても殆ど初めてなんだけど)。
2人が向かう先は、若者達がいっぱいいる所。
「もう、ここへはかなりなお金を納めたわね、息子達の希望で」とある予備校。
「30分経過したら、退出してもかまいません」
そうして、最初にそこから出た人は私。きっちり30分で退出よ。
「ウ~~、終った~~!」
一応、メリハリをつけるため、先生からのお勧めがあった事と、何よりも、
知的刺激を求めてのなりゆき。
居直っていたはずの、こういう状態に、すくむことなんてない私が、
大事なものを忘れた事に、電車に乗って気付いた体たらく。
引き返えす時間はない。すぐ諦めて、次の展開に身を置くしかない、に到達。
ジタバタは、しないけれど、今日の出来事が、プレッシャーになっていたら
しいのが気に入らなかったのよ。
「こんなことが、プレッシャーだったの?情けない」ってね。
「カンパ~イ!終ったわねぇ。第一弾が」私。
「エ~~!もういいわ」ケイコサン。
ビールにつく枕言葉「とりあえず」で、ジョッキをカチッ!
「なあに、質問は丁寧だけど、答えるほうは、かなりザツだったわよねぇ?」
「ええ、消去法ですよ、もう」
いろ~んなお料理を並べて、今日の出来事についてのアレコレ。
そのうち、お嬢さんが戴いてきた「ミドリガメ」の話になって、やっぱり
つがいにしたいけど、雌雄は素人じゃわからない。それから、昔のボーイフレ
ンドが「パナマ人」だった。今にして思えば、彼の言葉はスペイン語だった。
「惜しかったわね」
「12月に、スペイン旅行が決まっちゃったのですよ」
「あら、良かったじゃない。今年のお正月に行けなくて、パリになったのです
もの。それはそれで良かったみたいだけど。ところでモロッコは?」
「一緒に行こうって言ってた友人が、さあ、行くわよ、だったのですが、そん
なに仕事も休めないし、待ってて~、ってお願いしちゃいました」
「そう、レイコサン聞いて!会社に67,8才っていう女性がいるんですけど、
社長の奥さんとの話で、会社のまわりにマンションが建つっていうので、ぐるり、
更地になってるんですよ。その風景を見て、2人で『東京大空襲の時みたいねぇ。
見通しが良くて』ですよ。そして、その女の人が、『踏み切りで事故があって』
って。いつの話だと思います?そのあとが『女学生の頃』って、続くのですよ。
もう、その2人が話してる所へは、近づかないようにしてます。だって、いつの
時代にいるのう?で、変になりそうなんですもの」
「今日のためにお勉強しなきゃ、って頭ではわかるんだけど、手にするのは
あなたからお借りした『心の砕ける音』や、司馬遼の本よ」
「あれは面白いですよ。最後がいいんですよ。私も、レイコサンからお借り
した本を手にしたら、まずいって。今日が済んだら、にしてるんですけど、
ほかの本に手が伸びちゃうんですよねぇ。でも、結果が悪かったら、その理由
になるじゃありませんか」
「だって、しっかりお勉強した訳じゃないから、って?フフフ大丈夫よ、あなたなら」
「とりあえず」から、チューハイへ移行して、またまた、日本の大人の女性に、
色香がないのはなぜなのかしら?って、いつもの重要テーマよ。
「触れなば落ちん」か、「女?さあどこかへ行っちゃいました」かですものねぇ。
そして、話応えのない殿方達。相変わらず、仕事の話か、自分だけわかる趣味話。
ケイコサンは、間口の広い方なのよ。だから、私は退屈しない、近頃じゃ稀有なお人。
今日は2人で、ある試験を受けに行ったの。忘れたものは受験票。免許証の提示で、
事なきを得たけれど。こんなことは初めてよ。プレッシャー(緊張)なんかじゃなく、
ただの老化現象? ン・・・ほっといてよ!
立ち会ってた試験官は、白髪交じりのナイスミドル。 muy guapo だったわ。
少しセクシーで。ああじゃなきゃねえ、男も女も。日本人じゃないわよ。
ヒヒオヤジはいても、セクシーミドルなんていないものねえ。
頑張れ、日本人の男達!よ。