徒然刀剣日記

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鮫皮

2012-02-13 00:31:53 | 拵工作
鮫皮には、いろいろな種類があります。また、各種類ごとにも個々の違いがあります。
通常の?親鮫が一つの鮫皮では、サイズが大きければ大きいほど珍重されることは言うまでもありませんが、必ずしも大きいばかりが重要ではありません。
粒の配置や並び方なども重要な鑑賞ポイントなのです。



今回用いた鮫皮は、親鮫こそさほど大きなものではありませんが、粒が親鮫の周りを九曜紋のように取り囲んでおり、見れば見るほど美しいカタチをしています。
鮫皮の美しさは、自然の産物であり、まさに偶然が生み出した『天然の美』と言えます。

当該柄前では、実用を考えて鮫皮の補強を施す予定です。
鮫皮に黒漆を塗りこみ、強度を強めます。
これは、武道に使われるお刀ですので、実用を考えた工作です。

ちなみに、鮫皮は白が基本と思われがちですが、初期の打刀拵では、ほとんどの鮫皮を漆で固めています。
白い鮫皮にこだわるのは、江戸期に入り武士階級が戦いを知らなくなってからなのです。

過去の鮫皮関連記事
「鮫着せ」(2012年01月20日)
「制作中の拵え」(2010年12月25日)