『ある友人との話 パート2』
忘れかけていた物が復活する。
しかし、それは、忘れていたのと同時に、無くしてしまいたいと、無くしたいと思って思って、記憶の彼方へ追いやったのも事実。
偶然なのか、それとも、単なる気まぐれなのか、まったく解らないけれど、起きた事は確か。
季節は、春が盛んな連休時。
芝浦 海(しばうら かい)は、なんとなく煮詰まった時に行く河口に架けられた橋の上で、少しかすんで見えたワイヤー3本が三角形を描いてつられている橋を見ていた。
――小さな水の噴出しから始まり、少しずづ、少しずつ、沢山の水を集めて、流れを作り、下れば下る程に流れは緩やかになり、やがてどこかで淀み始め、流れが止まりそうになる。それを知っていても、海を目指して川の水は流れつづける。海という名の重力に惹かれて。私もきっとそんな風な川の流れに知らず知らずのうちに乗って来て、今、ここにあるけれど、あまりに広く途方も無い大海原は、私にとってはあまりに大きく、広すぎた――
いつか何かで読んだ文の1節が、深青緑の水面と曇り空で構成された景色を見て、海の頭の中に思い浮かんだ。
(たどり着くだけじゃだめか)
橋の欄干に両肘をついてため息をついた。
――海にたどり着いて全てが終わる訳じゃなく、それからどこへ行くか、どこへたどり着いてどうなりたいか?どうしたいか?そんな基本的な事を忘れていた過ぎ去りし日は、春だった。誰もが希望に満ちたその時分、私のそばにあったのは、「絶望」という名前の2文字だった――
(その先か…)
夢をもて。形のあるものを――と言う事なんだろうが、そんなものありはしない。こんな景色の様に全てがぼんやりとしているのだから。
「やっぱり、ここに居たか」
不意に声がした。
最近知り合った友人の、東奈貴英(ひがしな たかひで)だった。
「何だよ、急に。来るなら、連絡くれれば良かったのに」
「いや、何となくさ、もう一度、来てみたいなって思ったんだ」
東奈は、そう言うと海と同様に両肘を欄干につけて遠くを見つめた。
その後、適当に飲み食い出来るものを買って、場所を海の家に変えた。
「丁度、ふさぎこんでたから、来てくれて助かったよ」
「そんな時は、呼んでくれれば良いのに」
コレで、と東奈は携帯を指した。
「まぁな。そうしたい所だけどさ、断られたりしたら、嫌じゃん」
ゆっくりと海は、その言葉を口にする――本当は、ちょっと言い難い一言だった。
「あー、解るね。結構、ここぞって時に、いつでも他人は頼りにならないものだしね」
「だろ?」
話解るね、とアルコール飲料の缶で物を指差す様に、海は東奈を指した。
「やってみないと、何事も解らないって言うから、やってみる必要はある。けど、こうやって、偶然、何となく会いたいなぁって思う時に、会えるって言うのが良いなとかって思うんだ」
物語の観過ぎかな?と東奈は笑う。
「偶然ね。確かにそうだね。偶然って言うのが良いんだよね。予め解ってると、案外つまらないってのはあるね」
「うん、そうだね」
大きく東奈は、頷いた。
「大切にしなくちゃいけない偶然を、俺はこれまで何度も捨てて来たって言う現実があるけどな」
海は、自嘲気味に笑う。
「物の価値は、失ってみないと解らないって言うのがあるらしいけどね」
「それ、どこで聞いた話?」
東奈が話した言葉に、海は聞き覚えがあった。
「よく見てるブログだよ…えーっと」
東奈はそう言うと、携帯を取り出しカタカタ弄ってディスプレイを海に見せた。
「なんだよ、お前もそれ見てんのかよ」
2人は思わずお互いに顔を見合わせてしまった。
「読んでて眠くなるけど、時々、何か、グッとくるものあるなって思ってさ」
