徒然刀剣日記

刀剣修復工房の作品・修復実績と刀剣文化活動のご紹介

拵えのアフターケアと用途変更

2015-12-21 01:28:42 | 拵工作
当工房でお作りした柄前の修理です。
以前の完成時の投稿はこちら(柄前新規作成(居合向け大刀編))



思う存分ご愛用頂き、修復で戻ってきた時のうれしさと言ったら言葉では表現できません!
アフターケアの都度、ご依頼者様の要望は増えていくのが当然ですが、私自身もご要望にお応えする度に、更新させて頂くような心持ちになります。



今回はただ修復を施すのではなく、私と持ち主にしか分からないような微妙な、それでいて重要な調整を施します。これは、使用用途が若干変更になったことに起因する些細な修正なのですが、この違いを補整できるかできないかがプロとアマチュアの境目だと思います。詳細はこちら(用途を想定した柄前の調整)

ちなみに、同時進行で白鞘の調整も実施しました。
詳細はこちら→白鞘の修復(その1)白鞘の修復(その2)



非常に短期間で、ここまで柄糸が劣化するほどの使用頻度というのは、武道家の鑑です。



過酷な条件下での使用により、鮫皮にも異変が現れていました。一度バラバラに分解して、理想のセッティングに再構成します。
修復時の鮫皮に関する投稿はこちら(鮫皮の厚み)



諸捻りから諸摘みへ。
修復中の投稿はこちら(用途変更に伴う柄前の調整)



納品時のご依頼者様の笑顔が忘れられません。
今年もあとわずか、妥協せずに最後の最後まで頑張ります!