日本刀の柄前を工作していると、常に苦渋の選択を迫られます。
その最たるものは柄成です。柄成は、最終的な使用感に大きな影響を及ぼすので、繊細な加工が要求されます。
例えば、試し斬り用等の実戦重視のお刀の場合、製作段階でどうしても形稽古用と違った視点に意識が向かってしまう傾向があります。
居合等の形稽古用のお刀は、下地の故障よりも先に柄糸がほつれてきます。そのため、できるだけ柄糸に負担がかからない様な柄成を心掛けて工作しますし、刃筋を意識できるような柄成に仕上げてしまう傾向があります。
下地の選択でも、急制動時の負担が大きいナカゴの峰側に注意を払い、峰側の木目をよんで力学的な力の逃げ場を考えます。
それに比べ、抜刀や試し斬り用の拵えは下地への負担が大きく、特に試斬体を捕らえた時の力のベクトルがナカゴの刃側に集中する傾向があるので、下地選びの段階から木材を厳選しなければなりません。
本来、必要以上の力が加われば、刀身に問題が発生する前に柄が破損して力を逃がす仕組みになっているのですが、大戦中に従軍した先輩職人などに指導を仰ぐと、どうしても『強度の補強に頭を絞り、機能性を追及する』必要があるとご教示いただくことになります。
そのため美的センスと使用感、実戦力を同居させるのが非常に難しく、私自身いまだに答えが出ていません。
拵師のセンスとは、上記の点に関し、どこに重きを置くかだと思います。
そういう意味では、使い手の方からの要望が一番重要かもしれませんね。
観賞用なのか、形稽古用なのか、はたまた実戦用なのかで、工作方針が変わってしまうというのは、ただ単に私の腕が未熟なだけということは言うまでもありませんが…。
江戸時代以前の拵師にはまだまだ追いつくことができません。
私の未熟な腕を当時の職人が見たら、大目玉を食らいそうです。
その最たるものは柄成です。柄成は、最終的な使用感に大きな影響を及ぼすので、繊細な加工が要求されます。
例えば、試し斬り用等の実戦重視のお刀の場合、製作段階でどうしても形稽古用と違った視点に意識が向かってしまう傾向があります。
居合等の形稽古用のお刀は、下地の故障よりも先に柄糸がほつれてきます。そのため、できるだけ柄糸に負担がかからない様な柄成を心掛けて工作しますし、刃筋を意識できるような柄成に仕上げてしまう傾向があります。
下地の選択でも、急制動時の負担が大きいナカゴの峰側に注意を払い、峰側の木目をよんで力学的な力の逃げ場を考えます。
それに比べ、抜刀や試し斬り用の拵えは下地への負担が大きく、特に試斬体を捕らえた時の力のベクトルがナカゴの刃側に集中する傾向があるので、下地選びの段階から木材を厳選しなければなりません。
本来、必要以上の力が加われば、刀身に問題が発生する前に柄が破損して力を逃がす仕組みになっているのですが、大戦中に従軍した先輩職人などに指導を仰ぐと、どうしても『強度の補強に頭を絞り、機能性を追及する』必要があるとご教示いただくことになります。
そのため美的センスと使用感、実戦力を同居させるのが非常に難しく、私自身いまだに答えが出ていません。
拵師のセンスとは、上記の点に関し、どこに重きを置くかだと思います。
そういう意味では、使い手の方からの要望が一番重要かもしれませんね。
観賞用なのか、形稽古用なのか、はたまた実戦用なのかで、工作方針が変わってしまうというのは、ただ単に私の腕が未熟なだけということは言うまでもありませんが…。
江戸時代以前の拵師にはまだまだ追いつくことができません。
私の未熟な腕を当時の職人が見たら、大目玉を食らいそうです。