妙な偶然だな、と海は思う。こんな風に通じ合えたのは、これまでで初めて位だった。
「結構、話合うね」
「だねぇ。不思議な位だよね」
東奈は2つ折の携帯を、パタンと閉じた。
「いつか、芝浦が言ってた、友達・友人てのは、こんな風に、話とか考え方が通じ合う面もあるって事なんだろうなって思う。全部、このブログからの受け売りってのもあるけどさ、言葉にしてみると、単純だけど、それは、途方も無く難しい話だよね」
「何だよ、あの話覚えてたのかよ」
ある意味では、忘れて欲しい面もあり、海としてはちょっと恥ずかしかった。
「うん。あんまりこう、話題に上らない話だったから余計かもしれない。大抵、忘れるんだけどさ。この間のは覚えてるんだ」
「そうか」
何か話さない方がよかったかな、と海は思う。こうして、自分が話した事をテーマに改めて他人の口から、何かしらの意見や答えが出てくる事は、案外恥ずかしい面もあるんだな、と思う。言ったからには、責任を…というのが当たり前の話だが、基本的に責任逃れをしたい海なので、ちょっとイタイ話ではあった。
その日、終電車の時刻が来るまで2人は、話を続けた。
特にコレという結論やら何やらが出た訳でもなく、ただ、お互いに考えている事や感じている事を話した。東奈は、全ての話に、半ば無理はありつつも静かに頷き、決して、嫌な言い方をせずに、言葉を返してくれた。
(なんかありえない気がする)
駅まで東奈を送った帰り道、そんな事を思いながら見上げた夜空には、銀色の点が散りばめられていた。
(このまま続けられるだろうか?)
まだこうして長い事話したのは2回だけだが、結構、これまで他人には明かした事の無い話を口にしている海である。
――話してみないと、全ては始まらない。機会があれば試してみる、という基本的な所でブレーキを踏みがち。そこには、色んな要因があるにしても、1つには「相手の為」であり、1つには「自分の為」でもあるけれど、往々して相手の事より「自分の為」が先行しがちな私である――
(そう、自分の為なんだよな。多くを語らないのは)
自分が相手から傷つかない為、自分が相手から、「こんな奴だったのか」、と冷ややかな目で見られるだけならともかく、自分から離れていってしまう事が何よりも海にとっては、恐ろしい話だった。
その後、季節は雨の時期の足音が聴こえる、5月病の文字が見え隠れする頃になった。
折りしも日曜日が終わった月曜日の朝から、海は講義で気分は沈んでいた。天気は、どんよりとした雲がたたずんでいた。
(憂鬱色は、自分の色か)
よくよく考えれば、憂鬱色で染まらなかった朝なんてあるだろうか?と立ち止まって空を見上げて問い掛けてみた。
(無いな)
そんなもんだよな、と自嘲気味に海は笑った。
(面倒な日の講義だな)
軽く重たい透明なビニール傘を折りたたんで、講義塔に海は入った。
(なんだよ、今日は休むのかよ)
その講義で唯一の知り合いから、「今日は面倒だから休む」というメールが送られてきて、海は、肩を落とした。
(暇なんですけど~)
誰もが誰かと集まっている教室の中の孤独を、どう乗り切れというのだろう。
(厄介だな)
窓の向こうを何気なく見るものの、やはり晴れる気配は無かった。
(なんだか、調子狂うな)
講義が始まり、同じ表情とトーンで教員が話をする中、不意にポケットに入れていた携帯が震えた。
(誰だ?)
気になって、そっと取り出してみると、見知らぬ「090」から始まる番号がディスプレイに掲載されていた。
(イタ電かよ)
凹むな、と思い、放っておいた。
何とか1日をやり過ごして、部屋に戻った時だった。
再び携帯が震えた。
(なんだ?)
