黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

子どもの日焼けを防ごう

2016-06-20 09:37:36 | 子どもの病気と犯罪の予防
 日焼けは体の防衛反応です。

もう紫外線から体を守ることを、子どもに教える時代になりました。

日焼けするのはもうやめよう           
          -日焼けと光による皮膚の老化の話-
 
人間は日光の下で進化し、地球の気温の維持、食物の間接的源泉など多くのめぐみを日光から受けてきている。人間の目、皮膚、血管、ホルモン系などは日光に反応し、紫外線により皮膚でビタミンDが作られるし、毎日のバイオリズムは日光の周期的変動に依存している。にもかかわらず、日光は有害であり、日焼けをきたし、DNAを障害し皮膚ガンを発生させ、皮膚にしわを作り老化させ、目に炎症を起こし、白内障をもたらす。
☆紫外線は環境の中でもっとも危険なものの1つである
 この20年の間に、光線に対する皮膚の反応の研究が進み、日光のもついろいろな働きが明らかになった。皮膚は、人間とその環境との境界であって、この皮膚に直接作用する物理的要因の代表が日光である。
 紫外線もまた生体の細胞に対して、遺伝子の突然変異をはじめ多くの傷害をひきおこすことが分かった。その大部分は光にあたっていない時に、修復酵素によって修復されるとはいっても、わずかな異常は長年の間に蓄積される。その結果が光による老化と皮膚ガンである。
 また妊娠初期に強烈な紫外線(人工太陽光線も)をあびると、必須ビタミンBである葉酸塩の血中濃度が低下し、胎児の脊椎などの神経管異常の発生率が高くなることが判った。葉酸塩の破壊も紫外線の悪影響の一つに加わった。葉酸塩の低下も男性の不妊症や胎児の異常に関与することも判った。
☆日光浴はもうやめよう
 従来、日光はクル病を防ぐ健康光線として、日光浴が薦められたが、現在の日本では、普通の食生活をしている限り、ビタミンDの不足が起こることはないし、たとえ不足しても、食物からも、薬によっても補うことができる。日光浴への幻想は、皮膚の早期の老化を招き、皮膚ガンの原因になっている。日光が皮膚にあたって起きるか、またはそれに関連して起きる病気は25以上におよぶ。
☆日光浴するなら、紫外線を遮断(サンスクリーン)する
 最近、白人の社会では、10歳までは日焼けしないように薦めている。平均的日本人も、白人と同じように日に焼かない方がよい。だから長時間の日光照射を受ける場合には日焼け予防が必要になる。元東北大皮膚科田上教授は1991年、日本医事新報に「オゾン層の消失が環境保護の面から騒がれる最大の理由は、この紫外線照射による皮膚障害、皮膚癌発生が増す可能性を恐れてのことであり、今後、私たち医師は過度の日光照射の害を一般人に説かなければならない。また、長時間の日光照射を受ける場合にはサンスクリーン・クリームを使用する必要性があることは、子供の時代から学校で教育されなければならない。」と書いている。個人の日光曝露時間の約半分は18歳までに起きるので、子どもに日光の有害性を教えることが重要である。
☆B紫外線が悪役
 紫外線は波長により、A紫外線(長波長紫外線)、B紫外線(日焼けスペクトル-短中波長)、オゾン層で吸収され地表には届かないC紫外線(殺菌線-短波長)に分けられている。太陽光線の中でも、日光放射エネルギーの3%を占めるB紫外線全部およびA紫外線の一部が、皮膚に対する障害(日焼け、皮膚ガン)をもたらしている。C紫外線の大部分は、角化層の死んだ細胞層によって吸収される。
B紫外線は大部分表皮で吸収され、その程度は皮膚のメラニン色素の沈着の程度に左右される。白人は85~90%、色の黒い人は90~95%表皮で吸収され、残りが真皮に到達する。表皮を通過した紫外線は、血管内侵入し、血液内のリンパ球を障害し、単核球の活動性を失わせる。紫外線のもっとも有害な効果は、細胞を殺すことで、その他に、突然変異をひきおこす、発ガン性、DNA・RNA・蛋白合成の障害または抑制、免疫の障害がある。B紫外線はそのほとんどをおこし、さらに日焼け、皮膚の黒化、ビタミンD合成、角化増殖、皮膚の老化もおこす。長波長のA紫外線や可視光線は真皮に深く達し、障害は少ない。A紫外線による障害は、B紫外線の800 ~1000分の1である。
☆日焼けと黒化
