日向ぼっこ残日録

移り気そのままの「残日録」

「上田さくら」ちゃんを救えるか?

2006年09月28日 19時40分05秒 | 残日録
【原因不明の重い心臓病「拘束型心筋症」と診断された三鷹市の上田さくらちゃん(4歳)の両親が21日、都庁で会見し、米国で心臓移植手術を受けるための募金への協力を訴えた。「移植以外に助かる方法はない」と医師に告げられ、1億円以上かかる海外移植に望みをつないでいる。父親の昌広(NHK勤務)さん(53)によると、さくらちゃんが拘束型心筋症と診断されたのは今年5月。4歳の誕生日を迎える前日だった。
日本では15歳未満の子供からの臓器提供は法律上、認められておらず、両親は米カリフォルニア州の大学病院で移植手術を決意した。渡航や治療費など総額1億3600万円が必要だという】(救う会抜粋)(費用の大半は保証金で、術後返還があるようです。)

ネット上(主に2ch掲示板)で、救う会がNHK丸抱えだとか、さくらちゃんの両親の住居などの資産が10億円程度もあるとか、大変な騒ぎです。今までの募金も残った募金の処理は透明でないものもあったとか・・・。

本来、募金は貧者のものでした。世の中みんなが裕福になると、何が有難いのか何が有難くないのかを分かり難くしている。

姫路城の石垣の不足は、貧しい老婆の差し出した石臼が築城のために大いに利用された。
仏教でも「貧者の一灯」は、何よりも尊ばれた。
良寛さんの、清貧な飾り気のない人生で、汚物を垂れ流す惨めな晩年でも、見よ!この人徳を!
良寛  良寛さんは70歳の時に歌の繋がりで「貞心尼(30歳)」と知り合います。良寛の死亡するまでの短い間ですが、心の交流はすばらしいものでした。
弟子というか世話してくれる人達には「かたみとて 何か残さむ 春は花 夏ほととぎす 秋はもみじば」と詠んでいます。なにも残すものはないのが実情でした。晩年は寝たきりで、朝になって、汚れた着物や垂れ流した汚物を貞心尼が掃除してくれるため、早く夜が明けないかとそればかり考えていました。しかし、良寛さんの死亡は感動的なものでした。
それは生前の言動が人間らしく、なにびとに対しても優しく接したからにほかありません。
全ての貧しい人々に食を乞うて生きてきた一介の頭陀僧(ずたそう)のために多くの人々が集まりました。亡くなったのは雪の降りしきる正月6日の夕方でした。1日おいた8日の夕方の「野辺送り」には、150年前の情報の伝わらない時代にも拘らず、「良寛死亡」のニュースは口伝えで、越後全土を駆け巡りました。それを聞いて、取るものも取らず、雪の降りしきる中を、駆けつけました。みんなが貧者にも拘らず、少なからぬ香典やろうそく、香、お斎米(おとぎまい)を持って、駆けつけて来た人々は木村家(葬儀をだした家)から3町(109m*3)も続いていました。
貧者のお供えはお米一石六斗(一握りのお米が集まって4俵)にもなりました。6ヶ寺の印法寺院、12ヶ寺の随喜寺院、285人の会葬者などこまごまと書きとめられている文章が残っています。(木村家に残る「良寛上人 御遷下(ごせんげ)諸事留帳」)
ありがたくて、涙があふれてきます。合掌。
「いきしにの さかいはなれて すむ身にも さらぬわかれの あるぞかなしき」貞心尼  (世俗を捨てて、仏に仕える身になったいまでも、また別れがあるなんて・・・悲しい)
「うらをみせ おもてもみせて ちるもみぢ」良寛  (寝たきりになって、下の世話まで面倒をみてもらっているからには、紅葉がはらはらと散るように、なんの隠し事もなく、死んでいきます)

上田さくらちゃんの両親が資産家であろうと、NHKが募金を煽っていようと、貧者には関係のないことです。出来ることが限られていて、苦しい生活でも喜んで「しなければならない」の使命感に突き動かされるからです。両親が娘の命を救う手段に募金を選択したんですから・・どんどん寄付をしましょう。その行為を「貧乏人のくせに」とか「バカ」とか「心よりありがとう」とかは寄付をする人間の感情ではなしに、最早、寄付を受けた人間の感情だからです。
そして、必ず何人(なにびと)も死んで行きます。最後に人生を振り返って・・・・!合掌!