午前中に見たナンバーがディスプレイに映っていた。
(誰だよ)
変な電話じゃないといいけど、と思いつつ、
「はい?」
あからさまに不機嫌なトーンで通話を始めると、相手は少しトーンを落として自分の名前を名乗った。その主は、高校3年の時だけクラスが一緒で海と同名同漢字の中村 海(なかむら かい)だった。特別、親しいという訳でもなく、ただ、名前が同じという事だけで、ほんの少し親交がある程度だった。とは言え、今更、なんだというのだろう、と海は思った。
「落とした学生証届けてくれたって言うから」
「学生証?」
なんだそれ、と記憶をたどって見た。
(あー、この間、拾ったやつか)
何日か前、学内の情報がアナログ式に紙で貼り出される掲示広場でたまたま見つけた学生証を届けた事を海は思い出した瞬間、凍り付いてしまった。
「助かったよ。まさか、芝浦が拾ってくれたなんて」
(冗談だろ)
中身をちゃんと見ず、落ちていた、という理由だけで届けたのが仇になるとは思わなかった。
(気乗りしねーな)
翌日、会って礼がしたいと中村が言うので、海は学内で会う事になっていた。
(折角、0から始めようと思ってたのに、何なんだよ、これは)
全てが崩れた気がした。何かしらの実害が及ぶという訳ではないが、もし、中村があの当時の連中の誰かと一緒にでもいたらどうすべきか…という事を海は思った。
(いっそフけるか?)
礼なんか別に要らない。連絡だけで良かったのに、と舌打ちをした時だった。
「何か、荒れてない?」
不意に声がすると、そこには東奈が居た。
「どうした?面倒な事でも?」
「あー。ちょっとな」
「そうか。何があったの?」
東奈なら話してもいいか…と不意に思い、海は事情を話した。
「なるほど。それは解る。嫌な偶然だね」
「だろ」
心底、げんなりとした表情を海は浮かべた。
「……まぁ、でもさ。ある意味では、もう、かつての芝浦じゃない、って事を示すには、良い機会かもしれないよ」
「というと?」
「その場所に俺を連れて行けば、ちょっと解るんじゃないかな。多分、1人で行くと、昔のままだな、みたいな感じになって、あいつはここでも寂しい奴なんだぜって言うイメージを植え付けるだろうけどさ。丁度、後ろには例の2人も居るしさ」
東奈は、右手の親指で後ろを指すと、牧原と谷村が居た。
「良いのか?」
「構わないって。今は、それしかないと思うし、深く考えて遠慮しない方が芝浦の為になると思うよ」
静かにゆっくりとそう言うと、東奈は牧原達を呼び寄せた。
「届けてくれてありがとう。もう戻らないって思ってたんだ」
出会った中村は、ほぼかつてのままで、誰かと居るという訳でもなかった。
「その人達、友達?」
少し驚いた様に、中村は、東奈達を見た。
「ああ。仲良くさせてもらってる」
だよな?と東奈が牧原達に問うと頷いた。
「何か信じられないな。変わったお前?まぁ、ありがとうな。また何かで会えたらいいな」
そう言うと、中村は姿を消して、数歩先に居た集団に入っていった。
「終わったな」
東奈がそっと海の肩に手を乗せた。
「いいの、もうちょっと話とかしないで?」
谷村が中村の背中を見ながら訊く。
「ああ。いい。会いたくない相手だったし」
「一応、ケリはついたんだ。もう、気にする必要ない」
「俺もそう思う」
東奈と牧原が大きく頷いた。
「変なの」
谷村は得心が行かない感じだったが、いいやり方をしてくれたな、と海は、東奈に無言の感謝の言葉をかけた。
忘れかけていた物が復活する。
しかし、それは、忘れていたのと同時に、無くしてしまいたいと、無くしたいと思って思って、記憶の彼方へ追いやったのも事実。
