黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

子どもをインフルエンザ脳症にさせない方法

2025-02-08 14:27:07 | 病気を予防する育児
インフルエンザを恐れるな
         子どもをインフルエンザにさせない方法
☆子どもたちを脳症にしないためには、解熱剤を使わないことです。
1)1980年をピークに、アメリカを中心に世界中でライ症候群という子どもの急性脳症が問題となり、主としてインフルエンザと水痘の流行中に起こることが判りました。疫学的には確定しませんでしたが、原因に解熱剤(アスピリン)が疑われ、アメリカではCDC(疾病対策予防管理センター)が「確定情報が出るまではアスピリンを使うべきではない」と勧告。その結果アメリカではアスピリンも他の解熱剤もすべて使われなくなりました。その結果ライ症候群は激減しました。
2)日本は当時解熱剤の中心がボルタレンやポンタールでしたので中止されず、1999年にようやく厚生省はボルタレンやポンタールがライ症候群を発生させる確率が高いことを認めましたが中止せず。さらに、アセトアミノフェンでも確率は低いがライ症候群が生じることが判っていましたが、アセトアミノフェンと共にアスピリン(サリチル酸)系のエテンザミドやサリチルアミドもそのまま放置され、日本は世界の先進国の中では、台湾と韓国と共に、特異的に子どもの急性脳症の多発国です。
3)インフルエンザ脳症は昨年冬(令和5~6年)のシーズンは189人出ています。
4)解熱剤の使用が、子どもの急性脳症を起こす疑いが濃厚なのに放置されています。
 日本の子ども用かぜ薬(市販)にはアセトアミノフェンが入っています。総合感冒薬のPL顆粒もアセトアミノフェンとサリチルアミドの混合剤で、総合感冒薬にはすべて解熱剤が含まれています。だから知らずに解熱剤を飲んでいるのです。
 解熱剤の使用をやめた欧米では、子どもの急性脳症がほとんど見られなくなりました。だが熱が出たら解熱剤で下げることが当たり前の日本は子どもの急性脳症が年間400~700人と多発しています。
厚生省も小児科学会も疑わしいのに調査をせずに放置しています。残念ですが、急性脳症の研究班すら解熱剤の使用を調べず、原因不明としています。大人ではほとんど起きていないので内科医は知りません。子どもを守るためには解熱剤を使わないことです。
☆新型コロナウイルス感染症でも、子どもの急性脳症が大量に出ています。
日本では新型コロナでも2022年11月までに、18歳未満の急性脳症は103人出ています。
原因はやはり解熱剤の使用ではないでしょうか。なぜか調査がされないのです。

☆熱は人間が病気と戦う仕組みの一つ、体の防衛反応なのです。
熱が高いと、体内での細菌やウイルスの繁殖が減ります。人間は熱を上げてウイルスと戦っているのです。戦いに勝つと自然に熱は下がります。高熱で脳症になることはありません。自分で熱を調節しているからです。その上限はわきの下で41.1℃、口の中で41.5℃です。
熱中症で死亡するのはその上限を超えるからで42℃以上が危険です。40℃台になれば大丈夫です。感染症の発熱で上限を超えることはありません。
☆脳症になる仕組みは判っていません。でも解熱剤の使用をやめた欧米では子どもの急性脳症はほとんど見られません。解熱剤を多用する日本では子どもの急性脳症は多発し、1年当たり400~700人と推定されています。解熱剤を使わない限り脳症にはほとんどなりません。
☆私の学生時代の慶應大小児科の中村文弥教授は、解熱剤を使うことを戒めました。その為私は小児科医になってから解熱剤をほとんど使わず、私の患者さんに脳症はいません。
 解熱剤を使っていないのに、インフルエンザ脳症になったという話を聞きますが、本当に使っていないかどうか判りません。風邪薬に解熱剤が入っていることを知らない人がいるからです。内科医の多くも知らないようです。上記2)を参照。
☆発熱の病態生理が明らかになり、生体の防衛反応だと分かったのは1990年からです。
1989年日本小児科学会雑誌11号に入来正躬「発熱の病態生理」、1990年の同雑誌5号に中尾光春、山下文雄「発熱と解熱剤の新しいメカニズム」と、発熱が人間の体の生態防御反応であり、免疫の仕組みに関係していることが報告されました。
 この頃には聖路加記念病院小児科では発熱患者を微温湯浴で熱を下げていました。
☆インフルエンザに感染しても健康な子どもは、呼吸状態が悪くならなければ、医師にかかる必要はないのです。時間がくれば治ります。ただ一般の方は不安で待てないのです。熱性けいれんは解熱剤ではなく、けいれん止めで対応しましょう。
 不安になるのはなぜ熱が出るのかを知らないからです。もちろん医師自身が知らないのですから、仕方がありません。
 病期に対する不安には、まず病気のことと、なぜ熱が出るのかを知ることです。病気になった時の体の症状は、すべて体の防衛反応なのです。それを止めようとしないことです。
☆もっと我々人間が持っている自然の免疫力を信頼しましょう。誰でも持っていますが、ストレスで低下します。
☆解熱剤を批判しないのは、製薬企業に忖度しているからです。やっと日本の学会でも「利益相反」と言って、企業から研究費を受けているかどうかを明らかにすることを求められるようになりましたが、まだ不十分です。


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暗殺

2025-01-14 10:16:24 | 政治
                 暗殺
暗  殺
なぜ安倍晋三元首相は暗殺されたか。
〇私の疑問の一つは、アメリカに従属していたと思われた安倍元首相がなぜ暗殺されたかということでした。それが判りました。
〇その前に、暗殺かどうかです。――青山繫晴参院議員(自民)が「暗殺だ」と主張しています。彼のユーチューブ動画やHPを見て下さい。私も最初からそう思いました。素人のたった一発で致命傷を負わせることは難しいのです。確か昔に警察庁長官が狙撃されたことがありましたが、致命傷にはならなかったのです。これはプロの仕事です。
BBCニュースによると、「担当医によると、首の2か所に傷があった」、「体内に銃弾はみつからなかった」という。さらに司法解剖結果では、「左上腕から入った銃弾1発が、左右の鎖骨下にある動脈を傷つけたことが致命傷だった」という。青山参院議員は司法解剖の結果を受け入れて、「1発の銃弾が起こした失血死である。ただ、山上容疑者の身長とか・・・安倍さんの動作・・・、弾道が一致しているかも含めて解明しないといけない問題が沢山ある」という。
直後の報道では銃声は2発と言い、他の銃創があったかどうかは明らかにされず、使われた銃弾も見つかっていません。青山さんが騒いでも、誰も動きません。なぜでしょうか。
元外務省国際情報局長だった孫崎亨さんもその著書「同盟は家臣ではない」の中で、「山上氏は安倍元首相を殺害していない」と言っています。
山上氏の裁判はいまだに行なわれていません。また山上氏は精神異常を疑われて精神鑑定されています。未だに山上氏が顔を出さないことも異常です。いずれにせよ、警察が真実を明らかにしていない。なぜでしょうか。その内に病死や自殺にさせてしまうのでしょうか。
〇ケネディ暗殺事件と同じ構図です。オズワルドが撃ったとされるが、ほぼ同時に別の狙撃手が撃ったとする説が横行しています。オズワルドは殺されてしまい、闇の中へ葬られました。山上氏もオズワルドの様に殺されてしまうのだろうか。殺されずとも、精神病院の中に幽閉されてしまうのだろうか。
〇それでは犯人は誰か。
小説「暗殺」に出てくる”犯人を日本人とする説”を私は取らない。私はCIA説である。それは1発で致命傷を負わせることが難しいこと。そのためかなりのベテランでないとできない。また人を殺すことは大変な精神的な負担である。日本人は過去に「お国のために」と人を殺したりしたことがあった。今の日本に「お国のために」暗殺をすることができる人間はいるだろうか。
一方「アメリカのために」と戦争で多数の人びとが殺されている。だから「アメリカのために」たった一人を殺しても罪の意識を持たないでいられる。つまりアメリカ人の狙撃手(スナイパー)が犯人である。もちろんロシア人でもよいが、プーチンを擁護していた安倍元首相を殺す理由がない。日本人にも首相を降りた安倍さんを殺す理由がない。とすればCIAしかないと思います。
 〇そこで、なぜ安倍元首相が狙われたか。
殺されるには、それなりの理由が必要である。安倍元首相は祖父である岸信介元首相を信奉し、大日本帝国の復活を夢見ていたようだ。だから現在の憲法を否定し、改憲を是とし、軍備を拡大し日本軍の復活を狙っていた。さらにプーチン大統領とは日本人の中ではもっとも仲が良く、ウクライナ戦争ではロシアの言い分を認めていたが、そのことは報道されずに終わった。
それよりも軍国日本の復活をもっとも恐れているのがアメリカである。安倍元首相もその後の岸田元首相も、軍備をアメリカの言いなりに増強していたが、その先の方向が安倍氏がいる限り不透明でアメリカの危険人物であった。
小説「暗殺」は、日本人を犯人としているが、その根拠は確かにあります。外務省を中心に官僚や自民党、財界には、アメリカに立てつく安倍元首相をこころ良く思わない人たちがいるからです。
なぜか安倍さんの暗殺後、週刊金曜日の「佐藤甲一の政治時評」にある「国葬は岸田氏による安倍派解体への号砲」だったのか。保守本流の宏池会をしのいでいた安倍派が、裏金事件で一挙に解体されたのです。これはたまたまではなく、画策された一連の流れだと思います。それと共にもりかけさくらは消えたようです。どこの意図でしょうか。
〇戦後日本の歴史の中で、アメリカの政策に立てついた首相は短命です。鳩山由紀夫元首相は、普天間基地の移転先を県外にしたことで引きずり降ろされました。殺されなかったことだけは幸でした。アメリカという国は、大統領やホワイトハウスが願っていることが、いつの間にか誰かによって実行される国と言います。
9.11.の犯人がアルカイダとビン・ラディンとされてビン・ラディンは暗殺され、イラクは核を放棄したばかりに壊滅されました。当時インターネット上でビン・ラディンに次いで名前が挙げられ、暗殺を狙われていたのは小沢一郎さんだと言われていましたが、権力から遠のいたので外されたようです。

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敵は勝利を、我々は敗北を続けている

2024-12-21 23:58:28 | 政治
      敵は勝利を、我々は敗北を続けている

  これを読んで想うこと
 やっと気が付いた。何をハマースがこの時期(2023年10月7日)に蜂起して、我々に提起したのかを。そして1年を超えても、多数の人びとを犠牲にしても、決して妥協せず、あたかも大日本帝国陸海軍の特攻隊の様に飛び込んだ。そして有効な反撃を何一つできないのに、国土をめちゃくちゃにされてもひるまない。パレスティナ人からの声はハマスを非難していない。そのわけがわかった。
 
 そして二つ目は、イスラエルがナチスと同類であることを世界に知らしめた。ホロコーストだ。ジェノサイドだ。そしてそれを支援しているのは、アメリカのユダヤ人たちだ。彼らはアメリカ社会、アメリカの経済を支配している。バイデンもハリスも、トランプも、ユダヤ人社会と軍需産業(産軍複合体)に支配されている。だからイスラエルを止めることはしない。だから彼らもジェノサイドの責任を問われる。アメリカや西欧社会が、ナチスと同じだということを世界に知らしめた。
 三つ目は、これはイスラエルにとってもアメリカにとっても、産業だ。兵器を消費し、兵器の性能を高め、売りさばく、利益を生む産業なのだ。イスラエルは防衛産業に特化してきた。イスラエルとアメリカやNATO諸国の軍需産業にとって、利益を生む産業なのだ。
資本の側は、ウクライナとガザ、レバノンで、在庫兵器を一掃し、兵器の精度を高めた。世界の資本家階級は大喜びだ。資本家と各国の上位10%の富裕層はますます収入を増やし、中産階層は低落し、格差は広がっている。

