一般に農園には樹木の発生や植樹は行わないものである。どんな耕作者でも注意深く避けるのが通例だが、無論、例外の事態も想定される。列挙してみると、①果樹畑の場合、②地権者の意思と選択、③耕作放棄地の場合、等々であろうか。我々が留意してるのが③の事例で、自然発生しないように管理を強めている。雑草の発生から原野へと変わり、何時の間にか雑木の発生となるのは、僅か数年の時間によるものだ。耕作地が山へと帰るのは、それこそアッという間のヤカンの沸騰みたいなものである。心して管理しなければならないのだが、現状は厳しく各地に荒れ果てた元農地が点在するのはご存じのとおりだ。
我々が関与している農地も、引き受けたときは荒れ果てた状態だった。雑木の発生までには至って無かったが、放置され背丈近くの雑草だらけで、地主氏も諦めの状況だった。時間を掛けコツコツと復活してきたのだが・・・・・。農園には3軒の農家が地権者として存在しておられる。そのうちの1軒が子狸の関わる農地の地主氏だ。時折来訪されるが、常に複数の集団で何方が正規の地権者なのか判別がつかない。それはまあ良いのだが、時々苗木を持参して農地の片隅に植え込まれる事例があるのだ。②の事態で、地権者の意思だからやむを得ないが、農地としては疑義を抱くようなケースである。
樹木の存在は、やがて根が張り耕土を破壊する。従って一端樹木を植え込むと元の耕地に戻すのはすこぶるやっかいだ。多大な時間と労力を要するだろう。地権者に耕作の意図は無い模様で、一時的な興味と関心からの植え込みかと推察される。我々が関与できなくなった時、後継者が現れてくれたらベターだが、地主氏への返還となると原野から山地への復帰が想像され警戒している。
今回も何時の間にかキンカンやヒイラギを植え込まれた模様で、苗木の存在があった。上述のように地権者の選択と意思に基づくものだから否定はしないが、将来展望の下に長期戦で関与して頂きたいものと願うばかりである。我が国の食糧自給率は?・・・・・などとは申しますまい。食糧危機の発生も想像される昨今、極めて困難な時期かと思えるのだが。