偶然なのか、それとも、単なる気まぐれなのか、まったく解らないけれど、起きた事は確か。
季節は、春が盛んな連休時。
芝浦 海(しばうら かい)は、なんとなく煮詰まった時に行く河口に架けられた橋の上で、少しかすんで見えたワイヤー3本が三角形を描いてつられている橋を見ていた。
――小さな水の噴出しから始まり、少しずづ、少しずつ、沢山の水を集めて、流れを作り、下れば下る程に流れは緩やかになり、やがてどこかで淀み始め、流れが止まりそうになる。それを知っていても、海を目指して川の水は流れつづける。海という名の重力に惹かれて。私もきっとそんな風な川の流れに知らず知らずのうちに乗って来て、今、ここにあるけれど、あまりに広く途方も無い大海原は、私にとってはあまりに大きく、広すぎた――
いつか何かで読んだ文の1節が、深青緑の水面と曇り空で構成された景色を見て、海の頭の中に思い浮かんだ。
(たどり着くだけじゃだめか)
橋の欄干に両肘をついてため息をついた。
――海にたどり着いて全てが終わる訳じゃなく、それからどこへ行くか、どこへたどり着いてどうなりたいか?どうしたいか?そんな基本的な事を忘れていた過ぎ去りし日は、春だった。誰もが希望に満ちたその時分、私のそばにあったのは、「絶望」という名前の2文字だった――
(その先か…)
夢をもて。形のあるものを――と言う事なんだろうが、そんなものありはしない。こんな景色の様に全てがぼんやりとしているのだから。
「やっぱり、ここに居たか」
不意に声がした。
最近知り合った友人の、東奈貴英(ひがしな たかひで)だった。
「何だよ、急に。来るなら、連絡くれれば良かったのに」
「いや、何となくさ、もう一度、来てみたいなって思ったんだ」
東奈は、そう言うと海と同様に両肘を欄干につけて遠くを見つめた。
その後、適当に飲み食い出来るものを買って、場所を海の家に変えた。
「丁度、ふさぎこんでたから、来てくれて助かったよ」
「そんな時は、呼んでくれれば良いのに」
コレで、と東奈は携帯を指した。
「まぁな。そうしたい所だけどさ、断られたりしたら、嫌じゃん」
ゆっくりと海は、その言葉を口にする――本当は、ちょっと言い難い一言だった。
「あー、解るね。結構、ここぞって時に、いつでも他人は頼りにならないものだしね」
「だろ?」
話解るね、とアルコール飲料の缶で物を指差す様に、海は東奈を指した。
「やってみないと、何事も解らないって言うから、やってみる必要はある。けど、こうやって、偶然、何となく会いたいなぁって思う時に、会えるって言うのが良いなとかって思うんだ」
物語の観過ぎかな?と東奈は笑う。
「偶然ね。確かにそうだね。偶然って言うのが良いんだよね。予め解ってると、案外つまらないってのはあるね」
「うん、そうだね」
大きく東奈は、頷いた。
「大切にしなくちゃいけない偶然を、俺はこれまで何度も捨てて来たって言う現実があるけどな」
海は、自嘲気味に笑う。
「物の価値は、失ってみないと解らないって言うのがあるらしいけどね」
「それ、どこで聞いた話?」
東奈が話した言葉に、海は聞き覚えがあった。
「よく見てるブログだよ…えーっと」
東奈はそう言うと、携帯を取り出しカタカタ弄ってディスプレイを海に見せた。
「なんだよ、お前もそれ見てんのかよ」
2人は思わずお互いに顔を見合わせてしまった。
「読んでて眠くなるけど、時々、何か、グッとくるものあるなって思ってさ」
妙な偶然だな、と海は思う。こんな風に通じ合えたのは、これまでで初めて位だった。