 そして最後に、これは総資本がわれわれ総労働と世界の全ての被支配者たちへ仕向けた戦争なのだ。60年安保闘争は、日本国内での総資本と総労働との闘いだった。それに敗れて幾星霜。散々やられながらやってきた。いまや世界の総資本と総労働の闘いなのだ。
そのことを、ハマースはわれわれに提示したのだ。決して中東問題などではない。世界戦争への始まりなのだ。

 マルクスとレーニンが提起したように、すべての内戦を、内乱を、紛争を、運動を、世界戦争へ。
 パレスティナはもう犠牲をものともしない戦争を提示して、突入した。もうイスラエルの横暴に耐えきれなくなった。

  いまこそガザに連帯して立ち上がろう。
万国のプロレタリアよ団結せよ。交渉ではなく戦争へと進め。この写真は11月25日の週刊金曜日収載のものです。
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中東と日本の針路

2024-04-30 10:34:18 | 政治

 

 ここに本を紹介します。私の思っていたことを言ってくれたのです。もちろんこれは一つの視点ということで、真実がどこにあるかは判りません。しかし見落とさないようにすることも大切です。

 

 

 

             中東と日本の針路

                 「安保法制」がもたらすもの

             ―私たちは大切なものを失おうとしているのではないか?―

     「安保法案に反対する124名の中東研究者のアピール」、論考とメッセージ・・・から

☆ この書は2016年に書かれているが、現在でもここに書かれている状況が続いているし、ここにはベンジャミン・バーバー「ジハード対マックワールド――市民社会の夢は終わったのか――」という著作が、9.11事件を予言していたことを紹介している。

☆ この書では、「戦略家が起案し、軍産複合体・グローバル金融マフィアが応援し、巨大情報メディアが地ならしし、動員された専門家集団が部署を固め、軍情報部や特殊部隊・覆面の諜報機関とその工作員が暗躍するディープでダークな政治が、市民生活の日常性そのものにどす黒い攻撃を仕掛ける、という国家の異常な反倫理的構造体化が現象するようになったのだ(第2章板垣雄三)」と、その6年後の2022年7月8日に起こった安倍晋三元首相暗殺事件を見事に予測している。

☆板垣氏は続けて「そこで編み出される『愛と平和と安全』の公式ストーリーに疑問をはさむ人間は、『テロリスト』『陰謀論者』として排除・抹殺される。」という

さらにその後、「筆者(板垣氏)は、スース著「ユダヤ人の友への手紙」の解説の中でこう記録した」と書く。

 「イスラエルの政治学者ヨシャファト・ハルカビーは、1988年の年末にエルサレムで筆者に対して次のように語った。「1930年代ドイツや日本が世界の孤児となって侵略に突き進んだとき、これを心配しながら見ていた世界の目が、いまは自分たちの国「イスラエル」に向けられている。・・・政治家は、こうなったらどうするよりほかないかは分かっているはずだ。手順を踏んで国民の考え方や気分を変えながら事態を導くのが政治家の手腕だ。しかし、問題は政治指導者の度量や見識ではない。もっとも深刻な根源的問題は、イスラエルの知的風土がユダヤ人としての創造性を失いつつあることだ。新しい状況にたいして、新しい説明と、新しい方向づけとを与えていく思想の力がインテリに枯渇してきている。それが自分たちの国の悲劇だ」と。」

 「イスラエルの軍情報部を率いた経歴でも知られるハルカビーの言葉を、現時点(2016年)で思い返すと、日本もイスラエルも世界もすっかり変わったことに深い感懐を覚える。パレスティナ人のインティファーダ発火時の故ハルカビーの施策の真摯さを生かすには、構想力の抜本的な革新が必要になったようだ。」

 全くその通りだと思います。この時にファタハの蜂起とイスラエルのジェノサイドを予測していたのです。そう言う状況にあり、それが起こってもおかしくないと言うわけです。

 しかもイスラエル程ではなくとも、日本もイスラエルと同じように知的風土が変化していると思うことが多い。そこが問題なのです。小沢一郎に「私が野党のリーダーだったら、内閣打倒としたところですが」と言わしめた現状です。私もそう思うのですが、若い世代は違う反応をしています。

☆ 安倍元首相暗殺事件は、ケネディ元大統領暗殺事件と同じく闇に葬られていくでしょう。

 安倍元首相は山上被告に殺されたのではなく、致命傷は別の銃弾だと言うのです。

 これは私だけでなく、参政党の人たちも自民党の参議院議員青山繫晴さんも、元外務省にいた孫崎亨さんもそう言っています。

 なぜこんなことを書くかというと、私は安倍政治には反対ですが、安倍元首相はケネディと同じように暗殺されたからです。オズワルドの役は、山上被告です。下手をすると彼は裁判外で殺されるおそれがあると思います。自殺とされるかも知れません。

 アメリカとそれに追従する日本は、テロ反対と言い、テロ国家として指名したイラクを証拠もないのに国家を破壊したのです。しかし、裏ではテロの手法でアメリカ社会も世界も日本も動かしているのです。

☆ それはその後突如として裏金事件が起き、集中的に安倍派が狙われ、最大派閥であった安倍派は、岸田首相の後ろ盾と思われていたのに、完膚なきまでに解体され、地に落ちたのです。さらに安倍元首相の時に作られた「機能性表示食品」の「紅こうじ」による死亡事件が摘発され、安倍政治の問題が取り上げられました。これらは一連のものと受け止めなくてはならないと思います。

 そして新型コロナウイルスのパンデミックの諸問題も、大阪万博も、台湾有事も、防衛予算拡大も、みな影が薄れています。これらは一連の流れです。

☆板垣氏は言います。

 「戦後体制脱却」の「積極的平和主義」の実体は、米国の日本ハンドラーズの指示(たとえば略)に沿うものだと見られている。ここで、ことさら「存立危機事態」という「中東化」的概念が持ち出されると、米国のイスラエル・ロビー/ネオコンの影響が歴然としてくる。同類の米国・イスラエルに比べ、はるかに年季が入った人種主義・軍国主義の歴史をもつ日本という「植民国家」(エミシ・エゾ抑圧と同化)のもと、それに耐えまた抵抗しつつ形づくられてきた日本社会の伝統に根ざす思考を放擲(ほうてき)する点で、また、瞞着(まんちゃく)綱渡り(アベノミクス・オリンピック効果・沖縄分断・TPP・原発再稼働など)政策破綻(はたん)の危うさのもと、硬軟取り混ぜる風見鶏(かざみどり)的ポピュリズムにより「敗戦(=破局)後七〇年」の否定を探求する点で、なんともぶざまな自信喪失の正体が暴露されている。」

☆以上に、日本をあやつる米国の勢力とそれに同期する日本の人々の動きを巧みに描写している。とすれば、安倍元首相はその人たちにとって都合の悪い存在であったのだろう。安倍元首相暗殺後に続く一連の流れの中で、一時は勢力を張っていた森喜朗元首相や小池都知事たちはあっけなく崩されている。

 そして残念ながらロシア、ウクライナ、イスラエル、日本と、さらにはアメリカ、ドイツ、フランス、スウェーデンなどの西欧世界全体がすっかり変わっていることが指摘されている。

 それに対して過去に第三世界と言われ、近年はグローバル・サウスと言い換えられている国々の動きは注目に値しよう。

 明らかにハマスの政治部門は、これらの世界の動きを読んでいたのではないかとも思われる。アメリカは対ロシア包囲網を作ろうとし、ウクライナがその代理者に成り下がった。

 それをハマスが蜂起することでアメリカの代理者たるイスラエルを攻撃した。アメリカは代理戦争をガザではしづらくなってきた。既にイスラエルは歯止めがなくなり、攻撃を続けている。

 またアメリカ国内ではトランプの復活すら予測され、「もしトラ」などとさえ言われている。今までウクライナ戦争は構造が読めたが、ガザ戦争は読めなかった。なぜハマスがこの時期を選んで決起したかである。何かの政治的な戦略があるのではないかと思ったが、それにたどり着けなかった。しかし、この書を読むことで理解ができた。

 この書は以前に買ったがつん読していたので、最近読んだら非常に驚かされた。もう一つは、私の姉夫婦はアルジェリア・チュニスという中東の文化人類学研究者であったが、とっくにリタイアしていたはずなのに、後ろの方に載っていたことである。

 

☆最後に、日本の対米従属外交は、日本側の外務省の人たちだけでなく、板垣氏のいう日本ハンドラーズが存在しているためなのだと思う。(アーミテージとナイの指摘によるが)

 いまだにケネディ元大統領暗殺事件や、9.11事件の真相がアメリカ国内でもとりざたされているくらいである。私たちの知らない勢力によって世界政治が動かされているのであろう。

 それに対抗する政治勢力として、新市民革命が起きることが世界的にも期待されているのではないだろうか。世界のあちこちで起きている動きが、未だに散発的であるが、ひとつになることが期待されている。特にガザのジェノサイドに真っ先に国際的に声をあげた南アフリカの動きに注目したい。

 

 

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スウェーデン方式は、どうだったのか

2024-02-29 09:59:32 | 新型コロナ感染症

             スウェーデン方式は、どうだったのか

世界はもう新型コロナウイルスのパンデミックは終わり、平常に戻っている。日本はその後遺症で、未だにマスクをしている人が少なくない。

 

        スウェーデン方式は、どうだったか。

 

 日本は、ロックダウンはできず、国民の協力に依拠した活動自粛策しかおこなうことが出来なかった。この結果、米欧に比べて人の移動を完全に制限することができず、新型コロナが流行する余地を残すことになった。それにもかかわらず、新型コロナによる死亡者は米欧に比べると圧倒的に少ない。

先ず、スウェーデン方式とは、―いろいろな記事を集めましたが―

                            結論は最後にします。

〇上昌弘2020/5/15

感染が終息するには、人口の6~7割が免疫を獲得するしかない。それをワクチンで獲得しようとした。

(→集団免役戦略は間違いだった。しかし、スウェーデンが取ったかどうかは判らない)

☆スウェーデン方式は、

 高齢者にのみ自宅待機を要請し、それ以外の制限は課さなかった。

 一時期、高校や大学は休校としたが、小中学校は休校しなかった。

 50名以上の集会禁止、不要不急の旅行の禁止、小売店やショッピングモールへの入店者数の制限を課したものの、多くの店舗やレストランは閉鎖しなかった。

 ボルボの自動車工場は一時期閉鎖されたが、その後、再開された。

〇2020/5/6現在 ヤフーニュース

コロナ感染症の死亡率12.2%、抗体保有率25%、100万人あたり死者数465人

ストックホルムでの1000人の検査で、抗体保有率は25%だった。

〇2020/5/15 週刊金曜日

2月下旬、集会やイベントでの人数を規制し、海外への不要不急な渡航に対して自粛要請を始めた。

その後、衛生管理、集会の規制―50名以上の集会禁止、社会的距離、テレワーク、リスクグループに属する人との接触回避など、

飲食業や商業施設は通常通り営業し、図書館などの公共施設も利用できる状態だ。

高校や大学はオンライン教育に切り替え、小中学校はアウトドアでの活動を増やしながら授業を継続している。

外出規制や警察の特別巡回もない。自由に出歩ける。

政府は「各自の良識ある判断に任せる」方針

〇2020/5/11 現在 感染者数2万6670人、死者数3256人。PCR検査数は週5万~10万件ほど。ストックホルムでの死亡者の約半数は、老人ホームでの感染。テグネルは、これは既存の介護システムが原因だという。

