ミクロもマクロも

心理カウンセラーが気ままに書き続ける当たり前

今夜は豚汁

2004-10-28 11:34:24 | Weblog
当分食べられそうもない、いつものお野菜達。
嬉しくない記録破りの今年の台風の置き土産。けれど、どうにか根菜は安定ね。
それらを素材に、お話を。

 練馬、三浦、桜島、聖護院。今では圧倒的支持を誇る青首が日本中を席巻。なんのこ
とかって、大根のことよ。かつての各産地の特徴ある大根はすっかり影をひそめた。
関東に住んでいても、練馬大根なんて、どんな形と味がしたかも知らない。三浦大根が
かろうじて年の暮れの1週間くらい見るだけ。我が故郷の桜島大根なんて、もう何十年
もお目にかかってない。聖護院大根は、千枚漬け専門のイメージ。

秋刀魚にかならずついていた大根おろしは辛かった。秋刀魚の身の旨さに腸の苦さと大
根おろしの辛さに、柑橘果汁の酸味が季節を運んできてくれた遠い日々。
今では何でもソフトになって、辛さ、苦さを敬遠。アク抜きしないで使える青首大根は、
日本の大根を凌駕してしまった。それでいいのかしら。

 寿命はグーンと延び、2000年の歴史を誇る日本の、便利この上ない世の中になっ
て生きてゆくことが最もたやすくなってきたこの時代に、人々は簡単便利への飽くこと
のない追求をなぜ急ぐのか。子どもの頃は親から「早くしなさい!」と、言われ続け、
学校に行けば、教師の立場、いや都合から、皆と同じスピードを要求され、「早いこと
はいいことだ」と、強くインプットされておとなになれば、ブロイラーのごとく、
あるいは人間のためのフォアグラ(ガチョウの肝臓)提出のみに育てられるガチョウの
ごとく、テーブルにつけば「お待ちどうさま!」と、たいして待ってもいないのに、
またたくまに餌が出される。
あれを食事というか。 言わない。
私は、餌の供給に頬をほころばさない。
そこは、本屋の帰りに寄る所。いっときも早く読みたい衝動にかられて。最近は、それ
も我慢するようにしてるわ。

やっぱりあれは、餌以外の何物でもないわね、私から見れば。まあ、分類上で言えば、
人間は動物だし、哺乳類とくれば餌でもいいのかもしれないけれど、調理できる手を持
ってるし、世界中の料理を口にすることができる、幸せな日本に住んでいるのだから、
それに、とても重要なこととして、寿命が延びて、時間がいっぱいあるという世界一長
命民族として、その上、微妙な味の違いがわかる素晴らしい国の人として、なんで急い
で餌を口にしなきゃいけないのかって、思うのよ。

スーパーやコンビニのレジで、防腐剤・発色剤・粘着剤などなど、添加物が入っている
お惣菜やお弁当を買っている人を見ると、すぐ食べられるという理由から買うのでしょ
う、って思うわよね。じゃ、やっぱり餌だわ。餌からは幸せは生まれない。
「人を育てる」ってことには「食事」が大きく関わるのよ。
家庭料理は毎回微妙に味が変わってしまうこともあるけれど、「ン、これでいいかな」
って、味見しながら、これが大切なのよ。調理中は、家族の顔が心の中に居て、その家
族のめいめいの口にお料理が運ばれる。
そこに作った人の手作業(切る・刻む・まぜる・こねる、おなべで煮込む、フライパン
で炒める、揚げる、器に盛り付けるなどの一連の動き)が、思いの動きだってことなの。
家族のために、「おいしい」って言ってくれるかしら、と期待しながら作る。
「おいしい」って、言ってくれたときの、作った側の嬉しさ。
食事は、食材を通しての、思いのキャッチボール。
これがファーストフードやら、出来合いのお惣菜にはない。マニュアル通りに作られた
ものや、作り手の顔が見えない、あるいは商売としての料理には、家族と言う、本来利
害関係のない間柄に生まれる温かい交流は生まれない。

どんなに高い餌を与えて、親が子どもを養ったとしても、育ててはいないということを、
肝に銘じ、決してお金では育てられないことを、知らなくていけない。
「手間暇かけて」は、お料理にピッタリの言葉だけど、お料理のことだけではないのよ。
何事もなのよ。

そして、マクドナルドの藤田社長(もう、故人)がいみじくも言ってらした。
「人間の味覚は10歳頃までに決まるのですわ。だから、それまでにいっぱいハンバー
ガーを食べてもらいたい」って。これは示唆に富んだ言葉。