「結構、話合うね」
「だねぇ。不思議な位だよね」
東奈は2つ折の携帯を、パタンと閉じた。
「いつか、芝浦が言ってた、友達・友人てのは、こんな風に、話とか考え方が通じ合う面もあるって事なんだろうなって思う。全部、このブログからの受け売りってのもあるけどさ、言葉にしてみると、単純だけど、それは、途方も無く難しい話だよね」
「何だよ、あの話覚えてたのかよ」
ある意味では、忘れて欲しい面もあり、海としてはちょっと恥ずかしかった。
「うん。あんまりこう、話題に上らない話だったから余計かもしれない。大抵、忘れるんだけどさ。この間のは覚えてるんだ」
「そうか」
何か話さない方がよかったかな、と海は思う。こうして、自分が話した事をテーマに改めて他人の口から、何かしらの意見や答えが出てくる事は、案外恥ずかしい面もあるんだな、と思う。言ったからには、責任を…というのが当たり前の話だが、基本的に責任逃れをしたい海なので、ちょっとイタイ話ではあった。
その日、終電車の時刻が来るまで2人は、話を続けた。
特にコレという結論やら何やらが出た訳でもなく、ただ、お互いに考えている事や感じている事を話した。東奈は、全ての話に、半ば無理はありつつも静かに頷き、決して、嫌な言い方をせずに、言葉を返してくれた。
(なんかありえない気がする)
駅まで東奈を送った帰り道、そんな事を思いながら見上げた夜空には、銀色の点が散りばめられていた。
(このまま続けられるだろうか?)
まだこうして長い事話したのは2回だけだが、結構、これまで他人には明かした事の無い話を口にしている海である。
――話してみないと、全ては始まらない。機会があれば試してみる、という基本的な所でブレーキを踏みがち。そこには、色んな要因があるにしても、1つには「相手の為」であり、1つには「自分の為」でもあるけれど、往々して相手の事より「自分の為」が先行しがちな私である――
(そう、自分の為なんだよな。多くを語らないのは)
自分が相手から傷つかない為、自分が相手から、「こんな奴だったのか」、と冷ややかな目で見られるだけならともかく、自分から離れていってしまう事が何よりも海にとっては、恐ろしい話だった。
その後、季節は雨の時期の足音が聴こえる、5月病の文字が見え隠れする頃になった。
折りしも日曜日が終わった月曜日の朝から、海は講義で気分は沈んでいた。天気は、どんよりとした雲がたたずんでいた。
(憂鬱色は、自分の色か)
よくよく考えれば、憂鬱色で染まらなかった朝なんてあるだろうか?と立ち止まって空を見上げて問い掛けてみた。
(無いな)
そんなもんだよな、と自嘲気味に海は笑った。
(面倒な日の講義だな)
軽く重たい透明なビニール傘を折りたたんで、講義塔に海は入った。
(なんだよ、今日は休むのかよ)
その講義で唯一の知り合いから、「今日は面倒だから休む」というメールが送られてきて、海は、肩を落とした。
(暇なんですけど~)
誰もが誰かと集まっている教室の中の孤独を、どう乗り切れというのだろう。
(厄介だな)
窓の向こうを何気なく見るものの、やはり晴れる気配は無かった。
(なんだか、調子狂うな)
講義が始まり、同じ表情とトーンで教員が話をする中、不意にポケットに入れていた携帯が震えた。
(誰だ?)
気になって、そっと取り出してみると、見知らぬ「090」から始まる番号がディスプレイに掲載されていた。
(イタ電かよ)
凹むな、と思い、放っておいた。
何とか1日をやり過ごして、部屋に戻った時だった。
再び携帯が震えた。
(なんだ?)