医療装備の不足や、老人ホームの民営化による規制緩和の方に問題があると思うという。

〇日経サイエンス2020/9月号

 スウェーデンはロックダウンを行わない対策をとった。

 当局は外出規制や飲食店の休業要請はしない一方で、大規模な集会の禁止や、店内の客の密集を避けるための規制を設けた。小学校や幼稚園は継続しつつ、感染時のリスクが高い高齢者に対しては公共交通機関の利用やスーパーの買い物などを避ける事を推奨した。

 保健社会相テグネルは、「命を守ることとアウトブレイクを緩やかにすることが対策の目的だ」説明した。

〇スウェーデン/メディア「THE LOCAL」2020/6/3

 高齢者を保護するために、介護施設への訪問禁止措置はとられていたものの、感染拡大を防ぐことはできず、死亡した70歳以上の高齢者の約半数は介護施設の住人だったという。

 スウェーデンは、ロックダウンや休業措置をとっていつでも抑圧政策に移行できる法体系は整っているのだが、いきなり実行はせずに、まず3月の段階で高齢者介護施設への訪問を禁じ、また50人以上の公共の集会を制限するなどの措置をとった。

 テグネル博士は「スウェーデンは、段階的な措置をとった数少ない国の1つだ。他国は一度に多くの措置をとったが、その場合の問題点は,どの対策に効果があったのか判らないことだ。

〇2020/6/6 デイリー新潮(電子版)

  首都ストックホルムではマスクさえつけずにカフェで寛ぐ人々の姿が散見される。

 6月3日時点での感染者数は約3万8千人にのぼり、死者は4403人を数える。

 

スウェーデン在住、スウェーデン移住チャンネルの吉沢智哉さんは「批判的意見が有ることは知っています。ただ、スウェーデンの政策は合理的だし、情報公開にも積極的なので多くの国民が政府に信頼を寄せているのです。」

 「こちらでは毎日14時に公衆衛生局が会見を開き、感染者数や死者数だけでなく、重症患者用の病床数や占有率まで発表される。きちんと情報を伝えて、あとは国民の判断に委ねるという姿勢が一貫しています。もちろん、規制が全く存在しないわけではなく、50人以上の集会や高齢者施設への訪問は禁止されているのですが、それ以外の外出はほぼ自由。国内旅行も車で1~2時間で移動できる範囲なら問題ありません。」

 

特別支援学校の教員を務めるサリネンれい子さんは、「高校や大学はオンライン授業ですが、幼稚園や保育園、小中学校は平常通り開いています。学校を一律に閉鎖しないのは、教育を受ける権利を奪ってはいけないという考え方が浸透しているから。加えて、スウェーデンはもともと学校を欠席しやすい環境なんですね。親が12歳未満の子どもの看病で仕事を休んでも、給与の約8割が保障されます。」

学校生活での変化は手洗いの推奨や、卒業式などの催しが縮小、もしくはオンライン化された程度。

〇2020/7/2 AFPBBニュース

 スウェーデンは、他のほとんどの国と異なり、新型コロナ拡大を抑制するためのロックダウン(都市封鎖)は実施しなかった。カフェやバー、レストラン、大部分の企業と16歳未満を対象とした学校は平常通りだった。

だが同時に、可能な限り在宅勤務をすること、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)と衛生ガイドラインを順守すること、70歳以上の高齢者とリスクが高い人々に家で過ごすことを求めていた。

 

「集団免役の獲得を待つ戦略は科学的根拠に乏しい」とノーベル財団の会長以下2千人超の研究者が、2020年3月末、猛烈に批判し、厳格な措置を講じるように求めた。

スウェーデンのローベン首相は、「私たちは個人として責任を負わなければならない。全てを立法化し禁止することはできない。常識の問題だ。大人である私たちは、まさに大人として行動する必要がある」という。

 

〇スウェーデン・カロリンスカ大学病院泌尿器科医宮川絢子 2020/7

 ・スウェーデンはコロナ対策として集団免役を目指した事実はない。

 ・カロリンスカ大学病院は、ストックホルムの入院患者の約40%を受け入れ、泌尿器外科医も治療を担当した。

 ・スウェーデンは、集団免役獲得ではなく、「長期間持続可能な方法で感染のピークを抑え、医療崩壊を来さないようにする」ことを主目的とした。その為、持続可能が難しい完全なロックダウンという方法を取らずに、高リスク者(群)を守ると明言したわけである。

 ・法律で禁止しているのは、「50人以上の集会」と「介護施設への訪問」のみである。

・高校・大学・成人学校は閉鎖してオンラインによる遠隔授業となったが、保育園・小中学校は平常通りでした。

 ・その他、「社会的距離を取る」、「少しでも症状があれば自宅療養する」、「リモートワークを推進する」等の勧告により結果としては部分的ロックダウンの形になったが、国が法律で個人の行動を規制することはなかった。渡航制限もない。

 ・スウェーデンは、政府や中央省庁への国民の信頼が厚い。今回のパンデミックでも、政府を信頼していると答えた国民は60~70%で推移している。パンデミックの政策の主導権は、各省庁の専門家グループに委ねられている。毎日午後2時に各省庁の代表者が合同記者会見を開いて感染状況を提示し、今後のプランを述べることが行われている。核種統計は開示され、徹底した情報の透明性が担保されている。

 ・大病院のほとんどが公立であり、大病院の中で役割り分担し、カロリンスカ大学病院はコロナ野ためにICU病床を5倍の200床にふやし、ストックホルム市内では4つの病院がコロナ診療に当たり、日常診療を他の病院で受け入れた。PCR検査は入院が必要な重症者に限定して行われた。入院の必要のない軽症者はPCR検査を行わずに自宅療養となった。

 コロナ患者の病床確保や救急の場合には、国全体で調整された。ピーク時には500人近いコロナ患者がカロリンスカ大学病院に入院し、ICUには150人を超えていた。この診療に泌尿器科医もあたり、医師や看護師の配置換えが行われ、これらのスタッフは給与支給額が220%に引き上げられた。

 ・ICU病床が満床になることはなく、医療崩壊は起こっていない。トリアージ(患者の選別)も従来からの延長でコクミンの理解が得られているものである。それは「救える命に医療資源を使う」、「無駄な延命治療は行わない」など。治療の決定はエビデンスに基づいて行われ、効果がほとんど期待できない治療は、患者や家族の希望があったとしても行われることはない。治療を拒否する権利はあっても、治療が受けられないことを拒否する権利はないのである。

〇同上  後編  2020/8

 ・スウェーデンがロックダウンをできなかった大きな理由は、憲法において、「国民の移動の自由」が守られており、国が国民の行動を規制することが許されていないからだ。

 また専門家グループが属する省庁などの公共機関は政府の影響を受けず、独立性が有ることを憲法で規定されている。感染症対策は公衆衛生庁であり、コロナ対策を指揮したのは公衆衛生庁の疫学者テグネル氏であった。

 ・保育園や小中学校の運営が平常通りなのは、子どもに感染しても症状が比較的軽く、死亡するケースがほとんどないということ、それに加えて子どもが学校で学ぶ権利、とくに家庭環境が良好でない子どもたちにとって学校はセーフティネットでもあり、閉鎖するとさまざまな弊害が起こりうることに基づいている。

 ・学校閉鎖により、医療従事者の約10%にあたる4万3千人が働くことが出来なくなると試算され、そうなれば医療現場を維持するのが難しい事態が予想された。

 ・スウェーデンの新型コロナによる人口あたりの死亡者は世界的に高いと言われているが、なぜか。死亡者に高齢者が占める割合は非常に高く、およそ90%が70歳以上である。70歳以上の死亡者のうち、50%が介護施設に居住していた。

 もともと重症の高齢者が多数住む介護施設でクラスターが多発したこと。

 70歳以上の死亡者のうち要介護者が占める割合は76%になる。

☆詳細を略して、

 つまり介護施設でクラスターが発生したのは、感染症対策自体の失敗ではなく、スウェーデンの介護システムが抱える長年の問題点や、スウェーデン社会が抱える脆弱性を新型コロナにつつかれたためである。

〇2022年2月9日、スウェーデンはほぼすべての規制を撤廃した。

 2020年から2021年にかけての超過死亡率は、ヨーロッパの中では、ノルウェー、デンマーク、フィンランドに次ぐ低い国である。スウェーデンの公衆衛生庁は、「根拠が不確かなマスク着用より,ソーシャルディスタンスを優先した。現在でも、マスクはあくまで補助的な役割と認識されている。

 2020年末に新規感染者数が1日あたり1万人を超えた時には、公共交通機関内や、ショッピングセンターなどでマスク着用が「推奨」されるようになったが、それでも屋内での着用率は高い時でも過半数程度であり、屋外ではマスク着用は少数派であった。

〇マスクが感染防止に有効だという科学的根拠はないと考え得るのが国際的なコンセンサスだった。

 ロックダウンについても、感染拡大を防ぐという科学的根拠はないとされていた。テグネル氏は「ロックダウンをしない」というのが欧州の疫学者たちのコンセンサスであったにもかかわらず、各国は次々とロックダウンを採用して行った。ノルウェーとデンマークは、専門家の意見を無視して、政治的に決められた。イギリスは当初しないはずが、数理疫学者(日本では8割おじさんの西浦教授もこれ)のファガーソンがマスコミに騒ぎ立て、政府は慌てて、遅れてロックダウンしたが、その後修正してロックダウン政策をやめた。

スウェーデンは、感染に脆弱な高齢者などの高リスクグループを保護することを対策の柱とした。

 子どもたちが通常の生活を送れるようにすることが重視された。保育園と小中学校は平常通りでした。マスク着用義務も黙食義務もなく、子どもたちはほぼ通常の生活を送ってきた。

〇医療崩壊を回避することが最も大きな政策の柱であった。ICU病床は2倍に増やし、多くの一般病棟が感染病棟になった。ストックホルムの国際会議場には、野戦病院が設営され600床のベッドが用意された。これは使われることはなかった。

 医学部6年生の学生の動員や休職状態にあるスカンジナビア航空のキャビンアテンダントを再教育し労働力をシフトするなど多様な対応がなされた。

 マスクの使用は勧められてはいない。マスクにエビデンスが確立された訳ではなく、ソーシャルディスタンスを取ることが第一であると考えられた。病院でも手術などの処置以外でマスクをしていない。

〇スウェーデンでは、手洗いも手が触れる場所の消毒もせず、するなら今までの常識程度でよく、マスクも推奨。ソーシャルディスタンスのみ。

 ロックダウンもせず。

 

◎その結果、政府公衆衛生担当の責任者テグネル氏は2023年4月にWHOへ招かれて移籍したと言う。

 結果は明白である。WHOの多数派はスウェーデン方式が良かったと選択した。

 