早くやら、急いでやらは意味を持たない。あるいは、そこから波及する害の方が多く、
大きいかもね。
 車でいつも通り過ぎている、いつもの知った道を、車を使わずに歩いてみると、この
道のことは何にも知らなかったって事に、気がつくわ。
「犬がいた」、「小さな子がいた」、「お年寄がいた」、「体の不自由な人がいて、車椅子に
乗ってた」、「小さなお花が咲いていた」等、新しい道が出現するわ。
今の私達は、知ってたけれど、知らない色んな新しい道を見つけなきゃいけないような、気がするわね。

ここで突然豚汁。(トン汁、ブタ汁 )材料+作り方。ただし分量は書かないわ。だっ
ていつも勘を頼りの家庭料理人だし、『くれない族』の脳味噌に働く場を提供よ。
だって、とんでもない材料・調味料なんか使わないのですもの。混ぜ合わせたらどんな味?
想像力を働かせるのよ!

 豚肉・・・・・(国産・輸入肉お好きなものを)
        薄切り肉(こまぎれでも、今流行りの切落としでも可)を、小さく切
        って、存在をしっかり味わいたい人は、大きめに切る。
 大根・・・・・(出ました、青首大根。それ以外の大根は、お米のとぎ汁で、ゆでて
        おく)皮を厚めにむいて、縦十文字に切る。切り口を見ると、なんと
        なくイチョウの葉のような形になったでしょう。これをはじから2~
        3ミリの厚さに切る。これが「いちょう切り」です。
 里芋・・・・・水道の水をチョロチョロ出しながら、その下で厚く皮をむく。
        このお芋は、ヌルヌルして、皮についている泥が、むいている傍から
        身につくのよ。だから、お水の下で皮をむくと、汚れない。
        大きければ縦半分にして、横から、これも2~3ミリの厚さに切る。
        これは「半月切り」です。
 人参・・・・・皮むき器(これは必需品)で、軽くサッサと薄く皮をむく。
        これも2~3ミリの半月切りにします。あるいはいちょう切りに。
 ごぼう・・・・(かつてのイギリス人捕虜が未だに怒ってる食材)
        先の戦争で、日本の捕虜になったとき、食事に木の根が出た。
        これは虐待だった。って、いわくつきの食材。だけど、今じゃ
        第6の栄養素って言われる、食物繊維の宝庫。
        包丁の背で、これもお水を出しながら、その下でこさぐ。
        美しい白い肌が出てくる。これをまな板の上に平行に置き、ごぼうを左
        手で押さえ、まわしながら右手の包丁は、ごぼうに斜めになるように当
        てながら、そぎ切る。上達したら、空中で切ることができる。これが
        「ささがき」と言われる切り方。

    ※ 里芋とごぼうは、お酢をたらしたお水に放す。里芋のぬめりと
      ごぼうのアク(煮汁が黒くなる)を抜くためです。
 
 こんにゃく・・これは入れても入れなくてもいいけれど、あった方がいい。
       手で小さくちぎる。さっとゆでてからと、言われるけど、私はしないわ。

 ねぎ・・・・・関東葱でも青葱でも可。端から薄く小さく切る。「小口切り」

{作り方}深めのお鍋を火にかけ、ゴマ油を鍋肌一体にまわしながら入れ、うっすら煙
が出てきたら、豚肉を入れます。これがすぐ鍋肌にくっつくので木ベらで(なければ木
のおしゃもじ。我が家もこれ)で素早くまぜ、色が変わってきたら、おねぎ以外の材料を
一気に入れます。ようく混ぜて、なんとなく飽きてきたら(?)お鍋の8分目位、お水を
入れます。ここまで強火。グツグツ煮てるウチに、変なものがプクプク浮かんでくるから、
これをおたまですくい取ります。いわゆるアク取りです(今回のは、豚肉から出る血)。
ここからがお味噌汁と違うところ。お味噌汁は、お味噌を入れて沸騰させたら味がガクンと
落ちるけれど、豚汁は煮立ったところへ、お味噌とホンの少々のお砂糖を入れます。少し濃
厚な味にします。この時の火加減は、とろ火(極小炎)で、じっくり煮ます。お椀によそって、
お葱を散らし、ちょっと生姜なんかを入れてもいいわね。生姜は体を温めると言われてるわ。
豚肉の代わりに、鶏肉。お味噌の代わりにお醤油。・・・けんちん汁になります。

時間を、ゆっくり遣う人って、何が「豊か」かを知ってる人。
アレンジができる人は、脳味噌を遣っている人だから、ボケにくいわよ。

食べさせてもらう事が得意な人は、貧しい人よ。何が?ご自分で考えて!


  ☆ 本日の言葉・・・「いちょう切り」「半月切り」「ささがき」「小口切り」