午前中に見たナンバーがディスプレイに映っていた。
(誰だよ)
変な電話じゃないといいけど、と思いつつ、
「はい?」
あからさまに不機嫌なトーンで通話を始めると、相手は少しトーンを落として自分の名前を名乗った。その主は、高校3年の時だけクラスが一緒で海と同名同漢字の中村 海(なかむら かい)だった。特別、親しいという訳でもなく、ただ、名前が同じという事だけで、ほんの少し親交がある程度だった。とは言え、今更、なんだというのだろう、と海は思った。
「落とした学生証届けてくれたって言うから」
「学生証?」
なんだそれ、と記憶をたどって見た。
(あー、この間、拾ったやつか)
何日か前、学内の情報がアナログ式に紙で貼り出される掲示広場でたまたま見つけた学生証を届けた事を海は思い出した瞬間、凍り付いてしまった。
「助かったよ。まさか、芝浦が拾ってくれたなんて」
(冗談だろ)
中身をちゃんと見ず、落ちていた、という理由だけで届けたのが仇になるとは思わなかった。
(気乗りしねーな)
翌日、会って礼がしたいと中村が言うので、海は学内で会う事になっていた。
(折角、0から始めようと思ってたのに、何なんだよ、これは)
全てが崩れた気がした。何かしらの実害が及ぶという訳ではないが、もし、中村があの当時の連中の誰かと一緒にでもいたらどうすべきか…という事を海は思った。
(いっそフけるか?)
礼なんか別に要らない。連絡だけで良かったのに、と舌打ちをした時だった。
「何か、荒れてない?」
不意に声がすると、そこには東奈が居た。
「どうした?面倒な事でも?」
「あー。ちょっとな」
「そうか。何があったの?」
東奈なら話してもいいか…と不意に思い、海は事情を話した。
「なるほど。それは解る。嫌な偶然だね」
「だろ」
心底、げんなりとした表情を海は浮かべた。
「……まぁ、でもさ。ある意味では、もう、かつての芝浦じゃない、って事を示すには、良い機会かもしれないよ」
「というと?」
「その場所に俺を連れて行けば、ちょっと解るんじゃないかな。多分、1人で行くと、昔のままだな、みたいな感じになって、あいつはここでも寂しい奴なんだぜって言うイメージを植え付けるだろうけどさ。丁度、後ろには例の2人も居るしさ」
東奈は、右手の親指で後ろを指すと、牧原と谷村が居た。
「良いのか?」
「構わないって。今は、それしかないと思うし、深く考えて遠慮しない方が芝浦の為になると思うよ」
静かにゆっくりとそう言うと、東奈は牧原達を呼び寄せた。
「届けてくれてありがとう。もう戻らないって思ってたんだ」
出会った中村は、ほぼかつてのままで、誰かと居るという訳でもなかった。
「その人達、友達?」
少し驚いた様に、中村は、東奈達を見た。
「ああ。仲良くさせてもらってる」
だよな?と東奈が牧原達に問うと頷いた。
「何か信じられないな。変わったお前?まぁ、ありがとうな。また何かで会えたらいいな」
そう言うと、中村は姿を消して、数歩先に居た集団に入っていった。
「終わったな」
東奈がそっと海の肩に手を乗せた。
「いいの、もうちょっと話とかしないで?」
谷村が中村の背中を見ながら訊く。
「ああ。いい。会いたくない相手だったし」
「一応、ケリはついたんだ。もう、気にする必要ない」
「俺もそう思う」
東奈と牧原が大きく頷いた。
「変なの」
谷村は得心が行かない感じだったが、いいやり方をしてくれたな、と海は、東奈に無言の感謝の言葉をかけた。
桜、咲いたで、嵐かよ、と見上げる空は、灰色模様か(ため息)。
涼風「何よ、何よ、話のネタは、777H特急、だるま急行、空ネタしか、無いっての?」
管理人「……」
涼風「それで、木田麻さんの“Morning on”はどーなったのよ?」
管理人「ええ、明日3月23日あたりにでも」
涼風「それは駄目よ」
管理人「…と言いますと?」