ついでに言えば、ファガーソンという理論疫学者によってロックダウンしなければ25万人が死亡すると警告されて一時かき回されたイギリスは、政府の緊急時科学助言グループの当初の方針に戻り、ロックダウンを解除した。その後は予定通りスウェーデンと同じ路線を取った。

日本の西浦博京大教授もファガーソンと同じ理論疫学で、8割おじさんと呼ばれた当時の北大教授。結局理論疫学は当たらなかったが、出世した。

 

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新年おめでとうございます

2024-01-02 12:12:17 | 日記

        慶  春

 今年こそ何とかしたい年です。

 世界はアメリカの動きを止められず、ガザとウクライナの問題はアメリカによる支援を止めれば終わること。それが出来ない。

 台湾有事は、アメリカが台湾と日本を中国と戦わせるという、ウクライナと同じ構図。それを阻止すべく、沖縄と台湾と上海の地域経済の交流を始めようと画策。

中国は、台湾が独立をしなければ、現状維持で進む。マルクス主義、毛沢東主義を維持しているから国際主義なので、侵略はしない。

ハマスは真珠湾攻撃をまねしたに過ぎない。反撃されての次の手が無い。しかし、アメリカが世界の悪の中枢ということを明らかにした。それでウクライナ問題もロシアに戦争を止めさせるには、アメリカの援助停止しかないことを明らかにした。

日本では安倍元首相の暗殺とそれに続く、安倍派の裏金問題での追及は誰の仕業か。もちろんアメリカもあるが、国内での勢力はどこか。今年はどんな年になるでしょうか。

貧困と格差社会が拡大しないことを願っています。

                          

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普天間基地移転は半永久的にできないのではないか

2023-12-26 10:31:39 | 政治

           普天間基地は移転しないのか

辺野古への移設は幻想ではないのか

普天間基地は半永久的に移転しないのではないか

アメリカのたくらみはどこにあるのか

 孫崎さんの話から思いついたことです。アメリカは移転先について口をだしたことはありませんが、鳩山由紀夫元首相が県外移転を出した時に反応し、その為かどうかわかりませんが、鳩山元首相は短命に終わりました。

 辺野古移設は既に約14年前から反対運動が続いています。そこへ「辺野古は基地完成までに14年かかる」と言う。完成したらすぐ移転できるかというとそうではない。完成して米軍に引き渡そうとしたら、米軍はきっと「軟弱地盤だから使えない」というのではないかと思います。少なくとも米軍の基準には適合しないのです。その結果少なくとも普天間基地はあと14年も無条件で使えるし、その後もずっと使えそうです。そもそも米軍にとっては辺野古よりも普天間の方がずっと使いやすいのですから。

 だからアメリカは、普天間基地の移転問題は、日本の国内問題でもめていればその分は先に延びますから都合が良いのです。この様では、半永久的に普天間基地を使えそうです。

 本土にある基地が無くなっていったのですから、沖縄の基地も無くすことで決着すべきでした。現状ではそれも難しいでしょう。

 アメリカの国内問題でしたら、市街地のそばに基地があることは認められませんが、海外のしかも沖縄のことなので、国内世論は動きません。元占領地ですから。

 それ故に日本も国内での問題は、普天間基地廃止です。廃止で戦わなくてはなりません。

県外移転を唱えた鳩山元首相が退陣に追い込まれたのはどこの力でしょうか。それを闘わなければ、移転はできないでしょう。これが私の幻想で終われば良いのですが。

 

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同盟は家臣ではない

2023-12-11 10:19:46 | 政治

     「同盟は家臣ではない」

    日本独自の安全保障について――孫崎亨

この本を読んで感じたことと、抄録。

「同盟は家臣ではない」(孫崎亨)を読んで

 

戦後史の最大の疑問点は、対米従属でした。外務官僚は鳩山由紀夫首相すら引きずり降ろしたのです。吉田茂首相はアメリカ嫌いと聞いていました。対米平和条約を結ぶのに渡米することを嫌がったと聞いています。それなのに、日本は対米従属路線を選択した。それで対米従属の外交路線を建てて維持したのはなぜかということでした。それが判りました。政治家が命と職とを引き換えにしたのです。

 また、「安倍首相は山上被告に銃殺されたのではない」との意見は聞いていましたが、これだけはっきりと言い切るのは初めてでした。安倍首相の存在が不都合な人たちが政府内にいたということです。アメリカでも日本でも政府に不都合な人を消す仕組みが存在しています。検察の他にもあったようです。

 真珠湾攻撃も米英の戦略によって挑発され、それに乗せられて戦術が建てられ、二の矢がなかったという実態であったこと。アメリカはそれを口実に対独戦に介入した。対日戦では、攻撃前から勝利を確信し占領政策まで立てていた。

 今「台湾有事」で反撃能力などと言っているが、その後の二の矢、三の矢がないこと。

先制攻撃されたらどう反撃するのか。そしてその反撃に対する再度の攻撃に対してはどうするのか。原発が狙われたらどうするのか。全く答えが出されていない。それが如何に愚かなことかが書かれている。

 アメリカは大戦まで軍事産業がなく、大戦後軍事産業を創りそれが巨大化し、逆に国の政策を動かすほどになっていた(アイゼンハワー)。 今日本もその後を追っている。

 敵基地攻撃力というが、二の矢三の矢がなく、戦略など無いに等しい。日本は戦争しないことが一番ではないかと思う。平和憲法を作ったのが幣原喜重郎首相だったという。

 一読するに値するというより、必読の本だと思います。(黒部)

抄録

  • 安全保障を考える時の視点 

いくつかの視点を持つ必要があると。私たちは一つの信念を持ち、それによる考えや方策しか持たないが外交ではいくつかの視点が必要という。問題意識や価値観、判断の根拠となる事実の過不足を認識することも必要である。

 ジョージ・ケナンはソ連に対する「封じ込め」戦略を編み出した人であり、武闘派ではなく、ハト派である。その考えは「その悪はその国の歴史的流れで変化するのであり、軍事的対決は無用の悲劇を双方に出す」という考えであった。

 1985年頃の外務省国際情報局長の岡崎久彦氏が「日本は、(以下簡略)ソ連と米国という大国のあいだにあり・・、生存と平和を維持するためだけでも、どちらかの力と協力し、他の力を抑止する以外に方法がない」との考えを持ち、今日の「対米依存・隷属」の理論的支柱となった。当然「ソ連とは軍事的対峙も辞さず」とのタカ派である。私(孫崎)はハト派である。

  • 福田赳夫の視点   (2) 与謝野晶子の視点 (3) トルストイの視点

(4) 夏目漱石の視点      (5) 宮沢賢治の視点      (6) 喧嘩両成敗の知恵

  • 孫子の知恵 (8) マクナマラの知恵 (9) シェリングの知恵

(10)枝村大使の知恵。 ―― いつも51 点を目指す

(11)歴史に学ぶ    ―― 真珠湾攻撃がどのようにして起きたか、その最重要の点は米国に誘導されたことにある。

*加瀬俊一の見方 ――  スチムソン日記「第一撃を射させるような立場に日本を追い

込むこと、これがなかなか難しい」

*オリバー・ストーンの記述

(12)「トゥキディディスの罠」の視点 ―― 客観的状況は人間が認識するものであり、その認識は、私たちの感情というレンズに左右される。

(13)「地球が異星人の侵攻を受けたら、ソ連とアメリカはどう対応するか」

(14)アメリカとは何か。

 アメリカの民主主義は「その場に根差す民主主義」。その場で権力を持つ者の判断がすべて。大統領が変わると政策も変わり、継承性が無い。

(15)アイゼンハワーの国民への離任演説(後記にもあり)

第二章 最近の動向

(1) 反撃能力、敵基地攻撃をどう考えるか

(2) 中國と北朝鮮に敵基地攻撃を行なったらどうなるか

(3) 今一度孫子に学ぶ

(4) 三手先を読む知恵

(5) 柳谷健介氏の助言「二の矢三の矢」

(6) 二手目の読みで失敗した例① 真珠湾攻撃

 アメリカ側ははじめから、あくまで東京を占領して、再び日本が侵略を犯しえないようにしなければならないと考えていたのである。

(7) 二手目の読みで失敗した例② ウクライナ戦争を起こしたロシア

(8-1)平和国家・憲法の基礎、「戦争をしない」は幣原喜重郎首相のイニシアティブ

  • 幣原喜重郎自身の説明
  • マッカーサーの米国議会証言

(8-2)自衛隊誕生の契機は、朝鮮戦争時に日本に武力集団を作らせ派遣する構想

 ケース① 後藤田正晴

 ケース②  内海倫

  ケース③ 加藤陽三

  • 今西錦司の知恵「棲み分け」

*2023年7月3日付け日経新聞は「円売り勢”弱る国力”突く」の標題で、①円は95年につけたピーク比の下落率が6割に達した ②平均給与水準の低さや財政状況なども含め、円安の根本的な原因には日本の国力の低下がある ③生産年齢人口の減少などで経済の実力を示す潜在成長率はゼロ%止まりであり、2%程度の米国と比べても低いことを報じた。

  • 吉見俊哉の「敗者論」

敗者としての東京。日本史には、敗者の役割を見つめなおす視点はあまり見当たらない

第三章ウクライナ問題への対応がリベラル勢力崩壊の原因

(1) ウクライナ戦争への対応が軍事力強化に弾み

(2) ウクライナ問題が日本の安全保障を変えた

(3) 安倍元首相はどの様な発言をしていたか

 その① 2022年2月27日のフジ「日曜報道THE PRIME」

  「軍国化」する勢力にはウクライナを巡る安倍発言は困る存在だった。だから彼の意見は日本社会では封印された。

  その内容は、プーチンには領土的野心はないこととNATOが約束を守っていないことを明言。さらに米国がウクライナに対し、NATOへ加盟しない中立を宣言させ、親ロシア派の東部2州の高度な自治権を認めさせる努力をすべきだったとなる。

  知米派の政府関係者が安倍氏に憤りを持っていたことはほとんどの日本人は知らない。

 その② エコノミストの報道

  2022年7月に暗殺される前の5月に、エコノミストは安倍首相にインタビューした。

 安倍「戦争を回避することは可能だったかもしれません。ゼレンスキーがNATOに加盟しないことを約束し、東部2州に高度な自治権を与えることができた。・・・」

(4) 安倍元首相の発言は何故日本でかき消されたか

(5) 和平のインセンティブ

  和平は戦争で失うものと和平で失うものとの比較で決まる

(6) 私の考える提言

(7) 私の提言への批判・「武力で現状変更は許せない」

(8) ウクライナ問題の理解のために・その① NATO拡大の問題

(9) ウクライナ問題の理解のために・その② 東部2州の問題

(10) ウクライナ問題の理解のために・その③ 左派系の人の見方

 この戦争にどう向き合うかが問われている。その向き合い方によって、日本の進路は真逆なものになるのではないか。

(11)ロシア人は何故プーチンを捨てなかったのか

(12)主義を守ることと命を守ることの選択

 米国とNATO諸国のウクライナ支援の根本がある。そしてこの点で軍拡に走るグループと、「人権派」とが一体化する。

個別案件の問題とする安倍元首相の発言は困る存在であった。

 米国でもトランプ元大統領が困った存在である。トランプ元大統領は「自分が大統領だったらロシアの侵攻はなかった」、「一日で戦争を終わらせるだろう」と言ってる。

(13)国際的な和平の必要性を説く動き① マーク・ミリー米統合参謀本部議長

  今和平を主張しているのが、統合参謀本部議長マーク・ミリーである。

(14) 国際的な和平の必要性を説く動き② イーロンマスク提案

  この和平案は本質的には、私(孫崎)の述べてきたことと同じ。

(15) 国際的な和平の必要性を説く動き③ トルコ等

  戦争は交渉のテーブルで終わる。どちらも目標は達することができない(ミリー)

