1.病原環境論または適応説
これはアメリカのルネ・デュボスが提唱したヒポクラテスの復権によって、ヒポクラテスの時代から続く「病気の原因は、環境との適応関係にある」との説を臨床的に裏付けていきたい。
ヒポクラテスは、ギリシャ医学のコス派に属していた。コス派は、「助力せよ、せめて損なうな」という立場であった。残されているヒポクラテス全集は、ヒポクラテスだけでなく、複数のコス派医師のてによるものと言われる。
ヒポクラテスは、病名より、予後の判定を重んじた。病名の判定ではなく、「病人の現症を正確に把握する」ことが診断であった。二元論ではなく、すべて統一的な自然の中で考えようとした。病気を過去の既往から、現状を経て、明日へと進む生物学的プロセス(過程)と解した。