徒然刀剣日記

刀剣修復工房の作品・修復実績と刀剣文化活動のご紹介

巨星おつ

2010-04-05 16:06:20 | 拵工作
週末、昨年よりご依頼いただいている短刀の拵製作中(お客様へ:毎回お待たせしてしまい申し訳ございません!別件の大刀の柄巻きは完了しています・・・)、偶然にも大磯郷土資料館にて永山光幹先生の企画展が開催されていることを知り、居ても立ってもいられず、早速車を走らせた。

お客様ごめんなさい!

当該企画展は、今年の2月から継続的に行っていたらしく、私が知った日はなんと最終日だったのです。

私が大阪で刀剣修行をしていた時、何から何までお世話になった研師の藤城先生からは、何度も永山光幹先生のことを伺っていたので、もしかしたらご本人にお会いできるのではないか?という淡い期待に胸躍らせながら、高速をひた走った。

藤城先生がご存命であったなら、どれほどうらやましがることだろうか。

渋滞の影響もさほど受けずに、大磯郷土資料館へ到着。
閉館まで後2時間。
焦る気持ちを抑えながら、企画展示室へと急ぐ。

駐車場の管理人からは、研ぎの実演は終わっている旨を伺っていたものの、私が会場に足を踏み入れた時には、数名の研師さんが舟にのって作業を行っていた。

久しぶりに目にする研師の研ぎ姿、ふとした仕草に先生の姿が重なり、目頭が熱くなる。

一通り展示品を拝見し、記帳コーナーに目を向けると、永山光幹先生訃報の掲示に目がとまった。

結局、永山先生にお会いすることは出来なかった。

きっと素晴らしい人格者だったのでしょう。
お弟子さんたちの礼儀正しさや仕事の進め方から、その人徳が忍ばれます。

そんな中、恐らく同年代の職人さんお二人と、お話しする機会がありました。
お一人はお名刺をいただく機会に恵まれず、名前を記憶できなかったのが非常に残念!
どこかでお会いしたら、今度こそ捕まえてゆっくり話をしたいと思います。
もう一方は、なんと人間国宝の某先生のお孫さんでした。

よくよく見れば、観覧者と思っていた人々のほとんど全てが門弟の研師さんでした。
尊敬する先生方とお会いできる機会に恵まれ、大満足の一日でした。

永山光幹先生のご冥福をお祈りいたします。
なお、この期に、私の師匠の様に一切表に出ず、仕事に徹した職人たちが居ることも、皆様に知っていただけましたら幸いです。