(16) 国際的な和平の必要性を説く動き④ 森元首相の発言

 森元首相は、「こんなにウクライナに力を入れてよいのか。ロシアが負けることは、まず考えられない」

(17)核戦争の危険

(18)日本の言論空間の完全崩壊――山上氏は安倍元首相を殺害していない

 日本でプーチンを最もよく知る人は安倍元首相であった。

 2022年7月8日安倍氏は銃撃されて死亡した。日刊ゲンダイの記事から

  ケネディ大統領の暗殺事件でオズワルドが犯人とされたが、今日多くの米国人は単独犯行とは考えていない。

  安倍氏の殺害事件は山上氏の銃でない可能性があると聞いている。

  銃撃当日の治療にあたった奈良県立医大付属病院での福島英賢教授の説明では、「頸部前の付け根に2つの銃創がある。」しかし、山上被告の銃弾は安倍氏の頸部前の付け根付近には当たらない。

  (黒部記、銃弾が公開されていない。隠されているとか、スナイバーが撃てる空間があったとかの説など諸説あり。マスコミは全く取り上げず、Web 上をにぎわしただけ)

(19)バイデン政権の実行力

 (ここではバイデン政権と述べているが、黒部は、米国の政権すべてであると思う) 

 バイデン政権の怖さは政権中枢部がある方向を示すと、具体的手段が詳細に中枢部に知らされることなく実施されることである。犯行の実行犯から最終的な指示者までいきつかない。それは国家が行う犯罪行為でも同様である。

第四章 世界の新潮流:米国・欧州支配は終わる

 産業革命以降、欧米諸国が世界の主導権を握ってきた。

 しかし、この流れは変わる。 (それは「人新世」から始まっていた。―黒部)

大きい人口を有する国は巨大な市場を持っていることにより、優位性を築く。それが中国であり、インドであり、インドネシアである。

  • CIAが示す世界のGDP比較:量で中国が米国を凌駕する
  • アジア新興国の経済成長はG7諸国などを上回る
  • 中国経済は質でも米国を追い越すことが予測される その1

自然科学の研究論文数

  • 中国経済は質でも米国を追い越すことが予測される その2

 先端技術論文数

  • 中国経済は質でも米国を追い越すことが予測される その3 特許数
  • 中国経済は質でも米国を追い越すことが予測される その4 米国の警戒感
  • アメリカは中国に抜かれないという主張
  • 中国の発展に合わせ発展するASEAN諸国
  • 中國との学術協力を縮小する愚

(10)中国に輸出制限する愚 その① ―― 半導体

(11)中国に輸出制限する愚 その② 自動車関係  ――電気自動車化

(12)「ローマは一日にしてならず」→「ローマは二週間でできる?」

(13)中国は物づくり、金融は米国が一般的観念。だが実は中国は金融でも強くなった。

 主要金融機関の総資産と自己資本比率でトップ4行は中国

(14)「通貨の武器化」で劣勢の中国は現時点で米中対立の激化は出来ない

(15)「ドル覇権の崩壊」と米国覇権の崩壊① IMFの見方

(16)「ドル覇権の崩壊」と米国覇権の崩壊② イエレン財務長官の懸念

(17) 覇権争い:No.1がNo.2に抜かれると感じた時、戦争が起こる

(18)米国民にとってどの国が敵か

(19)米中対立激化の中で、中国は米国に何を訴えているか

第五章 台湾海峡で米中が戦えば米国が負ける

(1) ランド研究所の見解

 米中の軍事バランス:台湾周辺、2017年 中国優位

(2) アリソン、クリストフの指摘「18のウォーゲームの全てでアメリカは敗れている」

(3) 「中国の侵攻は撃退可能、米軍の損害も甚大」―台湾有事シミュレーション

(4) 米国の狙いは台湾と日本が中国と軍事紛争を行うこと、ウクライナのパターン

 「米国が約束を反故にして緊張を作る」という構図は、台湾問題でも同じである。

(5) 米国が中国にどのような約束をしてきたか

  • ニクソンが中国を訪問した時の第一次米中共同声明
  • キッシンジャーと周恩来会談、1971年、
  • 1978年の米中共同コミュニケ
  • 1982年の共同コミュニケ
  • 上記文書の総括

  米国は一貫して「台湾は中国の一部である」との中国の立場を受け入れている。

(6) 日本は中国との間にどのような約束したか。

(7) いかなる時に台湾を巡り軍事紛争が起きるか

 台湾が独立を宣言した時あるいは独立を宣言することが確実なとき。

(8) 台湾世論動向  ―― 現状維持が7割

(9) 尖閣諸島の法的位置づけ ①国際的に見れば尖閣は「日本固有の領土」ではない

 日本は第二次大戦で敗れた。「ポツダム宣言」を受諾した。連合国が認めた島が含まれる。

(10) 尖閣諸島の法的位置づけ ② 連合国の対応

 連合国側は尖閣諸島を日本領土としてことはない。

(11) 尖閣諸島の法的位置づけ ③ 米国の対応(主権は係争中)

(12)尖閣諸島は「主権は係争中だが管轄は日本」という解決 ①米国の対応

(13) 尖閣諸島は「主権は係争中だが管轄は日本」という解決 ②栗山元外務次官の説明

  1972年に日中間の首脳のあいだに棚上げしましようと言うことで暗黙の了解ができた

(14) 尖閣諸島は「主権は係争中だが管轄は日本」という解決 ③橋本恕(当時中国課長)の説明  

(15) 尖閣諸島は「主権は係争中だが管轄は日本」という解決 ④ 読売新聞社説

  1979年5月、「尖閣問題を紛争のタネにするな」との社説

(16)日中間に紛争を作りたい人々

(17)日中漁業協定の存在

 河野太郎議員のブログに詳しい。この領海水域は、お互いに自国の漁船だけを取り締まることとしている。それが漁業協定。ほかには協定はない。

第六章 日本はなぜ国益追及でなく、対米隷属の道を歩む国になったか

(1) 今や、国益的思考を喪失した国

(2) 終戦直後より日本社会に脈々と続く、命、地位と引き換えの対米協力

 日本の統治に日本側の協力者が必要になる。かっての支配層の利用が都合がよい。

命と職と引き換えに「米国協力」

政治面――昭和天皇、岸信介、吉田茂、賀屋興宣など。

以下官僚、経済界、報道界、学界、司法、検察など略。

(3) 朝鮮戦争時の対米協力:「戦争をしない」「民主主義」「自由主義」が崩壊

 朝鮮戦争で日本は、実質戦争に参加している

1945年報道界の赤色分子解雇(レッド・パージ。その後朝鮮戦争時にも、70年安保時にも)

(4) ソ連崩壊後の米国の「敵国」と日本参戦の方針

 戦後の構図が崩れる。日米安保条約は実質的に終わっている

(5) 細川政権が潰される

(6) 次の標的は福田康夫首相

 ブッシュ大統領のアフガンに支援をとの求めに対し、福田氏は「陸自の大規模派遣は不可能と返答した。その後圧力で福田氏は辞任。福田氏が投げ出す前に自民党には「3A+S」連合ができる。3Aは安倍(岸信介の孫)、麻生(吉田茂の孫)、甘利、Sは菅である。

  占領体制の復活である。

(7) 民主党政権誕生の直前に小沢一郎氏が、民主党政権発足後は鳩山氏が標的に

 小沢さんは民主党代表になることを、鳩山由紀夫首相は普天間基地を「最低でも県外移設」として、つぶされた。

(8) 米国は再度「ロシア」「中国」を主敵とする「新冷戦」に

  テロとの戦いは終わった。次は「新冷戦」に

(9) 「新冷戦」の中、米国は岸田政権を重用

第七章 平和を構築する

(1) 西側諸国がロシア・中国を敵とする「新冷戦」は長続きするのか

 今西側諸国はロシア、中国を敵とする「新冷戦」に入った。

 冷戦は、第二次大戦の終わりにトルーマン大統領の誕生した時に始まり、ソ連の崩壊まで約40年続いた。

 ソ連崩壊後、イラン、イラク、北朝鮮を主敵とする「テロとの戦い」は約30年続いた。

 では今新たに出てきている「新冷戦」はどれくらい続くか。

結論として言えることは短期であろうということだ。

米国の力は落ち、経済制裁が効かなくなった。米国、欧州諸国は格差社会が拡大し、政権党への支持は低い。ブリックス諸国をはじめアジア・アフリカ・中南米諸国の力が台頭している。トランプが当選したら足元から崩れる。

(2) 米中衝突論:「トゥキディディスの罠」のグレアム・アリソンの解決策

 アリソンは「現在の軌道では、数十年以内に米中戦争が起こりうる可能性は、ただ”ある”というだけでなく、非常に高い。過去500年の例を見ると、戦争になる確率は50%以上だ」としている。彼は戦争回避の処方箋を考えている。

彼はまず、「平和を維持した4例に見る12のヒント」を挙げている。

 ヒント1:高い権威を持つ存在は、対立解決の助けになる

ヒント2:国家より大きな機構に組み込む

ヒント3:賢い国家指導者を擁する

ヒント4:重要なのはタイミングだ(絶好のタイミングはしはしば予期せず訪れるが、

 あっという間に失われてしまう)

ヒント5:文化的な共通点を見出す

ヒント6:この世に新しいことなどない。核兵器以外には

ヒント7:相互確証破壊(MAD)により総力戦は狂気の沙汰に

ヒント8:核保有国間の熱い戦争は、もはや正当化できない

ヒント9:それでも核超大国は、勝てない戦争をする覚悟が必要

ヒント10: 経済的な相互依存

ヒント11: 同盟は命取りになりかねない

ヒント12: 国内情勢は決定的に重要である

 彼は米中関係に特化して次の4点を記述する

 オプション①:新旧逆転に適応する

 オプション②:中国を弱体化させる

 オプション③:長期的な平和交渉をする

 オプション④:米中関係を定義しなおす

これを見ると「核兵器時代であるから超大国間では戦争ができない」という客観的な状況以外、戦争を止める力になるか疑わしい。

(3) 「核兵器の使用」が米ロ、米中の全面対決を防ぐほぼ唯一の手段

バイデン大統領はプーチン大統領を排除するため、いくつかの策を打ち出した。

武器を提供する

経済制裁をする

ロシアの石油・天然ガスの輸出を止める

2022年ロシアの侵攻前、バイデン大統領は記者会見で「もしロシアがウクライナに侵攻したら、ノルドストリーム2(パイプライン)は存在しなくなる.我々はそれを終わらせる」と述べ、後、ノルドストリーム2は誰かの手によって爆破された。米国の行動はかなり危険な所にまで進んだ。武器支援でウクライナが押し返した。

こうした中でロシアに危機感が出る。ロシアが「通常戦で敗北することがあったら、核兵器の使用も辞さない」との立場を鮮明にした。

米国はウクライナへの全面的軍事協力の方針を修正した。ロシア国内へ攻撃できる武器をウクライナに提供することを躊躇した。こうして「核兵器の使用」が米ロの全面対決を防いでいる。この点は米中も同じである。