 日に焼ける反応には、紅斑反応と黒化の2つがある。 急性の日焼けによる紅斑反応、つまり赤くなり、むくみ、時には水ぶくれができ、広範囲だと熱や痛みが出る反応は、サンバーン現象で、これは皮膚が痛めつけられた状態で、やけどと同じである。黒化は、サンタン現象といい、色が黒くなることをいう。
       ☆日焼け反応の分類(ハリソン「内科書」より)
   型     夏の日光に45分あびた後の、紅斑反応および黒化の仕方
   Ⅰ  常に紅斑になるが、決して黒化することなく、しばしば剥脱(ケルト人)
   Ⅱ  常に紅斑になり、軽度黒化する
   Ⅲ  常に紅斑になり、中等度黒化する(平均的白人種--平均的日本人も)
   Ⅳ  ときに紅斑になり(最小限度)、常に黒化する(オリーブ色の皮膚)
   Ⅴ  まれに紅斑になり、容易に黒化し、持続する(褐色の皮膚)
   Ⅵ  決して紅斑にならず、高度に黒化する(黒人)
☆日焼けによる黒化(サンタン現象)は、紫外線に対する防御反応で、1つは色素黒化で、表皮で既に生成されている色素の速やかな黒化で、第2はメラニン新生で、通常紅斑反応の3~4日後にみられる。
 メラニン新生は、①表皮下層のメラニン細胞の増加 ②メラニン細胞の樹枝状の枝分れの増加 ③褐色のメラニン色素の増加 ④メラニン色素を表皮細胞に転送する、という過程があり、その結果肌が褐色に変化するには、日にあたってから7日かかる。この反応は7~10日後に減少し、30~60日で正常に戻り、日焼けによる皮膚の黒化も2ヵ月たつとうすれる。この黒化する程度は、遺伝的に決定されている。
☆日光により引き起こされるガン
 B紫外線により皮膚ガンや前ガン状態がおきる。白人では、皮膚ガンは顔、頭、首(頚部)、腕と手、の習慣的に日光にさらされる場所(特に鼻、頬、眼瞼、手指)に限られている。(色白の日本人も同じと考えられる。)黒人や褐色の皮膚は皮膚ガンの発生に抵抗性がある。人種の肌の色の違いは、紫外線に対する強さの違いであり、熱帯地方の住民の皮膚の色は黒く、紫外線が表皮層内に侵入するのを防いでいた。
☆日光による皮膚の老化
 顔や手の甲に見られる年寄りのシミやシワは、日光に含まれる紫外線に長年さらされて生じる。しかし、顔に深いシワがあり、シミを沢山もつ老人でも、お尻の皮膚を見るときれいな白い皮膚をしていて、せいぜい腕、下腿、上胸部、上背部にシワやシミがみられる程度で、常に外に出ている顔や手の甲ほどの変化は、衣服で覆われている部分の皮膚にはまず認めらない。表皮自体は、細胞が絶えず生まれ変わるから、老化しないが、長い間紫外線を受け続けると、表皮下の真皮がダメージを受けて深いシワを作る。シワの刻まれた皮膚では、表皮はうすく扁平になり、異常細胞が多く、配列も乱れている。真皮では正常のコラーゲン繊維が減少または消失し、不規則な弾力繊維が増加し、置き換わっていく。この変化は、光による老化であり、日光によっておきる皮膚の変性である。
 日本人に近い皮膚をしているチベット人やアンデスの先住民(インディオ)では、高地の強い紫外線の影響がすでに幼児から生じ、20歳前後では日本人の40~50歳の農民や漁民のような、光による老化現象の強い皮膚をしている。
 日光変性は、長い年月、日光にさらされた場所の皮膚の変化で、しわ、しみ、萎縮、メラニン沈着、脱色素斑、毛細血管拡張、黄色斑と丘疹、角化増殖を含む。この変化は不可逆性で、その唯一の原因は日光であるが、日光遮断剤の外用で最小限にとどめることはできる。
☆上手に日焼けして肌を守るには
 平均的日本人はⅢ型であり、白人と同じで、紫外線を強くあびない方がよい。上手に日焼けするには、紫外線の弱い2月頃から、少しずつ太陽光線を浴びて、その時間を増やしていき、メラニンを増やして色が黒くなると、紫外線に抵抗性が増すが、黒くなる程度は遺伝ですから、ある程度しか期待できません。だから夏の直射日光には当らない方がよいでしょう。
☆強い紫外線を避けよう
(1)効率のよい日光遮断物質を使って光線防御をおこなう。
(2)紫外線の多い季節に、紫外線の多い時間、晴れた日射しの多い戸外に長時間出る時は、必ずつばの広い帽子をかぶり、袖の長い適当な衣服を着用するか、 (1)で防御するか、戸外に長時間出るのをさける。
(3)年間で紫外線量は6月が最大ですが、雨や曇の日が多く、4月、5月の晴れた日は、紫外線量は8月、7月に匹敵するが、暑さを感じない為、気づかれにくい。
(4)1日の紫外線量は午前9時から、午後3時までが多い。

