美しければ手の足らぬも苦しからぬ也。
~世阿弥『申楽談儀』
世阿弥の芸談、『申楽談儀』の一句です。原文はこの後、
「悪くて手のこまか成るはなかなか悪く見ゆる也」
と続きます。
この句を含む段落を原文と訳文をまずはご紹介しましょう。
〔原文〕
一 萬事かかり※也。かかりもなきやうの風ぜいも、又其かかりにてをもしろし。
かかりだによければ、わろきことはさして見へず。
うつくしければ、手※の足らぬもくるしからぬ也。
わろくて手のこまか成るは、なかなかわろく見ゆる也。
※かかり 風情、情趣、余情など。
※手 技、技巧。
(『世阿弥 申楽談儀』岩波文庫1994年)
〔現代語訳〕
能では万事かかりが大切である。一見かかりのないような能も、むしろそれがかかりと感じられ、面白いものだ。
かかりさえしっかりしていれば、欠点はさほど目につくまい。
美しければ、技が未熟でも問題はない。
むしろ無様な姿で技巧をつくした能ほど、いっそう劣って見えるものである。
(水野聡訳 能文社2013年)
「美しければ、技が未熟でも問題はない。むしろ無様な姿で技巧をつくした能ほど、いっそう劣って見えるものである」。
本文中の“手”とは技や手段のこと。また“美しさ”“悪さ”は外見・表面上のことですが、
続きはこちら↓
http://nobunsha.jp/meigen/post_138.html
~世阿弥『申楽談儀』
世阿弥の芸談、『申楽談儀』の一句です。原文はこの後、
「悪くて手のこまか成るはなかなか悪く見ゆる也」
と続きます。
この句を含む段落を原文と訳文をまずはご紹介しましょう。
〔原文〕
一 萬事かかり※也。かかりもなきやうの風ぜいも、又其かかりにてをもしろし。
かかりだによければ、わろきことはさして見へず。
うつくしければ、手※の足らぬもくるしからぬ也。
わろくて手のこまか成るは、なかなかわろく見ゆる也。
※かかり 風情、情趣、余情など。
※手 技、技巧。
(『世阿弥 申楽談儀』岩波文庫1994年)
〔現代語訳〕
能では万事かかりが大切である。一見かかりのないような能も、むしろそれがかかりと感じられ、面白いものだ。
かかりさえしっかりしていれば、欠点はさほど目につくまい。
美しければ、技が未熟でも問題はない。
むしろ無様な姿で技巧をつくした能ほど、いっそう劣って見えるものである。
(水野聡訳 能文社2013年)
「美しければ、技が未熟でも問題はない。むしろ無様な姿で技巧をつくした能ほど、いっそう劣って見えるものである」。
本文中の“手”とは技や手段のこと。また“美しさ”“悪さ”は外見・表面上のことですが、
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