(4) アメリカの狙いは何か

 日本・台湾に中国と戦わせること。「テロとの戦い」は一つの弱点を持っていた。米軍の中に死傷者が出る事である。ウクライナ戦争では米軍は直接戦闘に参加していない。

 では米国は何を目指すか。

  • 日本と台湾に、中国が容認できない行動をとらせる ②反発した中国に、台湾、日本

を攻撃させる ③これでもって国際的に中国に制裁を行なう ④中国の経済発展には国際貿易が極めて重要であるため、中国経済は甚大な被害を被る。

 そのためには、台湾、日本に対して軍事紛争の際には、米国が常に軍事的に支援するという幻想を与えてい必要がある。

「米軍が日本を守る」は幻想。

(5) 尖閣での衝突時、日米安保条約があっても米国は戦う義務は負っていない

(6) 「核の傘」はない

(7-1)約束を守ること、それは平和の第一歩である(ウクライナ問題)

 ジョージ・ケナンは「1998年に米国上院がNATOをポーランド、ハンガリー、チェコに拡大する決定を行ない、これが新冷戦の始まり」と述べている。

 これは1990年に米国らがゴルバチョフソ連大統領と交わした「NATOの管轄は1インチたりとも当方に拡大しない」という約束を破り拡大した。

(7-2)約束を守ること、それは平和の第一歩である(台湾問題)

 米中、日中国交回復の時に①外交関係の樹立には、台湾問題が最重要である。②中国は、「台湾は中国の一部である」という立場を主張し、日米はそれを認識して行動をとるという約束をした。米国と日本がこの立場を際確認すれば台湾問題は起こらない。

(8-1)新しい枠組みの模索:その① 南極条約の知恵の拝借

 資源の開発を行わなければ、紛争は生じない

 領有権は保留するも軍事利用は禁じ、さらに鉱物資源の開発までしないようにすることは学ぶものがある。

(8-2)新しい枠組みの模索:その② 尖閣諸島、その周辺海域を国際自然保護区に

  • 経済の相互依存関係の強化は戦争を避ける道、それをさせないバイデン政権

戦争は多くの場合、資源の争奪戦である。

1955年バンドン平和十原則

  • 全ての国の主権と領土保全を尊重
  • 他国の内政に干渉しない
  • 集団的防衛を大国の特定の利益に利用しない。また他国に圧力を加えない。
  • 侵略または侵略の脅威・武力行使によって、他国の領土保全や政治的独立をおかさない。

 しかし、私たちは、平和を創るには「構想」を出すだけでは不十分である。「構想」を実現させるだけでは不十分である。「構想」を守り、「構想」の実現を阻もうとする勢力との対峙が必要である。

  • 世界は軍産複合体を超えられるか

 アイゼンハワーの離任演説(1961年1月)は、米国国民に対する極めて異例の警告だった。

・平和を維持するための不可欠の要素は私たちの軍組織です。

・最後の世界戦争までアメリカに軍事産業が全くありませんでした。しかし、国家防衛の緊急事態のために、巨大な規模の恒常的な軍事産業を創設せざるを得なかった。多数の男女を雇用し、多額の費用を軍事に費やしている。

・我々は、政府の委員会等において、それが意図されたものであろうとなかろうと、軍産複合体による不当な影響力の獲得を排除しなければなりません。誤って与えられた権力の出現がもたらすかもしれない悲劇の可能性は存在し、また存在し続けるでしょう。

・この軍産複合体の影響力が、我々の自由や民主主義的プロセスを決して危険にさらすことのないようにせねばなりません。

・何ごとも確かなものは一つもありません。

・警戒心を持ち見識ある市民のみが、巨大なマシーンを平和的な手段と目的に適合するように強いることができるのです。その結果として安全と自由とが共に維持され発展していくでしょう。

 

軍産複合体の脅威と言えば、多くはこれを「陰謀論」という。だがその脅威を述べているのは輝かしい軍歴を持つ米国大統領自身である。

 そして今日,その危険は従来以上にましたと言える。

  トランプ大統領は在任中、海外の米軍基地は不要と言った。対立の続く朝鮮半島では、朝鮮戦争の最終的決着、平和条約の締結を目指した。軍産複合体の根本を揺るがしたと言っていい。

 2020年の大統領選挙では、元国防省、国務省、CIAなどの高官、学者等約500名が署名し、バイデン支持を発表した。極めて異例である。そして軍産複合体の利益のために働く政権を作った。

 アリソンの言葉を借りれば、・・・「アメリカの民主主義が致命的な徴候を示していることを懸念している。根底には、公職につく者の倫理観の衰え、制度化された腐敗、・・・そして短絡的なメディアがある」現象と関係がある。

 平和を構築する構想が無いのではない。

 「平和を構築する構想」を排する社会になっていることに、西側社会の病気の深刻さがある。

終章 日本のこれからの安全保障について

原則1:「同盟は、家臣ではない」。先ず国益から論ずるという姿勢をとろう。

 世界情勢は米国一極支配ではなくなった。

 2023年4月マクロン仏大統領は記者会見で「(米国の)同盟国であることは米国の家臣になることではない。自分たち自身で考える権利が無いと言うことにはならない」と述べた。

原則2:「米国を恐れるな」

 米国に逆らった政治家は米国に潰されることはある。

原則3:「日本はロシア、中国、北朝鮮の軍事大国に囲まれている。いくら努力してもこれに対抗できる軍事国家にはなれない」

 本当に軍事力で対抗しようとするなら、日本は「非戦」「民主主義」「自由主義」を完全に捨てなければならない。

原則4:「小敵の堅(けん)は大敵のとりこなり(小部隊で強気になると大部隊の餌食になる)」

 日本の安全保障論で不思議に思うのは、こちらが「敵基地攻撃」などをしたら相手国はどうするかという議論がないことである。人口が密集し、原発が立ち並び、攻撃された日本は、攻撃された時での被害は甚大である。武器は高度化し、防御はほとんどできない。ロシアのウクライナ攻撃も(イスラエルのガザ攻撃も)何らの聖域はない。

原則5:「米国が軍事的に日本を防衛するのは、自国の利益と一体の時に行なうのであり、条約があるからではない」

原則6:「台湾海峡を巡り米中衝突の際は、米軍は中国軍に負ける」

原則7:「戦いに入れば、武器の高度化によって、戦いで得るものと、戦いで失うものとの比較で、勝敗と関係なく、後者が圧倒的に大きい」

原則8:「外交は『自己の主張においての100点中、50点取るのが理想』という妥協の精神を持てば妥協の道は常にある」

原則9:「過去の合意の順守をする気持ちで臨めば、大方の問題はすでに武力紛争に行かないような枠組みが設定されている」

原則10:「『好戦的』で『不確定』な北朝鮮に対してすら、攻撃させない道がある」

原則11:「ロシア、中国、北朝鮮とは外交努力をすれば武力攻撃を受けることはない」

原則12:「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と恐れられた時代に回帰しよう」

「日本の経済の奇跡」を遂げた原因は何であったか。

1:真摯な客観情勢の分析に基づく政策の立案と「日本株式会社」と呼ばれた官民一体の取り組み (今は、小泉元首相ですら、「原発は安全、原発は安い」は皆嘘だったと言っている中、原発に戻ると言うごとき偽りの政策がばっこ)

2:高度な裾野の広い教育水準   (今では公的教育費がOECD諸国より下位)

3:一億総中流  (格差社会を作らない社会である→今は中流の少ない格差社会)

4:資源を非軍事に集中  (今は、軍事費の増大)

 つまりこれらの要因と現在の状況とは、皆逆である。

 現在の日本は衰退の方向にまっしぐらに進んでいるが、敗戦直後の悲惨な状況と比較すればどれほど恵まれているか。流れを変えるチャンスはまだまだある。

   おわり

 

 

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「ウイルス学者の絶望」を読んで

2023-04-04 15:52:21 | 新型コロナ感染症

           「ウイルス学者の絶望」を読んで

抄録と感想です。私は、免疫生物学としては、国際医療福祉大学の高橋泰教授の理論に近く、さらに

れに加えて、50年の小児科医の経験と勉強、心療内科学と精神神経免疫学、ルネ・デュボスの適応理論をもって考えてきました。世界では,ネオヒポクラテス学派と言うそうです。

      「ウイルス学者の絶望」を読んで(抄録と私見)  2023.3.31.

私と似たような主張をされている本があると遺伝学者の友人が教えてくれました。

この書と私との違いは、ウイルス感染症の同時流行がないことに対する解釈の違いと、細胞免疫についての考え方、そして精神神経免疫学をご存じないことなどです。

 細分化された学問領域での研究者であり、ウイルス学者ですが、臨床医や疫学者ではなく、科学史も知らないようです。大筋では政府の感染症審議会のしている対策の批判は、的を得ていることが多いので、抄録を作り、私の意見を追加しました。

               〇印は、同意。 △印は、不同意、異論あり。( )内は私見。

第一章 ウイルス学者の絶望

〇感染症法上の扱いを2類相当にし続けることは「違法」の可能性も

 オミクロン変異体(俗称オミクロン株)は、既にCOVID-19に該当せず、新たな種類ですから、それを5類にするかしないかという議論をすべきなのです。2022年12月の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの資料でも、2022年5~6月の段階で全年齢層において重症化率,致死率が季節性インフルエンザを下回っていました。

〇今回のワクチンは「企画倒れ」

 スパイクワクチンでは当座しのぎで変異には対応できません。感染を予防できない。

繰り返し同じ抗原(株)に対応したワクチンを接種すると「抗原原罪」を起こして、最初の株に対する抗体しか作らず、新たな株への抗体を作らないことがある。変異に対抗できない現象。スパイクに対するワクチンでは、予防できないし、変異株にも対応できないし、逆に「抗原原罪」という現象で、悪化させることもあります。ヒトコロナウイルスは全く同じウイルスに再感染します。(ちなみに、麻疹ウイルスも風疹ウイルスなどの他のウイルスもすべて再感染します。今までは市中に常在していたので、再感染しても発病せず、追加免役となり気が付かなかっただけです。ワクチンが普及して発病者がいなくなると経年劣化で抗体価が低下し、再感染します。でも免役記憶が残っていますから、軽く済みます。)

〇ワクチン被害はなぜ「因果関係が証明できない」とされるか

 完全証明ができないから、「因果関係があるかどうかは証明できない」と片付けられてしまうのです。(新しいワクチンなので、すべてが新しく、根拠となるデータがないためです。)

 (それはアメリカとスウェーデンの共同研究で、ワクチン後6か月以内の原因が判らない症状や死亡者を副反応疑いとしていました。それで明らかな原因が認められない人の調査を徹底してすべきなのに、していません。病理解剖をして心臓や血管系、脳血管などの異常を調べるべきで、個別には難しくても、多数に同じ傾向が見られれば、それと判断できます。)

〇3回目以降の接種はリスクを高める

 (90%以上の人にワクチンを接種した)イスラエルで感染拡大が起きて、ワクチンによる予防効果がないことがわかりました。(それはmRNAワクチンという形でスパイクに対するワクチンなので、のどや気道の粘膜細胞に免疫を作るはずが、作らなかったのです。) mRNAワクチンの感染予防効果は低いことが明確になっています。