紫外線の変動
紫外線の1日の変動量(時)         紫外線の年間変動量(月)

☆日光遮断剤(サンスクリーン)
 日光遮断剤は、皮膚に到達する紫外線を減らすことによって、紫外線による皮膚ガンと光による老化の危険を低下させることができる。普通の日光遮断剤はB紫外線を防御するようにできていて、広域スペクトル日光遮断剤はBおよびA紫外線を遮断できると考えられている。
◇サン・ケア指数とは何か
 日光遮断剤(サン・ケア化粧品)の効果は、日光遮断因子(SPF)で表示され、SPFは紫外線B波の防御効果をあらわす指標。数字が大きいほど皮膚防御効果も大きい。平均的な日本人の皮膚は夏の日光に約20分当ると赤くなってしまうが、日焼け止めクリームをつけると、その時間が何倍に延びるかが数字で示してある。日本人用のクリームにSPF12とあれば、その有効時間は20分の12倍の4時間だから、4時間おきにぬる必要があります。SPFはメーカーによって実験方法が異なるため、同じ数値でも紫外線のカット効果に差がある。輸入品もまた異なる。サン・ケア化粧品の日光防御効果の決定的要因は、それが皮膚に残留する能力すなわち持続性(安定性)である。数字が高いほど防御効果が強いのではなく、持続時間が長いだけである。
PAは紫外線A波の防御効果を表し、+の数が多い程効果が高い。+~+++までの3段階ある。
◇日光遮断剤の選択
 もっとも重要なのは、日光に対する反応の個人差である。皮膚の色が白く、すぐ赤くなり、余り黒化しない人(皮膚のⅡ型)はSPF10~12以上を使うべきで、中等度または軽度に赤くはなるが、よく黒化する人(皮膚のⅢおよびⅣ型)は、SPF6~8がよいという。通常、日光にさらされる場所、たとえば顔、首、腕、手などは非油性のローションで日中防護すべきである。長時間の日光浴や水浴後には、再度日光遮断剤を使用すべきである。急性日焼け反応により高度の紅斑、浮腫、水疱、疼痛を示す人は、副腎皮質ステロイド内服が有効である。
◇ 日焼け止めクリーム選び
① 紫外線散乱剤配合 ②石けんで落ちるもの ③SPFは20以下(20でも6時間40分効果が持続)④発がん性が報告されている酸化防止剤のBHT、TEAが配合されていないもの。   
どんな商品が良いか。以上の条件を満たすものを選ぶこと。手元の資料は2002年のものなので、参考にするくらい。新しい商品も出ているはず。ぬる前に腕に塗って赤くかぶれないことを試す。うすくのばしてぬる。
「すべすべみるるUVローション10」明治乳業と「ジョンソンベビーローションUV」ジョンソン・エンド・ジョンソンは3ヶ月頃から、「ニベアSUNキンダーM」花王は幼児以上。SPF30まで広げると、「サンカットベビー&ファミリーA」和光堂6ヶ月以上、「すべすべみるるUVローション30」明治乳業3ヶ月以上、「ニベアSUNキンダーC」花王は幼児以上が該当するようである。
☆活性ビタミンAと光による老化
◇近年、アメリカや日本で、活性ビタミンAを6ヵ月以上塗布すると、シワが減り、滑らかな皮膚にする効果があることが確かめられた。また活性ビタミンAの塗布は、日光性角化症を減少させ、さらにその癌への進展を抑える効果もあるという。
