昨日に引き続いて、今日も日本の生徒がオーストラリアに短期留学で来て、ホームステイ先で起こるトラブルとその解決策を考えてみます。
今日のお題は生活習慣の違いから起こるトラブルです。
まず、一般的な日本の高校生の一日を考えてみましょう。大抵の高校生は、部活や塾などで家に帰るのが遅く夜の6時、7時、8時になることも多くのではないでしょうか。家族と、又は一人で晩ご飯を食べた後は、勉強部屋に籠って、進学校に行っている生徒は宿題をしたり、そうではない生徒は、宿題にはそれ程時間は使わず、代わりにビデオゲームをしたり、友達とラインなどのSNSをしたり、動画サイトやテレビを見たりするのではないでしょうか。
そして入浴後、就寝時間は深夜の11時又は12時ごろに寝るというパターンが一般的なのではないでしょうか。つまり、一般的な高校生は、家族との会話をあまりしないことが多く、親御さんも子供が勉強部屋に行って勉強していれば、それで安心だと考えているのではないでしょうか。
これに対して、オーストラリアの高校生の生活は日本人とかなり違っていて、まず、オーストラリアの高校では部活動がなく、もしスポーツがあって、通常より一時間ほど遅くなるのは週に一度だけなのです。下校時間は3時から3時半の間で、殆どの生徒はバスか車での送り迎えなので、帰宅時間は3時半か4時前後になり、、遅くても5時ごろ一迄には家に帰っているのが一般的です。
こちらの高校生が家に帰ったら、直ぐに宿題を始めて、夕食は、家族が一緒にすることが多く、その日に学校で会ったことを話したり、ニュースについて話したりします。夕食後は家族と団らんしたり、宿題があれば、宿題をするし、なければ居間でビデオゲームをしたり、読書をしたりして、のんびりと過ごし、就寝時間は日本より早くて、夜の10時ごろ迄に寝るので、十分に睡眠時間がとれます。それで、寝坊して学校に遅刻するなどということは珍しいのです。
この生活の違いは明らかで、日本人の生徒が日本での生活習慣をそのままオーストラリアへ持ち込んでしまうと、トラブルになるのは火を見るよりも明らかです。
一番の違いは日本の家庭での会話の少なさです。塾や部活で家に帰る時間が遅いので、家族は先に晩ご飯を済ませてしまっていることもあるし、お父さんは残業で帰るのが深夜近くしか帰らなかったり、折角、週末に家族揃って食事をする機会があっても、食事中はお喋りをせずに、黙って食べる家庭も多いのではないでしょうか。
この様に、今まで家族と話す時間や習慣がなかった日本の高校生がオーストラリアへホームステイに来ても、ホストファミリーと上手く過ごせるのかは、甚だ疑問です。自分の家族と会話のも出来ないのに、ましてや、会ったこともない他人の家族、しかも外国人家族と上手く話せるハズがないのです。しかも、相手は日本語が通じないのです。
日本人の生徒にとって、精神状態を平常に保つためには、まず、不慣れな環境から逃げることです。そして、ホームステイ中に良く知らない人達から逃げられる唯一の場所は寝室なのです。食事が済んだら逃げる様に、寝室に籠ってしまえば、次の日の朝まで、心の平常を保つことができるのです。
こちらの家庭では何処でもインターネットが繋がっていますので、持ってきたスマホで日本にいる友達とライン電話をしたり、日本で毎日していたビデオゲームをしたりして、日本にいた時と同じように深夜まで起きています。
しかし、これでは、何の為にホームステイに来たのか、分からなくなります。折角、生徒を受け入れてくれたホストファミリーにも大変失礼ですよね。ホストファミリーは皆さんを家族の一員として迎え入れてくれたのですから。
ホストファミリーは大きく分けて2種類あって、現地の業者があっせんして、お金を払っている所と、姉妹校が、生徒の家庭にお願いしてアレンジしているところがあります。残念ながら前者の場合は、報酬目的ですから、どちらかと言えばホームステイというよりは、宿泊施設に近いところもあります。ただしそんなホストファミリーでも、日本から来た生徒と出来るだけ交流して、こちらでの生活を楽しんで貰いたいと思ってホストファミリーになっているのです。
なのに、学校から帰ってきたら、直ぐに自室に閉じ籠ってしまい、食事の時間しか出てこないというのは、、、日本では普通の事なのでしょうが、こちらではかなりの異常事態なのです。
寝室は、こちらでもベッドルーム、つまり寝る為の部屋であり、基本的には寝る時以外は使わない部屋なのです。つまり寝る時間以外は居間、つまりリビングルームで過ごすことが普通です。日本では当たり前の立派な学習机はこちらには存在しないので、勉強は居間や台所で宿題を済ませることも多いのです。宿題の途中で、分からないことがあったら、直ぐ親に聞けるし、親も子供が何をしているかが分かるので、寝室に閉じこもって勉強するよりも都合が良いからです。
明日に続きます。
それでは、明日も、このブログでお会いしましょう。