 2回目以降のブースター(追加)接種で、先の2回でできた免疫で、3回目に作ったスパイク蛋白質を持った細胞が,ウイルスを持った細胞と誤認されて攻撃される危険があるというのです。(多数の人にワクチン接種していたのだから、コロナウイルス感染症で亡くなった人の病理解剖所見が必要です。それをせずに因果関係不明としています。)

〇「ワクチンは血流に入らない」を否定するデータ

 ラットの実験では、肝臓,脾臓、副腎、卵巣に入っています。(そもそもリンパ節に入るのに,血流に入らないはずはありません。)

〇正常細胞が免疫に攻撃されるリスク

 自己免疫製肝炎が出ています。抗体依存性細胞傷害(ADCC)という現象です。抗体と一緒になってウイルス感染細胞を攻撃できるのですが、3回目接種すると(2回目でも可能性あり)株が変化していると、スパイクワクチンの入った細胞を誤認して攻撃してしまう危険性です。

〇激増する超過死亡

  ワクチンを接種したことによって、コロナで死にやすくなったとも考えられる。

〇mRNAワクチンの「3回目接種」は回避したかった

 塩野義製薬野ワクチンはコンポート(組み換え蛋白質)ワクチンなので、mRNAワクチンよりも安全性が高い。しかしADEの危険性は残ります。新型コロナウイルスに対するワクチンの接種は基本的には高齢者や基礎疾患をもった人だけで良かったと思います。また、ウイルスは時間とともに弱毒化するはずなので、ワクチンはいずれ不要になります。

〇接種前のN(核)抗体の調査はなぜスルーされたのか

 「N抗体を持っている人は、mRNAワクチンを接種してはいけない」とするべきだと思います。

△ワクチンが感染を阻止することが難しい理由

 ワクチンについてテレビなどで聞かれると、最初から「自分は打ちません」と話していました。・・・テレビで「mRNAワクチンは危ないから」とは言えないので、・・・。

 (大筋ではよいのですが、誤解されている所もあります。作られるのは、ウイルスの表面のスパイクに対する抗体なので、粘膜細胞の表面にその抗体ができることで感染を予防しようというもので、それが血中に増えても予防することも重症化を防ぐこともできません。自然に感染したり、生ワクチンの場合には、ウイルスの核に対する抗体ができるので、スパイク部分が変異しても効果があります。)

△インフルエンザワクチンとの同時接種のリスクは不明

 同時接種の安全性は、生ワクチンや不活化ワクチンでいえることであって、今迄存在しなかった遺伝子ワクチンでどうかということは、全く判っていません。(しかも、インフルエンザワクチンの有効性すら疑わしいワクチンなので、効果よりも危険性の方が高いのです。3月になってようやく経鼻噴霧の弱毒生インフルエンザワクチンが認可されました。その効果は期待されていますが、実際のところは判りません。)

〇ワクチンの危険性に対する情報の乏しさ

 医薬品医療機器総合機構(PMDA)のワクチン審査部でも、危険性として「抗体依存性増強(ADE)」と呼吸器疾患増強をあげています。(判っていないワクチンを接種するのですから、ワクチンの副反応としては、明らかに違うという根拠があるものだけ除外し、残りはすべてカウントすべきはずです。薬剤ではそうしていたはずです。)

〇誰もがコロナに感染する

 私(著者)が批判していたのは、政府の過剰で的外れな感染対策でした。初期の新型コロナウイルスは比較的病原性の高いものでした。それでも高齢者や基礎疾患のある人だけ守ればよく、多くの人たちはいつもどおりに過ごして経済を動かし、・・・。だから私は「過度な自粛をやめてくれ」と言っていました。なぜ一斉に店を休業させなければいけなかったのでしょうか。そもそも新型コロナウイルスはなくなるものではありません。

〇「Go Toトラベル」は悪者ではない

〇政府の対策はただの「責任逃れ」

 

第二章 新型コロナウイルスの正体

〇決して未知のウイルスではない

 新型コロナウイルスも含む「オルトコロナウイルス亜科」には数十種類のウイルスが存在します。サーズウイルスと同じ系統で、元々キクガシラコウモリが持っていたウイルスです。

〇発生直後に「ウィズコロナ」切り抜けられると確信

(私も2020年2月には、独自の見解を発表しました。それは今でも変わらないものでした。)

△「100分の1作戦」で感染対策は十分だった

 (換気、マスク、手洗いで充分というが、これはおかしい。換気と言っても、室内を風がぐるぐる回り、室内に充満するだけです。未熟児室の換気は、横に流れる様に、部屋の片側から水平に流して、反対側へ吸い込ませる方式で換気をします。インフルエンザと同様に、マスクの効果は多少は少なくするだけです。手洗いの意味はありません。)

 エアロゾル(空気)感染は当然です。(最初に流行した武漢のデータを読めば判るはずで、多くのデータが発表されています。中国では武漢市がもっとも医療水準が高い所です。)

〇ソーシャルディスタンスという拷問

〇接触感染についてはあまり考えなくてよい

〇ほとんどがエアロゾル感染

〇マスクで感染を防ぐには限界がある

〇無意味な感染対策

〇ほとんどのウイルスは人間と共存している

〇一定数以上の微小飛沫粒子を吸わないと感染しない

 コンピューターや、物理実験でのデータで感染すると言いますがそんなことはなく、実際には、感染が成立するにはウイルスの「量(数)」が必要なのです。(細菌も同じです。その上に、活性があることが必要です。そこまでで、著者が誤解しているのは、ウイルスが10キロ先まで飛ぶなどは、架空の話です。実際に感染した例は、インフルエンザの場合に、パナマ沖で待機していた貨物船の例からはせいぜい2キロ程度です。しかも、晴れたら直射日光で活性を失いますから、成層圏では感染が成立しません。直射日光下では、2メートル離れれば感染しません。室内では別です。武漢では患者さんの風上の200メートル先でも、ウイルスを検出しています。)

〇子どもはワクチンより感染で免役を

 ワクチンではスパイク蛋白質に対する免役しかできませんが、感染するとコロナウイルスの多種類の蛋白質(?―私は核だと思います)に対する免疫ができます。(だから、変異しても短時間で変異株の抗核抗体を作ることができ、重症化しないのです。)

〇欧州の子どもたちの多くは自然感染で免役をつけた

 

第三章 無知という大罪

〇抗原検査とPCR検査の違い

 抗原検査は、ウイルスのN蛋白質を直接検出します。N蛋白質は変異しにくく、大量に含まれるので、PCR検査より、あてになります。N蛋白質は変異体であってもほとんど変わらないのです。PCR検査はウイルスのmRNAのN蛋白質をコードする(設計する)遺伝子領域の一部を調べているだけです。(だから、時々いろいろなものから陽性がでたりします。活性を失っていても陽性になります。)

〇検査陽性と感染性は別問題

 検出されたRNAに感染性があるかどうかは判らないのです。

 (PCR検査を開発した人は、これを診断に使ってはいけないと警告していました。)

〇1回のPCR検査で判断することは「異常事態」

 (それなのに1回のPCR検査で診断しています)

〇陽性者を「全員隔離」の大罪

〇「無知」が招いた大混乱

〇短時間で安価に行える「より確実な」検査方法があった

 国内企業のキャノンメディカルシステムズが開発したLAMP法は、誤診断が起こりにくく、コストも低く、実用化されていました。20分ほどの短時間で検査出来るのも特徴です。

〇病原性はスパイクでは決まらない

〇重症者は減って死亡者数が増える怪現象

〇数理疫学者とウイルス学者のいう「感染性」は異なる

〇コロナウイルスは「変異が速い」という嘘

〇人類はずっとウィズコロナだった

 コロナウイルスは昔から(少なくとも百数十年前から)存在していたことは明らかです。

また分子時計で調べると、計算上は鎌倉時代からあった可能性が高いのです。現在、普通の風邪を起こすヒトコロナウイルスは新型コロナウイルスの他に4種類あります。(当初から、福岡伸一さんたちも、きっと2009年に流行した新型インフルエンザウイルスが今は在来型になったように、新型コロナウイルスもそうなるだろうと予測していました。)

 

第四章 ウイルスと免疫の基礎知識

△自然免役と獲得免役

 私(著者)は、自然免疫だけでもほとんどのウィルスからの感染・発病を防いでいると考えています。(同感)

 (「ウイルス干渉によるもの」の理解が違います。ウイルス同士は、同じ場所で同時に繁殖できないのです。だから一瞬でも早く繁殖を始めたウイルスだけが繁殖し、後から入ったウイルスはじっと待っているのです。これは過去の麻疹や風疹、水痘の感染例から判っていることです。インフルエンザとコロナは同時に同じ人間の体内で繁殖しません。)

△「バカは風邪をひかない」の真意

 自然免疫の応答性はどんどん高まっていきます。(それは人間の抗体産生能力は、1億ともそれ以上とも言われていて、新しい抗原(ウイルスや細菌など)が侵入したらすぐに抗体を作ろうとするのですが、それに時間がかかります。それを短縮できるだけです。それを訓練免役というのでしょうか。またBCGの感染予防の有効性は世界的に否定されています。)

 自然免疫がうまく対応しています。(そうですが、その次の「日常的に雑多なウイルスを浴びていると自然免疫が鍛えられて」という所が間違いです。人間は自然免疫の壁を何重にもはりめぐらせていて、反応性は高まることはないのです。)

 「バカは風邪をひかない」というのは、(私に言わせれば、くよくよしない人、おおらかな人は、病気をしないということで、著者は、精神神経免疫学を知らず、取り違えています。)

△5種類の抗体

 (日本脳炎に対して認識不足です。日本脳炎はワクチンで日本人の発病が押さえられた訳ではありません。著者は適応理論も知らないようです。動物は、環境に適応して進化しました。だから地球の寒冷期に進化しました。現在は病原性のほとんどない日和見感染症のウイルスや細菌も、昔は病気を起こしていたのではないでしょうか。)

△IgA抗体が誘導されにくい人は新型コロナに感染しやすい

 (著者は、mRNAワクチンが誘導しにくいことと、誘導されにくい人がいることと混同している。先天性異常でない限り、そんな人はごく少数です。) インドで認可されたワクチンは、粘膜ワクチンです。粘膜に免疫をつけるので効果が確実です。

△IgG抗体を上げても感染予防効果は期待できない

 確かに、主戦場は、肺や気道だから,血中のIgG抗体値を上げても効果は期待出来ません。

(でも細胞内で増殖したウイルスが、細胞を破壊して外へでてきたら抗体が作用します。そこで作用するので、重症化を防げます。毛細血管を経て血液と細胞は接触しています。でも抗体は細胞内には入れません。肺炎は肺胞内の炎症です。肺胞の表面に血液は接触していて、血液中のガス交換をしています。ウイルスが細胞外へ出たら抗体の作用を受けます。)

△なぜ抗体価が高い人のほうが重症化しているのか

 (IgG抗体が最初に上がってくるということは、文献をあたれず検証はできませんでした。その後の東京都の文献(39)に出てくるのが、S(スパイク)抗体とN(核)抗体です。それを見るとS抗体(+)は96%前後ですが、N抗体(+)は3%前後です。これは調査を受けた人がワクチン接種者多いとのことで、当然ワクチン接種者が多いことを示しており、自然感染したのはN抗体(+)の人だけです。

ウイルスに曝露(接触)しても自然免疫で撃退し、血中に入らなければ、抗体は陽性になりません。多くの感染症専門家たちは抗体陽性を問題にしていますが、抗体は血液中までウイルスが侵入して初めてできますから、体内に侵入しても免疫システムで撃退されていれば抗体はできないです。抗体を感染の指標とするから判断を間違うのです。

ウイルス特異抗体が高いと言いますが、それはS抗体なのか、N抗体なのか文献が入手できなかったので判りませんが、S抗体が高くても変異体であれば侵入し、抗原原罪と抗体依存性増強によって、ワクチン接種者だけは重症化することがあるのです。自然感染ではあり得ません。)

〇抗体依存性増強(ADE)はなぜ起きる?

