黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

相模原障害者殺傷事件によせて

2016-08-04 09:38:53 | ニュース
 相模原での障害者大量殺傷事件は悲惨な事件でした。二度と繰り返されないことを願って、一文を書きました。
 しかし、全く同じではないと思いますが、また無差別殺人事件が繰り返される危険があり、なんとかそれを繰り返されないようにしたいとの願いを込めて、書きました。

 相模原障害者殺傷事件によせて

 これは私の考えですが、この事件についていろいろな考えがあり、その一つです。
 まず、なぜ彼(実行犯)がこんな悲惨な事件を実行したかということを考えます。その根底には、人間、いやすべての生き物に対する感情を持たないのです。可哀想だと思わない、感情を殺して生きてきた人だと思います。
 そこには、エリオット・レイトン「親を殺した子供たち」(草思社、他に「大量殺人者の誕生」など著書あり)や、カロリーヌ・エリアシェフ「楽園を追われた子どもたち」(新評論、ここに「闇教育」が書かれている)、R.カー・モースとM.S.ワイリー「育児室からの亡霊」(毎日新聞社、読むならこれがお勧めで、故内藤寿七郎初代小児科医会会長推薦)を読むと、単なるヘイトクライムや優生思想だけでは理解できない部分が明らかになります。
これは、私の「予防接種のえらび方と病気にならない育児法」のあとがきに書きました。本当は本文に入れたかったのですが、不自然なのであとがきにしました。それは「闇教育」のことです。これは別項で書きます。

まず、ヘイトクライムですが、彼に元々その思想があれば、あの施設に就職しない筈です。嫌っている人たちのいる施設にどうして就職し、働いていたのでしょうか。しかも、自分の受け持ちの人たちを殺傷していない(「元担当先は寄らず」2016.7.29東京新聞)というのを聞きました。今の若者たちは、医師もそうですが、3K職場に就職したがらないです。例えば、在特会(在日コリアンを排斥する人たち)の人が、朝鮮学校や韓国学校に教師として就職することは考えにくいと思いませんか。私は就職後に変わっていったのだと思います。友達たちの証言でもそのようにうかがえます。
優生思想もそうです。措置入院中に「ヒットラー思想が二週間前に(頭の中に)降りてきた」と言ったのも、それが元々の思想ではなく、理由づけか、またはもっと前にヒットラーの本を読んでいたのかも知れません。それでその時に、それが頭に浮かんだのでしょう。
いずれも、当初から持っていたのではなく、実行する前(それがいつからかは判りませんが)に生じたものではないかと思います。その根底にあるのが、「闇教育」の結果なのです。
友人の話を聞くと、就職後だんだん変わり、1年前には大きく変わっていたようです。
しかし、普通の人には、大量殺人など実行できません。殺人事件のほとんどは、突発的に、かっとなってしてしまい、犯行をし、後になって反省していると、元拘置所の所長が死刑反対の本を書いています。ですから、そうでない彼に反省を求めても無理でしょう。
「親を殺した子どもたち」を読むと、みな犯行後「せいせいした」と言うのです。なぜ彼はそんな人格になってしまったのでしょうか。それは、私は生まれてからの「育ち」にあると思います。
でも親を責めないで下さい。すべきことは「闇教育」をなくすことです。子どもに対する虐待も、DVも根源は同じです。知らず知らずに、自分が受けた育てられ方で、子どもを育ててしまうので、負の連鎖を形成します。欧米では、それを断つ親へのプログラムがあると聞きます。一人を教育するのではなく、グループでしないと効果がないようです。

 そこで話を続けるために、私の知っていることを話します。
まず、ヒットラーを生んだのが、「闇教育」だというのです。
エリアシェフによると、1977年にカタリーナ・ルーチュキイが「闇教育」という20世紀初頭のヨーロッパで普及していた教育法を集めたドイツ語の本を出しました。その一部をアリス・ミラーが自著に一部を翻訳して載せ、それをエリアシェフが引用しています。
それを私が引用し、さらに2000年代の日本の「闇教育」の研究者の論文からも引用して、私の本にあとがきとして書いたのです。
 エリアシェフは、「闇教育の原理にしたがって教育された国家が自然にできあがってしまう危険さえあります。」と言い、その実例としてヒットラーをあげたのです。闇教育によって、本人の知らないうちに、感情を押し殺すことを教え込み、人間性を奪う結果を招いたのです。そうして育てられた子どもたちが、大量殺人や親殺しを実行できるのです。普通の人にはできません。一時的な精神錯乱でも、精神病者でもできません。自爆テロは、日本の特攻隊にその起源があるようで、これはできます。普通の日本人がやったことですから。これとは違います。
 
