黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

自然治癒力または生体防御

2011-01-20 10:52:57 | 健康・病気

 人間は進化の中で、生物中の最大の生体防御力または自然治癒力を持っている 

 人間には、遺伝的に、しかも進化する中で備わった外敵に対する防御力があります。これは免疫と呼べるかどうかは、免役学者の判断ですが、免疫学の専門書には出ていません。私が、科学史の中山茂元神奈川大教授の研究会に参加していた時に、多くの本を読み、知識を得、その後も続けている間に獲得した知識です。すべて、他の科学者が書いたもののまとめですか゜、それを明示するだけで大変な数になりますから、略します。

 広い意味での免疫の仕組みの最前線の体の働きを生体防御という。

 人間の体は、外界とつねにいろいろな面で接しています。その体の最前線が、皮膚、粘膜で、体内への入り口となる、口、鼻、目、耳、肛門、尿道口、性器があります。そして体内を通過する飲食物の通り道である、口、のど、食道、胃、小腸、大腸、直腸と、空気を吸い、酸素を取り込む鼻、のど、気管、気管支、肺があります。これらはすべて外界と接触しています。 

 ここには、すべて防御機構が働いて、無数の生命体が人と共存共棲し、外界からの多くの有害な微生物の侵入者を排除してくれます。しかし、時に、人の抵抗力が落ちると病原性を出し、発病することがあり、それを日和見感染と言ったりします。溶連菌、黄色ぶどう球菌、肺炎球菌、ヒブ(インフルエンザ菌)、セラチア、ピロリ菌などもその内に入ります。

1.皮膚は薄いのですが、真皮と表皮があり、皮膚の表層部は絶えず新陳代謝され、一番表面の細胞が角化し、垢(あか)となって脱落していきます。この角質層は20ミクロン(100分の2ミリ)ほどのの厚さであるが、最近は1ミクロン程度だし、ウイルスは0.1ミクロン程度なので簡単に侵入できないし、これらの外来微生物や病原体はアカと共に脱落していく。また、強力な微生物が侵入しようとしても、1兵法cmの面積の皮膚に約10万前後の微生物が住んでいて外来の病原微生物を排除してくれます。この仕組みは7~8歳でできあがり、とびひができない年齢になります。

2.空気はふつう、鼻と口から入ります。鼻、口の中、のどなどの粘膜にも細菌をはじめ多くの微生物が住んでいて(錠剤細菌叢)、外来の微生物と闘って排除してくれます。特に鼻の働きは優れていて、三層の粘膜のひだがあり、吸い込まれた空気は、鼻の中で乱反射し、そこで粘膜に外来の微生物や異物、ほこり、汚れを吸着し、湿度と温度を付与し、気管へ送り出すのです。口で呼吸してものどの粘膜で防御しますが、鼻を通した方がより防御の働きが大きいのです。それで温帯に住む人は、鼻が低く、熱帯や寒帯に住む人の鼻は容積を大きくするために、鼻が高いのです。

 ここを無事通過しても、気管や気管支の表面の粘膜上皮細胞にとらえられ、この細胞の繊毛(せんもう)によって、稲穂ウェーブで外へ運び出され、痰となって吐きだされたり、飲み込まれてしまいます。痰は健康な成人で1日薬8ml出ると言います。飲み込んでも、胃液の強酸性の壁を突破できません。

 そこを無事通過できても、肺胞の粘膜は酸素と炭酸ガスを交換する場で、血液と空気が接触していて、血液中のリンパ球が肺胞の表面で病原体や異物を食べてしまいます。これらを突破した病原体が初めて呼吸器の中で繁殖し病気を起こすのです。病原体が血液と接触する時から、狭義の免役の働きが始まるのです。

3.口の中にも常在する細菌やかび、ウイルスたちがいます。約1ccの唾液(だえき)にも約1千万個の細菌が住み(ただし、年齢、虫歯の数、歯の衛生状態により変動)、歯垢(しこう)の30%は細菌です。虫歯を作るミュータンス菌もいます。口の中の粘膜は、食事や口や歯を動かす時に歯や食べ物によって傷つけられますが、傷口でリンパ球が闘い、防御し、傷も修復して治ります。粘膜の小さな傷は、出血してもすぐ止まります。歯の治療の時にすぐ止まるでしょう。それだけ粘膜の回復は早いのです。口内炎ができるのは、その働きが低下している時で、体調が悪い時です。唾(だ)液は、口の中をきれいに清浄化してくれます。唾液はたくさん出た方が良いのです。唾液にも消化作用がありますが、大量の高濃度の糖分を取ると、虫歯になりやすいのです。コーラ、炭酸飲料、スポーツドリンクが、虫歯になりやすいのは高濃度の糖分を含むからです。でも子どもに糖分(グルコース)は脳の代謝に必要ですから、食事の時にまとめて、糖分の多い食べ物(お菓子でもよい)を食べさせて(お子様ランチにお菓子が入っているのは理にかなっている)、食後にお茶を飲ませ(甘い物を食べたらできれば歯磨きをする)、後は唾液の働きに任せます。夜寝る時に歯をみがくのは、寝ている間は唾液が出ないからです。

以下、次回へ