前回の続きです。エリザベスの目の前に自由犬ガルーが現れた!
サ吉はお話を続けます。
それは噂の自由犬ガルーだった。どこからともなく現れてはわんにゃんたちから食べ物を奪ってゆく・・・馬鹿でかいとは聞いていたが仔牛ほどもあろうかと思われたよ。おいら夢中だった。「エリザベスが危ない!」と思った瞬間、足はもう地面を蹴っていたんだ。
ガルー 「 お嬢ちゃん、そのバナナとリンゴと籠の中のチョコちょうだい。ん?何? わわっ!」
ニャーゴ! ウギャギャ!? ガブ! ンニャニャ! コンニャロ コンニャロ シャー キャイ~~ン
激しい闘いだったよ。 ぼくのにゃい気道と猫パンチでガルーは思っていたより簡単に退散したけれど、おいらは右耳に傷を負ってしまったんだ。そ、そしたら・・ サ吉は遠くを見つめて思い出します。
エリザベス「ああっ、大変、耳から血が! 待っていて下さい。母を呼んでまいります。すぐに帰ってきますから 」
はじめて聞いたエリザベスの声・・・ 小さな鈴が鳴っているみたいにかわいらしくて綺麗な声だった。 ・・どきどきして・・心臓が・・飛び出るかと思ったよ。・・・
もちろん、おいらはすぐにでもその場を去るつもりだったんだ。 でも動けなかった・・
緊張で、足がからまってたんだ。恥ずかしながら・・・
からまった足を何とかほどこうとしている間にエリザベスのお母さんが飛んできてくれて優しくバンドエイドを貼って下さった。
初めてだった・・・人間にあんなに優しくされたの・・・ 今までは水をかけられたり、怒鳴られたり・・・辛い思い出しかなかったからね。
エリザベスのお母さん「 娘を救って下さって本当に有り難う。命の恩人よ。エリザベスのお友達になってね」
お母さんが何を言っているかはわからなかったけど、声の調子で優しいことを言って下さっているのはわかった。 心があったかくなったからね。
気付いたら、エ、エリザベスが目の前で微笑んでいたんだよ! 紅太郎君! ど、どうするって、どうする?
エリザベス「あ、あの。今日は本当にありがとうございました。 お耳のことごめんなさい。痛むでしょう? あ、あの。お名前を教えて頂けますか?」
サ吉 「サ、サ、ササササ、ササ吉・・・」
エリザベス 「 笹吉さんておっしゃるの!?
サ吉 「あ、いえ、その、はいーーー
あ、紅太郎君、今あれ?って顔したね。 不思議に思うかも知れないけど、好きな人が目の前にいると緊張して話せなくなってしまうものなんだよ・・・・わかるかなー。
なぜかおいら笹吉になってしまったけど・・・そんなことはいいんだ。大事なのはエリザベスと初めてお話をしたっってことなんだ。 (お話って呼べるのかは疑問なんですけどね・・)
紅太郎 「んで? んで? それからどうなったの?」
それから・・
サ吉はまた遠くを見つめます。
んで続きはまた来週
おまけ
一枚目はガルーの話を聞いて自分も闘っているつもりの紅太郎
二枚目は優しいお母さんの話を聞いてうるうる来ている紅太郎
(二枚ともくりっくすると大きくなりまーす)