 活性ビタミンAの外用は、皮膚の若返りだけでなく、皮膚ガンへの効果も期待され、今後が待たれる。(現在は先進国では、日本だけ発売されていない。)
☆☆重症の日焼けの治療
急性日焼け反応により高度の紅斑、浮腫、水疱、疼痛を示す人は、副腎皮質ステロイド内服が有効である。経口的に、プレドニンを40~60mgから始め、4~8日ごとに減少すれば、コントロールすることができる。
☆☆活性ビタミンA(レチノイン酸)と光老化
◇活性ビタミンAの外用剤が、中年の座瘡(ニキビ)患者に使っていて、座瘡が改善するだけでなく、皮膚のシワが減り滑らかになることが世界では知られている。でも日本では発売されていない。
◇長時間の紫外線照射を続けて作ったヘアレス・マウスの日光性弾力繊維症の皮膚に、活性ビタミンAの外用を行うと、真皮上層を新しいコラーゲン繊維の層で再び置き換えることが確かめられた。
◇1988年ミシガン大学のボーリース教授の実験で、人でも6ヵ月以上活性ビタミンAを外用するとシワが減ることが確かめられた。
◇田上らも、中年の日本人女性を対象に、活性ビタミンAの長期塗布によって、刺激性を上手に避ければ、小ジワを減少させ、皮表の角層の水分含有量を増し、滑らかな皮膚にする効果があることを確かめている。
◇活性ビタミンAを含むレチノイド一般に発癌抑制作用が認められている。活性ビタミンAの塗布は、前癌状態の日光性角化症の癌への進展を抑えるだけでなく、日光性角化症を減少させる効果もある。
→→→→こうして活性ビタミンA(レチノイン酸)を含むレチノイドの外用は皮膚の若返りだけでなく、紫外線照射による発癌に対する大きな武器になることが予想されている。
◎現在、日本では軟膏は発売されていない。注射薬だけが白血病の治療に使われている。
その理由は、
1. 日本人(黄色人種)には、皮膚がんとひどいにきびが少ないこと。市場価値が少ない。
2. 厚生労働省は、日本人は白人と違うとして、欧米諸国のデータでは薬の有効性を認めず、日本人のデータを要求するために、利益の少ない薬は、製薬メーカーが手を出さない。(しかし厚生労働省は、新型インフルエンザワクチン、バイアグラ、ヒブワクチン、ヒトパピローマウイルスワクチン(HPV子宮頸がんワクチン)、ロタワクチン、肺炎球菌ワクチンなどは日本人のデータがなくても承認している。)
3. 同じように欧米では使われているが日本では使えない薬や、日本で承認されている薬でも、病気の種類によって保険が適用されない薬は少なくない。
 また活性ビタミンD3 外用剤を皮膚に塗布すると、その角層の水分結合能を上昇させる作用があることも見出された。皮膚の表面を覆っている角層は、水分含有量が低下すると、乾燥し、ヒビ割れや鱗屑を生じてくる。その水分含有量が増せば、柔らかく、滑らかな皮膚となるので、今後外用剤として期待される。



 


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