 人のデング熱ウイルスのワクチン製作中に分かったことですが、抗体によってかえって感染が増強され、病態も増悪することがあるのです。これがコロナウイルスでも起きるようです。(これはワクチンだけで、自然には起こりません。そこに何らかの秘密があるのでしょう。だから自然感染して免疫をつける方がよいのです。)

〇ウイルス感染におけるガンマ(γ)デルタ(δ)T細胞の役割

 (ここはまだ解明されていない所です。)

〇専門知を総合知にできる人材の必要性

 (感染症の専門家といえども,専門領域が細分化され、知らないことや根拠のないことを平気で言うのです。私は啓蒙者で、他人の研究を使って分かり易く説明しています。)

 

第五章 コロナワクチンの限界と危険性

〇「mRNAワクチン」とは何か

△新型コロナウイルスにワクチンが効果的でない理由

 生ワクチンは軽く感染することなので安全で、効果があります。不活化ワクチンは安全ではありますが、最先端の侵入する場所の粘膜細胞の免疫ができません。中国の新型ワクチンは不活化ワクチンです。不活化ワクチンによる抗体が悪さをすることがあるのです。

 (細胞免疫や抗体、不活化ワクチンについての評価が私と違います。)

〇ウイルス特性によって変化するワクチン戦略

 コロナワクチンの抗体は悪さをすることがあります。抗体依存性増強(ADE)や病態増悪を起こすリスクがあります。

〇「ADEは心配しなくてよい」は本当か

 同じコロナウイルスのマーズやサーズではADEが起きるのに、Covid-19で起きないはずがなく、ワクチン接種後の死者やワクチン接種してコロナに感染して亡くなった人の病理解剖やADEの検査をしていないからでしょう。証明が難しいのです(本当ではないのです)。

〇抗原抗体複合体 

 抗体による病態増悪

〇大阪大学の2つの研究成果

1)抗体がウイルスのスパイクに結合して、ウイルスの感染性を高めるというのです。

2)武漢型ワクチンでは、オミクロン株に対するADE活性が観察されています。

 そこでmRNAワクチンの接種で誘導される抗体によって,感染増強が起こることがあり得る。また、抗原抗体複合体によって病態増悪もあり得るという結論です。

〇2回接種者のほうが未接種者より陽性になりやすいというデータ

 2回接種者の感染予防効果がほとんどの年代でマイナスに転じる結果になっている。

だから1か月後くらいから、PCR検査陽性者が、未接種者よりワクチン接種者の方が多いという結果がでたのです。「発症しやすくなった」と解釈しています。

〇スパイク蛋白質をターゲットにした失敗

 インドで粘膜ワクチンが承認されました。これが一番よい方法であることは最初からわかっていたことです。

〇細胞性免疫の誘導は強ければ強いほどよいのか?

 (よくないです)mRNAワクチンは「ワクチンのLNP(脂質ナノ粒子)が一般の細胞にもmRNAを導入してしまう」ので、それを自分の免役システムが「感染細胞」と認識してしまい、攻撃されることが起こり得るのです。実際に自己免疫疾患類似の副反応が出ています。

〇ブースター接種が逆効果になることも

 ブースター接種で誘導した抗体の効果は、中和抗体による感染予防効果や病態増悪を引き算して考える必要があります。それ以前の型に対応していたワクチンが、変異体に対しては、逆効果になるということは結論が出ています。

〇ウイルスよりもワクチンが怖い

 今は致死率が0.1%ですから、重症化しにくい世代までワクチンを打たなければいけないのか。日本で10~20代のワクチン接種者で2021年末までに281人の心筋炎疑い例が出ています。

〇ブースター接種は自己ダメージが大きい

 一度感染した人はワクチンを接種する必要はないし、未感染者は2回接種したらそれでお終いでよいのです。

〇子どもにmRNAワクチンを接種してよいのか?

 ワクチン接種後に心筋炎を起こしています。「子どもにワクチンを打ってよいのか」とよく聞かれますが、よくないと思います(著者)。

〇妊娠初期にmRNAワクチンを接種してよいのか?

 避けた方がよいのです。危険性はあります。

〇妊娠後期でもワクチンの危険性は拭いえない

〇「安全」の理由がわからない

〇コロナ騒動は医療利権と政治が招いた災禍

 (私は、これは2009年の新型インフルエンザの騒ぎから世界的に広がった産官学の癒着だと思います。日本も顕著です。)

第六章 私が声を上げ続ける理由

 略。麻疹ウイルスも牛から。

第七章 ウイルス学者を悩ませた16の質問

 略

  以上、宝島社新書「ウイルス学者の絶望」(宮沢孝幸京大医生物学研究所准教授著)より

 

 最後に、新型コロナウイルス感染症のパンデミックはすでに終わりました。今回のパンデミックをあおったのは、感染症を知らない医師たちが怖がり、それで医療関係者や葬儀業者たちが怖がり、一般の人たちに恐怖感をあおったのです。著者も言うように、メディアも報道規制され、コロナ恐怖とワクチン安全論が支配的で、ネットでしか反論が見られませんでした。私は,当初からスウェーデン派でした。結果の検証は、別にします。

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平和を求めて

2023-01-18 15:43:00 | 子どもの病気と犯罪の予防

本の紹介                                 

   「平和を創る道の探求」孫崎亨(かもがわ出版)     

 「平和を創る道の探求」孫崎亨(かもがわ出版) を読んで

  私が求めていた本が出ました。私の考えていたことと同じで、それを裏付けた根拠を示してくれました。ここに書かれていた人のうち、キッシンジャー、ミアシャイマー、プーチン講演などは読んでいましたから、分かりやすかったです。憲法問題から、ウクライナ侵攻までの解説で、平和的解決が可能であるとの立場です。

  1. すべての戦争に反対する。

トルストイが指摘する「知識人の罪」。トルストイは日露戦争に対して、「誰にも無用で無益な困難が再来し」、「知識人が先頭に立って人々を誘導している」という。今日では、知識人ではなく、政治家、コメンテーター、安全保障専門家と言っていいでしょう。

アイゼンハワーは「我々は軍産複合体による不当な影響力の獲得から守らなければなりません」と言う。軍人から大統領になった人です。(この構造は、新型コロナ肺炎のパンデミック対策にも現れていました)。

  1. 外交とは何か。妥協が必要。51%の達成を目指す。

 アルカイダのビン・ラディンが要求したこと、宮沢賢治のことなど。この本は、妥協を軸に外交や国際政治のあり様を問う本であるという。

  1. ロシアのウクライナ侵攻について

  キッシンジャーは「ウクライナが生き残り繫栄するとすれば、(西側、東側の)いずれかに対峙し、いずれかのサイドにつく前哨になるべきではない。それは両者のブリッジとして機能すべきである」、「ウクライナはNATOに加盟すべではない」という。同じことをミアシャイマーも言っています。

  ドイツ統一の時に、アメリカも西ドイツもNATOを東方に拡大しないと約束したのですが、それを破りポーランドまで拡大し、さらにロシアののど元のウクライナをもNATOに加盟させようとしたのです。(キューバ危機の時に、キューバにソ連基地を作ることと同じです)。だからプーチンの言う、アメリカ、ドイツは約束を破ったということは正しいのです。ウクライナ自体が、独立して23年しかたっていず、それまではどこかの国に支配されたり、分断されたりしていたのです。(ゼレンスキーの取った政策は、ウクライナ国民を見捨てたのです。日本の太平洋戦争の時と同じでした。)

追い込まれたロシアとプーチン政権

キッシンジャーやケナンは、ロシアと対立するのではなく、パートナーとすべきだと言っています。

4.世界は、冷戦時代の米ソの二極支配が崩壊し、その後のアメリカによる世界の一極支配に対して、プーチンのロシアは、この「一極支配」からの離脱の試みであるという。

  中国の台頭で世界は新らしい秩序に進んでいる。G7ブロックと非G7ブロック。中国、ブラジル、インド、南アフリカなど。アメリカと一線を画している。

5.台湾問題は、台湾側の独立運動が焦点で、中国は現状維持を望む。通常の戦闘ではアメリカは、軍事力で中国に勝てない。しかし、中国には台湾を武力で取るメリットはない。むしろ内政を危うくする危険がある。

6.軍事的手段では、日本は自国の安全を確保できない。

 秒速2kmから8kmのミサイルを打ち落とせない。敵基地攻撃と言っても、相手国のすべての基地を攻撃できないし、残された基地から核を打たれたらそれで終わりである。

  NATO条約と安保条約は違う。NATO条約は、加盟国が攻撃を受けたら、直ちに行動をとるのです。しかし、安保条約では、日本が武力攻撃を受けても、米国議会が戦争宣言をしないと米軍は動きません。また、核の傘などはない。日本が攻撃されても、アメリカは自国の本土を核で攻撃されるデメリットを選ばない。

 もう一度、1955年のラッセル・アインシュタイン宣言に耳を傾けよう。

7.平和憲法の成立。戦争放棄は、日本側の発案で、幣原喜重郎首相がその人。

 幣原の発案した戦争放棄から、先制攻撃の国となるのか。日本が先制攻撃をすることを認めれば、相手国の先制攻撃を是認することになります。それが敵基地攻撃論です。

 戦後のアメリカの方針は、「日本は米国に従属する」のが基本方針です。また、「アメリカが望むだけの軍隊を、望む場所に、望む期間だけ駐留させる権利を確保する」ことを目指したのが、日米安保条約なのです。日米地位協定も、アメリカが同意しない限り、変えられません。

8.朝鮮戦争に日本も、掃海艇で参戦した。一隻が機雷で沈み、一人死亡。

 日本の「戦争しない国」から、「戦争に参加する国」への転換は、湾岸戦争を通じて形成されました。自衛隊を、アメリカの戦略のために、海外展開することが決められています。

9.平和は、交渉で創るもの。交渉は取引であり、双方の満足するものでなければ成立しない。

  ロシア、中国、北朝鮮は、核兵器をもち、日本を迎撃できるミサイルを1500発以上配備しているとみられています。日本を攻撃する時に、政治・経済・社会の中心地を攻撃されたら、着弾地が予測できなければ迎撃できません。

  和平には、譲歩が必要。譲歩で譲ったものと、譲歩しない時に失うものと比較したら、失うものの方が大きい。それが現在のウクライナであり、東条英機の指導した日本だったのです

10.尖閣諸島は、日本、中国、台湾のいずれにも属していない状態です。だからアメリカは尖閣諸島の主権は係争中であり、アメリカは中立であるとしています。田中―周恩来会談で暗黙の棚上げ合意がありました。石油が出るから問題になるので、当面棚上げにすることになっています。それで日中漁業協定が結ばれて、紛糾しない仕組みができています。

11.平和への道

 ドイツとフランスの和平のために、EUが作られた。

 東南アジア諸国連合の知恵。

 南極の平和的利用、など平和的道はとれるはず。

 以上                     

 

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