涼風「明日は、月曜日の憂鬱。ブルーマンデー。そんな日のMorning onは、アタシって相場が決まってるの!(エッヘン)」
管理人「ぃや~、朝から、涼風鈴子は書き手としてきついなぁ。毎回さー、いつでもテンションの高い原稿かける訳でもないんだよねぇ~汗」
涼風「だらしないわねぇ~。何とかしなさいよ」
管理人「何とかしろっていわれても、こまるんだよねぇ(ため息)」
涼風「アタシが駄目で、木田さんがオッケーなんか有り得ない。もはや、ネタも切れてるんだから、素直にやりなさいよ~」
管理人「私は、へそ曲がりなんで」
アト゛バイザーイドワイザー「ちょっと、ちょっと、管理人のだんな。誰かお忘れじゃーありませんか?」
管理人「おや、偽放送作家さんじゃないですか?」
ア・イ「クダラナイ、ヘタッタ原稿なら鮭の子供、たらちゃんのお友達の名前程ありますから、ご安心を」
管理人「御冗談を。ネタに煮詰まってるってこの間、言ってたじゃねーですか」
涼風「この間は、この間。今吹く風は明日の風。大丈夫、大丈夫、ちゃ~んとスピーカーの向こうのリスナーを眠らせてあげるから、安心なさい」
管理人「………冷汗」
ア・イ「涼風さんもそーおっしゃっんですから、泥船に乗った気で居て下さいよ」
涼風「そーよ。ちゃ~んとアタシが、泥船を水の中に沈めてあげるから」
ア・イ+涼風「さぁさぁ私達に任せて、安心してスクリプトをお書きなさ~い(管理人を追い詰める)」
管理人「気が重たいんですけど(-.-;)」
ア・イ+涼風「凹まない、気にしない、調子に乗って、さーいってみよ~」
管理人「勘弁してくれよ、ヲヰ」
ということで、どういう事で、管理人急行特急THが出す、苦汁の選択は、明日になれば解るでしょう!(←ホントにぃ~?)
涼風「何よ、何よ、話のネタは、777H特急、だるま急行、空ネタしか、無いっての?」
管理人「……」
涼風「それで、木田麻さんの“Morning on”はどーなったのよ?」
管理人「ええ、明日3月23日あたりにでも」
涼風「それは駄目よ」
管理人「…と言いますと?」
涼風「明日は、月曜日の憂鬱。ブルーマンデー。そんな日のMorning onは、アタシって相場が決まってるの!(エッヘン)」
管理人「ぃや~、朝から、涼風鈴子は書き手としてきついなぁ。毎回さー、いつでもテンションの高い原稿かける訳でもないんだよねぇ~汗」
涼風「だらしないわねぇ~。何とかしなさいよ」
管理人「何とかしろっていわれても、こまるんだよねぇ(ため息)」
涼風「アタシが駄目で、木田さんがオッケーなんか有り得ない。もはや、ネタも切れてるんだから、素直にやりなさいよ~」
管理人「私は、へそ曲がりなんで」
アト゛バイザーイドワイザー「ちょっと、ちょっと、管理人のだんな。誰かお忘れじゃーありませんか?」
管理人「おや、偽放送作家さんじゃないですか?」
ア・イ「クダラナイ、ヘタッタ原稿なら鮭の子供、たらちゃんのお友達の名前程ありますから、ご安心を」
管理人「御冗談を。ネタに煮詰まってるってこの間、言ってたじゃねーですか」
涼風「この間は、この間。今吹く風は明日の風。大丈夫、大丈夫、ちゃ~んとスピーカーの向こうのリスナーを眠らせてあげるから、安心なさい」
管理人「………冷汗」
ア・イ「涼風さんもそーおっしゃっんですから、泥船に乗った気で居て下さいよ」
涼風「そーよ。ちゃ~んとアタシが、泥船を水の中に沈めてあげるから」
ア・イ+涼風「さぁさぁ私達に任せて、安心してスクリプトをお書きなさ~い(管理人を追い詰める)」
管理人「気が重たいんですけど(-.-;)」
ア・イ+涼風「凹まない、気にしない、調子に乗って、さーいってみよ~」
管理人「勘弁してくれよ、ヲヰ」
ということで、どういう事で、管理人急行特急THが出す、苦汁の選択は、明日になれば解るでしょう!(←ホントにぃ~?)