読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

戦国名臣列伝 宮城谷昌光 文春文庫

2008-06-05 23:01:50 | 読んだ
中国の戦国時代の「名臣」の列伝である。

前作の「春秋名臣列伝」よりはポピュラーな人物が登場する。
何回もいろいろな作者が書いたものを読んでいるが、いつも新鮮に感じることができる話ばかりである。

16人の名臣が登場するが、1番最初に登場する「越の范蠡(はんれい)」が最もあこがれる姿である。

「臣」というのは君主あってのものであるから、全て思うままにはいかない。
また、他の臣との軋轢からの妬み嫉みもある。
従って、主に全幅に信頼され、同僚にも好かれ続けないと、臣として大きな仕事を果たすことができない。

范蠡は、臣というよりも「師」に近い存在であったが、最期には主を見限り自分の思うままに生きることとする、そのあたりが憧れる大きな要因でもある。

さて、戦国時代は生きるか死ぬかの油断ならない殺伐とした時代でもある。そういうなかで「臣」も「主」も目標と目的を明らかにし、最適な手段を用いてその目標と目的をかなえようとする。
そういう意味では、この時代の人たちは、現代に生きる我々よりも明確な意識を持って生きており、幸福であったのではないだろうか。

平和な社会を求めて戦う、というなんだか矛盾することではあるが、ゆえに生き方を「単純明快」「清冽明朗」にする必要があったのではないか。

この名臣たちの生き方をそのまま現代において再現するには、あまりにも現代は複雑怪奇である。
それは「個」というものをあまりにも重要視しているからではないか、なんて思ったりしたのである。

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