 そこで、なぜヒットラーは自分にユダヤ系の血が混じっていた筈なのに、ユダヤ人を劣った民族として排斥したかということです。私の伯母は長く戦前のドイツに住んでいました。伯父が貿易関係の銀行マンでしたから。その伯母の話を聞くと理解できました。
それは、ユダヤ人は、ユダヤ教徒同志でないと結婚を認めないので、各国に離散したユダヤ教徒同志の間での結婚は難しく、そのため血族結婚が増え、その結果優れた人たちも輩出しましたが、逆に先天性異常者も輩出し、伯母は、小人症や人目につく先天異常者はユダヤ人が多いと言っていました。少数の優れた人よりも、目につく「障害者=劣った人」なのでしょう。
そこからなぜかヒットラーは、その当時ヨーロッパにあった優生思想にとりつかれ、障害者とユダヤ人を抹殺するかたわら、ポーランド人の優秀な男の子たちを誘拐しドイツに連れてきました。その数は数千人と言われています。そして、その子どもの家族は全員殺されましたから、子どもたちは帰ることもできずに、ドイツの養親に育てられたのです。そして、ドイツ人になってしまいました。ここまでくると、狂っているとしか言えません。でもヒットラーは精神病ではないのです。

 日本でも、親殺し、兄弟殺し、姉妹殺しなどの家族殺人が時々見られますし、大量殺人も見られます。少年Aや、池田小事件などがその典型です。時々猫や鳥の首を切ったりする事件が起きています。それも、同じ根源から来ているのだと思います。
 しかも、親殺し、一家皆殺しの犯人の親は、教育者に多いというのです。今回の事件も親は元小学校の教師ということでした。ある私の知っている養護教諭は、昔、姉妹殺し事件が起きた時に、「また教師の子どもだった」と言ったことを覚えています。教員の間では、情報が素早く流れているようで、報道されていなかったのに知っていたのです。そう言われてみると、親殺しや身内殺し、大量殺人事件の犯人の親が教育者か、子どもをある方向に教育しようとしている人のようです。
 彼は精神病ではないのです。だから措置入院させても意味はありません。実行すると宣言している以上は、二つの施設の防犯管理を厳重にすべきだったのです。警察は、予防はできません。それをしたら、戦前の治安維持法の時代に逆戻りです。施設側で防犯装置を厳重にするしかなかったのです。彼を止めることはできません。自殺する人を止めることができないように。彼のこころは、その考えにとりつかれ、それを変えることはできません。

 私は、20世紀前半の教育法にあまり関心を持たないのも、そういうことを知ったからなのです。日本にその流れをひく教育者たちも存在します。こんなことを言うと、その人たちから非難されるでしょう。でも、現実はどうなのでしょうか。私は、現実だけを信じます。そうならないことを願っています。
 私は、子どもの人権を尊重し、生まれる前から、一人の人間としての存在を認め、その子どもの意志を尊重し、のびのび生きるように、ただし、他人に迷惑をかけないように、他人に思いやりを持つようにと思ってきました。しかし、若い時は必ずしもそうではなく、自分の子育ては、そうでなかったかも知れません。私の子どもたちは、私を批判するでしょう。
今の私の考え方は、私の成長と共に身に着けたものですから、子育て真っ最中にはまだ身に着けていなかったと思います。でも、そのことを知った以上は、現在またはこれから子育てしていく人たちに、ぜひ、知っておいて欲しいことです。
「闇教育」については、次の項に書きます。ぜひ、お読み下さい。
私の本「予防接種のえらび方と病気にならない育児法」のあとがきにも書きました。
                          2016.8.4.

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