日本語は、時代とともに移り変わってきました。
しかし、同じ語形、同じ意味でずっと変わらず今日に
伝わってきた言葉もあります。
「ムカつく」
現代っ子の常套語のようなこの言葉も実は、かなり昔から
変わらずそのまま伝わってきたのです。
剣聖宮本武蔵の兵法書、『五輪書』火の巻に、剣法の極意として、
「むかつかするといふ事」という段落があります。
敵をむかつかせ、そのすきに勝ちをとるのだ、と武蔵は教えます。
まずは、同段落を現代語訳でご紹介してみましょう。
一 むかつかせる
むかつかせるということはいろいろある。ひとつにはきわどいという感覚。ふたつめは無理、無茶。みっつめは予期せぬこと。よく考えなさい。集団の兵法では敵にむかつかせることが大事だ。敵が予想もしなかった局面で激しくしかけ方針も立たないうちに手段を講じ、先手をとって勝つことが大事だ。また一対一の兵法でも序盤は余裕を見せておき、急転して急襲するのだ。敵の心の動揺、心理状態に応じて息をもつかせず、その機を逃さず勝ちに行くことが肝心だ。よく検討して見なさい。
(『強く生きる極意 五輪書』水野聡訳 PHPエディターズ・グループ2004年)
『五輪書』は地・水・火・風・空の五巻よりなっていますが、第三章の火の巻は、
実践的な戦い方、勝負の勘所を相伝したものです。
一 場の問題
一 三つの先手
一 枕をおさえる
一 渡を越す
一 相を見る
一 剣を踏む
一 崩れを知る
一 敵になる
一 四手を離す
一 陰を動かす
一 影を抑える
一 移す
一 むかつかせる
一 おびやかす
一 まじる
一 角にさわる
一 うろたえさせる
一 三つの声
一 まぎれる
一 ひしぐ
一 山海の替え
一 底を抜く
一 生まれ変わる
一 鼠頭牛首
一 将は卒を把握する
一 柄を離す
一 岩尾の身体
以上、火の巻の見出しを並べてみましたが、これらを見るだけでも
大いに興味をそそられてしまいます。
剣をとっての勝負にとどまらず、現代の人間関係やビジネスなど
様々なシチュエーションで応用できる、達人の普遍的な知恵が
『五輪書』にはちりばめられているのです。
未読の方は一度ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。
しかし、同じ語形、同じ意味でずっと変わらず今日に
伝わってきた言葉もあります。
「ムカつく」
現代っ子の常套語のようなこの言葉も実は、かなり昔から
変わらずそのまま伝わってきたのです。
剣聖宮本武蔵の兵法書、『五輪書』火の巻に、剣法の極意として、
「むかつかするといふ事」という段落があります。
敵をむかつかせ、そのすきに勝ちをとるのだ、と武蔵は教えます。
まずは、同段落を現代語訳でご紹介してみましょう。
一 むかつかせる
むかつかせるということはいろいろある。ひとつにはきわどいという感覚。ふたつめは無理、無茶。みっつめは予期せぬこと。よく考えなさい。集団の兵法では敵にむかつかせることが大事だ。敵が予想もしなかった局面で激しくしかけ方針も立たないうちに手段を講じ、先手をとって勝つことが大事だ。また一対一の兵法でも序盤は余裕を見せておき、急転して急襲するのだ。敵の心の動揺、心理状態に応じて息をもつかせず、その機を逃さず勝ちに行くことが肝心だ。よく検討して見なさい。
(『強く生きる極意 五輪書』水野聡訳 PHPエディターズ・グループ2004年)
『五輪書』は地・水・火・風・空の五巻よりなっていますが、第三章の火の巻は、
実践的な戦い方、勝負の勘所を相伝したものです。
一 場の問題
一 三つの先手
一 枕をおさえる
一 渡を越す
一 相を見る
一 剣を踏む
一 崩れを知る
一 敵になる
一 四手を離す
一 陰を動かす
一 影を抑える
一 移す
一 むかつかせる
一 おびやかす
一 まじる
一 角にさわる
一 うろたえさせる
一 三つの声
一 まぎれる
一 ひしぐ
一 山海の替え
一 底を抜く
一 生まれ変わる
一 鼠頭牛首
一 将は卒を把握する
一 柄を離す
一 岩尾の身体
以上、火の巻の見出しを並べてみましたが、これらを見るだけでも
大いに興味をそそられてしまいます。
剣をとっての勝負にとどまらず、現代の人間関係やビジネスなど
様々なシチュエーションで応用できる、達人の普遍的な知恵が
『五輪書』にはちりばめられているのです。
未読の方は一度ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。