時代拵えの掟を踏襲して作り上げたお刀が完成しました!
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日本刀には、時代・地域・作者などによって、様々な種類があります。
中でも慶長時代以前に作刀された刀身は、政情の不安定や街道の不整備によって、材料・技術・考え方に至るまで地域毎に独自の発展を遂げたと考えられます。
また、刀身に様々な種類があるのと同様に、外装に関しても数えきれない程の様式や掟が存在します。
それら様々な種類の中で、一つ大きな違いを挙げるならば、美意識とでも言うべき武家のモノに対する考え方があります。
武家の美意識を、最も形に表現することが出来る身近な道具というと、衣類や甲冑・刀剣類といった身にまとうモノです。
特に、私は刀剣の外装に、各時代・所有者の嗜好・各々の美意識が反映していると考えています。
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今回お作りした拵えは、天正時代の典型的な拵えの掟に従って作り上げた、通称「天正拵」と呼ばれる外装です。
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お客様に刀身と刀装具(柄縁・鍔・目貫・小柄・笄)をご用意頂き、他の部品(柄頭・時代切羽の加工・栗型・返り角・コジリ)は当工房にて1から製作しました。柄巻きは、鹿皮を厳選し最も強固に仕上がるものを取り寄せました。
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鮫皮には、漆を何重にも塗り重ね独特の色合いを作りました。
この技法は、拭きうるしなどと言い、この度の拵え様式が流行した天正時代頃にも頻繁に用いられた塗り方です。強度が増すことで強靭な中にも色の深みが現れることが特徴です。
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刀身は、大磨り上げ風の茎にゴロンとした肉置きからドッシリとしたバランスのため、若干柄前の形状を厚めに仕上げてバランス取りを図りました。
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この度の外装の最大の特徴は、鞘の両サイドに設置されたポケットです。それぞれの櫃穴には、小柄・笄(こうがい)が収まるように作られています。天正鞘とご用意頂いた笄の時代が違うことによる形状の不一致で、若干笄が飛び出して見えますが、鞘の掟を優先しました。
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小柄は、ちょっとやそっとでは飛び出さないように硬めに固定しました。よく本歌の拵えで、小柄がグラグラになっているものを拝見しますが、本来はガッチリと固定されています。
日常的に帯びる刀ですから、小柄がスルスルと飛び出る様なことがあっては、大怪我の元です。
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この時代の鞘塗りは、本来は花塗りであっただろうと考えています。
そのため、炭研ぎを最小限にして、温かみのある光沢に留めました。
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返り角の設置は、武道用途での使用では邪魔になることが多く、工作も難しいことから、今日の拵えではあまり取り付けることがありませんが、観賞用の外装ではポピュラーな工作です。
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両櫃を備えた鞘といえども、長時間帯刀した状態でも身体に負担がかからない様に、形状を計算して工作する必要があります。
この度の工作では、時代拵えの掟を踏襲しつつ、実用の美を表現し、かつ鑑賞に堪えられる目的で製作したことが、最大の特徴です。
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日本刀には、時代・地域・作者などによって、様々な種類があります。
中でも慶長時代以前に作刀された刀身は、政情の不安定や街道の不整備によって、材料・技術・考え方に至るまで地域毎に独自の発展を遂げたと考えられます。
また、刀身に様々な種類があるのと同様に、外装に関しても数えきれない程の様式や掟が存在します。
それら様々な種類の中で、一つ大きな違いを挙げるならば、美意識とでも言うべき武家のモノに対する考え方があります。
武家の美意識を、最も形に表現することが出来る身近な道具というと、衣類や甲冑・刀剣類といった身にまとうモノです。
特に、私は刀剣の外装に、各時代・所有者の嗜好・各々の美意識が反映していると考えています。
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今回お作りした拵えは、天正時代の典型的な拵えの掟に従って作り上げた、通称「天正拵」と呼ばれる外装です。
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お客様に刀身と刀装具(柄縁・鍔・目貫・小柄・笄)をご用意頂き、他の部品(柄頭・時代切羽の加工・栗型・返り角・コジリ)は当工房にて1から製作しました。柄巻きは、鹿皮を厳選し最も強固に仕上がるものを取り寄せました。
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鮫皮には、漆を何重にも塗り重ね独特の色合いを作りました。
この技法は、拭きうるしなどと言い、この度の拵え様式が流行した天正時代頃にも頻繁に用いられた塗り方です。強度が増すことで強靭な中にも色の深みが現れることが特徴です。
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刀身は、大磨り上げ風の茎にゴロンとした肉置きからドッシリとしたバランスのため、若干柄前の形状を厚めに仕上げてバランス取りを図りました。
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この度の外装の最大の特徴は、鞘の両サイドに設置されたポケットです。それぞれの櫃穴には、小柄・笄(こうがい)が収まるように作られています。天正鞘とご用意頂いた笄の時代が違うことによる形状の不一致で、若干笄が飛び出して見えますが、鞘の掟を優先しました。
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小柄は、ちょっとやそっとでは飛び出さないように硬めに固定しました。よく本歌の拵えで、小柄がグラグラになっているものを拝見しますが、本来はガッチリと固定されています。
日常的に帯びる刀ですから、小柄がスルスルと飛び出る様なことがあっては、大怪我の元です。
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この時代の鞘塗りは、本来は花塗りであっただろうと考えています。
そのため、炭研ぎを最小限にして、温かみのある光沢に留めました。
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返り角の設置は、武道用途での使用では邪魔になることが多く、工作も難しいことから、今日の拵えではあまり取り付けることがありませんが、観賞用の外装ではポピュラーな工作です。
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両櫃を備えた鞘といえども、長時間帯刀した状態でも身体に負担がかからない様に、形状を計算して工作する必要があります。
この度の工作では、時代拵えの掟を踏襲しつつ、実用の美を表現し、かつ鑑賞に堪えられる目的で製作したことが、最大の特徴です。